年を取ると思いがけない感情が暴れだす。
ノスタルジック・モンスターと
ぼくはそれを名づけよう 仮に。
実体なんかありはしないとおもう。
所詮はぼくの脳の生理や 臓器のおとろえによってつくりだされた幻影。
そこいらをクラゲのように漂っている。
ふわふわ ぷよぷよしたもの。
つかまえたとおもうと するりと指のあいだから逃げてしまうもの。
ノスタルジック・モンスターは小さく
変幻自在にぼくの身体をドライブしている。
過去が現在になだれこむ。
現在が未来になだれこむように。
俯いたまま 顔を決してあげない少年のように
ノスタルジック・モンスターはぼくにとっては
しかとその顔がわからない
もう一つの遠い人格。
永遠のかなたへと追放されたぼくなのだ。
失われたものへのつきせぬ ノスタルジー。
目を覚ますたびに そこからこの現実へといやおうなしに帰還する。
そう・・・目覚めるとは帰還することにほかならない。
フルーツのように甘い夢と あくまで苦い現実のはざまで
ノスタルジック・モンスターはいのち永らえている。
その感情はひからびはしない。
ノスタルジック・モンスター。
そいつはシャボン玉のように生まれては
はじけて消えていく。
真っ青な虚空の内懐へ。
追いかけることはできない。
背をむけることはできない。
あの日あのとき 若かった母の乳房のように。
ノスタルジック・モンスターと
ぼくはそれを名づけよう 仮に。
実体なんかありはしないとおもう。
所詮はぼくの脳の生理や 臓器のおとろえによってつくりだされた幻影。
そこいらをクラゲのように漂っている。
ふわふわ ぷよぷよしたもの。
つかまえたとおもうと するりと指のあいだから逃げてしまうもの。
ノスタルジック・モンスターは小さく
変幻自在にぼくの身体をドライブしている。
過去が現在になだれこむ。
現在が未来になだれこむように。
俯いたまま 顔を決してあげない少年のように
ノスタルジック・モンスターはぼくにとっては
しかとその顔がわからない
もう一つの遠い人格。
永遠のかなたへと追放されたぼくなのだ。
失われたものへのつきせぬ ノスタルジー。
目を覚ますたびに そこからこの現実へといやおうなしに帰還する。
そう・・・目覚めるとは帰還することにほかならない。
フルーツのように甘い夢と あくまで苦い現実のはざまで
ノスタルジック・モンスターはいのち永らえている。
その感情はひからびはしない。
ノスタルジック・モンスター。
そいつはシャボン玉のように生まれては
はじけて消えていく。
真っ青な虚空の内懐へ。
追いかけることはできない。
背をむけることはできない。
あの日あのとき 若かった母の乳房のように。