温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

東根温泉 松乃湯旅館

2012年07月18日 | 山形県
※残念ながら閉館しました。

 
お湯が良いという情報を得て「松乃湯旅館」で立ち寄り入浴してきました。東根温泉の旅館の中では比較的小規模な部類に属するのでしょうか、外観はやや渋い佇まいですが、館内は上品な装いでまとめられており、玄関で入浴をお願いすると、とても淑やかで愛想のよい女将は快く迎え入れてくれました。


 
ロビーから左側へ進むと浴室です。廊下に置かれている和風旅館らしいさりげない飾りが上品です。
お風呂は男女別の内湯が一室ずつで、男湯は道路側の浴室でした。



脱衣所は棚に籠があるだけの至ってシンプルな造りですが、隅々まで清掃が行き届いており、とっても綺麗で快適です。



浴室に入った途端、芳しいアブラ臭が室内に充満しており、アブラ臭中毒の私は思わず鼻をクンクンと鳴らしてしまいました。室内はこじんまりとしていますが、男女浴室の仕切りとなっている壁にはカラフルなガラスがストライプ状に嵌められており、室内の狭さを払拭する明るくポップな印象を放っていました。



洗い場にはカランが3基設置されており、うち1基はシャワー付きです。カランのお湯の蛇口を捻ると源泉が出てきます。



真ん丸な浴槽はおおよそ4人サイズで、槽内には小さな丸いタイルが貼られています。丸い浴槽を時計に見立てたとして浴室入口から見ると、10時の方向の浴槽側面下部には源泉の投入口があり、10時と4時の方向からお湯が静々とオーバーフローしています。そして人が入るとザバーっと豪快に全方向から溢れ出てゆきます。湯使いは完全掛け流しです。加水しないままですとやや熱めの湯加減ですが、熱いお湯に慣れている方でしたら加水しなくても問題なく入浴できるかと思います。


 
かなり濃い琥珀色を有するお湯は、湯の花の影響かあるいは色が濃いためか、浴槽の中に突っ込んでいる足がボヤけて見えてしまうほどに濁りを帯びており、ケロリン桶にお湯を汲んでもその色の濃さがはっきりとわかります。

口に含むと、ビールの原料のホップを髣髴とさせるような清涼感を伴うほろ苦味、微かな塩味、そして喉の奥に残る焦げたような味が感じられ、モール泉のような香ばしい臭素臭、室内に満ちているアブラ臭、そしてタールのような燻した感じの匂いが混然一体となって湯面から漂っています。源泉が出てくるカランでは知覚的特徴がより一層強く感じられ、ゆで卵の卵黄的な味や匂いも薄いながら確認できました。ツルスベ感がとても明瞭で、入浴中は何度も自分の肌をさすってその感触を楽しみました。

熱めの湯加減とお湯自体の個性のために、湯上りはかなり火照って汗がなかなか引かず、女将は「夏は嫌われちゃうんですよ」と謙遜なさっていましたが、たとえ汗だくになろうとも季節を問わず何度でも入りたくなる素晴らしいお湯でした。熱の湯ですから寒い冬に入ったら、体の芯からしっかり温まりそうですね。再訪必至です。


協組第19号源泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 64.7℃ pH7.8 溶存物質1526mg/kg 蒸発残留物1331mg/kg
Na+:429.8mg,
Cl-:427.6mg, HCO3-:477.9mg,

JR奥羽線・東根駅より徒歩15分(1.1km)
山形県東根市温泉町1-9-2  地図
0237-42-0013

※残念ながら閉館しました。
日帰り入浴時間不明
300円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品は帳場預かり

私の好み:★★★
コメント (5)
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