今回からは岐阜県飛騨路の下呂温泉を連続して取り上げます。とはいえ、前回までの記事と同じく半年前の冬(2016年の正月休み)に巡ったときの記録であり、鮮度感に劣る季節外れな風景が続きますが、何卒ご容赦ください。
まずは高山本線で下呂駅へ向かい、駅前にある観光案内所で「湯めぐり手形」を購入しました。下呂温泉の「湯めぐり手形」は1,300円で3ヶ所をめぐることができますので、当地で3ヶ所以上温泉をハシゴするのでしたら、手形を購入した方が経済的です。手形購入時には加盟している旅館・施設と利用可能時間の一覧表を手渡してくれますが、施設によってはその時間内であっても利用不可な場合があるので、公式サイトであらかじめ利用可能時間を調べておき、前日か当日に各施設へ直接問い合わせた方が宜しいかと思います。
私がまず向かったのは「ひだ山荘」です。温泉街は飛騨川の両岸に沿って分布していますが、こちらのお宿は温泉街の外縁部にある温泉寺の裏手に位置しており、温泉街からひたすら坂道を登ってゆくことになります。
玄関に湯めぐり手形の看板が立っていることを確認してから入館し、フロントで手形を呈示して入浴をお願いしますと、スタッフの方が快く対応してくださいました(先述しましたように、正月休みに伺ったため、玄関には松飾りが据えられていました)。
山裾の傾斜地に立地しているため、ロビーからの見晴らしが素晴らしく、眼下に広がる温泉街を一望することができました。なお、浴場内にロッカーが無いため、貴重品はフロントへ預けることになります。
エレベーターか階段をで階下の浴室へ。
空調が効いた脱衣室は、手入れがよく行き届いており、綺麗で使い勝手良好です。室内には日本温泉協会のプレートが掲示されており、これによれば源泉・泉質・給排湯方式・加水の4項目で5つ星(満点)、引湯が4つ、そして新湯注入率で3つという評価となっていました。
浴室は内湯のみで露天風呂はありませんが、2方向に大きな窓があるため、室内は大変明るくて湯気籠りも少なく、清潔感に満ち溢れており、快適な入浴環境が維持されていました。窓と反対側に設けられた洗い場には、温泉街の街明かりをイメージしたと思しきカラフルな壁絵が施されており、明るく大きな窓と共に非日常的な雰囲気を醸し出していました。洗い場にはシャワー付きカランが4基並んでおり、一つ一つの間隔が広く確保されているため、混雑時でも隣のお客さんとの干渉を気にせずに利用できそうです。
大きな窓の外は温泉街を見晴らすパノラマが・・・と言いたいところですが、さすがに目隠しする必要があるためか、窓の外側には庭木が植えられています。でも日本庭園風の誂えですので、まるで露天風呂にいるような景色が広がっており、また高台なので梢越しに山々を眺められ、屋内にもかかわらずなかなか開放的でした。
石板張りの浴槽は、上から見ると縦長の台形のような形状をしており、小学校の算数で習った台形求積の公式風に表現しますと、(目測で)上底1m・下底2m・高さ3.5mといった寸法で、おおよそ6〜7人サイズといったところ。浴槽の縁からお湯がしっかりと溢れ出ており、槽内での吸引や供給など見られないので、放流式の湯使いかと思われます。
浴槽隅で立ち上がっている箱型の湯口からお湯が落とされており、50℃以上の熱いお湯が湯量を絞った上で投入されています。湯口の横に置かれている木板には「源泉かけ流しの為 熱くお入り出来ない場合は 成分が薄くはなりますが 加水をおすすめします」と説明が書かれていました。放流式の湯使いなのですが、お湯をそのままの状態で湯船へ供給するため、熱いお湯の投入量を絞っているわけです。それでも熱く感じる場合は、お客さんがセルフで加水をするのですね。私が訪れた時には他にどなたもいらっしゃらず、完全独占状態だったのですが、お湯の熱さも気になるほどではなかったので、一滴も加水せずそのままの状態で入浴させていただきました。
お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、わずかにアルカリ性泉的な微収斂と土気のような味が感じられます。塩素消毒を実施しているそうですが、ほとんど気になりません。でも、温泉街に点在する足湯・手湯・飲泉場のお湯から得られるようなタマゴ感は、こちらのお湯からは感じられませんでした。さすがにアルカリ性泉だけあって、お湯にはトロミがあり、ツルスベの滑らかな浴感もしっかり肌に伝わってきます(でも、あくまで個人的な感想ですが特段印象に残るほどではなかったかも)。
