温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大塩温泉共同浴場 2015年秋再訪

2016年03月23日 | 福島県
 
奥会津の只見川流域では、2011年夏の福島新潟豪雨で発生したダム決壊やそれに伴う水害により、地域に点在するいくつかの温泉施設が被害を受けましたが、その後、県や町村等からの助成を受けて再興が行われ、被害を受けた温泉の一つである「大塩温泉共同浴場」も完全改築の上、2015年8月8日にリニューアルオープンと相成りました。私は昨年の秋だけで2回訪問しておりますので、満を持して今回拙ブログで紹介させていただきます。


 
川岸の斜面に沿って建てられた建物は、上下に長い造りになっており、玄関および下足場が最上階となっています。玄関の戸を開けて下足場を抜けると、すぐ下へ伸びる階段につながりますので、まずはこの階段で下のフロアへと向かいます。


 
階段を下り切ると、正面にカウンターが現れ、その上に料金箱が置かれていました。更新前の浴場と同じく新浴場でも無人施設であり、利用者は自分でこの箱へ協力金を納めます。小銭の用意が無い利用者でも、こちらには両替機が用意されていますし、カウンターの上には監視カメラも取り付けられていますので、無銭入浴の言い逃れはできません。


 
カウンターの隣の小上がりに休憩用のお座敷が設けられ、テレビも用意されていました。湯上がりにのんびり寛ぐにはもってこいですね。お座敷は後で利用させていただくとして、まずはフローリングの廊下を歩いて浴室へ。共同浴場ではなく旅館を思わせるような綺麗な姿に生まれ変わった館内にビックリです。


 
綺麗に維持されている脱衣室内には括り付けの棚にカゴが備え付けられているほか、流し台にドライヤーが用意されており、またロッカーも設置され、以前と比べて使いやすさが格段に向上しました。


 
上下に広がっている立地を生かして、浴室は天井が高く誂えられており、おかげで床面積以上に明るく広々と感じられました。窓からは只見川の流れや対岸の緑が一望できるのですが、訪問日は屋外で工事が行われており、目隠しのためブルーシートが張られていました。


 
新浴場には洗い場が新設されました。この洗い場にはボイラーで沸かしたお湯が出てくるカランが2基(うち1基はシャワー付き)が並んでいます。前回記事で取り上げた「湯倉温泉共同浴場」でもリニューアル後は利用者の利便性を考慮して真湯のカランが新たに設けられましたが、こうした設備により多くの人が使いやすくなりますから、コスト増を承知の上で洗い場の新設を決断なさった地元の方には感謝です。
一方、室内の壁には番号が付されたフックが4つ並んでいるのですが、これはおそらくロッカーの鍵を掛けるためのものでしょう。この浴場のロッカーキーは手首に巻くタイプではないので、ここに鍵を掛けて目で監視するわけですね。


 

まだ開業して1年も経っていないのに、温泉成分の付着によって浴室の床は赤く染まっており、浴槽の縁には凸凹の石灰華が付着しはじめていました。そして浴槽のお湯がオーバーフローする流路の床は、元の素材の色がわからないほど濃い赤茶色に染まり上がっていました。休憩室や脱衣室はまだ新建材の匂いが放たれており、新築らしい佇まいが感じられるのですが、浴室内は早くも奥会津の温泉らしい風格を漂わせていますね。赤黒く染まった浴室と、湯船周りでコッテコテにこびりつく石灰華は、この地域の温泉に共通して見られる特徴です。


 
窓の外側には小さな露天風呂も造られていたのですが、昨年秋に2度訪問した時点ではまだ使えない状態でした。もっとも炭酸ガスを放つお湯ですから、アブが発生する時期にお湯を溜めちゃうと大変なことになりそうですね。


 
木組みのポストみたいな湯口よりお湯がボコボコと音を立てながら湯船へ注がれています。たまにお湯の出が数秒間だけ止まることがあるのですが、おそらく配管中にエアが混ざってしまうためかと思われます。なお源泉温度が40℃に満たないため、秋から春にかけての期間は加温されており、それが原因なのか、利用の際に納める協力金は湯倉温泉よりも100円高い300円という設定になっています。

浴槽は4~5人サイズですが、ひざを折り曲げて詰めれば10人は入れそうな容量があり、前回記事の「湯倉温泉共同浴場」より若干大きな寸法です。湯船には緑色を帯びながら橙色に強く濁るお湯が張られているのですが、湯船に入ると槽内に触れた手やお尻に同色の沈殿が付着し、それを拭ったタオルまでその色に染まってしまいます。このため湯上がりの際には洗い場の真湯で体にこびりついた沈殿をしっかり落とした方が良いかもしれません。お湯を口に含むと、しっかりとした塩味・金気味・土類味・出汁味・はっきりとした炭酸味といった様々な味覚が感じられ、湯船の中ではキシキシと引っかかる浴感と同時に、木工で使う砥の粉を全身に塗りたくったかのような感覚に覆われます。加温は程々に抑えられているのですが、炭酸の温浴効果とともに、全身を覆う砥の粉のような石灰の微粒子が毛穴をしっかり埋め尽くすのか、湯加減のわりには温まりが強く、湯上がりにはしっかり火照って汗が止まらなくなりました。さすが温泉ファンから熱く支持される名湯だけあり、力強さは本物です。
上述のように私はリニューアルオープン後、既に複数回利用しているのですが、いずれの訪問時にも常に数人の利用者がおり、人気の高さが窺えました。これからも多くの人々を温める名湯であり続けてほしいものです。


大塩温泉第四源泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 38.3℃ pH6.2 123L/min(掘削自噴) 溶存物質8.959g/kg 成分総計9.908g/kg
Na+:2391mg(78.04mval%), Mg++:131.5mg(8.12mval%), Ca++:238.9mg(8.94mval%), Fe++:9.2mg,
Cl-:2950mg(61.88mval%), Br-:6.7mg, I-:0.2mg, SO4--:1078mg(16.69mval%), HCO3-:1750mg(21.33mval%),
H2SiO3:121.7mg, HBO2:37.6mg, CO2:949.0mg,
(平成24年4月25日)
10月~5月は加温

福島県大沼郡金山町大字大塩字休場  地図

4~10月→7:30~21:00, 11月~3月→8:30~20:00,
協力金300円以上
ドライヤー・ロッカーあり

私の好み:★★★
コメント (12)
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