エンジンの掛かりが悪かったヴェクスター125.
2秒ほどの初爆はあるもののその後は爆発の気配も感じられないほどウンともスンとも言わなくなる.
毎朝セルとキックを併用して5分くらい格闘して会社に行っていた.
週末乗らない日があると更に症状は悪化し月曜の朝はバッテリーが上がるのは常だった.
なので毎週末になると充電をして月曜の朝に備えたりした.
毎日こんな状態なので始動方法についても多少癖をつかんだりもした.
・アクセルを開けた状態でセルを数秒間回し,一息ついてから全閉でセルを回すと,かすかに爆発してくれる.
・セルを回しながらアクセルを全開全閉を繰り返すと,その内にかすかに爆発してくれる.
・セルを回す前にアクセルを10回ほど回してやると,かすかに爆発してくれる.
どれも“かすかに爆発してくれる”だけなのだが,これが続くとボッボッボッともう少しはっきりとした爆発になり,徐々にエンジンが
目覚めてくれる.
そして,一旦掛かるとその後は何事も無かったかのように走る事ができる.
ヴェクスターのキャブレターには加速ポンプが付いていてアクセルを開けるたびにキャブレター内に生ガス(ガソリン)が送り込まれる.
恐らくこれが始動を助けてくれていたんだと思う.
FCRの加速ポンプと少し違うのはこちらはCVキャブなのでバキュームピストンが有るのと,おまけにそれを作動させる大切な
役割のダイヤフラムが劣化(柔軟性を失っている)しているので,FCRのように“シャカシャカシャカ”とアクセルを開けて
チョーク代わりにって訳には行かないように思えます.
先日のメンテの時にキャブレターのダイヤフラムが劣化していたのを知り部品の手配からとなった.
ダイヤフラムはキャブレターの部品の中でも高価な部品.たかだか125ccのものでも一万円近くする.
薄くて柔らかいゴム製の部品なので致し方ないものの,金額に見合った感がしない部品だけにテンションも下がり気味.
ネットで検索するとマイナーなヴェクスターであるが熱心なオーナーもいて,中華製の部品を組み込んだという記事が載っていた.
どうやら中国には『 中国SUZUKI 』なるものがあって,ヴェクスターも存在するらしい.
奇特な人(というかショップ)があって,日本ではマイナーなヴェクスターの部品を取り扱っていた.
もっというとヴェクスターの部品が取り扱いのメインのような感じであった.
価格は日本製の半値程度.ボアアップキットなど国内ではないものもある.
中華製のクオリティを考えると最初はためらいもあったけれど,その内何かちょっと試してみたいという気持ちになったので
いくつかの部品を注文してみた.
注文したのはダイヤフラムとキャブレターとエンジンをつなぐアウトレットチューブ,それにヘッドライトスイッチハーネス.
ヘッドライトスイッチハーネスは右のハンドルスイッチの中身を入れ替えるパーツ.常時点灯から昔のバイクのようにON-OFFできるように
するもの.
ダイヤフラムのパッケージには『 大長江集団有限公司 』とあり,ネットで検索するとこんな記事が出てきた.
柔軟性を失い硬化して,おまけに穴まで空いていたダイヤフラム.
新品のダイヤフラムはやわらかい.5500円也
キャブレターを外してサービスマニュアルを見ながら流路,通路を確認していくとあるはずの部品が無い事に気付いた.
『 アレレ?? 』
ここのフタが無い.
『エアカットオフバルブ』と呼ばれる部品が無いのに気付いた.
パーツリストを見ても本来有るような感じ.
サービスマニュアルを眺めてもエアカットオフバルブの役割が書いてあるので,やはりどこかで脱落したのかと思った.
慌てて予備のキャブレターを引っ張り出して比較してみる.
よくよく見ると,有るべき流路が無い.
ということでヴェクスターにもエアカットオフバルブがない車両もあるということ.
とりあえずホッとした.
新旧ダイヤフラム.
記録を見てみた.
古い方はオークションで買った中古エンジンに付いていたもの.
2007年8月27日に今の車体に載せ替えて,それから更に6万キロ走ったことになる.
キャブレターに新しいダイヤフラムを付けてみる.
特に問題も無く取り付けられた.
バキュームピストンを手で動かしてみるが“シュコ・シュコ”と動きも普通.
流路につまりが無いかをチェックして他にも見てみた.
キャブレターヒーター.
イグニッションONで通電するらしいが本当に温かくなるのかチェックしてみた.
抵抗値は20Ωほど.
電流値は約1A.予備のキャブレターのは0.8A程度だった.
通電するとほんのりと温かくなる程度.走行風でも冷却されるのでこれが正常か,この程度で良いのかはわからない.
まあ断線していないのでよしとした.
駐めておくと地面に染みが出きるのでフロートバルブも交換した.
