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モノクロームで写真を撮る人は、よく知っている。
写真とは、光と影のコントロール術だということを。
いや、正確にいうと、光と影をコントロールなどできないから、そういった被写体をいかに発見し、フレーミングするか・・・ということになる。
ビギナーにはビギナーのお悩み、ベテランにはベテランのお悩みがある。
初冬を迎えたこの時季、街歩きをしていると、ほんとうに影が美しい。
いまそこにある光とは、アベイラブルライトといわれる。要するに自然光なのだが、その見極めはなかなか一筋縄ではいかない。
日中であっても、光はとても低い位置からやってくる。晴天で空気が澄んでいると、ものの輪郭が、強烈なコントラストを形づくる。
「うーん、これは踏み込み不足だったな(-_-)」
あとになって、アルバムを見返しながらそんな反省をしいられる。
あるいはレンズを変えて撮るべきだった。もっと低い、地面すれすれから狙うべきだった。
写真はその日、その場所で「発見するもの」である。なぜなら、アトリエでどうにでも描ける絵画と違って、被写体のないところに写真はない・・・からである(笑)。
被写体を発見できればなんとかなると、ベテランのわたしは考えている。気分が“のる、のらない”も大切だろう。のってくると、視神経が敏感になってゆき、街のふところのような場所へ、より深く沈潜していくことができる。
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影があることで、ものの存在感が際立つ。
それはフォトジェニックな光景である。
影の中にものが沈んでいる。その輪郭や色を、どうやって再現しながら撮影したらいいんだろう?これはベテランにとっても、試行錯誤の連続。進化したカメラのカメラ任せでも「失敗」ではないけれど、そこから一歩抜け出したいとおもうと、悩みはつきない。
モノクロはもちろん、カラーも。
「いつまでもずっと、この光景を眺めていたい」
まさかじっさいにそんなことできるわけないから、わたしは写真を撮って、それをアルバムにアップしておく^^; 味わい深い光と影がつくり出す街角。
わたしにとって、それは眼と脳のご馳走なのだ。