温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

懐かしの学習院八幡平校舎

2011年01月16日 | 岩手県
今回の記事に温泉は登場しませんので悪しからず。
単に個人的な懐旧をとりとめもなくメモするだけです。

半年前、岩手県の八幡平アスピーテラインを走っていたら、ふと中学生の頃の記憶が朧げに蘇ってきました。私は中学から大学まで10年間の学生生活を学習院で送り、中学生のときには学校行事の登山のために学習院八幡平校舎を訪れたことがあります。今までも何度も八幡平には足を運んでいますが、今回頓にその時の記憶が呼び起されたのは、おそらくその校舎がつい最近解体された事実を知ったからでした。

学習院は沼津(旧御用邸の隣)や日光(光徳小屋)など各地に校外施設を所有していますが、旧松尾村(現八幡平市)にも八幡平校舎がありました。旧松尾村は硫黄鉱山で一時はとても栄えましたが、需要の急激な冷え込みによって鉱山は閉鎖。住民は一気に離散して辺りは廃墟になってしまいましたが、残された施設のうち、病院だった建物だけを学習院が払い下げを受けて校舎として活用していました。しかし、さすがに1953年に建てられた建物ゆえ、年を経るに従い老朽化が激しくなり、2006年に取り壊されたんだそうです。

学生時代の想い出はあまり振り返りたくないのですが、その想い出のひとつが閉鎖され解体されたとなると、勝手なもので、急に懐かしさがこみ上げてきました。そこで、東八幡平から秋田県方面へ西進している際、取り壊された跡がどうなっているのか、ちょっと興味がわいてきたので、寄り道することにしたのです。

 
あらまぁ…。本当に何にもないわ。病棟いや校舎があったところは真っ平らに整地され、芝生の原っぱになっていました。
でも正面玄関へ向かうアプローチはそのままだ。懐かしいですね。
公園として綺麗に整備されているのは、卒業生として実に嬉しく、地元の方に感謝申し上げます。


ちょうど正門があった場所の前に、閉校記念の石碑が建てられていました。この時の院長は田島さんと仰るんですね。経済界の大御所だということは存じ上げていますが、まさか学習院院長だったとは知りませんでした。私の頃の院長さんといえば、高遠藩子孫にして裁判官として尊属殺人に一家言あったらしい内藤氏、そして丸十の御紋(都城島津)の御当主だった島津氏ですね。

私が八幡平校舎を訪れたのは学習院中等科の頃だけでした。正直なところ、中学・高校の頃の想い出はあまり記憶に残っていないので、はっきりとしたことは覚えていませんが、たしか1~2回程度しか利用していないはずです。その時はどうやら岩手山に登ったらしいのですが、風雨の中で登山した記憶はあるものの、それが岩手山だったかどうかは忘れてしまいました(卒業アルバムも紛失したので確かめようがありません)。

 
(↑右の画像はクリックで拡大)
校舎のあった場所には、かつての姿を写した写真プレートが嵌め込まれていました。そうそう、これこれ、この校舎だよ。懐かしい…。
元々病院だった建物なので、不気味な話には事欠かず、たとえば浴場は以前霊安室だったところなので、よく霊が出るらしいぜ…なんて話をしては、ギャーギャー騒いで楽しんでおりました。


奥の方は展望台として整備されていました。クマ除けのベルが2か所ほど設置されています。

 
八幡平市の職員の方が定期的に手入れしてくださっているんだと思いますが、この時は盛夏まっ只中、草が結構生い茂っており、足元が草の朝露でビショビショに濡れちゃいました。展望台には円形の方位盤が埋め込まれていました。


岩手山もクッキリ。いい眺めだ。
しかし中学生の時は、そんな眺望の素晴らしさに気付くことなく、「一刻も早くこの行事が終わらないかなぁ」とマイナス思考全開でした。心に滲みる景色・風景って、成長して大人にならないと理解できないものですね。


松尾鉱山の旧職員アパート。廃墟マニアには超有名な物件ですね。校舎跡の目の前にあるので、校舎に宿泊しているときは窓からよく眺めたものでした。これらは私が中学生だったころから既に廃墟でして、当然のように肝試しに行くわけです。そして先生から拳骨をもらう…。それにしても、このアパートは廃墟になってから40年近く経つのに、ずっと放置したままなんですね。

