温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯田湯本温泉 丑の湯

2016年09月03日 | 岩手県
 
前回記事で取り上げた「一休館」を出た後、湯田湯本温泉のお風呂をもう一軒ハシゴしようと考え、あらかじめ目星をつけていたお宿を訪ねたのですが、残念ながらその施設は日帰り入浴を臨時休業。途方に暮れて温泉街をウロウロしていたところ、ウシのイラストとともに「天然温泉かけ流し 丑の湯」とプリントされた幟が温泉街のあちこちに立てられていたので、その幟に書かれていた文言を信じて公衆浴場「丑の湯」へ行ってみることにしました。以前からこの浴場の存在を知っていたものの、循環の湯使いであるという情報を得ていたので、いままで敬遠していたのでした。幟の言葉が本当なら、湯使いが改善されたのでしょうか。


 
幟は温泉街の随所ではためいていたのですが、浴場自体はバス通りから路地に入ったパチンコ屋の裏手にあり、建物自体も公民館みたいで地味なため、初訪問であった私は一発で見つけられずにちょっと迷ってしまいました。こちらの公衆浴場は西和賀町の観光案内所を兼ねているらしく、玄関には温泉であることをアピールする紺の大きな暖簾がかけられていたのですが、一歩館内に入ると、内部はまるで村の保健所か診療所を思わせるような無機質なつくりで、正直なところ、あまり温泉風情が感じられません。でも湯上がりに休めるような座敷があったり、各種食品類を販売していたりと、地道ながら温泉施設としての営業努力を重ねているようでした。


 
受付窓口で湯銭を支払い、正面奥にある浴室入口へと向かいます。脱衣室は小ぢんまりとしていますが、ちゃんとロッカーが設置されていますので、貴重品はこちらへ預けましょう。



浴室も全面タイル張りで実用本位なつくりなのですが、(男湯の場合は)浴室右側が窓ガラスになっており、日中は大変明るく照明要らずでも十分な照度が確保されています。またこの窓の下にはシャワー付きカランが6基並んでおり、一つ一つの間隔が広いため、隣客との干渉が気になりません。しかも300円で利用できる公衆浴場であるにもかかわらずボディーソープやシャンプーが備え付けられていたり、またアメニティー類を置く台(木板)の幅が広かったりと、使い勝手に関しては高く評価できるでしょう。こうしたサービス面を頑張ることによって、施設の無機質な部分をカバーしているのかもしてません。


 
淡い水色タイル張りの浴槽は2分割されており、手前側は3人サイズで43〜4℃という熱めの湯加減となっています。一方、奥の浴槽は4人サイズで万人受けする42℃前後の湯加減に調整されていました。この両浴槽を分ける仕切りの上に木組みの湯口が設けられ、双方に対して激熱の温泉がチョロチョロと注がれていました。双方とも投入量はほぼ同じだったかと記憶しています。注がれている量がチョロチョロと絞られているのは、源泉が熱いために湯温を調整するためと推測され、浴槽容量の大小によって湯加減に差が生まれているのかと思われます(加水の有無はわかりません)。浴槽内でお湯が吸引されているような様子は見られず、源泉投入量と同量のお湯が浴槽縁から静々と溢れ出ていたので、温泉街に立っていた幟の文言(かけ流し)に嘘偽りは無いのでしょう。でも浴室内には塩素臭が漂っていたので、消毒が行われているのは間違いなさそうです。私が訪れたのはまだ混雑していないお昼頃だったので、湯鈍りは発生していませんでしたが、湯量を絞って温度調整してかけ流しを実現しているならば、公衆浴場という施設の性質上、夕方の混雑時には忽ち湯鈍りが発生するのではないかと余計な心配をしたくなります。不特定多数の客が利用する公衆浴場で、しかも源泉投入量を絞っているとなれば、消毒はどうしても必要不可欠ですね。
使用源泉は前回記事で取り上げた「一休館」と同じく第6号泉であり、見た目は無色透明なのですが、消毒臭以外の匂いや味は弱く、お湯のトロミも少なく、掴みどころに乏しい没個性のお湯と化していました。とはいえ、上述のように訪問時間帯が早かった(お昼頃)だったので、お湯の鮮度感は決して悪くなく、まずまずの気持ち良い湯浴みを楽しむことができました。湯田湯本温泉は源泉の温度が高いために、いかに湯温を調整するか、どの施設も相当の苦労をなさっているものとお察しします。かけ流しを実現しようとすると、湯量を絞るか加水するかの選択に迫られ、どちらを選んでも温泉が持つ個性の一部が犠牲になってしまう。実に難しいところです。でも、こちらの浴場ロッカー・ボディーソープ・ドライヤーが無料で使えるなど、使い勝手の面が良いので、公衆浴場としては利用価値があるかと思います。



バスと列車の旅はどうしても時間に縛られてしまうもの。乗り継ぎの都合により、「丑の湯」を出たところで湯田湯本温泉での湯巡りを切り上げ、路線バスでほっとゆだ駅へと戻ったのでした。


第6号泉
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 95.0℃ pH7.6 500L/min(動力揚湯) 溶存物質1.566g/kg 成分総計1.571g/kg  
Na+:390.4mg(80.40mval%), Ca++:71.4mg(16.86mval%),
Cl-:303.1mg(39.49mval%), SO4--:563.5mg(54.18mval%), HCO3-:62.0mg,
H2SiO3:145.2mg,
(平成27年2月4日)

JR北上線・ほっとゆだ駅より岩手県交通バスの湯本温泉方面行で「湯本温泉」下車、徒歩3分程度
岩手県和賀郡西和賀町湯本30-84-1  地図
0197-82-3790

7:00〜21:00(第2月曜のみ清掃のため12:00〜21:00、当日が祝日の場合は翌週)
300円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (2)
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