これは日本のスズキ純正品.これもけっこう高価.
ふと,プラグキャップが緩んでいる事に気付いた.
ヴェクスターのプラグキャップが外れやすいのにも定評?がある.
緩みやすい原因は簡単.
プラグキャップの中をマイナスドライバーで緩めるとプラグとの接点部品のほか抵抗やスプリング,ちいさな座金のようなものが
出てくる.
接点部品にはプラグを留めておくための針金細工のような部品があり,これが振動などにより摩耗しプラグを保持しにくくなってしまう.
右の『 Uの字 』をした針金細工の右側が痩せてしまっているのがそれ.
“プラグキャップの緩み持病”のことなど忘れていたけれど,以前このエンジンでも同じ事があったのを思い出した.
2011年7月9日.そのときの写真がこれ.
そのときは針金がもっとひどい状態だった.
針金が摩耗しただけなので,そのときは針金を作って修理する方法をとった.
針金の代用品はステンレス製のスプリング.それを元に同じ形状にして再生した.
今回は予備品があったのでそれと交換.
前回のメンテナンス時に気になったキャブレターの汚れ.
普通では無い状態.
オーバーフローではこんな風にこんなところが汚れるはずも無く,オイル付着でもなさそう.
組み上げたキャブレターを車体に取り付けガソリンを流したところ,リフトに染みが付いているのに気づいた.
やはりどこからかガソリンが漏れている.
今回の分解で症状がひどくなったのではと思うほどポタポタ落ちる.
よくよく見るけど毛細管現象であっという間に染み広がるので場所の特定が難しい.
キャブレター本体のマイクロクラックかとも思ったけれどそうではなく,どうやらこの封止プラグが甘くなってここから漏れているようだった.
このプラグがどうやって気密させているのかが分からない.見渡してみても表側からしかアクセスできないので,ポンチで叩いて見たが
改善しなかった.
幸いフロート室側だったので予備品のキャブレターから移植して組み上げた.
月曜の午前3時前.
出勤までに組み上げないとだめなのに,単純な部品交換だけでなく修理箇所の特定もしないといけない作業はつらい.
予定した作業が終わったのが午前4時半.
始動性が良くなりそうなことを想像していたら変にテンションが上がってしまい,ついでなので以前買っておいた風防を取り付けてみた.
これはオークションで買ったもの.ヴェクスター用とあったけど全然取り付けが合わない.
何度もステーを曲げて調整してやっと取り付けられた.
ハンドルカバーに風防.防寒用の膝掛けまでしてるので,まんまオッサン仕様.でも気にしない.
こんな大きな風防を付けた事なくて,走ってみたら何か気分は“白バイ野郎ジョン&パンチ”
この番組のことなんをリアルで知っている人ももう少ないと思います.
私は左の方のパンチが好きでした.ちなみにコールサインはメリーセブン4号(たぶん)
(中学生の時に買ったレコードです.)
(ドラマの中では二人は名コンビでしたが実際は不仲だったそうです.)
Youtubeにあったので貼っておきます.
CHiPs intro HQver.
さて,修理してから2週間ほどが経ちその結果はというと,劇的に始動性がされました.
セルが一瞬回るだけで即始動し,以前初爆があった二秒間と同じくらいの間アイドリングが上がり,数秒して回転数は下がるものの
少しアクセルを開けてやると(実際は当てるといった感じの僅かな感じ)回転は持ち直してくれます.
そのままアクセルを開度1/8くらい開けると若干ボコ付くものの爆発は安定していて,ゆっくりとアクセルを開けるとそのまま
走り出す事が可能になりました.
3分ほどは開度1/4でもたつくものの,その開度を過ぎると後は全開までスムーズに吹け上がります.
びっくりしたのがそれまでがんばっても80Km/hも出なかったのが,今は90Km/hまでスムースに加速するようになったのと
どの速度域でも力強くなったこと.
積み替えて6万キロ,その前があるので実質何キロ走っているか分からないエンジンだけれど,昔の加速に戻ったような気がして
走っていても楽しい.
月曜日,休み明けも同じように一瞬の始動してくれます.
オートチョーク(PTC)の良否が不明だけれど,現状でも非常に調子の良い状態に戻ってくれました.
中華製の耐久性についても後々見ていきたいと思います.
今回購入した中国SUZUKIを販売されているサイトはこちら.
奇特なヴェクスターの部品を扱っているいる業者さんなので,これからもがんばって頂きたいです.
プレコミモーター http://www.plecomi.biz/shop/home.php
購入時におまけが付いてきました.
プラグとオイルフィルター.それとカウルなどを固定するナット.
このナットは古くなるとさびて朽ちてくるのでありがたい部品.
10万と6000キロ.
もうすこし乗れそうです.
