縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

手引きの背中の図柄の謎・・・糸魚川市民のための「けんか祭り」なぜなにシリーズ

2023年04月12日 07時36分19秒 | 糸魚川自慢
手引き(てひき)は、輪っかにした晒し木綿で手を繋ぎ合い、神輿を引っ張って走らせる原動力で、立候補した屈強の11名。
手引きは体力とど根性のある若手でなければ務まらない役で、わたしも3回務めたが本当に苦しい。苦しくて手を繋いだ晒し木綿を外したり、転んだりすると「一生、男として認められん」というプレッシャーも凄いから、走りだす前の緊張の面持ちにも注目して欲しい。
装束は寺町区は萌黄色、押上区は朱色に色分けされているが、その背中の図柄がかっこういいのだが・・・
答えは祭りの象徴的な大役、鶏爺(とりじ)が被る鳥兜(とりかぶと)を図案化したもの。
日本三大毒性植物のひとつトリカブトは、諸説あるようだが花が舞楽の鳥兜に似ているから名付けられたとの説がある。
 
観光客から質問されても困らないように、覚えておいてちょうだい!
 
 

「けんか祭り」の男たちは現代の縄文人・・・2023年「けんか祭り」

2023年04月11日 07時01分26秒 | 糸魚川自慢
益荒男(ますらお)とは屈強な男子を意味するが、屈託がなく明朗快活で、屁理屈や観念論を好まない点を加えたい。
クライマックスの「お走り」を終えた益荒男たちは、その勢いのまま「ふんばり桟敷」に走って戻り、いつまでも歓喜のヤッショイ!の掛け声を挙げつづける。
 
4年振りの「けんか祭り」で、こんな男たちの中にいる喜びに打ち震えた。浅草や博多に行くと地元民と思われることが多く、祭りに熱狂する男どもは同じ匂いを感じあうらしい。
 
この益荒男たちは勝とうとせず、負けまいとする。だから声援も「押上に負けんなや~!」「寺町に負けんなや~!」だ。
 
受け身という訳でもなく、地区の誇りと男の尊厳を守ろうとする負けん気なのだ。相手をリスペクトしているから「勝ちにいく」なんて言葉も持たない。
 
全力を尽くして男の尊厳を守り抜いた時、益荒男たちはヤッショイ!ヤッショイ!の掛け声を挙げて歓喜する。共に戦い抜いた仲間に「ありがとう!」と労いあう。
 
この「ありがとう!」には主語がなく、祖霊が我が口を借りて感謝していると実感でき、祖霊と共にあると確信する。だから祭りの前後には、自然と墓参りしたくなる。
それが中央の広場に祖霊を埋葬した環状集落に住んでいた、長者ヶ原遺跡の人々に重なる。我が愛すべき益荒男たちは現代に生きる縄文人。
 
 

親父の供養とおさるのジョージ・・・4年ぶりの糸魚川「けんか祭り」

2023年04月10日 07時27分48秒 | 糸魚川自慢
「けんか祭り」復活!本日、天気晴朗ナレド浪タカシ。
ヒスイ海岸は先祖代々、祭りの朝に禊をしてきた海。
この禊の海に4年ぶりに日の丸と区旗が翻り、感慨無量。この日章旗は国家ナショナリズムとはまったく次元がちがい、純粋な郷土愛や祖霊への崇敬に繋がっているので、細かいことは言いっこなし。
 
祭装束は白の肌着と決まっているので前日に買い求めたら、クジに当たって割引券をもらった。
店を出かけたら「おさるのジョージ」のぬいぐるみが笑いかけているではないか。しかもクラッシック・ジョージ!(詳しい)
これも一興と割引券で購入したら女子店員から笑われたが、「対象年齢3歳以上」と書いてあるので問題なし!4年ぶりの「けんか祭り」なんだぞ!文句あるか!
 
