温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

苗場山に登って高山の花を楽しむ 2012年7月 (その3)

2012年07月14日 | 長野県
前回記事「苗場山に登って高山の花を楽しむ 2012年7月」その2のつづきです。
※今回の記事でも温泉は登場しませんのであしからず


 
9合目からふたたび鬱蒼とした森の中へと突入。雪田の上を歩いたり、雪解けでグチャグチャになった泥濘に足元を掬われそうになったり…



この雪道はアイゼンこそ不要ですし、よく固まっているので足が潜ることもありませんが、歩きにくいことには違いなく、軽くイライラしてしまいました。


 
でもそんなイライラを雲散霧消させてくれたのが、鈴なりに咲き誇るベニサラサドウダン。しばしその場に立ち止まって見惚れてしまいました。


 
更に進むといきなり視界が開け、再び高層湿原地帯となりました。頂上付近に広がるこの高層湿原は、さきほどの坪場とは比較にならないほど広大で、見渡す限りの美しく開放的な景色が展開されており、雄大な絶景を目にして思わず「すげぇ」と絶叫してしまいました。



路傍にはちいさな石碑類が並べられており、その頂点には天照大御神が祀られていました。


 
木道の両側は辺り一面チングルマの大群生。


 
今が盛りと健気に咲き誇るチングルマ。


 
チングルマの大群生付近から東の方角を眺望。彼方に聳える山は谷川岳あたりかな?(山座同定は自信無し)


 
山頂付近はまだかなり雪が残っており、途中でこんな大きな雪田を横切りました。横断距離は100mくらいでしょうか。


 
どこまでも広がる高層湿原と針葉樹林のモザイク模様。足元にショウジョウバカマを発見。



この山は本当にイワカガミが多いですね。



おお! 屋根がみえてきたぞ。


 
ヒュッテの傍には苗場山の開拓者である大平晟氏のレリーフが。


 
【8:13 苗場山自然体験交流センター(苗場山頂ヒュッテ)】
ログハウス風の山小屋「苗場山自然体験交流センター」を通過。もし尿意でも催していたらトイレでもお借りしようかと思っていましたが、水分は汗となってしまったためか尿意がまったく感じられず、足元に装着した泥だらけのスパッツを外すのも面倒だったので、今回はこちらにお邪魔せず通過させていただきました。


 
【8:15 苗場山頂上(2145.3m)】
出発から3時間で頂上へたどり着きました。ま、標準タイムより若干早い程度ですね。本当はもう少し早く着くつもりでしたが、さすがに今年初めての登山でしたから、体がまだ慣れていなかったみたいです。
周辺の湿原地帯と違い、頂上って周囲を木々で囲まれており、眺望らしきものは楽しめず、ただ原っぱに標柱が立っているだけなんですね。なんだか拍子抜け。


 
頂上に建つ山小屋「遊仙閣」は相変わらず休業中なのですが、建物に貼ってある掲示を見たら、ここってプリンスホテル(つまり西武)が借受人になっているんですね。一応契約期間は平成27年6月末までとなっていますが、おそらく再開されることはないでしょう。


  
たっぷり雪が残っている山頂付近の木造デッキに横たわり、ここでしばしお昼寝(いや朝寝か)。一睡もせずに登ってきたので、普段は寝つきの悪い私も、この時ばかりは目を瞑るや否やすぐに夢の世界へといざなわれました。高山を吹き抜ける爽やかな風に頬をさすられながら眠りにつくひと時は、まさに至福でありました。


 
気付けば1時間ほど寝ちゃいました。寝る前までは青い空が果てしなく広がっていたのに、目が覚めるとヒュッテの上空には怪しい色の雲が立ち込め、その他の場所でも急に掻き曇ってきました。先程まで楽しめた絶景は、早朝だからこそ見られたのかもしれませんね。早起きは三文の徳。早朝に昇ってきてよかった!



