オクテック ガレージ ブログ OKU-TEC garage

大した人生ではないけれど,それでも読み返せば思い出されるあのときのこと.消えないように,そして生きた証になるように

とら母のスイスミリタリーの電池交換 亡くなった親父が買っていた工具の初出番

2012-08-12 05:15:40 | 整備・作業
「これの電池換えて」と,とら母が腕時計を持ってきた.
結婚して間が無いときにクリスマスプレゼントに買ってあげたスイスミリタリーの腕時計.

携帯電話が普及して腕時計の出番ほ本当に減ってしまった.

やったことは無いけど裏蓋外せば何とかなりそう.
でも裏蓋をどうやって外そうか?

そういえばずいぶん昔にツールキャビネットに見かけない専用工具があるのを思い出した.




買った記憶に無い工具.おそらく死んだ親父が買った工具だと思う.
もう何年も前にそれを見たとき何の工具かも分からなかったけど,ピカッと輝いていて使った形跡もない
新品みたいな工具だったので処分せずにツールキャビネットに仕舞い込んでいた.

何に使う物かも分からなかった工具も,あるとき
「あ~,あれってたぶん腕時計の裏蓋を開ける工具やろうな」
そんなことにふと気付いたのも何年も前.気付いたからと言って使うこともなく仕舞われていた.


初めて使ってみる.




二本ある爪の先端の仕上げが甘く,裏蓋の溝にうまく引っかからない.
「研いであげたいなあ」なんて思いながら,ゆっくり,しっかり,じっくりと回して外した.




ボタン電池が見える.
金具で押さえられているだけの単純な構造だけど,細かすぎてどうすれば外せるのか分からない.

ちっちゃな,でも「外して」と訴えかけるようなネジがが数本.
これを全部外すのか? 一本でいいのか? 外さなくてもいいのか?

町の時計屋さんで1000円くらいで交換してくれるので,さほど複雑ではないはず.

虫眼鏡をアームにセットする.



昔やったボールペンの先っぽのボールを取り出す作業を思い出した.

とりあえず,ボタン電池のすぐ横にあるマイナスネジを外すことにした.




虫眼鏡越しでないと見えない.少し大きめの虫眼鏡に交換してみる.
「時計ドライバー」と呼ばれる細かなネジ用のドライバー.それでもネジの溝にはまってくれないから
少し研いであげた.

見えにくいなあ.




一本外すと,押さえ金具がビョ~ンと浮き上がる.この一本だけでいいみたい.
ピンセットでつまんだらショートしそうなので慎重に取り出す.
(消耗してるから大丈夫なんですが,念のため)




新しい電池と交換してネジを取り付けようと思ったら,思いのほか苦戦する.
ひょっとしてネジも緩めるだけでよかったのかも.
手先が滑ってムーブメントに突き刺さったら大変.慎重に慎重に.




防水のために裏蓋にはOリングがあります.
メーカーに出すとこのOリングも交換してくれて防水チェックまでしてくれます.
町の時計屋さんでは一般的に設備がないので単に電池交換だけ.
料金の違いはそこです.

Oリングを外してみると案の定,弾性がなく,まあるい形になっていない.




外さなかった方がよかったと後から思った.
シール面を清掃してシリコングリスをフタと本体とOリングに塗ってあげる.

拡大して見ると亀裂がたくさん入っているのが分かる.
何の材質かは知らないけど,もっと耐久性のあるOリングならここまでならないだろうに.




換えのOリングが無いのでひび割れた所に心持ち多めにシリコングリスを塗ってあげた.




電池交換完了.

ネットで調べたら裏蓋だけでなく,表面のガラスやリューズの軸のOリングもダメになるらしい.
長く使うにはメーカーに出すのが一番かもしれない.
でも,高級品でないとコストメリットが無いかな.
とりあえずメーカーに裏蓋のOリングだけでも部品が出せないか聞いてみよう.


ではまた.