“以上 メリーセブン4号 ザッ ”
(“ザッ”は無線が切れる際の音ね)
2秒ほどの初爆はあるもののその後は爆発の気配も感じられないほどウンともスンとも言わなくなる.
毎朝セルとキックを併用して5分くらい格闘して会社に行っていた.
週末乗らない日があると更に症状は悪化し月曜の朝はバッテリーが上がるのは常だった.
なので毎週末になると充電をして月曜の朝に備えたりした.
毎日こんな状態なので始動方法についても多少癖をつかんだりもした.
・アクセルを開けた状態でセルを数秒間回し,一息ついてから全閉でセルを回すと,かすかに爆発してくれる.
・セルを回しながらアクセルを全開全閉を繰り返すと,その内にかすかに爆発してくれる.
・セルを回す前にアクセルを10回ほど回してやると,かすかに爆発してくれる.
どれも“かすかに爆発してくれる”だけなのだが,これが続くとボッボッボッともう少しはっきりとした爆発になり,徐々にエンジンが
目覚めてくれる.
そして,一旦掛かるとその後は何事も無かったかのように走る事ができる.
ヴェクスターのキャブレターには加速ポンプが付いていてアクセルを開けるたびにキャブレター内に生ガス(ガソリン)が送り込まれる.
恐らくこれが始動を助けてくれていたんだと思う.
FCRの加速ポンプと少し違うのはこちらはCVキャブなのでバキュームピストンが有るのと,おまけにそれを作動させる大切な
役割のダイヤフラムが劣化(柔軟性を失っている)しているので,FCRのように“シャカシャカシャカ”とアクセルを開けて
チョーク代わりにって訳には行かないように思えます.
先日のメンテの時にキャブレターのダイヤフラムが劣化していたのを知り部品の手配からとなった.
ダイヤフラムはキャブレターの部品の中でも高価な部品.たかだか125ccのものでも一万円近くする.
薄くて柔らかいゴム製の部品なので致し方ないものの,金額に見合った感がしない部品だけにテンションも下がり気味.
ネットで検索するとマイナーなヴェクスターであるが熱心なオーナーもいて,中華製の部品を組み込んだという記事が載っていた.
どうやら中国には『 中国SUZUKI 』なるものがあって,ヴェクスターも存在するらしい.
奇特な人(というかショップ)があって,日本ではマイナーなヴェクスターの部品を取り扱っていた.
もっというとヴェクスターの部品が取り扱いのメインのような感じであった.
価格は日本製の半値程度.ボアアップキットなど国内ではないものもある.
中華製のクオリティを考えると最初はためらいもあったけれど,その内何かちょっと試してみたいという気持ちになったので
いくつかの部品を注文してみた.
注文したのはダイヤフラムとキャブレターとエンジンをつなぐアウトレットチューブ,それにヘッドライトスイッチハーネス.
ヘッドライトスイッチハーネスは右のハンドルスイッチの中身を入れ替えるパーツ.常時点灯から昔のバイクのようにON-OFFできるように
するもの.
ダイヤフラムのパッケージには『 大長江集団有限公司 』とあり,ネットで検索するとこんな記事が出てきた.
柔軟性を失い硬化して,おまけに穴まで空いていたダイヤフラム.
新品のダイヤフラムはやわらかい.5500円也
キャブレターを外してサービスマニュアルを見ながら流路,通路を確認していくとあるはずの部品が無い事に気付いた.
『 アレレ?? 』
ここのフタが無い.
『エアカットオフバルブ』と呼ばれる部品が無いのに気付いた.
パーツリストを見ても本来有るような感じ.
サービスマニュアルを眺めてもエアカットオフバルブの役割が書いてあるので,やはりどこかで脱落したのかと思った.
慌てて予備のキャブレターを引っ張り出して比較してみる.
よくよく見ると,有るべき流路が無い.
ということでヴェクスターにもエアカットオフバルブがない車両もあるということ.
とりあえずホッとした.
新旧ダイヤフラム.
記録を見てみた.
古い方はオークションで買った中古エンジンに付いていたもの.
2007年8月27日に今の車体に載せ替えて,それから更に6万キロ走ったことになる.
キャブレターに新しいダイヤフラムを付けてみる.
特に問題も無く取り付けられた.
バキュームピストンを手で動かしてみるが“シュコ・シュコ”と動きも普通.
流路につまりが無いかをチェックして他にも見てみた.
キャブレターヒーター.
イグニッションONで通電するらしいが本当に温かくなるのかチェックしてみた.
抵抗値は20Ωほど.
電流値は約1A.予備のキャブレターのは0.8A程度だった.
通電するとほんのりと温かくなる程度.走行風でも冷却されるのでこれが正常か,この程度で良いのかはわからない.
まあ断線していないのでよしとした.
駐めておくと地面に染みが出きるのでフロートバルブも交換した.
これは日本のスズキ純正品.これもけっこう高価.