1時間前とは全く異なる空模様に変貌しちゃいました。池塘も鉛色。山の天気は本当に変わりやすいですね。正直な話、この日の予想天気図を見て、おそらく昼前にはこうなるだろうと予測し、あえて睡眠不足を承知の上で早朝に昇ったのであります。


ちなみに復路は往路を単純に戻っただけです。参考までに通過タイムを記しておきます。
頂上9:10 → 9合目9:36 → 8合目9:45 → 7合目10:00 → 6合目10:10 →(※)ネマガリタケのお時間 → 5合目10:55 → 4合目11:18 → 3合目(駐車場)11:43


下山時には多くの登山客とすれ違いました。記憶は定かではありませんが、少なくとも40人以上と行き違ったはずです。その証拠に、下山後の駐車場には、朝とは比較にならないほどたくさんの車がとまっていました。



(※)ネガマリタケのお時間とは、ちょうど6合目と5合目の中間地点で、昔風の横に長いザックをおろして休憩している長靴姿のお婆ちゃん達がいらっしゃり、その周辺にはネマガリタケが群生していたので「ネマガリ採ってるんですか?」と訊いたところ、案の定その通りでした。みなさんは地元秋山郷の方でして、朝早くからネマガリタケのタケノコを採取していたんだそうです。ザックへ大量に詰め込まれたタケノコを見て「凄い量ですね」と感嘆の声をあげたら、「お兄ちゃんも遠慮せずに採ってけ」とお婆ちゃんに誘われたので、リュックをその場に下ろしてネマガリタケの藪の中に入り、お婆ちゃんの力も借りて、これだけの筍を採っちゃいました。本来でしたら部外者が採ってはいけないものでしょうけど、今回は秋山郷のご厚意に甘えて、持ち帰らせていただきました。ありがとうございました。

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苗場山に登って高山の花を楽しむ 2012年7月 (その2)

2012年07月14日 | 長野県
※前回記事「苗場山に登って高山の花を楽しむ 2012年7月」その1のつづきです
※今回の記事でも温泉は登場しませんのであしからず



6合目を過ぎたあたりから、周囲の植生がブナからダケカンバに変わりました。私はこのいかにも山らしい爽快感と透明感を有するダケカンバが大好きです。



何度も繰り返しますが、このコースは全体的に湿っており、こうした何気ない場所がツルツルに滑りやすかったりするので油断なりません。また、路肩が崩れて滑落しそうになる箇所や、涸れ沢に迷い込みそうになる箇所も数か所あり、いずれも黄色いテープが張られているものの、ガスっている時には要注意です。


 
ロープで岩場を次々にクリアしてゆきます。画像で見ると険しそうですが、実際には大したことありません。でも手袋の装着はお忘れなく。ここを越えたらすぐに7号目だ!


 
【6:45/6:50  7合目(1810m)】
ひたすら登り坂が続いているのに、その道中で眺望が得られないと、精神的に鬱屈してきますが、この7合目はとても見晴らしが良く、ちょうど体力がバテはじめていたので、ここで5分間休憩して息を整えることにしました。本当はもっとのんびりしたかったんですが、それを許さない事態が起きていたのです。というのも、雨上がりという気象条件に朝の気温上昇が重なり、このあたりから羽虫の大量発生に悩まされまたのです。払っても払ってもしつこくまとわりつく無数の羽虫たち。目・鼻・耳・口に突撃してくる特攻隊も多く、この日だけで何匹の虫を飲み込んじゃったことか…。


 
路傍にはツツジが咲いていました。冷涼な山は7月になっても躑躅が咲いているんですね。


 
今度はロープではなく鎖場の連続です。ここも晴れていれば大したことはありませんが、鎖に掴まると楽に上り下りできました。


 
おお! これはゼンマイの群生ですね。摘みたい衝動にかられましたが、山の植物を持ち帰ってはいけませんし、そもそもゼンマイって食べるための下拵えが面倒くさいので、ここでは見るだけにとどめておきました。


 
【7:13/18 八合目(1940m)】
ゼンマイ群生から3分ほどで8合目に辿りつけました。運動不足の脆弱な体なのに徹夜明けで登山すると、やっぱり身体的にキツいですね。さきほど7合目で休んだばかりなのに、ここでも休憩しちゃいました。


