温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

新穂高温泉 深山荘(露天風呂)

2016年03月12日 | 岐阜県
 
前回記事に引き続き新穂高温泉を巡ります。前回取り上げた「神宝乃湯」がある鍋平高原から山を下って蒲田川の畔に沿って走る県道475号線に戻り、渓流沿いの露天風呂で有名な「深山荘」を目指しました。新穂高温泉に数多ある温泉旅館の一つですが、他の宿と隔絶しており、しかも川の対岸にポツンと立地しているため、実質的に一軒宿のような風情です。


 
県道と同じ川の左岸にある駐車場に車を止め、「かじかばし」と称する吊橋で右岸へと渡ります。清らかに澄み切った渓流の真上に立って上流を眺めると、雪渓が残る穂高の山々が峻厳な頂を覗かせていました。



今回は露天風呂のみ立ち寄り入浴させていただくつもりでお邪魔しましたので、まずは堂々とした構えの本館へ入って帳場に声をかけ、スタッフの方に湯銭を支払いました。館内には内湯もありますが、残念ながら今回はパスしました。


 
敷地内にはポンプで揚湯している源泉がいくつかありました。看板には穂高2号泉や穂高3号泉といった源泉名が表記されていますが、こちらで使っているお湯と同じなのか違うのか…。


 
湯銭を支払ってから屋外へ戻り、川沿いを上流に向かって歩いて露天風呂へ向かいます。手前は「姫の湯」で、奥が男湯。


 
男湯は後述するように3段に分かれており、最上段の浴槽の脇に細長い脱衣小屋が建てられています。棚にカゴが用意されているだけの質素な小屋ですが、脇役に徹するその質素さゆえ、美しい景観を邪魔することなく、周囲の自然環境に溶け込んでいました。
この小屋に掲示されている注意書きによれば、お風呂周辺での飲食はご遠慮願いたいが、酒類を含む飲料に関しては、ビンなど割れ物はNGで缶ならOKとのこと。ということは、露天に入りながら冷たい缶ビールをグビグビを飲めるんですね。宿泊すれば心置きなくお酒が飲めますから、いずれは泊まって酒を飲みながらゆっくり湯浴みを楽しんでみたいものです。またこの注意事項によりますと、男湯側にある3段の露天風呂のうち、最上段と中段は男性専用で水着不可ですが、最下段のみ混浴でしかも水着や湯浴み着の着用も可能とのことです(お宿にて湯浴み着の貸し出しあり)。


 
大きな傘が印象的な最上段の露天風呂には、打たせ湯も設けられていました。それにしても大きなお風呂ですね。普通の旅館だったら、この一つだけでも十分に立派ですが、こちらは同等のお風呂があと2つもあるんですから恐れ入ります。



最上段の浴槽脇には小さな掛け湯も設置されており、長年にわたって飛び散ったお湯によって周辺は白く染まっていました。それだけ硫黄っ気が多いお湯なんですね。


  
一方、こちらは中段および下段。目の前に清流が流れ、視界を邪魔するものが一切ない、この上ない開放的な露天風呂。こりゃ素晴らしい! 先ほども述べましたように、川縁の下段槽は水着着用可能の混浴です。
中段の浴槽では岩の隙間から伸びているホースからお湯が投入されており、ちょっと熱めの湯加減でしたが、その中段のお湯を受けている下段はややぬるめで入りやすい湯温でした。湯使いは純然たる放流式で、館内表示によれば温度が異なる2つの源泉をブレンドさせて、適温にしてから浴槽へ供給しているんだそうです。



せせらぎを耳にし、穂高の山々を眺めながらの湯浴み。極上のひと時です。


 
どの湯船のお湯も無色透明ですが、底にはたくさんの白い湯の花が沈殿しており、その形状も羽根状や消しゴムのカス状など様々です。とりわけ私の訪問時は中段の浴槽に大量の湯の花が沈殿していました。お湯からは硫化水素臭がプンプンと香っており、口に含むと硫黄由来のゴムっぽい味がうっすらと感じられました。スルスベと弱い引っかかりが混在する少々複雑な浴感ですが、総じて肌への当たりが優しく、どなたにも好まれそうなマイルドなフィーリングです。



私が個人的に気に入ったのは、体が火照った状態で目の前の川に飛び込むこと。夏だというのに、穂高連峰から流れてきた渓流は非常に清冽であり、踝を瞬間的に浸すだけでもビリビリと刺激が走って、足元からジンジンと冷えてくるのですが、その冷たさをグッと堪え、「えいっ」と気合を入れて肩まで川水に浸かってしまうと、不思議なことにこの上なく気持ち良いのです。実際に上画像で私は川の中に入ってその気持ち良さを味わっております。とはいえ、あまりに冷たいので30秒が限界であり、我慢できなくなったら再び湯船に戻って体を温める。そして再度火照ってきたらまた川へ…。このサイクルを何度も繰り返してしまいました。北アルプスの大自然と一体化できる素晴らしく開放的なロケーションのもと、掛け流しでワイルドな露天風呂と、清らかな天然の水風呂を思う存分楽しめる、まさに地上の楽園でした。今度は絶対に宿泊しなきゃ!


深山荘2号泉
単純温泉 63.7℃ pH6.90 940L/min(動力揚湯・150m掘削) 溶存物質0.572g/kg 成分総計0.602g/kg
Na+:100.7mg(76.44mval%), Ca++:18.1mg(15.71mval%),
Cl-:103.0mg(53.20mval%), HS-:0.6mg, HCO3-:121.8mg(36.56mval%),
H2SiO3:182.7mg, CO2:29.0mg, H2S:0.8mg,
(平成9年2月27日) 

高山バスセンター(高山駅前)より濃飛バスの新穂高ロープウェイ行で「深山荘前」下車(夏季は松本発着のバスも運行)
岐阜県高山市神坂720-1  地図
0578-89-2031
ホームページ

日帰り入浴(不定休)
 露天風呂→8:00~17:00, 18:00~22:00, 500円
 内湯→9:30~15:00, 700円
玄関にロッカーあり、女性用湯浴み着あり(日帰り入浴客は500円、宿泊客は無料)

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする