前回記事の続編です。
宿泊先で電動スクータを借り、島を周回する海岸沿いの道路を走って、今回緑島へ渡った主目的である朝日温泉へ向かいました。緑島でも一応路線バスが運行されており、朝日温泉にもバス停があるのですが、シーズンオフは午前2便と午後2便しか走らないため、今回の旅では時間に束縛されず行動できるレンタルの電動スクーターを利用しました(電動スクーターは免許不要で利用することが可能です)。なおバスの時刻は緑島郷公所公式サイト内にある「公車資訊」のページでご確認ください(観光シーズンの夏には午前5便、午後6便運行されるようです)。
今回の緑島1泊2日旅行では、島に到着した日の夕方、そして翌朝の計2回、この温泉を利用しました。今回の記事では夕方から日没にかけて訪問した際の画像をメインに使いますが、一部翌朝撮ったものも織り交ぜながら書き綴ってまいります(翌朝の画像に関しては、キャプションでその旨を記します)。
私は島の中心部である南寮地区の北部、空港付近にある民宿に泊まったのですが、その宿からスクーターで朝日温泉までは約30分。温泉の周囲には何もなく、ちょっと先に小さな集落がある程度です。島の周回道路沿いにあり、温泉マークとともに大きく温泉名が記された看板が立っているので、ここへ来れば絶対に見逃すことがありません。
窓口で料金を支払い構内へ入ります。ゲートの左側にはちょっとした売店が設けられていました。周囲にはこれといったお店がないため、この売店は貴重な存在です。
(右or下の売店の画像は翌朝撮りました)
シャワールーム(兼更衣室)の前にはコインロッカーがたくさん設置されており、耐塩仕様なのか金属光沢むき出しのステンレス製なのですが、ステンレスとはいえ潮風吹き晒しという環境ではさすがに錆びてしまうらしく、使用停止になっているものや、錆びてカギが回りにくいものも多数見られましたので、ここを使用する場合は、よく見て状態の良いものを選びましょう。男女別のシャワールームはなかなかの広さで、室内にはドライヤーも用意されていました。なお朝日温泉は全ての浴槽で男女共用ですから、入浴の際には水着が必須です。
構内は古代ローマの遺跡を思わせるようなモニュメントが立てられていたのですが、公園整備に際してはどのようなコンセプトが企画立案されたのでしょうか。
またモニュメントの近くには足湯が設けられていましたが、あいにくこの日は空っぽでした。シーズンオフにはお湯が抜かれちゃうのでしょうか。
観光ガイドの類で朝日温泉が取り上げられる場合、必ずと言って良いほど紹介されるのが、波打ち際に設けられた円形の海底温泉です。サンゴの岩礁の中から温泉が湧いていて、干潮時には円形の浴槽にお湯が溜まって入浴ができるというものであり、朝日温泉を象徴する浴槽です。しかしながら、ここ数年は高潮による危険性を理由として、干潮満潮を問わず全面的に立入禁止となっており、私が訪れた時にも白波に洗われて、とても近づける状況ではありませんでした。
翌朝に再訪した時、波打ち際の海底温泉は引き潮で完全に姿を露呈させていましたが、それでも立入禁止でした。よく見ると浴槽の中は空に近い状態のようですね。朝日温泉のシンボルであるこの海底温泉は、もう二度と使えないのでしょうか。
海底温泉付近からサンゴ礁の磯に沿って伸びる砂浜を歩くと、源泉と思しき施設を発見。後述する各槽にはここからお湯が引かれているのかな。
さらにその奥へ行くと、砂浜や岩礁の境界付近にポツンと低い塔のようなものが立っており、近づいてみますと温泉たまごをつくる槽でした。近づくだけでものすごい熱気が感じられたので、温度計を差し込んで見たら、なんと90.1℃という超高温が表示されました。おそらく源泉での湧出温度とほぼ同じかと思われますが、火山らしきものは全くないのに、こんな高温なお湯が湧出するだなんて、実に不思議ですね。
