旅と歴史

全国各地の史跡を取り上げて紹介しています。

安居寺

2025年02月26日 | 旅 歴史

 富山県南砺市安居(やすい)に安居寺(あんごじ)があります。
 弥勒山安居寺は高野山真言宗のお寺です。養老2年(718)、インドから渡来した善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう)が招来した聖観音像を安置して一宇を創建したのが始まりといわれています。
 聖武天皇の時(724-749年)、勅願所と定められ、行基が勅令により壮大な大伽藍を造営したと伝えられています。平安時代後期には花山法王がこの地を訪れ参籠しています。また中世には兼好法師や宗祗法師なども巡錫で訪れています。
 天皇の勅願所として寺運も隆盛し最盛期には24坊を擁していましたが、平安時代末期に木曽義仲の兵乱により多くの堂宇、記録、寺宝が焼失し衰微しました。その後、室町幕府8代将軍足利義政が再興しましたが、元亀・天正年間(1570-1592)に再びしばしば兵火を受け衰退しました。
 江戸時代に入ると加賀藩主前田利家の祈願所となり寺領の寄進や堂宇の造営が行われ寺運も再び興隆に向かいました。前田利長は仁王門、観音堂を寄進、元和8年(1622)には前田利常が寺領を寄進、正室である天徳院(徳川秀忠の娘)の安産を祈願して絵馬を奉納しました。
 安居寺の寺宝は多く本尊の木造聖観音立像は像高97cmで平安初期のもので国の重要文化財に指定されています。33年毎に御開帳される秘仏前立像の木造聖観世音菩薩立像や、観音堂、石造地蔵菩薩半跏像、絵馬、石燈籠などは富山県の重要文化財に指定されています。
 また、仁王門、仁王立像、鰐口、絵馬、長慶天皇御陵、古文書などは南砺市指定文化財です。境内は安居寺公園として整備され、「とやま森林浴の森」に選定されています。枝垂桜の名所としても知られ、展望台からの景色は素晴しいものです。

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