温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鬼首温泉 旅館元湯

2011年01月11日 | 宮城県

鬼首の間欠泉へ向かう一方通行の道沿いに建つ小さな旅館です。元湯という名前に惹かれて立ち寄ってみました。
玄関に入ると奥から小学生と思しき小さな三姉妹が出迎えてくれました。とっても家庭的な雰囲気です。子供と接すると忽ちメロメロになってしまう私としてはもうこれだけで十分満足なのですが、せっかくお風呂に入りにきたのですから、日帰り入浴をお願いすると、姉妹のお母さんが快く受け入れてくださいました。この時、私が持っていた湯めぐりチケットが山形県赤倉温泉発行のもので、奥さんはこれを初めて見たらしく、鳴子の協会に「赤倉のチケットも使えますか」と確認していました。たしかに鬼首で赤倉や瀬見発行のチケットを使う人は殆どいないでしょうね。


お風呂は男女別の内湯がひとつずつ。宿の建物は年季が感じられますが、湯屋部分に限っては改築されているようです。
浴槽はタイル貼りのシンプルなもの。岩が積まれた湯口から源泉が投入されています。源泉温度が93.2℃もある熱湯を加水せずに浴槽へ供給しており、このため湯量はかなり絞られていました。もちろん湯口のお湯は激熱。触ったら火傷しちゃいます。
湯口の並びにシャワー付き混合栓(カラン)が3基ほど。


窓を開けると、目の前にはシューシューと勢いよく湯気を上げている源泉井がありました。ここで湧いた熱湯のようなお湯が、すぐに浴槽へ注がれているわけですね。もうワクワクしちゃいます。

お湯は無色透明で、とても綺麗に澄み切っています。ナトリウムイオンが89.76mval%、塩素イオンが74.04mval%と、明らかな純食塩泉で、分析表にも「微塩味」と書かれていますが、私の舌が鈍感なのか、この時は塩味があまり感じられず、そのかわり芒硝チックな薬品味が僅かに感じられました。湯口に鼻を近づけると、硫化水素の匂いとともに塩素っぽい匂いも鼻を突きます。この塩素臭は勿論消毒ではなく、源泉井で発生しているものでして、塩素イオンの正体そのものと言ったら良いかと思います。
ちょっと熱めのお湯は体を浸すとツルツルスベスベとっても気持ちよい浴感。これは癖の無い食塩泉によくある感覚で、ナトリウムがこの影響をもたらしているのでしょう。

派手さとは無縁ですが、アットホームな雰囲気の中、湧いたばかりのお湯を加水加温循環消毒一切なしで堪能できる、味わい深いお宿だと思います。シンプルなお風呂ゆえに時間を気にせずじっくりと湯浴みした方がいいかもしれませんね。一介の立ち寄り客にもかかわらず、とても丁寧に対応してくださった宿のご夫婦と小さな三姉妹に感謝します。


元湯1号
ナトリウム-塩化物泉 93.2℃ pH8.3 溶存物質1021.0mg/kg 成分総計1021.0mg/kg

宮城県大崎市鳴子温泉鬼首字宮沢32-1  地図
0229-86-2238

日帰り入浴9:00~17:00
400円
鳴子湯めぐりチケット2枚
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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中山平温泉 三之亟湯

2011年01月11日 | 宮城県
 
私が鳴子温泉を湯めぐりする際は、大抵鉄道やバスを利用するので、駅から近い宿で泊まることに決めています。冬の某日は中山平温泉の三之亟湯(さんのじょうゆ)へ投宿しました。一人客でも受け入れてくださいます。


プラットホームの目の前に位置する、まさに駅前旅館。駅の裏手なので、表向きはグルッと公道を回って踏切を越えて行かなければなりませんが、列車が来ていなければ、ホームから線路に下りて線路を横切っちゃえば、徒歩1分もかかりません。なおこの時は宿泊したので、わずかな距離ですが、駅前まで車で迎えに来てくださいました。

  
左画像は中山平温泉駅の正面。かわいらしい待合室ですね。
右画像は小牛田側の踏切から駅を見た様子で、画像の右側が駅舎やホーム、左側に見える建物が三之亟湯。


日が暮れてからのチェックインだったので、まずひとっ風呂浴びてから早々に夕ご飯。お部屋出しでした。嬉しいですね。
鮎の塩焼き、鰈のフライ、茸と蟹の鍋、茸と筍の和え物、刺身、茶碗蒸し、蒸し餃子などの飲茶、といった充実したラインナップ。結構お安い料金だったのですが、こんなに出していただいていいのかしら。
なお朝食は大広間で他のお客さんと一緒でした。


さて肝心のお風呂です。浴室は男女別の内湯が一室ずつあって、露天はありません。夜の23時に男女が入れ替えになるので、宿泊すれば両方入れます。まずは左側の浴室。カランは2基、湯船は3~4人サイズ。浴室には縦長のガラス窓があって、外は照明が当てられており、大きくない内湯ながらも開放感が得られました。


こちらは翌朝入った右側の浴室の様子。こちらのほうが若干小さめですね。投入されているお湯は双方とも同じです。

お湯は無色澄明、重曹のほのかな甘味。エノキ茸の培養用木材チップのような匂いが浴室に充満しています。うなぎ湯で名高い中山平らしいヌルヌル感が強い浴感で、お肌もすべすべ。源泉温度が高いため湯加減はちょっと熱いのですが、冬は加水をせずに湯船へ投入しているため、源泉の濃さをそのまま味わうことができます。重曹泉らしく、湯上りのさっぱり爽快感が堪りません。いい湯です。

