前回記事で取り上げた青森県の「玉勝温泉別館」で一晩過ごした翌朝。朝風呂に入った後、電子レンジで温めたお弁当を掻き込んで宿を出発し、まずは宿から徒歩3〜4分のところにある上北町駅へ向かいました。
早朝の上北町駅から、通学の高校生で賑やかな青い森鉄道の快速八戸行きに乗車。水色の車体は、朝日を浴びて赤く輝いていました。
八戸から更に列車を乗り継ぎ・・・
盛岡駅で北上行きの普通列車に乗り換え・・・
途中で釜石からやってきた「SL銀河号」とすれ違ったりしながら・・・
北上駅で北上線のディーゼルカーに乗り換えます。
最後部を陣取り、うっすらと雪化粧をした錦秋湖を眺めながら・・・
午前11時ちょっと前に、ほっとゆだ駅へ到着しました。
皆様ご存知のように、この駅舎は温泉浴場があることで有名なのですが、今回その浴場はパスして・・・
駅前から出る湯本温泉行の路線バスに乗車しました。融雪剤の影響なのか、バスのボディー側面はベコベコに凹んでおり、この日も傷ついた躯体に鞭を打ちながら頑張って走ってくれました。
バスに揺られること15分ほどで湯田湯本の温泉街に到着です。
バス停の前には仏様と一緒に並ぶ立派な飲泉所が設けられていました。
さて当地で湯巡りを始めることにしましょう。
1軒目は温泉街の中央部に位置する旅館「一休館」です。以前拙ブログで取り上げた「旅館一城」に隣接しており、渋い外観が味わい深い風情を醸し出していました。
玄関で入浴をお願いしますと、奥から現れたお爺さんは、一旦お風呂の様子を確認した上で、どうぞと中へ通してくださいました。
玄関を上がって左折し、ちょっと進んで右折した先にお風呂の暖簾がかかっていました。
脱衣室はかなりコンパクト。棚も6つしか設置されておらず、カゴの大きさが棚のサイズに合っていないため、各カゴが斜めに収められていました。お宿としての収容キャパを少人数に設定しているのでしょうか。ということは、もし宿泊した場合は、騒々しいグループ客を気にせず静かに過ごせるのかもしれませんね。
浴室に入った途端、硫酸塩泉らしい湯の香がプンと漂ってきました。チョロチョロとお湯が落とされる音だけが反響する静謐の浴室には、昔ながらの豆タイルが多用されており、昭和の趣きたっぷりです。お風呂は内湯のみですが2方向に設けられた窓から外光が降り注いでおり、照明無しでも十分な照度が確保されていました。洗い場にはカランが2基並んでおり、うち1基はシャワー付きです。床に敷き詰められたタイルは白と緑の市松模様になっていました。
一見すると浴槽と洗い場があるだけのお風呂に思えちゃいますが、浴室の角には赤や青の細いラインが縦に入った豆タイルの化粧柱が立っており、さりげなく非日常的な装飾が施されていたのでした。こうした控えめで淑やかな飾り付けこそ、伝統的な日本の美意識ですよね。
浴槽は(目測で)1.2m×2.5mほどの大きさで、おおよそ4人サイズ。こちらも全面豆タイル貼りであり、底面は水色系の濃淡で市松模様を描いています。一方、縁のタイルは長年の使用によって剥がれてしまい、修繕のために塗ったモルタルによって、カマボコのような形状をなしていました。そして、その縁の上を舐めるように、湯船のお湯が静々と溢れ出ていました。完全掛け流しの湯使いです。
お湯は白い析出で覆われたバルブ付きの配管から供給されているのですが、その投入量はチョロチョロ程度に抑えられています。というのも、95℃という沸騰直前の激熱な温泉を、加水することなく入浴に適した温度まで調整するため、このように湯量を絞っているのでした。安易に加水することなく、湯量で温度を調整することによって、源泉と同じ濃さのお湯に入ることができるわけです。それゆえ、湯船に人が入って一気にお湯がオーバーフローしちゃうと、湯嵩の回復に時間を要してしまいますが、幸いにして私が訪れた時には先客がおらず、しかも湯減りも全く見られなかったため、鮮度感の高いお湯を思う存分に満喫することができました。