祭りの時は四の五のとめんどくさいことを言わんのが伝統。今年の祭りは、昨年亡くなった親父の供養。
 
参加者の誰もが「ヒトと祭りの物語」を秘めている。
 
 

ヌナカワ姫の夫はヌナカワ彦?・・・古代風ペア勾玉首飾り「ヌナカワ姫・ヌナカワ彦」

2023年04月08日 07時10分11秒 | ぬなかわ姫
工房改装中に注文をうけてパーツ取りのためにバラしてあった、ペアの古代風首飾り「ヌナカワ姫・ヌナカワ彦」を復活させた。
手前がヌナカワ姫、奥がヌナカワ彦。水晶の切子玉と出雲石(実際は緑色岩)の管玉と丸玉は、昵懇をいただいている考古学者から古物と偽って転売される恐れがあると注意されているので、非売品にしている。
標高1,200mほどの独立峰の黒姫山の頂上が三つに分かれているが、神代、黒姫山の山頂に、ヌナカワ彦・黒姫・ヌナカワ姫の三座が鎮座と口碑にある。
 
その後に麓の大沢、ヒスイ峡のある橋立、糸魚川市街地の山崎(稚児ケ池のことであるらしい)、最後に現在の一の宮に鎮座する奴奈川神社に遷宮したというのが、ヌナカワ姫を祀る神社の口碑の概要。
 
黒姫はヌナカワ姫のことなり・黒姫はヌナカワ姫の母神なりという口碑もあるので、ヌナカワ族の族長夫婦であるヌナカワ彦とヌナカワ姫が、世代交代で娘をヌナカワ姫に襲名させた後に黒姫を名乗っていたのでは?との推理が成り立つ。
ヌナカワ姫は明るい色調で女性っぽく
 
つまりはヌナカワ姫の夫神をヌナカワ彦とするのが地元の口碑で、そんな訳で二柱の産土神への敬意と、来客にヌナカワ姫伝説を説明するためにペアの首飾りをつくったのである。
ヌナカワ彦は暗い色調で男性っぽく
 
それにしてもヌナカワ彦らしき伝説は、「出雲の八千鉾神がヌナカワ姫に懸想して、ヌナカワ姫の夫である松本の男神が戦いを挑んで破れて首をはねられた」くらいしかなし、ヌナカワ彦と松本の神は同一なのかは不明。
 
ヌナカワ姫の夫を松本の神とするのは、縄文から続く信州との密接な関係を伺わせるものの、武田信玄の時代までの松本は深志(深瀬)と呼ばれていたはずなので、この口碑は近世になってから変容、あるいは追加されたように思う。
どちらも中央のヒスイ勾玉はかなり希少なヒスイ製。高く売れると思うが、今後、入手できるかどうかが微妙なので、手元に残しておきたいですからねぇ。
 
謎の古文献『越後風土記節解』には、奴奈川神社の祭神を奴奈川彦命・黒姫命・奴奈川姫命とあるようで、延喜式に記述された八千鉾神・奴奈川姫を祭神とするダブルスタンダードが並列存在していた可能性がある。
 
ダブルスタンダードを裏付けるかのように、明治期に奴奈川神社が柳形神社と呼ばれ、祭神を奴奈川姫とする公文書も存在する。
では黒姫の名の由来は?
黒姫とは娘にヌナカワ姫の地位を譲ったヌナカワ族の上皇后のこと?
 
わたしのレベルでは古語で田の畔を意味するクロくらいしか見つけられず、ことによるとクロヒメとは稲作を司る畔(クロ)の女神のことか?と仮説をたて、記紀研究者の三浦祐之先生などに教えを乞うているが、推測の域はでないのですな。
 
しかしながら最近、拙宅がある「笛吹田遺跡」から冬至の朝日が、神備山である稚児ケ池のある京ヶ峰から昇ってくる旨の「ヌナカワ祭祀圏のランドマーク」とする論文を書いた考古学者がいることを知った。
 
もちろん仮説だが、「笛吹田遺跡」と稚児ケ池を古代ヌナカワ族の重要な地域とする点で面白く、なんか繋がってきている。
 
古事記や風土記ばかりを資料とするのは片手落ちで、子々孫々と伝承されてきた口碑もまた侮れない資料。むしろ考古資料と対応させると、口碑の方が整合性はある。
 
 
 

もっと野太く大胆に!・・・縄文石笛

2023年04月07日 07時48分58秒 | ぬなかわヒスイ工房
ヒスイ原石の石目や「部分的に堅さに極端な差異のあるヒスイ」を欠点とせず、唯一無の個性として活かすには?
 