なお客室の暖房は温泉の熱を利用しているんだとか。温泉天国らしく、温泉の恵みを十分に活かしたシステムですね。
館内に貼ってあるお宿お手製の温泉に関する能書きには、「重曹泉=アルカリ性泉である」みたいな記述があったり、旧泉質名と現行の泉質名が逆になっていたりと、ちょっと首を傾げたくなるような箇所がありましたが、まぁそれはご愛嬌。
中山平のお湯を手頃でしっかり堪能できるお宿でした。



今野源泉
ナトリウム-炭酸水素塩泉 63.6℃ pH8.4 蒸発残留物1101mg/kg 溶存物質総量1583.3mg/kg

JR陸羽東線・中山平温泉駅からすぐ
宮城県大崎市鳴子温泉字星沼77-53  地図
0229-87-2120
ホームページ

日帰り入浴10:00~20:00
500円
鳴子湯めぐりチケット2枚
ドライヤー・シャンプー類あり

私の好み:★★★
コメント (2)
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(甲府)湯村温泉 湯村ホテル

2011年01月11日 | 山梨県

以前甲府郊外の湯村温泉に唯一存在する共同浴場「鷲温泉」へ行った際に、そこで使われているお湯が思いっきり循環消毒しちゃってツマラナイ代物と化していたため、それ以来当地には足を向けることが無かったのですが、宿泊施設で使われているお湯はそんなことない、という噂を耳にしたので、自宅のお風呂が壊れちゃった某日、湯村ホテルへ泊ってみることにしました。

温泉街の宿でありながらビジネスホテルスタイルで、お値段もリーズナブル。宛てがわれたのはごく普通のシングルルームでビジネスホテル標準の備品の他、室内には有線LANが完備、空気清浄機やズボンプレッサーも用意されており、チェーン系ではなく独立資本のホテルながらしっかり設備投資されていて好感持てます。そして朝食のバイキングがメニュー豊富で美味しく、設備やサービス面などいろんなところで努力の片鱗が垣間見えました。

さて肝心のお風呂。結論から言えば、お風呂の造り自体はいかにもビジネスホテルの大浴場然たるものですが、お湯の質は素晴らしい。いままで湯村温泉を侮っていた自分が馬鹿でした。やはり歴史ある名湯、信玄の隠し湯という名前に偽りはありませんでした。しかもこちらでは自家源泉のお湯なんだそうです。

 
浴室の手前には飲泉所があって、蛇口には白い硫酸塩の析出がコンモリとこびりついています。マニアだったら、この白い析出を見たら興奮しちゃうでしょうね。私もそんな輩の一人ですけど。また、温泉入浴プログラムの記録用紙や温泉病院への診察申込書が用意されていて、温泉入浴は健康に良いんでっせと積極的にアピール。厚生労働大臣認定の温泉利用プログラム型健康増進施設なんだそうです。

 
内湯は7~8人サイズ。カランは9基で、脱衣所にはアカスリタオルが沢山積まれており、自由に使えます。
後述しますが、この内湯のお湯が一番良いコンディションでした。源泉投入量は少なめですが、しっかりオーバーフローしています。

 
ガラスの向こう側には露天風呂が設けられ、4人サイズの小さな岩風呂です。一番奥は私の苦手な電気風呂でした。ベランダ状の場所に設けられたお風呂で、四方を壁に囲まれて上も屋根なので、開放感はありません。上がって涼めるようなスペースも無し。無理やり露天を作ったような感じです。まぁ露天は無いより有った方が客受けするんでしょう。

 
別棟には宿泊者専用の「隠し湯」があって、こちらも露天風呂。やはり3~4人サイズのこじんまりした造りです。大浴場隣の露天よりは若干余裕のある空間ですが、それでも壁に囲まれた閉塞感は否めません。でも利用客は少ないので、静かにゆっくり入浴するにはもってこいかもしれません。

お湯は無色透明、弱いタマゴ味+甘い石膏味+薄い塩味、弱いタマゴの匂い+石膏臭。ツルツルスベスベとした気持ちよさと硫酸塩的引っかかりが混在した浴感。共同浴場「鷲温泉」の没個性は一体何だったんだと言いたくなるほど、しっかり個性がある上品なお湯です。驚いたのが泡付きの夥しさで、お湯に浸かるや否や、あっという間にビッシリと気泡が全身に付着するんです。拭っても拭っても付いてくる泡付きには感心です。露天より内湯の方が泡つきがよかったので、私はずっと内湯に浸かっていました。いずれのお風呂も小さなものですが、湧出量に見合った浴槽にしているんだそうです。

こちらのお風呂に入ってすっかり湯村温泉を見直しました。お風呂の造りは正直なところ面白みに欠けますが、お湯の質感や鮮度は抜群、お料理もおいしかったので、機会があればまた宿泊したいホテルです。


ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉 41.6℃ pH8.45 90L/min(地下70m・動力揚湯) 溶存物質1580mg/kg 成分総計1590mg/kg
(この分析は平成14年12月時点のもので、現在では湯温が45℃近くまで上がっているそうです)

JR中央本線&身延線・甲府駅より敷島・昇仙峡方面行バスで約10分、湯村温泉入口下車、徒歩2~3分ほど。
 甲府駅バスターミナル(南口)および甲府駅北口の両方から発着あり
山梨交通ホームページ

山梨県甲府市湯村3-3-11  地図
055-254-1111
ホームページ

日帰り入浴7:00~21:00(毎日10:00~11:00と火曜10:00~13:00は清掃のため入浴不可)
1200円(ホームページに割引クーポンあり。1200円→700円に)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★


コメント (5)
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