温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

台南市 亀丹温泉 亀丹休体験農園

2016年03月29日 | 台湾
 
台湾屈指のマンゴーの産地として有名な台南市玉井からちょっと東へ入った田舎に、亀丹温泉という温泉が湧いていると聞き、車に乗って行ってみることにしました。マンゴー畑が広がる田園地帯を走っていると、やがて亀丹集落に入ります。集落の入口では大きなカメのモニュメントがお出迎え。亀丹だからカメという全く捻りのない単純な発想は、田舎らしい素直で長閑な空気感を象徴しているかのようです。もしこれが新進気鋭の現代アートだったら、ちょっと物怖じしちゃうかも。


 
路傍に立つ看板に導かれながら「南186」号線を走って行くと、右手に今回の目的地である「亀丹休体験農園」が姿を見せてくれました。この施設の傍には亀丹渓という川が流れており、台湾の温泉ファンのサイトによれば、上流へ遡って行くと温泉の源泉にたどり着けるのらしいのですが、この日はあいにく雨天でしたので、残念ですが源泉探索は見送ることにしました。


 
この日は雨天だというのに、週末だからか午前11:00の時点で第一駐車場は既に満車。仕方なくちょっと離れた第二駐車場に車を止め、正面ゲートからお客さんの歓声で賑やかな敷地内へと入りました。


 
後述する露天温泉プールを右手に見ながら構内を進み、前方にある売店兼受付で料金を支払います。受付のおばちゃんは、私が言葉の通じない日本人だとわかると、親切に施設内をいろいろと案内してくれました。右or下画像に写っているのはシャワーブース。ここで水着に着替えます。なおこの温泉プールでは、水着のほか、水泳帽かシャワーキャップの着用も求められるのですが、もし頭に被るものを持参していなければ、使い捨てのシャワーキャップを無料でもらえます。実際に私も一枚もらいました。


 
露天ゾーンには、屋根がかかっているところと、屋根のない広いプールがあるのですが、後者の屋根がないプールは全て冷水であり、そのプールサイドに立っている打たせ湯らしき装置も、実は温泉ではなく冷水なのであります。この日は台湾南部にしては珍しく肌寒い日でしたので、これらの冷水プールに入る人はほとんどいなかったのですが、後述する温泉槽の一部がかなり熱く、そこで湯浴みしていたら体が火照ってしまったので、ここでクールダウンしたらとっても爽快でした(塩素消毒臭の強さがちょっと気になりましたが…)。



奥の方にはこのような子供用のプールもあり、小雨降る肌寒い日だというのに、子供たちはこの冷たい水のプールで元気にはしゃいでいました。


 
さて本題の温泉槽へと参りましょう。大きな冷水プールの縁に沿う形で、屋根に庇護されながら6つの小さな岩風呂がカーブを描きながら列をなしています。この岩風呂群が温泉槽です。私が訪れた時には、奥の2つと手前の2つにお湯が張られていましたが、中ほどの2つは空っぽでした。各浴槽とも源泉を投入するバルブ付きの配管が設けられているのですが、常時お湯が湯船に注がれているわけではなく、入浴客の任意によってバルブを開けてお湯を足すシステムとなっています。つまり溜め湯式みたいな感じです。いずれの浴槽においても、入浴客は思い思いにバルブを操作してお湯をドバドバと継ぎ足していました。


 
6つある岩風呂のうち、奥の2つはぬるい湯加減となっており、私の温度計で測ったところ39.6℃でした。暑い日でしたら温泉槽のほか冷水プールにもお客さんが散らばるのでしょうけど、先述のようにこの日は肌寒かったため、このぬるくて入りやすい湯加減の岩風呂にお客さんが集中してしまい、それが原因でお湯がちょっと濁っていたのが残念…。


 
一方、手前2つの湯船には「高温池」と表示されているようにアツアツの湯加減がキープされており、実際に入ってみますとあまりの熱さで脛や腿がジンジンしたのですが、それもそのはず、なんと湯船の温度は46.7℃もあったのです。日本でもこんな熱い風呂に入れる人はなかなかいませんが、しかしながらこのお風呂では涼しい顔をして平然と湯浴みしているお客さんがいらっしゃり、台湾の熱風呂愛好家には恐れ入ります。