ふと,プラグキャップが緩んでいる事に気付いた.
ヴェクスターのプラグキャップが外れやすいのにも定評?がある.
緩みやすい原因は簡単.
プラグキャップの中をマイナスドライバーで緩めるとプラグとの接点部品のほか抵抗やスプリング,ちいさな座金のようなものが
出てくる.
接点部品にはプラグを留めておくための針金細工のような部品があり,これが振動などにより摩耗しプラグを保持しにくくなってしまう.
右の『 Uの字 』をした針金細工の右側が痩せてしまっているのがそれ.
“プラグキャップの緩み持病”のことなど忘れていたけれど,以前このエンジンでも同じ事があったのを思い出した.
2011年7月9日.そのときの写真がこれ.
そのときは針金がもっとひどい状態だった.
針金が摩耗しただけなので,そのときは針金を作って修理する方法をとった.
針金の代用品はステンレス製のスプリング.それを元に同じ形状にして再生した.
今回は予備品があったのでそれと交換.
前回のメンテナンス時に気になったキャブレターの汚れ.
普通では無い状態.
オーバーフローではこんな風にこんなところが汚れるはずも無く,オイル付着でもなさそう.
組み上げたキャブレターを車体に取り付けガソリンを流したところ,リフトに染みが付いているのに気づいた.
やはりどこからかガソリンが漏れている.
今回の分解で症状がひどくなったのではと思うほどポタポタ落ちる.
よくよく見るけど毛細管現象であっという間に染み広がるので場所の特定が難しい.
キャブレター本体のマイクロクラックかとも思ったけれどそうではなく,どうやらこの封止プラグが甘くなってここから漏れているようだった.
このプラグがどうやって気密させているのかが分からない.見渡してみても表側からしかアクセスできないので,ポンチで叩いて見たが
改善しなかった.
幸いフロート室側だったので予備品のキャブレターから移植して組み上げた.
月曜の午前3時前.
出勤までに組み上げないとだめなのに,単純な部品交換だけでなく修理箇所の特定もしないといけない作業はつらい.
予定した作業が終わったのが午前4時半.
始動性が良くなりそうなことを想像していたら変にテンションが上がってしまい,ついでなので以前買っておいた風防を取り付けてみた.
これはオークションで買ったもの.ヴェクスター用とあったけど全然取り付けが合わない.
何度もステーを曲げて調整してやっと取り付けられた.
ハンドルカバーに風防.防寒用の膝掛けまでしてるので,まんまオッサン仕様.でも気にしない.
こんな大きな風防を付けた事なくて,走ってみたら何か気分は“白バイ野郎ジョン&パンチ”
この番組のことなんをリアルで知っている人ももう少ないと思います.
私は左の方のパンチが好きでした.ちなみにコールサインはメリーセブン4号(たぶん)
(中学生の時に買ったレコードです.)
(ドラマの中では二人は名コンビでしたが実際は不仲だったそうです.)
Youtubeにあったので貼っておきます.
CHiPs intro HQver.
さて,修理してから2週間ほどが経ちその結果はというと,劇的に始動性がされました.
セルが一瞬回るだけで即始動し,以前初爆があった二秒間と同じくらいの間アイドリングが上がり,数秒して回転数は下がるものの
少しアクセルを開けてやると(実際は当てるといった感じの僅かな感じ)回転は持ち直してくれます.
そのままアクセルを開度1/8くらい開けると若干ボコ付くものの爆発は安定していて,ゆっくりとアクセルを開けるとそのまま
走り出す事が可能になりました.
3分ほどは開度1/4でもたつくものの,その開度を過ぎると後は全開までスムーズに吹け上がります.
びっくりしたのがそれまでがんばっても80Km/hも出なかったのが,今は90Km/hまでスムースに加速するようになったのと
どの速度域でも力強くなったこと.
積み替えて6万キロ,その前があるので実質何キロ走っているか分からないエンジンだけれど,昔の加速に戻ったような気がして
走っていても楽しい.
月曜日,休み明けも同じように一瞬の始動してくれます.
オートチョーク(PTC)の良否が不明だけれど,現状でも非常に調子の良い状態に戻ってくれました.
中華製の耐久性についても後々見ていきたいと思います.
今回購入した中国SUZUKIを販売されているサイトはこちら.
奇特なヴェクスターの部品を扱っているいる業者さんなので,これからもがんばって頂きたいです.
プレコミモーター http://www.plecomi.biz/shop/home.php
購入時におまけが付いてきました.
プラグとオイルフィルター.それとカウルなどを固定するナット.
このナットは古くなるとさびて朽ちてくるのでありがたい部品.
10万と6000キロ.
もうすこし乗れそうです.
“以上 メリーセブン4号 ザッ ”
(“ザッ”は無線が切れる際の音ね)