 
8合目の標柱そばで咲いていたイワカガミ。可憐な花には心身ともに癒されます。



普段は雨男な私ですが、なぜか最近登山の時には天候に恵まれることが多く、この時も雲一つない素晴らしい眺望が得られました。頸城方面が一望ですね。この眺望ポイントで険しい登りは終了です。


 
【7:25 坪場】
眺望ポイントからは笹薮となり、ここを抜けたら「坪場」と称する高層湿原に出て、一気に見晴らしがよくなりました。うひゃーー、気持ち良いぞ!


 
高層湿原に敷かれた木道を軽やかに歩きます。ここに及んで俄然疲れが吹っ飛び、体が軽くなりました。真っ青な空には綿雲がポツンポツンと浮かぶ程度。


 
湿原に点在する池塘は水鏡となって空の青さを映していました。本当に綺麗だ。


 
木道付近ではチングルマやイワイチョウが咲き乱れています。



ワタスゲは数こそ多くないものの、いくつもの小さなコロニーをつくって点在していました。


 
【7:35 和山への分岐】
このあたりには残雪がちらほら見受けられます。でも着実に夏はやってきているらしく、木道を歩いているといつのまにやらカエルの大合唱に包囲されていました。


 
坪場から抜け出るあたりで振り返ってると、そこにはあたかも天国にいるみたいな、非常に美しい風景が広がっていました。朝早いから登山者の姿もありません。こんな絶景を独り占め。



【7:40 9合目(2000m)】
坪場の高層湿原を抜けると間もなく9合目です。頂上まではあと一息だ。


その3につづく
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苗場山に登って高山の花を楽しむ 2012年7月 (その1)

2012年07月14日 | 長野県
※今回の記事に温泉は登場しませんのであしからず

2012年に入って登山はおろかスポーツらしいことをほとんどしていない私は、日ごろの運動不足が祟って体重が3kgも増えてしまいました。そろそろ体を絞らなきゃいけないなと重い腰を上げ、今回目的地に選んだのは苗場山の小赤沢コースであります。苗場山の山頂付近に広がる高層湿原は、ちょうど今、高山植物のお花畑状態になっているはず。そこへ最短距離でアプローチできるこのルートならば、鈍牛のような私でも比較的に容易に登れるだろうと思われたからです。また拙ブログにてリンクを張らせていただいているしーさんさんのサイト「温泉を通じて」でもこのルートでの登山記が紹介されており、その内容を拝読したら、すっかり誘惑されてしまったのです。

前夜に仕事を終え、渋谷区恵比寿の会社から自分の車に乗り込み、環6→川越街道→熊谷東松山道路→R17BP(上武国道)→R50とひたすら下道を走って、関越道の前橋インターそばにある「天神の湯」でひとっ風呂を浴びて夜中2時まで仮眠をとります。この「天神の湯」は掛け流しの良質なお湯に入れる上、夜通しで営業しているので朝までゆっくり滞在できるのですが、基本料金ですと夜中の2時で打ち切りとなるため、金欠状態の私は吝嗇根性を丸出しにして2時ギリギリで退館します。神経質の私は車中泊ができないため(車では全く寝られない)、わざわざこの施設に立ち寄って仮眠をとろうとしたのですが、神経が高ぶっていたのかここでは全く寝られず、一睡もできないまま前橋ICから塩沢石打ICまで関越道を走行、あとはひたすら真っ暗な山間の国道を走り、津南町のコンビニで早めの朝食とトイレを済ませながらじっくり休憩し、黎明を迎えて徐々に明るくなる早朝の秋山郷へ向かってゆくのでした。


【概要】
目的地とルート:苗場山山頂、小赤沢3合目から頂上まで単純往復
標高差:835m
登山日:2012年7月10日(日帰り)
天気:快晴のち薄曇り
人数:一人(単独行)
装備:普通の夏登山の装備で十分ですが、足元がドロドロなので、耐水性の登山靴、スパッツ、手袋が役立ちました。


