温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

塩原 福渡温泉 松楓楼松屋

2013年11月16日 | 栃木県
 
塩原温泉で年1回、9月上旬に行われる「塩原古式湯まつり」では協賛旅館のお風呂が一日限定で無料利用することができる「温泉ふるまい」というイベントも開催されますが、その有り難いふるまいにあやかって、今年(2013年)は前回まで連続で取り上げてきた共同浴場の他、福渡温泉の「松楓楼松屋」(ホテル松屋)でも一浴してまいりました。こちらのお宿はおそらく福渡温泉エリアでは最も大きな旅館ではないでしょうか(間違っていたらゴメンなさい)。
立派な玄関では常時スタッフが待機しており、近づいてくる私の姿を確認するや、そのうちのお一人がササっと出てきて、スマートに対応してくださいました。「温泉ふるまい」での利用ですから無料入浴となるわけですが、そんな事情であってもスタッフの皆さんは快く丁寧に挨拶してくださり、しかもお風呂の手前まで案内までしてくださいました。いやはや恐れいります。


 
カーペット敷きの廊下を歩いて浴室へ。その途中には福渡温泉名物の露天風呂「岩の湯」や「天狗の湯」へ出られる通用扉がありました。


●内湯
 
白基調の室内の随所に木材を組み込んだ和風テイストの脱衣室は、建物の規模と比すればややコンパクトな感を受けますが、さすがに旅館だけあって清潔感が漲っており、どこもかしもこピッカピカです。洗面台にはアメニティー類も一通り揃っています。



室内に掲示されている湯使いに関する説明です。これによれば、約1キロ上流の箒川河川敷で自然湧出する60℃の源泉を引湯し、加水せずに空冷によって各浴槽へ分配している、このため浴槽の大きさによって温度が異なり、また雨天時には温度低下や濁りが見られる場合もある、かけ流しではあるが、槽内の温度を均一にするため及びゴミを除去するために循環を併用している、とのことです。


 
広々している浴室は箒川に面して大きなガラス張りとなっており、高い天井も手伝って非常に気持ちの良い開放的な空間です。洗い場は浴室の左右に分かれて配置されており、計11基(右側に7基、左側に4基)のシャワー付き混合水栓が設置されています。こまめにスタッフが目を配ってるのか、桶や腰掛けが整然と並べられていました。


 
浴槽には蓬色の小さな丸いタイルが敷き詰められており、柱の傍に突き出ている湯口の他、浴槽中央の底からも湯面が盛り上がるほどの量のお湯が投入されています。浴槽縁からは静々とした溢湯が見られますが、投入量と溢れ出る量が釣り合っていないので、脱衣室に掲示されていたように、かけ流しと循環を併用しているものと思われます。



大きなガラス窓の真下には箒川が右から左に向かって流れており、対岸には福渡の名所である「岩の湯」が一望できました。


●露天風呂

続きまして、渡り廊下を歩いて露天風呂へと向かいます。能の舞台を思わせる、いかにも和風な雰囲気ですね。


 
箒川を臨む露天風呂は、浴槽も、それを覆う屋根も総て木造。入浴ゾーンの後背に設けられている休憩スペースも、ベンチやデッキチェアを含めて全部木製で徹底されています。
「岩の湯」や「不動の湯」へ向かう途中、吊り橋を渡る所の左側に落ち着いた佇まいの露天風呂が目に入ってきますが、その露天こそこのお風呂であります。


 
露天風呂にはカランがありませんが、そのかわり、隅っこにはこのような「あがり湯」が用意されていました。試しに私もこのお湯を体にかけてみましたが、この日だけなのか、ややぬるくて土っぽい匂いがしました。このお湯は温泉なのでしょうか。


 
浴槽の縁からお湯が静々とオーバーフローしており、人が湯船に入るとしっかり溢れ出ますが、内湯同様、湯口から注がれる量と溢れ出る量が釣り合っていないので、かけ流しと循環を併用しているものと想像されます。それでも、この日の露天風呂の湯加減は41℃くらいの長湯仕様に設定されており、木のぬくもりと山の緑に囲まれた雰囲気の良い環境で、心地良い湯加減のお湯に浸かっていたら、いつまでもここで時間を忘れて過ごしていたくなりました。
さてお湯に関するインプレッションですが、上述のように、源泉はここから1キロほど上流にある塩湧橋の下、箒川の右岸にある源泉から引湯しているんだそうでして、加水せずに空冷で温度調整しているものの、半循環を実施しているようです。それゆえなのか、弱いツルスベ浴感を有しているものの、無色透明無味無臭でいまひとつ掴みどころがなく、福渡の湯なのにこれといった特徴がありませんでした。なお消毒臭は感じられませんでした。

湯使いやお湯のクオリティに拘る方には面白みに欠けるでしょうが、館内は綺麗で上品、ホスピタリティも良いので、雰囲気重視の方にとっては受けが良いだろうと思われます。


 
湯上がりにクールダウンがてら、源泉がある塩湧橋まで歩いていたところ、橋の下の太い配管にサルの群れを発見、私が近づくと対岸へ逃げていってしまいました。同じ栃木県でも日光のサルは人に慣れちゃっていますが、塩原はまだ人間に対して恐怖心を抱いているのかな。


福渡区源泉(右岸)
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 63.1℃ pH6.5 850.0L/min(自然湧出) 溶存物質1.414g/kg 成分総計1.519g/kg
Na+:321.6mg(74.75mval%), Ca++:74.1mg(19.77mval%),
Cl-:376.3mg(55.97mval%), SO4--:237.4mg(26.07mval%), HCO3-:197.2mg(17.04mval%), Br-:1.4mg,
H2SiO3:148.3mg, HBO2;25.3mg, CO2:104.6mg, H2S:0.2mg,
循環装置使用(槽内温度均衡及びゴミ除去のため)

西那須野駅および那須塩原駅よりJRバス関東の塩原温泉バスターミナル行のバスで塩原福渡バス停下車
栃木県那須塩原市塩原168  地図
0287-32-2003
ホームページ

日帰り入浴13:30~17:00
1000円(今回は「温泉ふるまい」により無料で入浴)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
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