温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

(甲府)湯村温泉 ホテル吉野

2013年11月29日 | 山梨県
 
モール系の温泉が多い甲府盆地にあって、開湯1200年の歴史を有する甲府の奥座敷湯村温泉は、周辺の温泉とは似て非なる無色透明の石膏泉的な特徴を呈しており、上品な肌ざわりながらパワフルな入り応えがあるので、その魅力に私は惹かれて偶にどうしようもなく入りたい衝動に駆られてしまいます。そんな湯村温泉にあるお宿の中でも、今回は「ホテル吉野」で日帰り入浴してまいりました。


 
玄関前に立っている看板の「湯めぐり」受け入れ状況を確認した上で玄関を訪います。ロビーに置かれた棚には「吉野美術陶器参考館」と書かれた札が掲示されており、帳場まわりには骨董品が所狭しと置かれていました。入館した時には営業しているのか不安になるほど館内が静まり返っていたのですが、やがて奥の方からワンちゃんの鳴き声が聞こえ、その後にお宿の方が出てきてくださいましたので、日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。



玄関上がって右手に帳場があるのですが、すぐ左手には紺の暖簾がかかっており、これが浴室の入口です。


 
奥の方に金魚が泳ぐ水槽が置かれた脱衣室の壁には、やや古めの分析表が掲げられています。室内には懐かしいスタイルのマッサージチェアが置かれ、洗面台やドライヤーなど基本的な設備・備品も用意されています。棚に収められているカゴがちょっと小さく、一般的な服装や荷物よりも、宿泊時の浴衣を入れるのにピッタリな大きさでした。


 
内湯はごく一般的なタイル張りですが、目の覚めるようなコバルトブルーの浴槽が非常に印象的で、この青色と暖色系の壁の対比が鮮やかに映えていました。なお洗い場にはシャワー付き混合水栓が5基設置されており、水栓から出てくるお湯は真湯です。


 
湯口からトポトポと源泉が注がれ、黒い石の浴槽縁から絶え間なく溢れ出ています。私が湯船に体を沈めたらザバーッと勢い良くお湯がオーバーフローしていきました。槽内には吸引口など見られないので、完全放流式の湯使いであると判断して間違いないでしょう。このコバルトブルーの湯船はおよそ10人サイズかと思われますが、でも若干浅い造りとなっており、ちょっと寝そべらないと肩まで浸かれないので、その点を考慮すると実質的な容量は7~8人といったところかもしれません。


 
男湯には露天風呂も併設されており、内湯からサッシを開けてコンパクトなテラスのような所に出ると、1~2人サイズの陶器の瓶風呂が据えられていて、白い析出が付着している石樋の湯口から源泉が注がれていました。その投入量は一見するとあまり多いようには思えないのですが、実は湯船のキャパに見合った量に調整されており、私が湯船に入ってみますと、勢い良く音を立てて豪快に溢れ出ていったのですが、まもなく湯船の嵩は元に戻ってゆきました。お湯が湯船から溢れ出てゆく瞬間って、なんとも言えない贅沢な気分が味わえますよね。



こちらで使われているお湯は敷地内で湧出している自家源泉なんだそうでして、見た目は無色透明であり、露天の湯口に置かれたコップでお湯を口にしてみますと、そのお湯からは鉱物油の匂いがはっきり漂い、加えて石膏臭や微かな臭素臭も嗅ぎ取れました。そして弱塩味や石膏味の他に弱い苦味も感じられました。このお湯で感動したのが泡付きでして、内湯でも露天でも、入浴するとすぐに気泡が付着し、気づけば全身泡まみれになっていました。湯中ではツルスベ浴感に少々キシキシ感が混在しているものの、泡付きによるフワッとした軽やかな浴感も加わり、総じてツルツル感とした優しく爽快な浴感が優っているようでした。

内湯・露天ともに40~1℃という微睡みを誘う湯加減となっており、ついつい長湯したくなるのですが、決して濃いお湯ではないにもかかわらず、じっくり全身浴していると強い温浴効果がボディーブローのようにじわじわと効いてきて、気づけばフラフラになって逆上せる寸前になっていました。湯上がりもしばらくは汗が引かずに火照りが持続するのですが、にも関わらず、火照りの峠を越すと一転して爽快感に包まれ、肌も程よくサラサラしました。実に不思議なパワーを持つ、クオリティの高いお湯だと思います。


ホテル吉野源泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 40.9℃ pH9.0 26.9L/min(動力揚湯) 溶存物質1360mg/kg 成分総計1360mg/kg
Na+:357.0mg(78.67mval%), Ca++:76.9mg(19.45mval%),
Cl-:393.5mg(56.23mval%), Br-:0.9mg, I-:0.2mg, SO4--:370.5mg(39.06mval%), HCO3-:14.6mg, CO3--:13.5mg,
H2SiO3:103.8mg, CO2:0.0mg,

甲府駅バスターミナルより山梨交通の路線バスで「湯村」あるいは「湯村温泉入口」下車。なお「湯村温泉入口」の方が本数は多い。湯村温泉方面へ向かう路線は多数あるので、詳しくは現地の案内所で問い合わせされたし
山梨県甲府市湯村3-11-14  地図
055-253-2878

日帰り入浴時間不明
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカー見当たらず

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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