 
ちなみに熱い風呂のコックを開けて出てくるお湯は篦棒に熱い82.6℃。直に触ったら火傷しちゃいますね。さすがに熱い風呂にお客さんが集中することはなく、それでいて熱い風呂を好む人はコックを開けてじゃんじゃんお湯を継ぎ足すため、湯船のお湯はこちらの方がはるかに鮮度感が良く綺麗な状態でした。



46~7℃の熱い風呂に入浴中の私。おばちゃんみたいな使い捨てのシャワーキャップを被っております。個人的にはこの熱い風呂の方が、お湯のコンディションが良く、それでいて熱い源泉のお湯を心置きなく注げるので、満足のゆく湯浴みを楽しむことができました。溜め湯式ですが、お湯は循環などされていませんので、実質的に放流式の湯使いと捉えて差し支えないでしょう。

施設内の表示によれば重炭酸イオンの多い炭酸ナトリウムのお湯と記されていたのですが、日本的に表現するならば、重曹泉というより、薄い重炭酸土類泉か塩化土類泉といったような感じで、見た目は薄い黄色に懸濁し、匂いはほとんど嗅ぎとれないものの、味覚に関しては弱い塩味と土類的(石膏的)な味が伝わってきました。また石灰華などの析出は見られないものの、湯中では湯の華らしき白く微細な浮遊物がチラホラと舞っていました。浴感としてはツルスベとキシキシが同程度に拮抗しており、熱い湯はもちろん、ぬる湯に浸かっていても、しっかりとパワフルに温まり、迂闊に長湯していると火照ってフラフラになっちゃいます。
台南市の温泉といえば、アブラ臭を漂わせる泥湯でおなじみの関子嶺温泉が有名ですが、同じ市内でもこちらのお湯は、どちらかといえば隣接する高雄市の宝来温泉や不老温泉に近いような感じで、関子嶺のようなクセのある温泉が苦手な方にはこちらの方がよろしいかと思います。オープンエアの長閑な環境で熱いお湯を楽しめる、なかなか本格的な温泉でした。


  
 ちなみにこの亀丹温泉には、私が入浴した体験農園とは別に公営の「亀丹温泉体験池」と称する施設があるので、ちょっと立ち寄ってみたのですが、私より先に訪れた家族連れのお客さんは、受付で話を聞くや、園内に入ることなくすぐに立ち去っているではありませんか。どうしたものかと園内の様子を窺ったところ…


  
 
 この公園施設では大人数で楽しめるような足湯が綺麗に整備されているのですが、どの足湯槽も吹きさらしであるため、この日のような雨天では腰掛けるところがビショビショで、足湯を楽しめるようなコンディションではなかったのでした。しかも足湯しかないのに、大人50元、子供25元という入場料がかかるため、どのお客さんたちも園内に入らずゲート前で引き返していたのでした。せっかく公金で温泉施設を作るのなら、みんなが楽しめるような全天候型の入浴施設にすればよいのに、どうしてこんな中途半端な設備にしちゃったのか、いまいち理解に苦しみます。

 「台南市亀丹温泉体験池」 営業時間→水曜~日曜の9:30~16:30(月・火は休業)




(以下、「亀丹休体験農園」のデータです)
碳酸氫鹽泉(日本語風に言えば重曹泉といったところでしょうか)
56.8~87.1℃ pH8~8.6 溶存物質1090~1140mg/L HCO3-:696~712mg/L 

台鉄・台南駅から興南客運バスの緑幹線で玉井へ行き(2~4本/1時間)、玉井から興南客運の亀丹油礦(緑21線・1日4往復)行きに乗り換えて「牛坑」下車。
時刻や路線図に関しては「大台南公車」の公式サイトでご確認ください(日本語ページあり)
台南市楠西区亀丹里59-6号  地図
06-5746-989


平日12:00~21:00、休日9:00~21:00
屋外温泉プール300元(個室風呂1000元/90分)
水着・水泳帽(もしくはそれに類するもの)着用
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (4)
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