二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

うもれた時の鼓動  ■A面■ タイムカプセルを開けるその2

2018年08月14日 | Blog & Photo
  (Hさんのポートレイト。どこで撮影したのか、いまは思い出すことができない)


タイムカプセルと名づけたインク色の大型プラスチックBOX。
わたしにとっては、浦島太郎さんの玉手箱に近いものがある。
とりあえず「うもれた時の鼓動」とタイトルをつけてみた。

いくつもの時間の堆積物が、関東ローム層のように降り積もっている。
わたししか「知らない」記憶の地図。
人はこういうものを指して「わたし」と呼んでいる。「わたし」とは、ほかならぬわたしの記憶のことである(^^♪

記憶の地図のあちらこちらにマッピングの旗がはためいているのが見える。
それらが、こちらにUPした写真・・・ということになる。大量の本に混じってプラBOXから出てきたプリントをスキャンして、一冊のアルバムとしたうちの一部。
ただ古いというだけで、大した写真はない(笑)。


    (薬剤師Mさん、結婚しお名前が変わっている。たいへん理知的な人であった)


    (高崎で撮ったコンクリート壁と赤い自転車)


    (丹後の海岸。妻が丹後の出身だったので、子どもたちをつれて何度か出かけた)


    (TopにあげたHさん、仲間数人で八ヶ岳へいったとき撮影)


    (仕事場のクルー。クルマはわたしのもの。皆年下だった)


    (ペンタックスをかまえる薬剤師Mさん)

これらがA面。
B面は別の板に書こう(^^)/
A面は仕事場で知り合った仲間たち、B面は、私生活の中でおもに子どもたちを撮影した写真を取り上げる。

わたしの本業は現在不動産業。
おつきあいしている人の中で、一番のお金持ちは22億の資産家、Fさんである。
不動産取引によって、一代でこれだけの資産を築きあげた人である。
「金儲け」に対し、異常なほどの欲望と執念を持っていて、ことばは悪いが、批判者にいわせると、守銭奴のおもかげがある。
クルマはポルシェなど高級外車を三台所有しているし、取引銀行から手厚い待遇をうけている。

わたしはお金にはたいした執着のないタイプ。不動産取引によって大もうけしようとかんがえたことなど、一度もない。
一年ばかり遊んで暮らせる預貯金があって、財布には二、三万のお金があれば、それ以上欲望を燃やすことはない。
いや・・・燃やせないタイプなのである(^^;)
お金のかわりに集まってきたのは、本であり、写真である。そういうものを愛してきたということになる。そのかたわら、詩を書いて、詩人たちとつきあってきた。

お金の価値はだれにでもわかる。
しかし、ここにピックアップしたフォトの価値は、ないに等しい、わたし以外には。
うもれた時の鼓動とは、そういうもの――であろう。

わたしにとっては“記憶遺産”に相当するけど、資本主義の世の中(それもどうやら終焉に向かっているようだが)、こういうものが遺産、資産として評価されることはない。しかし、ある程度の年齢にさしかかった人なら、だれもがもっている記憶遺産。

むろんそれでイイのである。不満があるとすれば、またたくまに通り過ぎていく時間を、その事実を見越し、キチンと整理整頓してこなかったこと。
この時代のプリントやフィルムがさらに大量に眠っているのは知っているが、どこにどんな写真がうもれているのか、現在ではよくわからないのである。

いまからかえりみると、どれも初心者の手すさびといったレベル。初老をむかえたわたしのおもちゃ箱かな?


《小鳥らの うたはきこえず
  空は今日 はなだ色らし、
倦(う)んじてし 人のこころを
  諫(いさ)めする なにものもなし。
樹脂の香(か)に 朝は悩まし
  うしないし さまざまのゆめ、
森竝(もりなみ)は 風に鳴るかな
ひろごりて たいらかの空、
  土手づたい きえてゆくかな
うつくしき さまざまの夢。》
   (中原中也「朝の歌」より)


そうだ・・・うつくしきさまざまの夢、愉しかりし、さまざまの歌。
中也がこの詩を書いたとき、彼はまだ十代で、世間の新参者であった。そしてわたしがはじめてこの詩を読んだのは十五、六才のころ。

あれからずいぶん、ずいぶん時が流れ、いろいろな出来事があったのだ。



※いずれも1981~84年ごろの撮影。
それ以前、東京暮し8年間の写真も、探せば出現するかも♪

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 古銭が出てきた♪ | トップ | 雑誌「音楽現代」のバックナ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Blog & Photo」カテゴリの最新記事