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昨年(2015年)初夏に乗鞍岳へ登山したのですが、その前夜に平湯温泉の「穂高荘倶楽部」で一晩を過ごしました。こちらは貸切風呂や露天風呂などを兼ね備えた大規模日帰り入浴施設であり、同系列の旅館「穂高荘 山がの湯」とお風呂を共有しているのですが、この日帰り入浴施設である「穂高荘倶楽部」でも夜を越すことが可能です。と言いますのも、入浴料に仮眠室の料金をプラスすれば、1900円(※)という格安価格で朝まで滞在することができるのです。早い話が、都市部のサウナ・スーパー銭湯・漫画喫茶みたいなシステムを、北アルプスの麓の観光地でも利用できちゃうわけです。しかも大きな温泉のお風呂に入り放題なのですから、ありがたいじゃありませんか。この時の乗鞍岳登山では日の出前に出発したかったので、大枚叩いて旅館に泊まるのがバカバカしかった私は、廉価に夜を越せるこちらの施設を利用することにしました。
(※)私が利用した時には、夕方以降の入浴料750円と仮眠室料金650円の合計1400円で朝まで滞在できたのですが、現在公式サイトでは1900円の料金しか案内されていません。料金体系が変わっちゃったのかな? あるいは夕方以降の料金って公にアナウンスされていないのかな?
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フロントのカウンターに置かれている小さな券売機で料金を支払い、フロントのスタッフさんに券を手渡しますと、ロッカーキーと共にタオルや館内着など一式を手渡してくれます。更衣室のロッカーに荷物を収め、館内着に着替えてから館内を移動します。上画像はフロント前の休憩ホールを吹き抜けの上層階から撮った様子です。スパ銭やサウナみたいなリクライニングチェアがたくさん並んでいることがわかります。
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地下には食堂もあるので、ここで夕食を摂ることも可能。私は牛丼とビールを注文しました。
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こちらは仮眠室の様子。仮眠室には男女別や男女共用などいくつかのタイプがあり、この日はあいにく遮蔽性が高い造りの部屋が満室だったため、雑魚寝の部屋を利用することになったのですが、幸いなことに雑魚寝部屋は私以外に誰もおらず、広い部屋を独り占めすることができました。室内には寝袋用のマット、まくら、そして毛布が用意されています。館内はどこもかしこも、とっても綺麗。快適に一晩過ごせました。ただ、枕が高くて固かったのが唯一の難点かな…。
●内湯
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ハイクラスなホテルと同等の広さと快適さを備えている脱衣室。アメニティ類も揃っており、使い勝手も良好です。
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木材のぬくもりとタイルや石板といった実用的な建材をうまく混在させた浴室は、落ち着いた雰囲気を保ちながらも大変広々しており、しかもメンテナンスもよく行き届いていて、日帰り入浴施設の標準的なレベルを凌駕しています。後述する大きな温泉浴槽のほか、世のお父さん方が大好きなサウナや水風呂もありますよ。
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洗い場ゾーンには計13基のシャワー付きカランが設置されており、各ブースの幅が広く確保されているのみならず、一箇所ずつパーテーションでセパレートされていますので、隣のお客さんとの干渉を気にせず利用できます。またアメニティもボディーソープのほか、スパ銭にありがちなリンスインシャンプーではなく、シャンプーとコンディショナーがちゃんと別個に用意されていました。
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開放的な窓の下に、タイル張りながら太い木材で縁取られた大きな温泉の浴槽が2つ並んでL字を描いています。奥側(露天風呂出入口側)の浴槽はおおよそ15人サイズで、加水が多いのかちょっとぬるめ。一方、脱衣室出入口側の浴槽は25人近く入れそうな大容量であり、私の体感で42℃前後の万人受けする湯加減に調整されていました。なお後者の浴槽の底には泡風呂装置が埋め込まれていましたが、稼働はしていませんでした。両浴槽とも木組みの湯口からお湯が注がれており、循環の無い放流式の湯使いとなっています。
●露天風呂
