温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

バンドゥン南部 パトハ山麓 ワリニ温泉

2017年03月15日 | インドネシア
 
前回記事の「レンガニス地獄」ではパトハ山の大地の恵みをワイルドな形で享受しましたが、今度はそれとは対照的に明らかな人工的施設で、同じくパトハ山の地熱の恵みを楽しんでみることにしました。パトハ山麓を南北に貫く通りに沿って、数軒の温泉入浴施設が点在しているのですが、今回訪れたのは「ワリニ温泉(Air Panas Walini)」です。


 
園内にはファミリー向けの巨大なレジャープールが広がっており、あちこちから子供の歓声が上がっていました。でも私のようないい歳したオッサンが、子供たちと水遊びをして一緒にはしゃぎたい訳ではありません。


 
チビッコ達がキャーキャー騒ぐプールの一角に上画像のようなカウンターがあり、ここで個室風呂の利用申し込みを受け付けています。私の目的は当然この個室風呂。窓口で利用したい旨を伝え、料金を支払ってゲートの中に入りますと、ここから先はスタッフが案内してくれました。



ゲート内のプールサイドを歩いて個室風呂へ。


 
プールの向かい側に立つオレンジ色の建物が個室風呂棟。ドアが並ぶ壁には、健康のため入浴は20分までという旨の注意書きが掲示されていましたが、あくまで目安であって、20分を守る必要はないようです。


 
今回スタッフに通された個室は8号室。ドアを開けると、室内は半地下のようにちょっと低くなっており、ステップを数段下ったタイル張りの浴室に、壁と同じ白いタイル張りの浴槽が一つ据えられていました。殺風景な室内に白いタイル、そして人間一人を納めるのにちょうど良いサイズの浴槽…。例えは悪いのですが、遺体安置所とその中に置かれた棺みたいですね。室内はそこそこ広いのですが、シャワーや棚など各種設備は無く、棚の代わりに出っ張りがあり、その上に手桶が一つ備え付けられているだけ。至って簡素です。


 
タイル張りの浴槽は浅い造りであるため、寝そべらないと肩までお湯に浸かることができません。言い方を変えれば、完全に横になればスッポリと体が収まります。そのサイズといい、両端の緩やかな曲線といい、まさに棺そのもの。ここに入るとフランケンシュタインの気持ちが理解できそうな気がします。棚代わりの出っ張りには穴があいており、そこから浴槽へ温泉を供給していました。


 
湯口における温度は42.0℃。無加水でこの状態なのか、あるいは加水など調整によってこの温度になっているのかは不明です。一方、pH値は6.78ですので、中性と弱酸性の間といったところでしょうか。お湯は無色透明でほぼ無臭ですが、口に含むと少々の石膏味が感じられました。同じパトハ山域の温泉でも、火口湖カワプティではpH1を下回る非常に強い酸性を呈し、「レンガニス地獄」でも酸性の硫黄泉でしたが、こちらのお湯はそれら全く異なる石膏泉か石膏泉系の単純泉と思しき泉質である点が実に興味深く、温泉の多様性や奥深さを改めて実感しました。


 
狭い室内で自撮りがうまくできなかったため、入浴しながら自分のつま先を撮ってみました。個室なので水着を着用する必要がなく、屋内ながら或る意味で開放的な湯浴みができます。湯船では41℃前後で落ち着いており、お風呂は殺風景ですが、湯加減としては最高。しかもお湯は縁の上から絶えずオーバーフローしており、つまり純然たる掛け流しです。私が湯船に入ると、湯船のお湯が勢いよく溢れ出し、室内が洪水状態になってしまいました。スルスベ浴感のお湯からは優しいフィーリングが得られ、長湯したくなる湯加減なのにしっかりと温まります。もっとも、四方を見回しても白い壁しか目に入ってきませんので、長居できる風情ではありませんが、なかなかの良いお湯であることは確かです。わざわざ足を運ぶほどのお湯ではありませんが、もし近くへ観光の際に時間があれば、こちらへ立ち寄ってひとっ風呂浴びてみるのも良いかもしれません。




入場料Rp20,000, 自動車入場Rp5,000, 個室風呂Rp20,000

私の好み:★+0.5


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コメント (4)
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