地中海域の古代遺跡を連想させるようなモニュメントに囲まれる形で、海底温泉を臨むテラスに設けられている四角い屋根付きの浴槽は、無色透明の高温な温泉が張られている浴槽です。屋根を支える4本の柱のうち1本に石積みの湯口があり、そこから火傷しそうなほど熱いお湯がチョロチョロと注がれていました。加水の有無はわかりませんが、熱いとはいえ、さきほどの温泉卵槽よりは低いので、何らかの形で冷ましてから供給しているようです。それでも吐出時点では高温であるため、投入量は絞られており、そうした諸々の調整によって、湯加減は43℃前後になっていました。
海底温泉に入れない現状で、朝日温泉の主役となる浴槽は上画像の露天温泉プールです。大海原を臨む海岸に曲線を描く大きなプールが複数設けられているのですが、まともな湯加減の温泉浴槽は中央のまん丸い槽だけで、それ以外は水風呂だったりぬるいお湯だったりと、温泉を期待すると肩透かしを食らうような状況。しかも地形に沿って段々に設けられているプールのうち、下部の一番広い部分は空っぽ。せっかく立派なプールを活かしきれていないようでした。この日はシーズンオフでしたから、客に供用するプールを意図的に減らしていたのかもしれません。
ネガティヴなことを申し上げてしまいましたが、実際に入って見ると長湯仕様の若干ぬるいお湯で、しかも入浴しながら海原を眺められるため、開放的なロケーションがすっかり気に入り、時間を忘れてひたすらこの浴槽に入り続けてしまいました。ぬるめとはいえ、海水とほぼかわらない塩分濃度のしょっぱいお湯ですから、長湯しているとどうしても火照ってしまいます。そんな場合はプールサイドに上がって潮風に当たるか、あるいは水風呂のプールに入れば爽快にクールダウンできます。なんだかんだで、朝日温泉を満喫してしまった私。つい調子に乗って自分撮りしてしまいました(上画像で両腕を上げているのは私です)。塩分が濃いため、入浴していると体が浮くような感覚も得られます。
屋外に設けられた各浴槽のほか、露天プールの丘側に建てられた浴舎の中には内湯もあり、L字形の大きな浴槽には41℃の温泉が張られていました。日本で言うところの岩風呂みたいな雰囲気なのですが、プールとしての設計思想が強いのか全体的に深めの造りになっており、腰を下ろしてゆっくり湯浴みするような構造ではなかったように思います。また浴槽側面のあちこちから熱いお湯が供給されているため、壁にもたれかかろうとすると背中が熱くてゆっくりできませんでした。
この内湯には沖撃湯(打たせ湯)が設けられており、関節がぶっ飛びそうになるほどの強さでドバドバとお湯を落として来れます。この強い勢いの打たせ湯は台湾ではお馴染みですね。その勢いを目にするとはじめは怖いかもしれませんが、実際に肩や腰に当てると気持ちよいんです。日本にも台湾くらいに強い打たせ湯が欲しいなぁ。
露天プール中央の浴槽で海を眺めながらぼんやり長湯し続けていたら、いつの間にやら日が暮れて、海面から満月が上がってきました。海面近くの低い位置に雲がかかっていたため、上がった月はとまもなく雲の向こうに隠れてしまいましたが、しばらくその場で待っていたら、やがて月は再び雲の上に再び姿を現し、白波立つ海原と静かな温泉プールをあまねく皓々と照らしました。大海原を感じられる日中の朝日温泉も良いのですが、お月様や星空を仰ぎ見られる夜も素敵です。
なお「朝日温泉」という名前のように、この温泉は島の東側の海岸に位置しているため、早朝に行けば海原から上がってくる日の出を拝むことができるんだとか。でも私が旅した日は曇っていたため、日の出を見ながら湯浴み、という夢のような楽しみ方はできませんでした。こればかりは運次第ですから致し方ありませんね。でも入浴しながら海原に上がる満月を眺められたのですから、それだけでも十分満足です。私にとっては「朝日温泉」ではなく「望月温泉」となったわけですね。
GPS座標:22.63685, 121.50412
台東県緑島郷公館村温泉路167号
6:00〜24:00
200元
ロッカー(有料10元)・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