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日本庭園のような誂えの露天風呂は温泉街の中に設けられていますから、周囲には目隠しの塀が立てられていますが、敷地面積が広い上、周囲の山々が借景となっているため、そのような囲いが気にならず伸び伸び湯浴みできる開放的な環境でした。庭園の奥に池のような大きい岩風呂がお湯を湛えており、その2分の3ほどは東屋で覆われていました。
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上2枚の画像は夜の露天風呂。温泉風情を考慮したライティングにより、明るすぎない落ち着いた雰囲気の中、のんびりと湯に浸かることができました。
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暗くて見にくい画像でごめんなさい。露天風呂には岩の上や隙間など複数箇所からお湯の投入されており、そこから注がれるお湯は直に触れるのが躊躇われるほど激熱でした。露天風呂でも放流式の湯使いです。
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熱いお湯が投入されている一方、加水も同時並行で行われており、広い湯船の槽内では、表面(上部)と底部(下部)で温冷分離が発生していました。施設側もそのことを分かっているのか、お風呂の岩には攪拌棒が置かれており、私はこれでしっかりとかき混ぜて、早暁のボンヤリとしたあかりで姿を見せはじめた山の稜線を眺めながら、朝ぼらけの湯浴みを楽しみました。
今回は明るい時間帯に利用できなかったので、お湯の見た目に関して自信を持った表現はできないのですが、薄い橙色を帯びた笹濁りを呈しているように見え、味や匂いからは平湯温泉らしい土類感が得られました。また湯口ではタマゴ臭に似た芳ばしい香りがほんのりとかぎとれました。ただ、加水がかなり多いらしく、味や匂い、そして浴感などお湯が持つ本来の特徴が総じて弱わっているように感じられました。ちなみに館内には温泉分析書が2枚掲示されており、いずれも同じ源泉名が記されているのですが、一方は加水前(源泉)、他方は加水後(浴室の湯口)における計測値であり、加水前はナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物温泉であったものが、入浴に適した温度へ調整するため加水することにより単純温泉にまで薄まってしまうことが一目瞭然になっていました。でも、こうして加水による泉質の変化をきちんと明示する施設側の誠実な姿勢は大変立派ですね。
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浴室前の通路にも休憩スペースがあり、そこに設置された自販機で、湯上がりにビンの飛騨牛乳を一気飲み。うん、うまい!
加水量が多いので、源泉のお湯にこだわる方にはちょっと物足りないかもしれませんが、広く快適な環境で放流式の温泉に好きなだけ入れ、しかも廉価で夜を越せるという、なんともありがたい施設でした。なお今回は貸切風呂(別料金)は利用しておりません。
富貴の湯
(源泉採取口における分析)
ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 70.1℃ pH6.7 370L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質1.049g/kg 成分総計1.204g/kg
Na+:183.5mg(62.98mval%), Mg++:14.3mg, Ca++:57.1mg(22.49mval%), Fe++:1.8mg,
Cl-:204.6mg(45.25mval%), HS-:0.3mg, HCO3-:389.8mg(50.12mval%),
H2SiO3:128.0mg, HBO2:20.1mg,CO2:154.2mg, H2S:0.9mg,
(平成20年12月18日)
(源泉と谷水が混合した浴槽湯口における分析)
単純温泉 37.9℃ pH8.2 370L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質0.839g/kg 成分総計0.846g/kg
Na+:140.6mg(61.20mval%), Mg++:11.2mg, Ca++:48.5mg(24.20mval%), Fe++:1.4mg,
Cl-:155.6mg(43.12mval%), HCO3-:313.2mg(50.39mval%),
H2SiO3:103.0mg, HBO2:15.4mg,CO2:7.3mg, H2S:0.1mg未満,
(平成20年12月18日)
平湯温泉バスターミナルから徒歩2~3分
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯 地図
0578-89-2306
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