二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

彼女はいったい何者か ~奇跡の人ヴィヴィアン・マイヤーふたたび

2020年11月20日 | Blog & Photo
■ヴィヴィアン・マイヤーを探して(予告編)
https://www.youtube.com/watch?v=AfbQw2mggdc&feature=emb_logo

■マイヤーの写真の紹介
https://www.youtube.com/watch?v=DMD3YupiuU4 

こういう女性写真家が、本当に存在したのだ。
孤独な魂、遍歴するまなざし。

■写真集の紹介2(imagenicaのYukoさんが10冊ほどの写真集を紹介している)
https://www.youtube.com/watch?v=hbbagZnqucA

ヴィヴィアン・マイヤーとは、何者であったのか。
あれほどの写真を撮りながら、世に出ようとはしなかった。ほんのわずかな身の周りの人をのぞき、彼女が写真家であることに、気づきさえしなかった。
奇跡はだれにも知らないところで起こっていた。彼女自身さえ、そのことに気づいたかどうか?

かつて、こんな記事を書いたことがあった。

■2015年10月「ヴィヴィアン・マイヤーSurprise!」
https://blog.goo.ne.jp/nikonhp/e/e98651758a6fe2f2f29e84e105ed4228

■2016年9月「ヴィヴィアン・マイヤーの写真集をめぐって」
https://blog.goo.ne.jp/nikonhp/e/5390ed5c3aa144a8db10650f32a8a915

彼女にとって、ストリートとは、人に出会う場所であり、仕事場であった。
無名のアマチュアなのに、よくもまあ、これだけ撮影に専念できたものだ。
しかも、普通のアマチュアのように風景や花はほとんど撮らない。筋金入りのスナップシューターである。

単なる妄想にすぎないが、Photographerとは、何者であるかを生前の彼女に問いかけてみたかった。写真を撮るために、この世に生まれてきた女性。
彼女は目撃し、そして、撮影したのだ。
「撮影する意味がある」と思ったからだろうか。大量に残された未現像のフィルムたち。
シャッターを押さずにはいられなかった。それがPhotographerという存在を確かなものにする。






















世界は彼女のためにあったのではない。
撮るときも、見るときもことばはいらない。撮影したネガを、黙って差し出す。Photographerは、結局は黒子なのだ。たくさんの傑出したセルフポートレイトを残した。
ナルシシズムや自意識から撮影しているのではない。そういった意識の片鱗がまったく感じられなくはないが、あくまで、被写体としての自己に、非情な視線がそそがれている。

彼女はいったい何者か?
そう・・・Photographer、これ以上はないという、じつにピュアな、そしてaggressiveなPhotographerであったと思う。
ある日だれかが発見しなければ、この世界に出現することもなかった。F・カフカに似ているが、無名性ということでは、カフカより徹底している。

写真には音も音楽もシナリオもない。
もし可能だったとしても、自分が撮影した写真に、ことばを添えようとはかんがえなかったろう。ドラマは、沈黙のなかで演じられたのだし、いまだって、沈黙のなかで演じられつづけている。

だからこそ、衝撃的なのだ。だからこそ!
・・・写真というものの訴求力に、あらためて脱帽する。

■Vivian Maier公式サイト」
http://www.vivianmaier.com/

写真集を買いにはしるまでもなく、こちらで、たくさんの写真を見ることができる。
生年月日:1926年2月1日(アメリカ、ニューヨーク)
死没月日:2009年4月21日(83歳)

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