湯口に置かれておるコップで飲泉してみますと、パラフィンを連想させる硫酸塩泉ならではの味と匂いが感じられ、石膏感もしっかりと伝わってきました。湯船に張られた無色透明でクリアに澄み切ったお湯は、外光を反射してキラキラと輝いており、その光景を眺めているだけでも心が清らかになります。源泉投入量の絞り方が絶妙であるため、入りしなこそピリッと熱く感じるのですが、よくかき混ぜたところ41〜2℃に落ち着き、その湯加減とお湯の鮮度感が相まって、いつまでも長湯していたくなりました。湯中では少々のトロミがあるほか、硫酸塩泉らしい引っかかりも感じられ、肌の皺に優しく浸透してくるような感覚もあります。そして湯上がりは体の芯までとてもよく温まるのに、粗熱の抜けも良いため、温浴効果と爽快感が両立する素晴らしい感覚を体感することができました。
古くて渋い建物ですが、お湯のクオリティには確固たる信念をお持ちでいらっしゃるこちらのお宿。お風呂から上がって退館するとき、お宿のお爺さんにお湯が良かったことを伝えると、「うちは水を一滴も加えてないんですよ」と誇らしげに教えてくださいました。湯田湯本温泉の良さを認識させてくれた風情あるお風呂でした。
第6号泉
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 95.0℃ pH7.6 500L/min(動力揚湯) 溶存物質1.566g/kg 成分総計1.571g/kg
Na+:390.4mg(80.40mval%), Ca++:71.4mg(16.86mval%),
Cl-:303.1mg(39.49mval%), SO4--:563.5mg(54.18mval%), HCO3-:62.0mg,
H2SiO3:145.2mg,
(平成27年1月26日)
JR北上線・ほっとゆだ駅より岩手県交通バスの湯本温泉方面行で「湯本温泉」下車、徒歩2分程度
岩手県和賀郡西和賀町湯本30-82 地図
0197-84-2131
ホームページ
日帰り入浴時間要問い合わせ
300円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
早朝の上北町駅から、通学の高校生で賑やかな青い森鉄道の快速八戸行きに乗車。水色の車体は、朝日を浴びて赤く輝いていました。
八戸から更に列車を乗り継ぎ・・・
盛岡駅で北上行きの普通列車に乗り換え・・・
途中で釜石からやってきた「SL銀河号」とすれ違ったりしながら・・・
北上駅で北上線のディーゼルカーに乗り換えます。
最後部を陣取り、うっすらと雪化粧をした錦秋湖を眺めながら・・・
午前11時ちょっと前に、ほっとゆだ駅へ到着しました。
皆様ご存知のように、この駅舎は温泉浴場があることで有名なのですが、今回その浴場はパスして・・・
駅前から出る湯本温泉行の路線バスに乗車しました。融雪剤の影響なのか、バスのボディー側面はベコベコに凹んでおり、この日も傷ついた躯体に鞭を打ちながら頑張って走ってくれました。
バスに揺られること15分ほどで湯田湯本の温泉街に到着です。
バス停の前には仏様と一緒に並ぶ立派な飲泉所が設けられていました。
さて当地で湯巡りを始めることにしましょう。
1軒目は温泉街の中央部に位置する旅館「一休館」です。以前拙ブログで取り上げた「旅館一城」に隣接しており、渋い外観が味わい深い風情を醸し出していました。
玄関で入浴をお願いしますと、奥から現れたお爺さんは、一旦お風呂の様子を確認した上で、どうぞと中へ通してくださいました。
玄関を上がって左折し、ちょっと進んで右折した先にお風呂の暖簾がかかっていました。
脱衣室はかなりコンパクト。棚も6つしか設置されておらず、カゴの大きさが棚のサイズに合っていないため、各カゴが斜めに収められていました。お宿としての収容キャパを少人数に設定しているのでしょうか。ということは、もし宿泊した場合は、騒々しいグループ客を気にせず静かに過ごせるのかもしれませんね。
