温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ひとっ風呂浴びに3日登山 高天原温泉 その4(雲ノ平から高天原山荘へ)

2013年11月20日 | 富山県
「ひとっ風呂浴びに3日登山 高天原温泉 その3(薬師沢小屋から雲ノ平へ)」の続編です。

今回は7回に分けて記事をアップしております。


 
【11:05 スイス庭園 出発】
大絶景を眺めながらお昼ごはんを頂く。決してお金では買えない、自分の足でたどり着いてこそ味わえる最高の美味さである。いつまでもこの絶景を眺めていたかったが、そろそろ出発して、今回の登山の最大の目的である温泉へ入りに行かねばならないので、未練を残しつつスイス庭園を後にした。


 
一旦雲ノ平小屋まで戻る。往路では気が付かなかったが、小屋の東側に広がる池塘や草原が織りなす景色もなかなかのものだ。花のシーズンには、それこそ天国と見紛うばかりの美しい光景が広がるのだろう。


 
【11:21 高天原への分岐】
雲ノ平小屋の前で分岐する道に入って、高天原を目指す。まずはハイマツ林の中で岩がゴロゴロしている歩きにくい道を登りながら小さな丘を越える。


 
丘を越えたら、目の前に同じような丘がもうひとつ横たわっている。無論、これも越えねばならない。勾配こそ大したこと無いのだが、道の代わりになっている岩が不安定で、浮石状態の物も多く、その上、岩の間はグチャグチャの泥濘であるため、一歩前進する毎にストレスが溜まっていった。


 
【11:45 アンテナ(2つ目の丘のピーク)(2576m)】
2つ目の丘の上にはアンテナが立っており、その傍にあるコンクリの構造物に掲示されているプレートには「立山地区 測水所及び観測施設敷」という用途とともに関西電力北陸支社の名前が記されていた。



丘を越えたら、あとは下り一辺倒である。
岩に描かれた黄色いペイントの丸印を目標にしながら、まるで海岸に積まれたテトラポットの上を飛び跳ねる要領で、ゴロゴロした岩をピョンピョンとジャンプしてゆく。今回は快晴だったので黄色い丸を見逃さずに澄んだが、丸印の数が少なく目立ちにくいので、ガスっている時には見失うかもしれない。岩ゴロ区間を抜けると、木道が続く。


 
【12:00 奥スイス庭園】
丘の上から15分下り続けると、「奥スイス庭園」と書かれた標柱が現れた。同じスイス庭園でも奥が付くと付かないとでは大違いで、こちらは先程のスイス庭園のような大展望は無く、ただ木道の周りに背丈1.5mほどのハイマツ林が鬱陶しく広がるばかり。雲ノ平小屋からここまで続いてきた歩きにくい道に怒りを募らせていた私は「何がスイスだ!」と吐き捨て、庭園の景色をろくに眺めもせずに通りすぎてしまった。



【12:03 雲ノ平の森の道】
「雲ノ平の森の道」と書かれた看板から樹林帯へと入ってゆく。


 
森にはすでに秋の気配が訪れていた。


 
 
森の道に突入してしばらくの間は、コースの両側に緑色のロープが張られているので迷う心配なし。またしっかり土留めされたステップや頑丈なハシゴなど、よくメンテナンスされている。


 
所々で樹林帯を抜けて、明るいところへ出る。リンドウの花がもう少しでしっかり開きそうだ。


 
見晴らしの良いところでは木道が続き、足取りも軽快なのだが、やがて灌木が両側から迫ってくると、再び暗くて見晴らしのきかない樹林帯へ突入してしまう。


 
先ほどまでは非常に良く整備されていたのだが、下ってゆくにつれて整備度合いが低下してゆき、道が荒れはじめ、倒木も目立つようになり、コースを案内するロープも張られていないので、前方の様子を良く見極めないと道に迷ってしまいそうな箇所も頻出した。登山地図上でマークされていた「迷」マークに偽りはなかった。
そして急なハシゴが3箇所ほど連続し、これで一気に下ってゆく。道は荒れ気味であったが、鉄製のハシゴは非常に頑丈であった。


 
木の根っ子にしがみつきながら急勾配を下る。樹林帯の荒れ気味の坂道は、よく注視して踏み跡を見つけないと、迷ってしまうかも。



鬱蒼とした道が続く。いつまで下れば良いのか、つい愚痴りたくなり、いい加減に下りに飽きてきた頃、勾配がやや緩やかになり…


 
【12:53 高天原峠 (2270m)】
いきなり目の前に丁字路が出現した。道標には「高天原峠」と書かれている。とんでもなく下ってきたように感じられたが、数値の上では関電施設があったアンテナの丘の上から標高差で約300mしか下っていない。


 
しかし、もうすぐ念願の高天原温泉に辿り着ける。「あせらず行こう、お花畑と温泉が待ってるよ」という言葉に諭されるよう、逸る気持ちを抑えながら、丁字路を右に曲がって、転倒しないよう慌てずゆっくりと坂を下っていった。


 
峠からはこれといった危険箇所は無い。ごく普通の登山道を下るばかりだ。一部には木道の箇所もある。


 
【13:23 渡渉】
道が徐々にフラットになり、視界が明るくなると、やがて浅い沢が現れた。ここはロープに従って渡渉する。


 
【13:25 岩苔小谷】
続いて、岩苔小谷という水量豊かな沢を橋で越える。


 
橋の対岸には赤い丸に従って木の上を登る箇所があり、更には無名の沢を小さな橋で跨ぐ。


 
視界がひらけ、高層湿原の中を木道で進む。



【13:38 岩苔乗越分岐】
この分岐を進めば、ワリモ岳付近の岩苔乗越へ。後ほど、温泉に浸かりながら他の登山者から話を聞いて知ったのだが、この日の宿泊者はこの岩苔乗越から下ってきた人が半数以上であった。



水晶岳を背景にして、まるでハイジが駆け出し、ペーターがヤギを追っていそうな、スイスアルプスみたいな風景が広がっている。日本ではないみたいだ。



ここは先ほどスイス庭園からちょこんと見えた小さな湿原であろう。夏になればこの湿原をニッコウキスゲの花が覆い尽くすそうだ。



1時間ほど前から、折立方面から頻繁にヘリが往復しており、私が高天原山荘へ到着する寸前にも、ヘリがやってきて、ぶら下げていた資材を山荘へ降ろしていた。視界良好で風も無かったこの日は、絶好のホバリング日和だったろう。どうやら山荘では工事をしているらしい。ちなみに、私が2日がかりで歩いてきたこの道のりを、ヘリコプタは折立から僅か5分程度でやってきてしまうというのだから、文明の利器ってスゴイ。



【13:45 高天原山荘 到着】
山荘の前では工事業者のおっちゃん達が紫煙を燻らせていた。おっちゃん達は徒歩ではなくヘリでやってきたらしい。


その5へつづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする