鬼首の間欠泉へ向かう一方通行の道沿いに建つ小さな旅館です。元湯という名前に惹かれて立ち寄ってみました。
玄関に入ると奥から小学生と思しき小さな三姉妹が出迎えてくれました。とっても家庭的な雰囲気です。子供と接すると忽ちメロメロになってしまう私としてはもうこれだけで十分満足なのですが、せっかくお風呂に入りにきたのですから、日帰り入浴をお願いすると、姉妹のお母さんが快く受け入れてくださいました。この時、私が持っていた湯めぐりチケットが山形県赤倉温泉発行のもので、奥さんはこれを初めて見たらしく、鳴子の協会に「赤倉のチケットも使えますか」と確認していました。たしかに鬼首で赤倉や瀬見発行のチケットを使う人は殆どいないでしょうね。
お風呂は男女別の内湯がひとつずつ。宿の建物は年季が感じられますが、湯屋部分に限っては改築されているようです。
浴槽はタイル貼りのシンプルなもの。岩が積まれた湯口から源泉が投入されています。源泉温度が93.2℃もある熱湯を加水せずに浴槽へ供給しており、このため湯量はかなり絞られていました。もちろん湯口のお湯は激熱。触ったら火傷しちゃいます。
湯口の並びにシャワー付き混合栓(カラン)が3基ほど。
窓を開けると、目の前にはシューシューと勢いよく湯気を上げている源泉井がありました。ここで湧いた熱湯のようなお湯が、すぐに浴槽へ注がれているわけですね。もうワクワクしちゃいます。
お湯は無色透明で、とても綺麗に澄み切っています。ナトリウムイオンが89.76mval%、塩素イオンが74.04mval%と、明らかな純食塩泉で、分析表にも「微塩味」と書かれていますが、私の舌が鈍感なのか、この時は塩味があまり感じられず、そのかわり芒硝チックな薬品味が僅かに感じられました。湯口に鼻を近づけると、硫化水素の匂いとともに塩素っぽい匂いも鼻を突きます。この塩素臭は勿論消毒ではなく、源泉井で発生しているものでして、塩素イオンの正体そのものと言ったら良いかと思います。
ちょっと熱めのお湯は体を浸すとツルツルスベスベとっても気持ちよい浴感。これは癖の無い食塩泉によくある感覚で、ナトリウムがこの影響をもたらしているのでしょう。
派手さとは無縁ですが、アットホームな雰囲気の中、湧いたばかりのお湯を加水加温循環消毒一切なしで堪能できる、味わい深いお宿だと思います。シンプルなお風呂ゆえに時間を気にせずじっくりと湯浴みした方がいいかもしれませんね。一介の立ち寄り客にもかかわらず、とても丁寧に対応してくださった宿のご夫婦と小さな三姉妹に感謝します。
元湯1号
ナトリウム-塩化物泉 93.2℃ pH8.3 溶存物質1021.0mg/kg 成分総計1021.0mg/kg
宮城県大崎市鳴子温泉鬼首字宮沢32-1 地図
0229-86-2238
日帰り入浴9:00~17:00
400円
鳴子湯めぐりチケット2枚
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★