下呂温泉では14ヶ所の源泉から温泉を集めて集中管理していますが、配湯系統は湯之島・森地区と幸田地区の2系統に分かれており、こちらのお宿では前者の系統のお湯が引かれています。ポンプ所から供給されたお湯をどのようなスタイルでお客さんに提供するかは、その施設の判断に委ねられているのですが、こちらのお宿の場合は放流式の湯使いで、投入量を絞って温度を調整することにより、お湯の濃さを変えることなくお客さんに下呂温泉の良さを味わってもらおうと努めていらっしゃるのですね。安易に加水や循環装置に頼ろうとしない信念には頭が下がります。下呂温泉でかけ流しのお風呂は少ないため、こちらのようなお風呂は貴重な存在です。
お風呂から上がった後、温泉街へ戻るべく、「ひだ山荘」の目の前にある温泉寺の境内へお邪魔しました。境内を通り抜けるとショートカットできるんです。でも、何もしないでただ通り過ぎるのは御本尊に申し訳ないので、ちゃんと本堂で合唱させていただきました。上画像は山門と本堂です。
境内のつくばいには熱い温泉が注がれていました。当記事本文でも軽く触れましたが、下呂温泉では各施設の浴場よりも、足湯・手湯・飲泉場のお湯の方が質感がしっかり伝わってくる傾向があり、このつくばいでも、熱いお湯からタマゴ感とヌルツルの滑らかさが伝わってきました。その質感のままで入浴できたら良いんだけどなぁ…。
山門をくぐってから、長い石段で温泉街へ向かってまっすぐ下りていきました。石段からは温泉街を一望できました。この石段は当地観光のおすすめスポットです。
送湯ポンプ所(集中管理・湯之島ポンプ所)
アルカリ性単純温泉 56.2℃ pH8.9 毎分2000L(合計) 溶存物質0.387g/kg 成分総計0.387g/kg
Na+:118.2mg(94.83mval%),
F-:10.3mg(9.99mval%), Cl-:113.1mg(59.00mval%), HCO3-:37.5mg(11.28mval%), CO3--:24.1mg(14.80mval%),
H2SiO3:57.3mg,
(平成25年11月25日)
加水加温循環なし、消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を通年使用)
JR高山本線・下呂駅より徒歩15分(約1km)
岐阜県下呂市湯之島683-1 地図
0576-25-3140
ホームページ
湯めぐり手形利用可能時間15:00〜20:00(なお私の訪問日は18:00まででしたので、日によって時間が変更される場合があります。事前に直接施設へご確認ください)
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品はフロント預かり
私の好み:★★
まずは高山本線で下呂駅へ向かい、駅前にある観光案内所で「湯めぐり手形」を購入しました。下呂温泉の「湯めぐり手形」は1,300円で3ヶ所をめぐることができますので、当地で3ヶ所以上温泉をハシゴするのでしたら、手形を購入した方が経済的です。手形購入時には加盟している旅館・施設と利用可能時間の一覧表を手渡してくれますが、施設によってはその時間内であっても利用不可な場合があるので、公式サイトであらかじめ利用可能時間を調べておき、前日か当日に各施設へ直接問い合わせた方が宜しいかと思います。
私がまず向かったのは「ひだ山荘」です。温泉街は飛騨川の両岸に沿って分布していますが、こちらのお宿は温泉街の外縁部にある温泉寺の裏手に位置しており、温泉街からひたすら坂道を登ってゆくことになります。
玄関に湯めぐり手形の看板が立っていることを確認してから入館し、フロントで手形を呈示して入浴をお願いしますと、スタッフの方が快く対応してくださいました(先述しましたように、正月休みに伺ったため、玄関には松飾りが据えられていました)。
山裾の傾斜地に立地しているため、ロビーからの見晴らしが素晴らしく、眼下に広がる温泉街を一望することができました。なお、浴場内にロッカーが無いため、貴重品はフロントへ預けることになります。
エレベーターか階段をで階下の浴室へ。
空調が効いた脱衣室は、手入れがよく行き届いており、綺麗で使い勝手良好です。室内には日本温泉協会のプレートが掲示されており、これによれば源泉・泉質・給排湯方式・加水の4項目で5つ星(満点)、引湯が4つ、そして新湯注入率で3つという評価となっていました。
浴室は内湯のみで露天風呂はありませんが、2方向に大きな窓があるため、室内は大変明るくて湯気籠りも少なく、清潔感に満ち溢れており、快適な入浴環境が維持されていました。窓と反対側に設けられた洗い場には、温泉街の街明かりをイメージしたと思しきカラフルな壁絵が施されており、明るく大きな窓と共に非日常的な雰囲気を醸し出していました。洗い場にはシャワー付きカランが4基並んでおり、一つ一つの間隔が広く確保されているため、混雑時でも隣のお客さんとの干渉を気にせずに利用できそうです。