 
【4:45 小赤沢集落】
小赤沢の集落から3合目に向かう道へと入っていきます。車一台しか走れない狭く急な道なんですね。車のギアも2速から上がることはありませんでした。


 
集落から8分ほど登ったところでT字路に突き当たるので、そこを左折します。この付近は落石が多いみたいで、路面にも落ちたばかりと思しき石がゴロゴロしていました。ちょっと怖い…。


 
【5:00 三合目駐車場】
30台以上は余裕で止められそうなとても広い駐車場。トイレもあります。小赤沢コースは人気のあって、シーズンにはこの駐車場も満車状態になるそうですが、さすがにこの時は平日の早朝だからか、車の姿もまばらでした。さてさて、ここで登山の準備にとりかかります。
まだアブがほとんど発生していなかったので、ドアを開けっぱなしで着替えをしても問題ありませんでした。


 
【5:15 三合目(1310m) 出発】
登山道入口に登山届のポストがあるので(用紙も用意されています)、きちんと記入して投函し、いざ出発。小赤沢コースは全体的に湿っているという話をよく聞きますが、スタート地点からいきなり足元がぬかるんでおり、この先が思いやられます。
ゲートのちょっと先には登山者数を計測するカウンターが設置されていました。


 
周囲はブナやヒノキが生い茂る鬱蒼とした森。巨木の根を階段代わりにし、幹のトンネルを抜けてゆきます…


 
尾根の上を進んでゆきます。途中右側の視界がちょっと開けるところがあり、遠方の山をよく見ると、そこには滝が落ちていました。



ぬかるみが続き、根っこの出っ張りも多く、歩きにくいったらありゃしない…。でも路傍に咲く可憐なゴゼンタチバナが、そんなイライラした心を鎮めてくれました。


 
【5:38 四合目(1470m)】
出発して23分で早くも4号目。近くには水場もありましたが、いくら不摂生な生活を送る私でも、まだ喉が渇くような状態ではないので、ここでは顔を洗うだけにして、先へと急ぎました。


 
泥濘が連続する道の途中には、切株がたくさん敷き詰められており、その上面には滑り止めのために細い角材が打ち付けてありました。このような措置がとられている箇所は歩きやすいのですが、未施工区間はドロドロで、登山靴のソールがすっかり泥の中にもぐってしまうほどです。


 
でもそんな湿気のおかげか、路傍にはかわいらしい花々が至る所で咲いていました。左(上)はイワカガミ、右(下)マイヅルソウ。


 
【6:03 五合目(1580m)】
五合目です。とはいえ、特に視界が開けているわけでもなく、ベンチがあるわけでもなく、単なる通過点に過ぎないので、立ち止まることなくさっさと通過。


 
鬱蒼とした森の中、石がゴロゴロしたところを登っていたかと思えば、とつぜん明るくなって笹薮の中を突き抜けてみたりと、猫の目のように状況がコロコロと変わってゆく面白い道です。


 
5合目を通過して20分ほどで、まだ雪渓が残っている箇所に出ました。表面はすっかり泥に覆われていますが、表面から吹き降りてくる風がひんやり冷たく爽快です。なおこのミニ雪渓の先には、登山マップには載っていない水場があり、この水も非常に冷たく、雪渓の冷風と水場の清冽な水で、オーバーヒートになりかけていた私の体は一気にクールダウンできました。


 
5合目と6号目の中間あたりからロープ場が登場しますが、天候が悪くなければロープを使わずとも上り下りできるかと思います。大したことはありません。上がりきったところで見下ろすと眺望が素晴らしい!



さらにロープ場が続きます。ここも大したことはありませんが、雨の日にはロープのお世話になるんだろうと思います。


 
【6:32 6合目(1750m)】
新しい道標も斜めになってる六合目。
ダルダルに弛緩しきっているオイラの体も、息が切れ、腰が重くなり、膝に違和感をおぼえはじめました。この程度のハイキングで体が悲鳴を上げ始めるとは、あぁ、情けねぇ…。


その2へつづく
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