「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)8月17日(火曜日)
通巻第7017号
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カブール陥落と混沌、アメリカを襲う敗北の無力感
中国『環球時報』が獅子吼。「台湾よ、このシーンを記憶し、学べ」
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早々と戦勝国リストを作成したのはカタールのアルジャジーラだ。戦勝国はロシア、中国、トルコ、カタール、そしてイランだとか。
カブールの大統領府をタリバンが占拠し、勝利宣言を出した映像はアルジャジーラの独占取材である。タリバンと深いコネがあるのは、ドーハにおける米国とタリバンの和平交渉の場所を提供したからでもある。しかしカタールにはハマスやイスラム同胞団の細胞がある。
トルコとロシアは露土戦争の仇敵同士だが、シリアでは共闘した。戦術的に友好を演じ合っているのは中東における主導権確保が目的だ。トルコは空港警備に500名の兵隊を派遣しているが、16日の空港大混乱には対応力がなかった。
カブール国際空港へ数万のアフガニスタン市民が押しかけて、脱出しようと航空機にぶら下がり、離発着が不能の状態となった。
これでは救援機の着陸もできない。
国連でロシアと中国は常任理事国としてタリバン国家の承認を急ぐだろう。今週、タリバンとロシアとの会談が開催され、ドミトリ・ジルノフ駐アフガン・ロシア大使は『隣接する中央アジア諸国との対応が喫緊の課題となる』としている。
アフガン難民はことしに入ってからでも40万人。世界に260万人のアフガニスタン難民が溢れているが、この内の140万人はパキスタンにいる。
イムラン・カーン首相は16日に緊急の国家安全会議を招集し、善後策を協議しているが結論は出なかった。カラチでは爆弾テロが起きた。
中国は経済援助を餌に突如タリバンに接近し、東トルキスタン独立運動の『過激分子』を取り締まれとした。タリバンは中国共産党とう同様に約束を守らない。猜疑心の固まりであり、口では「テロリストをアフガニスタンは受け入れない」と発言するが、実際にはアルカイーダの拠点が構築されている。
人民日報の代弁メディア『環境時報』は書いた。
「台湾よ、このラストシーンを記憶し、学習せよ」。殆ど恐喝である。
☆▽□☆◎み☆◎□☆や□▽◎☆ざ▽◎□☆き◎☆◎▽