大きな窓の外は温泉街を見晴らすパノラマが・・・と言いたいところですが、さすがに目隠しする必要があるためか、窓の外側には庭木が植えられています。でも日本庭園風の誂えですので、まるで露天風呂にいるような景色が広がっており、また高台なので梢越しに山々を眺められ、屋内にもかかわらずなかなか開放的でした。
石板張りの浴槽は、上から見ると縦長の台形のような形状をしており、小学校の算数で習った台形求積の公式風に表現しますと、(目測で)上底1m・下底2m・高さ3.5mといった寸法で、おおよそ6〜7人サイズといったところ。浴槽の縁からお湯がしっかりと溢れ出ており、槽内での吸引や供給など見られないので、放流式の湯使いかと思われます。
浴槽隅で立ち上がっている箱型の湯口からお湯が落とされており、50℃以上の熱いお湯が湯量を絞った上で投入されています。湯口の横に置かれている木板には「源泉かけ流しの為 熱くお入り出来ない場合は 成分が薄くはなりますが 加水をおすすめします」と説明が書かれていました。放流式の湯使いなのですが、お湯をそのままの状態で湯船へ供給するため、熱いお湯の投入量を絞っているわけです。それでも熱く感じる場合は、お客さんがセルフで加水をするのですね。私が訪れた時には他にどなたもいらっしゃらず、完全独占状態だったのですが、お湯の熱さも気になるほどではなかったので、一滴も加水せずそのままの状態で入浴させていただきました。
お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、わずかにアルカリ性泉的な微収斂と土気のような味が感じられます。塩素消毒を実施しているそうですが、ほとんど気になりません。でも、温泉街に点在する足湯・手湯・飲泉場のお湯から得られるようなタマゴ感は、こちらのお湯からは感じられませんでした。さすがにアルカリ性泉だけあって、お湯にはトロミがあり、ツルスベの滑らかな浴感もしっかり肌に伝わってきます(でも、あくまで個人的な感想ですが特段印象に残るほどではなかったかも)。
下呂温泉では14ヶ所の源泉から温泉を集めて集中管理していますが、配湯系統は湯之島・森地区と幸田地区の2系統に分かれており、こちらのお宿では前者の系統のお湯が引かれています。ポンプ所から供給されたお湯をどのようなスタイルでお客さんに提供するかは、その施設の判断に委ねられているのですが、こちらのお宿の場合は放流式の湯使いで、投入量を絞って温度を調整することにより、お湯の濃さを変えることなくお客さんに下呂温泉の良さを味わってもらおうと努めていらっしゃるのですね。安易に加水や循環装置に頼ろうとしない信念には頭が下がります。下呂温泉でかけ流しのお風呂は少ないため、こちらのようなお風呂は貴重な存在です。
お風呂から上がった後、温泉街へ戻るべく、「ひだ山荘」の目の前にある温泉寺の境内へお邪魔しました。境内を通り抜けるとショートカットできるんです。でも、何もしないでただ通り過ぎるのは御本尊に申し訳ないので、ちゃんと本堂で合唱させていただきました。上画像は山門と本堂です。
境内のつくばいには熱い温泉が注がれていました。当記事本文でも軽く触れましたが、下呂温泉では各施設の浴場よりも、足湯・手湯・飲泉場のお湯の方が質感がしっかり伝わってくる傾向があり、このつくばいでも、熱いお湯からタマゴ感とヌルツルの滑らかさが伝わってきました。その質感のままで入浴できたら良いんだけどなぁ…。
山門をくぐってから、長い石段で温泉街へ向かってまっすぐ下りていきました。石段からは温泉街を一望できました。この石段は当地観光のおすすめスポットです。
送湯ポンプ所(集中管理・湯之島ポンプ所)
アルカリ性単純温泉 56.2℃ pH8.9 毎分2000L(合計) 溶存物質0.387g/kg 成分総計0.387g/kg
Na+:118.2mg(94.83mval%),
F-:10.3mg(9.99mval%), Cl-:113.1mg(59.00mval%), HCO3-:37.5mg(11.28mval%), CO3--:24.1mg(14.80mval%),
H2SiO3:57.3mg,
(平成25年11月25日)
加水加温循環なし、消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を通年使用)
JR高山本線・下呂駅より徒歩15分(約1km)
岐阜県下呂市湯之島683-1 地図
0576-25-3140
ホームページ
湯めぐり手形利用可能時間15:00〜20:00(なお私の訪問日は18:00まででしたので、日によって時間が変更される場合があります。事前に直接施設へご確認ください)
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品はフロント預かり
私の好み:★★