その対策として線刻をしてきたが、ヒスイは堅牢だから苦労は並大抵ではないし、欠点を補うレベルにとどまっていたと思う。
 
ヒスイより硬い(ハードネス)モース硬度7のメノウの方がもはるかに線刻しやすく、ヒスイは硬いだけでなく堅い(タフネス)石材でもあるから、線刻は厄介なのだ。
この春、ついに硬くて堅いヒスイでも野太く深い線刻ができる技法をみつけた。ショッカーの怪人のようだ(笑)
縄文デザインの石笛ですな。奇をてらった意匠だではなく、プロ演奏家が楽器として認めるオクターブ超えの石笛!吹けばピーと音が鳴るだけで、楽曲演奏もできない粗製石笛とは違うのだよ!
 
そしてデッドストックになっていた「部分的に堅さに極端な差異のあるヒスイ」の活用法に光明がみえて、石笛つくりがたのしくて仕方ない。
 
「部分的に堅さに極端な差異のあるヒスイ」は、おもったカタチに成形しにくく、また研磨しても平滑になってくれないので、作品化しにくい訳ですナ。
ところが、恣意的にヒスイがなりたいカタチに成形・研磨してから、野太く深い線刻を施せば、最後までどうなるか私もわからず、予定調和の領域から外れた縄文チックな石笛になってくれるではないか。これぞヒスイとワタシの共同作業。
 
もっと野太く大胆に!肝に銘じて縄文人が喜んでくれる作品を目指す。
 
 
 

縄文リンゴの正体は?・・・長者ヶ原遺跡の春

2023年04月05日 07時32分45秒 | 縄文

冬枯れから芽生え時への移行期の長者ヶ原遺跡で、ひときわ目立つ彩りが山椿の赤い花。

この遺跡から出土した石斧の柄が山椿であることから、5,000年前の植生を再現するために植栽されている訳ですな。
クルミやホウの樹はまだ葉っぱがでていないが、これなんの樹?なにに利用したと思う?とクイズをしながらガイドしている。
この赤い実はなんですか?食えますか?・・・わたしは縄文リンゴと呼んでおるが、食えるかどうかは自分で食ってみろ!と答えているが、知らないとは言わないのがボクで~す(笑)
 
どなたか「縄文リンゴ」の正体をご存知なら教えてくださいな。食感はしなびたリンゴっぽく、味はホウヅキに似たエグさと渋みがあって美味くはないデス。
 
追記
アオキという在来種の常緑樹で、赤い実は野鳥のエサになると教えてもらいました。とりあえず在来種なので「縄文リンゴ」は当たらずといえども当からず!( ´艸`)
 
 

国際大会でゴミ拾いパフォーマンスをする日本人の本音?・・・ヒスイ海岸にすてられた石

2023年04月03日 06時57分15秒 | ヒスイ
ヒスイ拾いにきて、不要な石をわざわざ駐車場までもってきて捨てていく料簡が理解できない。
須沢海浜公園の駐車場
 
釣り人やバーベキューをしていた人がいた跡には、ビニールゴミやタバコの吸い殻。
 
侍ジャパンのベンチにゴミが落ちていないとか、国際大会で日本人サポーターがゴミを拾っていくことに世界が賞賛と、webニュースによく紹介されるが、人の見てないところではどうなのか?
 
人の目、特に海外からの目を気にして、公徳心ある国民を演じているような気もする。
 
誰も見てないところでもゴミを捨てない日本人ばかりなら、海や山もゴミだらけにならないし、歩道に面した我が家の植え込みにマスクやプラゴミを捨てられることもない。