オクテック ガレージ ブログ OKU-TEC garage

大した人生ではないけれど,それでも読み返せば思い出されるあのときのこと.消えないように,そして生きた証になるように

kagayakiさんのOKKのNCフライス盤の解体と搬出日記 kagayakiさんに捧げるエレジー

2015-03-03 01:26:49 | 整備・作業
ご近所の工作友達のkagayakiさんの所有するOKK製のNCフライス盤.





制御系が壊れてしまって使えないということで,直そうか,改造しようか,捨てようかと悩まれていた.

古いNC機は“壊れたらおしまい”とよく言われる.


仮にメーカーが修理を受け付けてくれたとしても修理費用は数十万単位の高額になりかねず,金額を考えると“こまし”な中古の
NCフライス盤を買った方が得策という気分になってしまう.


自力で直そうかとも考えられたみたいで,詳しい知り合いから『基板を洗浄してみたら』とか言われたそうです.

私のような遊びで使っているのと訳が違い、もし直ったとしても仕事中に再発したら信用問題になるのでやっぱり却下.
自分で事業をしている人の考えはやはりシビアです.


『モーターとドライバーを乗せ替えて“Mach”で制御してみようか』なんて事も言ってたけれど,その部品を作るフライス盤が
壊れているので大変.

旋盤をフライス盤代わり使っていると言ってましたが,技術的に可能な人ですがその前に気持ちが続くかどうかは微妙なところだと
思います.

そうこうしている内に他のメーカーのNCフライス盤のことを楽しそうに話しだしたので,きっとそちらに流れていくのだろうと
読んでいたら,とりあえず今有るフライス盤を先に廃却されることにしたと教えてくれた.


搬出が土曜日というので様子を見にいくことにした.



搬出日当日.予定時間が過ぎても運送業者が来ない.
どうやら準備がうまくいっていないらしい.

聞くところによると,OKKのフライス盤を楽々吊り上げるユニックを持っている業者はそれなりに費用も高く,いろいろと
探したところ,おもしろい業者があってそこに依頼したと言っていた.


そこの業者の持つユニックは揚力能力が2.9トンしかなく,OKKのフライス盤の重量が3トン以上でそのままではつり上げれない.
で,揚力不足分をフォークリフトでアシストするという超アクロバティックな積み込みをすると話してくれた.


フォークリフトは当然ながら現場まで自走できない.
で,どうするかと言えばトラックの荷台の“かご”の部分がズリ降りてくるアームロール車(車)と呼ばれるトラックに積んできて
現場で下ろし,積み込みが終わったらフライス盤共々また載せ帰るという無茶な方法.

う~ん,とってもアクロバティック.




結局アームロール車にフォークリフトを積んだら,高くてどこぞに引っかかって来れなくなってしまい,今作戦会議中と言っていた.

でも,どうも今日は無理らしい.




出鼻をくじかれた感のkagayakiさん.
ここまで来たら気持ち的には搬出してしまいたいに違いない.


ユニックだけが先行して来ていたので作戦タイム.


なら,ユニックでつり上げられる重さにまで分解したら・・・と言う話になって手伝うことにした.


OKKのベット型フライス盤.
おそらくMHA-300Ⅱというタイプ.





手際よく解体できるように一旦家に帰ってエアーインパクトレンチなどを取りに帰って改めて作業開始.


外せそうな部品を見てみる.
事前に操作画面やアームなどは外してあったので残るはテーブルに電装ボックス、それに主軸とバランシングさせるための
カウンターウエイトくらい.



先ずはテーブルを解体から。
関連しそうな部品を取り外していくものの、あとになって段取りがまずかったことに気付いたり,元に戻そうと思ったら部品が
見当たらなかったりと,なかなかスムーズには行かない.



当事者でない私は楽しいけどkagayakiさんはユニックの時間とかいろいろと考えないといけないので大変.






でもなかなかうまく外れない.

禁断のボールネジのパイプレンチ回し.
スクラップにすると分かっていても私には“布団の上でおしっこするくらい”の背信な作業.

さすがに硬度が高くてパイプレンチが滑るくらい.
傷一つ入らないと言っていた.





ボールネジのナットを外してようやく分離.





お次は電装ボックス.
左右に電源系とNCの電装部品が収められている.
全体からしてみれば大した重さではないけど,それでも左右で100㎏か150㎏くらいにはなると思う.

チリも積もればなんとやら.





電装ボックスが外れたので残るは主軸とバランシング・ウエイト.

両者はローラーチェーンでつながっている.エレベーターの重りと同じ原理.


屋外からユニックのアームを伸ばして作業するのも限界になってきたので,一旦フライス盤本体を外に出す事になった.

床は水はけのために微妙に屋外側に勾配がついている.
下に差し込んでいるハンドリフトは完全に重量負けしているけどコロが付いているので引っ張り出した際にスルスルスルっと動いて
ちょっと焦った。







主軸とウエイト、どちらから抜くか深く考えないままにウエイトから抜く事になった.

チェーンさえ切れば抜けると思っていたら違っていた.
機械の最上部にあるにチェーンの歯車の軸が邪魔してウエイトが抜けない.

イモネジで固定されているだけなのでこれを緩めて軸を横から叩けば抜けるはず.

それがまた抜けないときた.

ハンマーを何度も振るった.

腕がだるくなって自分の手をぶったたいた.

腕がだるい。






結局抜けないのでkagayakiさんがサンダーで切り込みを入れてハンマーで叩いて破断させた.
高炭素鋼でよかった.これが“なまくら”な鉄の棒だったら叩いても曲がるだけだったと思う.


日も暮れはじめ、こんな作業は気力も奪っていく。
kagayakiさんは結構疲れている。私は当事者ではないので平気だけど、これって当事者はキツイと思う。





スゥ~と引き揚げられていくカウンターウエイト。

何となく達成感というか征服感を感じる。






バランスウエイトが無くなったため主軸の重量がもろに掛かってしまい,下に置いていたリフトテーブルが重さに耐え切れず,潰れかけていた.

一体主軸だけで何百キロあるのだろうか.





最後に主軸を抜く段になって気付いた.

主軸にもボールネジが付いている.

当たり前といえば当たり前の事.
分解する気力も体力もない.
辺りはすっかり暗くなっている.


先にウエイトの方を外したけれど,これが主軸の方を先に分解していたら,きっと途中で挫折して,今更ながらにウエイトを
分解なんて出来なかったのではと思った.




主軸を分解するのはもう無理.

『このままで釣り上げれないですか?』 kagayakiさんがそう呟いた.



カウンターウエイトが付いたままの時,一度釣り上げようとしてみた.
そのときは少しユニック車と距離があったので,そのせいもあって車体の反対側が浮き上がって無理だった.



ゆっくりと釣り上げてみる。






何とかいけそう.






昼1時過ぎから作業を始め,積み込み完了したのが夕方6時半.

何とか無事終了.





kagayakiさんお疲れ様でした.
思い出にと記事にしました.
私ほどおセンチではなさそうなので,いらぬお節介とも思いましたがいつかまた忘れた頃に見返すと懐かしいと思うはずです.

新しいフライス盤の話があったら教えてください.
ちなみに,ご指示の通り段ボール箱の印刷が分からないように画像処理しました.
顔出については男前なので私の独断でOKとしました.


ではまた