宿泊先で電動スクータを借り、島を周回する海岸沿いの道路を走って、今回緑島へ渡った主目的である朝日温泉へ向かいました。緑島でも一応路線バスが運行されており、朝日温泉にもバス停があるのですが、シーズンオフは午前2便と午後2便しか走らないため、今回の旅では時間に束縛されず行動できるレンタルの電動スクーターを利用しました(電動スクーターは免許不要で利用することが可能です)。なおバスの時刻は緑島郷公所公式サイト内にある「公車資訊」のページでご確認ください(観光シーズンの夏には午前5便、午後6便運行されるようです)。
今回の緑島1泊2日旅行では、島に到着した日の夕方、そして翌朝の計2回、この温泉を利用しました。今回の記事では夕方から日没にかけて訪問した際の画像をメインに使いますが、一部翌朝撮ったものも織り交ぜながら書き綴ってまいります(翌朝の画像に関しては、キャプションでその旨を記します)。
私は島の中心部である南寮地区の北部、空港付近にある民宿に泊まったのですが、その宿からスクーターで朝日温泉までは約30分。温泉の周囲には何もなく、ちょっと先に小さな集落がある程度です。島の周回道路沿いにあり、温泉マークとともに大きく温泉名が記された看板が立っているので、ここへ来れば絶対に見逃すことがありません。
窓口で料金を支払い構内へ入ります。ゲートの左側にはちょっとした売店が設けられていました。周囲にはこれといったお店がないため、この売店は貴重な存在です。
(右or下の売店の画像は翌朝撮りました)
シャワールーム(兼更衣室)の前にはコインロッカーがたくさん設置されており、耐塩仕様なのか金属光沢むき出しのステンレス製なのですが、ステンレスとはいえ潮風吹き晒しという環境ではさすがに錆びてしまうらしく、使用停止になっているものや、錆びてカギが回りにくいものも多数見られましたので、ここを使用する場合は、よく見て状態の良いものを選びましょう。男女別のシャワールームはなかなかの広さで、室内にはドライヤーも用意されていました。なお朝日温泉は全ての浴槽で男女共用ですから、入浴の際には水着が必須です。
構内は古代ローマの遺跡を思わせるようなモニュメントが立てられていたのですが、公園整備に際してはどのようなコンセプトが企画立案されたのでしょうか。
またモニュメントの近くには足湯が設けられていましたが、あいにくこの日は空っぽでした。シーズンオフにはお湯が抜かれちゃうのでしょうか。
観光ガイドの類で朝日温泉が取り上げられる場合、必ずと言って良いほど紹介されるのが、波打ち際に設けられた円形の海底温泉です。サンゴの岩礁の中から温泉が湧いていて、干潮時には円形の浴槽にお湯が溜まって入浴ができるというものであり、朝日温泉を象徴する浴槽です。しかしながら、ここ数年は高潮による危険性を理由として、干潮満潮を問わず全面的に立入禁止となっており、私が訪れた時にも白波に洗われて、とても近づける状況ではありませんでした。
翌朝に再訪した時、波打ち際の海底温泉は引き潮で完全に姿を露呈させていましたが、それでも立入禁止でした。よく見ると浴槽の中は空に近い状態のようですね。朝日温泉のシンボルであるこの海底温泉は、もう二度と使えないのでしょうか。
海底温泉付近からサンゴ礁の磯に沿って伸びる砂浜を歩くと、源泉と思しき施設を発見。後述する各槽にはここからお湯が引かれているのかな。
さらにその奥へ行くと、砂浜や岩礁の境界付近にポツンと低い塔のようなものが立っており、近づいてみますと温泉たまごをつくる槽でした。近づくだけでものすごい熱気が感じられたので、温度計を差し込んで見たら、なんと90.1℃という超高温が表示されました。おそらく源泉での湧出温度とほぼ同じかと思われますが、火山らしきものは全くないのに、こんな高温なお湯が湧出するだなんて、実に不思議ですね。
