温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

下呂温泉 民宿ラムネ屋

2016年09月10日 | 岐阜県
 
下呂温泉では「民宿ラムネ屋」で一晩お世話になりました。飛騨川右岸の幸田地区にあり、駅から徒歩5分弱という便利な立地です。向かいには公衆浴場「幸乃湯」があり、またかつては県立下呂病院が隣接していましたが、現在は病院が移転したため、跡地は更地になっています。
こちらのお宿は食堂を兼業しているのですが、実際にお宿の前まで近づくと、民宿というより食堂としての存在感が強く、民宿の玄関は建物の左隅で控えめに構えていました。


 
2階建ての建物は、1階が食堂・お風呂など、2階が客室(全7室)となっています。今回通されたお部屋は一人旅向けの6畳間で、入室した時には既に布団が敷かれており、そしてコタツもセッティングされていました。室内にはテレビやエアコンなどが備え付けられているほか、ポットや浴衣などの用意もあり、またWifiも利用可能です。


 
今回は朝食付きのプラン(税込4,850円)でお願いしたので、夕食は温泉街に繰り出して適当に摂ろうと考えていたのですが、湯巡りしているうちにお店選びが面倒臭くなってしまい、結局お宿に戻って1階にある食堂で味噌カツ(別料金)を注文したのでした(左or上画像)。
あくる日の朝食も同じく食堂でいただきます(右or下画像)。5,000円未満というとってもお手頃な価格設定なのに、こんな立派な朝食がいただけるんですよ。お値打ちですよね。



下呂での夜をこちらの宿で過ごそうと決めた理由は、お風呂のお湯が良いと評判だからです。でもお風呂は1室しかありません。このため早い者勝ちの予約制となっており、帳場にある順番表で空いている時間帯を確認し、希望の枠に自分の部屋番号を記入しておくと、その時間になれば宿の方が部屋まで声をかけてくださいます。なお1回の入浴時間は30分で、夜の最終枠は22:30〜23:00となっています。次のお客さんのためにも時間はしっかり守りましょう。なお私が泊まった日は混雑していたため、夜1回と早朝1回の枠を確保するのが精一杯でした。



浴室は一般家庭のお風呂とさほど変わらないコンパクトな空間。浴槽が一つとカランが1基設けられているばかりです。でも扉を開けた瞬間、温泉から漂うタマゴ臭がふんわりと香ってきました。下呂温泉でここまではっきりと浴室内に湯の香が立ち込めているお風呂は、大変珍しいかと思います。


 
広さこそ民家並みですが、足元に鉄平石を敷いたり、石積みの湯口を設けたりと、装飾を凝ることによって温泉宿としての風情を演出していました。特に目を惹くのが、壁一面に貼られた藍絵のタイルです。一枚一枚全て異なった風景が描かれているのですが、これは歌川広重の東海道五十三次をタイルに焼き付けたもの。日本橋の江戸出立から始まり、品川・川崎・神奈川・・・と続いて、京都の三条大橋で締めくくられていました。五十三次+日本橋=54枚ですので、横6列×縦9列でうまい具合に収まるんですね。この絵を見ているだけでも30分が経っちゃいそうです。


 
上述しましたように洗い場のカラン(シャワー付き)は1基のみですが、カランから吐出されるお湯は100%温泉。ローションみたいに滑らかなお湯を頭から思う存分かぶることができるんですよ。



浴槽は1〜2人サイズ。いや、2人はきついかもしれません。でもお湯は完全掛け流し。ちょっと熱めの湯加減でしたが、しっかり湯もみをしたら、加水せずに入ることができました。縁から洗い場へしっかりとお湯がオーバーフローしており、私が湯船に入ったら、浴室内が洪水状態になるほど大量に溢れ出ました。


 
石積みの湯口から配湯されたままの状態の熱いお湯が注がれています。50℃以上で配湯されてくるお湯をそのまま注いでいるので、投入量は絞り気味に設定されていますが、壁にはコックが設けられていますので、これで湯量や加水などを自分の好みに加減することができます(使用後は元に戻しておきましょう)。
お湯は駅前の幸田タンクからの供給を受けたもので、見た目は無色透明、タマゴ感(味と匂い)が弱いながらもしっかりと主張しています。そして特筆すべきは下呂温泉ならではの滑らかな浴感。ヌルヌルを伴うツルツルスベスベな感覚は非常に気持ち良く、トロミを有するお湯はまるでローションのようであり、ここの湯船に浸かれば誰しもが美人肌になっちゃいます。前回記事の「噴泉池」と同じように、集中管理の混合泉とはいえ、手を加えずに供給すれば素晴らしい浴感を味わうことができるのですね。30分の時間制限が恨めしく思えるほど、虜になっていつまでも浸かっていたくなる極上のお湯です。

駅近でリーズナブルであるにもかかわらず、素晴らしい状態のお湯を堪能することができる、非常に印象的なお宿でした。
鉄道旅の方にはもちろん、泉質重視の方にもオススメです。


下呂温泉集中管理源泉混合泉(幸田ポンプ場)
アルカリ性単純温泉 55.5℃(配湯温度) pH9.5 毎分2300L/min(合計) 溶存物質0.345g/kg 成分総計0.345g/kg
Na+:108.9mg(97.53mval%),
F-:16.5mg(17.28mval%), Cl-:75.0mg(42.11mval%), HS-:0.9mg, HCO3-:22.1mg, CO3--:38.6mg(25.63mval%),
H2SiO3:62.9mg,
(平成25年11月25日)
(館内掲示は平成16年のものでしたが、他施設で平成25年のデータがありましたので、ここでは平成25年の数値を掲載します)
加温循環消毒なし
お風呂をためる時に多少の加水を実施

JR高山本線・下呂駅より徒歩5分
岐阜県下呂市幸田1090-3  地図
0576-25-2529
ホームページ

日帰り入浴なし(宿泊のみ)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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