浴室に入った途端、硫酸塩泉らしい湯の香がプンと漂ってきました。チョロチョロとお湯が落とされる音だけが反響する静謐の浴室には、昔ながらの豆タイルが多用されており、昭和の趣きたっぷりです。お風呂は内湯のみですが2方向に設けられた窓から外光が降り注いでおり、照明無しでも十分な照度が確保されていました。洗い場にはカランが2基並んでおり、うち1基はシャワー付きです。床に敷き詰められたタイルは白と緑の市松模様になっていました。
一見すると浴槽と洗い場があるだけのお風呂に思えちゃいますが、浴室の角には赤や青の細いラインが縦に入った豆タイルの化粧柱が立っており、さりげなく非日常的な装飾が施されていたのでした。こうした控えめで淑やかな飾り付けこそ、伝統的な日本の美意識ですよね。
浴槽は(目測で)1.2m×2.5mほどの大きさで、おおよそ4人サイズ。こちらも全面豆タイル貼りであり、底面は水色系の濃淡で市松模様を描いています。一方、縁のタイルは長年の使用によって剥がれてしまい、修繕のために塗ったモルタルによって、カマボコのような形状をなしていました。そして、その縁の上を舐めるように、湯船のお湯が静々と溢れ出ていました。完全掛け流しの湯使いです。
お湯は白い析出で覆われたバルブ付きの配管から供給されているのですが、その投入量はチョロチョロ程度に抑えられています。というのも、95℃という沸騰直前の激熱な温泉を、加水することなく入浴に適した温度まで調整するため、このように湯量を絞っているのでした。安易に加水することなく、湯量で温度を調整することによって、源泉と同じ濃さのお湯に入ることができるわけです。それゆえ、湯船に人が入って一気にお湯がオーバーフローしちゃうと、湯嵩の回復に時間を要してしまいますが、幸いにして私が訪れた時には先客がおらず、しかも湯減りも全く見られなかったため、鮮度感の高いお湯を思う存分に満喫することができました。
湯口に置かれておるコップで飲泉してみますと、パラフィンを連想させる硫酸塩泉ならではの味と匂いが感じられ、石膏感もしっかりと伝わってきました。湯船に張られた無色透明でクリアに澄み切ったお湯は、外光を反射してキラキラと輝いており、その光景を眺めているだけでも心が清らかになります。源泉投入量の絞り方が絶妙であるため、入りしなこそピリッと熱く感じるのですが、よくかき混ぜたところ41〜2℃に落ち着き、その湯加減とお湯の鮮度感が相まって、いつまでも長湯していたくなりました。湯中では少々のトロミがあるほか、硫酸塩泉らしい引っかかりも感じられ、肌の皺に優しく浸透してくるような感覚もあります。そして湯上がりは体の芯までとてもよく温まるのに、粗熱の抜けも良いため、温浴効果と爽快感が両立する素晴らしい感覚を体感することができました。
古くて渋い建物ですが、お湯のクオリティには確固たる信念をお持ちでいらっしゃるこちらのお宿。お風呂から上がって退館するとき、お宿のお爺さんにお湯が良かったことを伝えると、「うちは水を一滴も加えてないんですよ」と誇らしげに教えてくださいました。湯田湯本温泉の良さを認識させてくれた風情あるお風呂でした。
第6号泉
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 95.0℃ pH7.6 500L/min(動力揚湯) 溶存物質1.566g/kg 成分総計1.571g/kg
Na+:390.4mg(80.40mval%), Ca++:71.4mg(16.86mval%),
Cl-:303.1mg(39.49mval%), SO4--:563.5mg(54.18mval%), HCO3-:62.0mg,
H2SiO3:145.2mg,
(平成27年1月26日)
JR北上線・ほっとゆだ駅より岩手県交通バスの湯本温泉方面行で「湯本温泉」下車、徒歩2分程度
岩手県和賀郡西和賀町湯本30-82 地図
0197-84-2131
ホームページ
日帰り入浴時間要問い合わせ
300円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★