上述のように、あまり八幡平校舎に対する思い入れや想い出は無いのですが、唯一鮮明に記憶してるのが、朝な夕な、チャイム代わりにスピーカーから大音量で流れた「ふるさと」という歌です。
YouTubeで聴けますよ
旋律も歌詞もはっきり思い出せます。当時はなぜこの曲が流れていたのか理解できませんでしたが、今になって調べてみると、この曲が主題歌となった山田洋次監督の映画「同胞(はらから)」の舞台が松尾村だったんですね。多分訪問当時の行事のしおりに解説が書かれていたように思いますが、ちっとも覚えていませんでした。今ようやく記憶の穴が埋まりました。それにしても本当に大音量で、屋外スピーカーからも流れていましたので、当然のように歌は霧の中に佇む廃墟群に木霊してグワングワンと不協のエコーがかかって響いていました。周囲には住人がいないからいいものの、そうじゃなけりゃ騒音問題になってるレベルでしたよ。

ちっとも愛校心のない私ですが、かつての校舎が消えてしまった跡を見て、ちょっぴりセンチメンタルになってしまいました。
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八幡平南温泉 旭日之湯

2011年01月16日 | 岩手県

東北道・岩手山SA近くにある小さな一軒宿です。わかりにくい場所ですが、付近の随所に小さいながら看板が立っているので、そこに示された矢印の方向をたどって行けばいつの間にやら到着できてしまうかと思います。


アプローチ入口付近からは、畑越しに高く聳える岩手山の美麗な姿が仰げました。


玄関を入るとロビー兼食堂のスペースが広がっていました。とってもウッディな温かい感じが伝わってきます。
玄関ホールからお風呂へ向かう途中、飲泉場が設置されていました。浴槽の湯口にコップが置かれている例はよく見かけますが、あれは「飲泉許可は受けてないけど自己責任で勝手に飲んでね」といったものが殆どで、こうしてちゃんと飲泉できるところは実は貴重です。


お風呂は男女別の内湯がひとつずつ(後述しますが、訪問時はひとつずつだと思い込んでいました)。横長の浴槽で、一見すると単なる長方形の湯船ですが、湯中に段が設けられており、これによって2分割されています。男湯の場合、手前側(入口側)は小さめの4人サイズで、深さが1mもあり、身長165cm胴長短足の私の場合はお臍が隠れるぐらいでした。一方、奥側は8~9人サイズで、こちらは一般的な深さとなっています。


面白いのが洗い場でして、6ヶ所あるのですが、蛇口から出るのは水だけ。お湯は各ブースの間に設けられた木の桝から自分で汲んで使うのです。その桝の底からは適温の源泉が常に供給されており、源泉掛け流しのお湯を掛け湯にできるわけです。カランから源泉を出す施設は多いですが、あえてカランではなく木の桝にしているところが洒落てますね。


お湯は薄い黄色系の貝汁濁り(蛤の潮汁に薄く黄色く着色したような見た目です)。薄い塩味+金気味+土気味、薄い金気臭+土気臭といった知覚で、湯口付近でのみ微かにタマゴ臭も感じられました。お湯に浸かっているときは気付かなかったのですが、湯口でコップにお湯を注ぐと、微細な赤茶色の固形物がその中に混入していました。これがコロイドになって薄い濁りを生じさせているのかもしれませんね。湯の華は大好きなので、私個人としては大歓迎です。

成分としては多い方から食塩・重曹・芒硝の順のようでして、浴感としては重曹泉的なツルスベ感と硫酸塩泉的なキシキシ感が拮抗しつつも、重曹や食塩の方が多いためかツルスベの方が勝っている実感を受けました。ツルスベの中に微力な引っかかりが感じられる、と表現したら分かりやすいでしょうか。

訪問後に調べたところ、男女の浴室は入れ替え制で、もう一方には露天風呂があるらしい…。次回はそちらに入らねば。
私の訪問時は空いていましたが、ネット上の各レポートを見ると、混んでいることが多いようですね。お湯が良いので、お客さんが集まるのも頷けます。場所柄、岩手山の登山基地として利用するのもいいですね。


八幡平南温泉(湧宝の湯)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉 45.6℃ pH7.6 溶存物質1.336g/kg 成分総計1.342g/kg

岩手県八幡平市松尾寄木第1地割135-2  地図
0195-75-2340
ホームページ (←工事中のページが多い…)

9:00~22:00(受付21:00まで)
450円
ドライヤー・シャンプー類あり、貴重品はフロント預かり

私の好み:★★
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