長期放置でクラッチが張り付いたバンディット1250Sを修理している話の続き。
前回はクラッチプレートとフリクションプレート一式を新品にしたとこまで。前回はコチラ
その作業で出てきたクラッチプレートの厚みの違い。
その夜もネットで理由を検索していたんですがその際にクラッチプレートには向きがあるというのを見かけました。
自分は平ワッシャーと同じ感覚で面を取ってある方を手前側に向けて組んでいたのですが、クラッチがつながる際にクラッチプレートがスムーズに動くように面取り側を
エンジン側(奥側)に向けて組むのが正解とのことでした。
サービスマニュアルにはクラッチプレートの向きについては書かれていませんが、ネットをいろいろ見ていくと「書かれてないのは常識だから」ってのもあってエンジンをいじる人にとっては
当たり前の事なのかもしれません。
サービスマニュアルには"サークリップ"の向きはちゃんと明記してあるので機械構造上は問題なくて"その方がいいよ"や"フィーリングの差"くらい僅かなのかもしれません。
中にはそれを逆手に取って"クラッチの切れが悪いから、俺は外向けに組む"って人もいました。
ということで「常識」にならって組みなおすことにしました。
今回はクラッチプレートの組みなおしから。
組み込む順番を今さら間違えないようにと防汚のために外した順に吊るしています。
外したクラッチの部品。
右端に二つ、大きなワッシャー(というかリング)があって形状が異なります。
向かって右端のエンジン側は普通の平ワッシャーの形状、その左はテンションが加わるように傾斜が付いたコニカルスプリングワッシャーとなっています。
平ワッシャーの方は片方にのみ面取りがしてあってサービスマニュアルには組み込む際の指定はありません。
一方、コニカルスプリングワッシャーの方は"外広がり側"を手前になるよう向きの指定があります。
平ワッシャーの方は何も考えずいつものように面取りがある方を手前に向けて組んでいたんですがクラッチプレートの向きの一件を受け少し考えてみました。
クラッチのハブはアルミ製、軟らかいハブを保護という考えなら面取りしてある方をハブ側に向けた方がいいんじゃないかな?
ということで裏返して組み込みました。
一番奥のフリクションプレートだけ内径が大きかったのは、このコニカルスプリングワッシャーを避けるためで、これはクラッチプレートとは材質が異なるハブがフリクションプレートと
張り付いたりしてクラッチの切れのフィーリングが悪くなるのを避けるためなのかなって思ったりしました。この辺りの事も詳しい人がいたら教えてください。
面取りしていない方が手前側に組み込む。
クラッチプレートは面取りが内側が「常識」というのが本当なのか知ってる人が居たらコメントください。
クラッチプッシャープレートにはクラッチメーカーのFCCの文字がありました。
クラッチの組みなおしが終わり次はエンジンを掛ける準備。
長期放置でオイルが下がり切っているので、いきなりエンジンを掛けないで"おまじない"的にプラグを抜いてセルでクランキングしてオイルを回してやろうと思います。
9年目で初めてのオイル交換。
エレメントを外そうと思ったら"どうやったら抜けるの?"の状態。
マフラー外さなあかんの?ってテンション下がりました。
所有歴は長いですが知識は皆無。ネットで調べたら反対側の冷却水のホースを引っ張って隙間を作ってそこから抜くとありました。
ネット先生、ありがとう。
その後サービスマニュアルを見たら同じことが書いてありました。
オイルを入れ替えて次はプラグを外す作業。
こいつはダイレクトイグニッション。プラグキャップにコイルが内蔵しているやつ。所有してきたバイクは皆コイルが別にあってハイテンションコードでつながるヤツなので
今までに無かったタイプ。
ネットの情報では車載工具にプラグレンチが二種類入っているとか。
バンディット1250Sの車載工具はこんな感じ。初めて見ました。
二種類のプラグレンチ。
首振りになってます。
プラグを外そうと思ったんですがタンクが邪魔で先にタンクを外さないとダメみたい。
整備性が悪いなあとこの頃からテンション下がり気味です。
で、タンクの取り外し。
事前にネットを検索すると外し方があって、燃料チューブを外すのが大変だったとありました。
燃料タンクには燃料ホースが一本にエア抜きとタンクキャップ部の水抜きの二本のホース、それと燃料計の配線があります。
二本のボルトを外してタンクをそっと持ち上げると大変だと書かれていた燃料ホースが見えました。
インジェクションなので高圧が掛かるのでホースバンドで固定ではなくコネクターになっています。
コネクターにはボタンがあって押し込むと抜けるのですがそのボタンが"ツライチ"なので押しにくく、その人はボタンと同じ大きさのプラ板を貼り付けて
押しやすくしてましたが初回は大変。
タンクを大胆に裏返すと作業性も良くなって外せるかと思いますがそれでも指は痛いみたいで、一人で地味にタンクを傷付けないように作業しようと思うとこの隙間からの
アプローチになるかと思います。
何かいい方法がないかと思ったらハイエースで電装をいじる際に便利ツールとして買ったコネクター抜きを思い出しました。
メリーでおなじみの室本鉄工(社名は知りませんでした)のカップリングツール(HS175C)という工具。
ハイエースの電装をいじってる人が口々にコネクター抜くのに指先が痛くなったとか皮がむけたとか書いてあって、こういう工具があるのを知りました。
これもピンからキリまであって安いのは1000円ほど。でも安いのは先端がイマイチとか、ちゃんと合わないとか書かれいました。
こいつは3000円ちょっと。
これに3000円かと思いちょっと悩みましたがイマイチな先端を見て悲しくなるのも嫌なんでこれにしました。
無理なく無駄なく。ああ快感。
タンクを持ってくれる人がいたらホースも長いのでこのツールが無くても外せるかと思います。
でも一人じっくりいじるプライベーターにはこんな便利ツールを使うは至福のひと時みたいなもの。
指で押し込むのが痛いのが分かる気がします。
エア抜きとタンクキャップ部の水抜きチューブ。
引っ張ると締め付ける方向に力が働くので抜けません。
で、タンクのパイプにタイラップを縛って引っ張ったらチューブが広がる方向に力が掛かるのでス~っと抜けてくれました。
タンクが外せたので次はプラグを抜く作業。
これは4番シリンダーのプラグキャップで一番アクセスしやすいところですが、それでも狭くて作業性が悪くプラグキャップも固くて抜けません。
プラグ上部にはフレームが走っていて指で摘まむにも無理があります。
ネットを見たら大きめのマイナスドライバーを突っ込んでこじって抜いたというのが多かったんですが、サービスマニュアルにはそれはするなと書かれていて
確かにこじったらあかんと思いました。
一番厄介なのは2番シリンダー。
サーモスタッドのステーを外して、ずらした隙間からアクセス。
ああやり難い。
で、ここでまたタイラップの出番。
プラグキャップを引っ張れるように輪っかを作って縛って引き抜きました。
こんな感じ。
部品に優しく。女性に優しく。
4番シリンダーのプラグキャップの上部を見るとフレームが走っててそこだけ凹ませてあります。
すっと抜けるかと思いきや、向きをアッチ向けたりコッチ向けたりして何とか抜けました。
ギリギリ抜ける"逃がし"です。
プラグキャップとプラグ
あとは新しいオイルを入れて、バッテリーを取り付けてセルを回してオイルをなじませ、タンクに残った腐りきったガソリンを抜いて新しく買ってきたガソリン入れたら
"復活"
ちょっとテンション上がってきました。
でも最近携行缶にガソリン売ってもらえないとか聞くので大丈夫だろうか。なんてしょうもない事考えてます。
ではまた