地中海域の古代遺跡を連想させるようなモニュメントに囲まれる形で、海底温泉を臨むテラスに設けられている四角い屋根付きの浴槽は、無色透明の高温な温泉が張られている浴槽です。屋根を支える4本の柱のうち1本に石積みの湯口があり、そこから火傷しそうなほど熱いお湯がチョロチョロと注がれていました。加水の有無はわかりませんが、熱いとはいえ、さきほどの温泉卵槽よりは低いので、何らかの形で冷ましてから供給しているようです。それでも吐出時点では高温であるため、投入量は絞られており、そうした諸々の調整によって、湯加減は43℃前後になっていました。
海底温泉に入れない現状で、朝日温泉の主役となる浴槽は上画像の露天温泉プールです。大海原を臨む海岸に曲線を描く大きなプールが複数設けられているのですが、まともな湯加減の温泉浴槽は中央のまん丸い槽だけで、それ以外は水風呂だったりぬるいお湯だったりと、温泉を期待すると肩透かしを食らうような状況。しかも地形に沿って段々に設けられているプールのうち、下部の一番広い部分は空っぽ。せっかく立派なプールを活かしきれていないようでした。この日はシーズンオフでしたから、客に供用するプールを意図的に減らしていたのかもしれません。
ネガティヴなことを申し上げてしまいましたが、実際に入って見ると長湯仕様の若干ぬるいお湯で、しかも入浴しながら海原を眺められるため、開放的なロケーションがすっかり気に入り、時間を忘れてひたすらこの浴槽に入り続けてしまいました。ぬるめとはいえ、海水とほぼかわらない塩分濃度のしょっぱいお湯ですから、長湯しているとどうしても火照ってしまいます。そんな場合はプールサイドに上がって潮風に当たるか、あるいは水風呂のプールに入れば爽快にクールダウンできます。なんだかんだで、朝日温泉を満喫してしまった私。つい調子に乗って自分撮りしてしまいました(上画像で両腕を上げているのは私です)。塩分が濃いため、入浴していると体が浮くような感覚も得られます。
屋外に設けられた各浴槽のほか、露天プールの丘側に建てられた浴舎の中には内湯もあり、L字形の大きな浴槽には41℃の温泉が張られていました。日本で言うところの岩風呂みたいな雰囲気なのですが、プールとしての設計思想が強いのか全体的に深めの造りになっており、腰を下ろしてゆっくり湯浴みするような構造ではなかったように思います。また浴槽側面のあちこちから熱いお湯が供給されているため、壁にもたれかかろうとすると背中が熱くてゆっくりできませんでした。
この内湯には沖撃湯(打たせ湯)が設けられており、関節がぶっ飛びそうになるほどの強さでドバドバとお湯を落として来れます。この強い勢いの打たせ湯は台湾ではお馴染みですね。その勢いを目にするとはじめは怖いかもしれませんが、実際に肩や腰に当てると気持ちよいんです。日本にも台湾くらいに強い打たせ湯が欲しいなぁ。
露天プール中央の浴槽で海を眺めながらぼんやり長湯し続けていたら、いつの間にやら日が暮れて、海面から満月が上がってきました。海面近くの低い位置に雲がかかっていたため、上がった月はとまもなく雲の向こうに隠れてしまいましたが、しばらくその場で待っていたら、やがて月は再び雲の上に再び姿を現し、白波立つ海原と静かな温泉プールをあまねく皓々と照らしました。大海原を感じられる日中の朝日温泉も良いのですが、お月様や星空を仰ぎ見られる夜も素敵です。
なお「朝日温泉」という名前のように、この温泉は島の東側の海岸に位置しているため、早朝に行けば海原から上がってくる日の出を拝むことができるんだとか。でも私が旅した日は曇っていたため、日の出を見ながら湯浴み、という夢のような楽しみ方はできませんでした。こればかりは運次第ですから致し方ありませんね。でも入浴しながら海原に上がる満月を眺められたのですから、それだけでも十分満足です。私にとっては「朝日温泉」ではなく「望月温泉」となったわけですね。
GPS座標:22.63685, 121.50412
台東県緑島郷公館村温泉路167号
6:00〜24:00
200元
ロッカー(有料10元)・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5