温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

日光湯元温泉 森のホテル

2017年08月16日 | 栃木県
 
引き続き日光湯元温泉のお風呂を巡ります。拙ブログでは鄙びや渋さが特徴的な施設を取り上げることが多い傾向にありますが、今回訪問するのは北欧風の瀟洒なリゾートホテル「森のホテル」です。



午後3時から8時までの間は日帰り入浴が可能になりますので、そのタイミングを狙って伺いました。


 
 
木のぬくもりとオフホワイト系ファブリックの優しさを活かし、非日常的なラグジュアリ感と山小屋的な親近感を兼ね備えた空間が生み出されています。優雅な気分に浸れるのですが、かといって高級すぎるわけではなく、老若男女誰しもが無理せずに寛げる程よい品の良さと居心地の良さが程よくミックスされていました。
フロントで日帰り入浴をお願いしますと、料金と引き換えにフェイスタオルとレンタルのバスタオルを手渡してくださいました。


 
ホールを進んで途中を右手に折れると、浴場へ向かう廊下になります。大浴場へ向かう途中に貸切風呂へつながる通路が分かれているのですが、今回貸切風呂は利用しておりません。



男女両浴場の出入口付近には休憩処があり、湯上がりに腰をかけてひと息入れることができます。北欧テイストな館内にあって、お風呂まわりは和風の装い。この休憩場には小さな火鉢、そしてその上に鉄瓶が置かれていました。また水やお茶のみならずお漬物まで用意されていました。


 
大浴場は「おだしろ」と「こんせい」の2室があり、男女入れ替え制なのでしょうか、私が訪れた時には「おだしろ」に男湯の暖簾がかかっていました。それぞれの名前は小田代ヶ原と金精峠に由来しているのでしょうね。
脱衣室はとても綺麗で清潔感に満ち溢れており、洗面台に備え付けられているアメニティー類も充実していました。


 
大きなガラス窓に面している浴室。天井は一見すると低いのですが、中央部に三角に尖った明かり採りが設けられているため、窓から差し込む陽光と相まって、室内とは思えない明るい環境で湯浴みをすることはできました。湯船上の窓ガラスは後述する露天風呂や庭に面して緩やかな曲線を描いており、内湯の浴槽もその曲線に合わせて作られているため、湯船はヨットの帆のような形状をしています。


 
湯船の端には七福神の像が祀られていました。おそらく以前はこの像の台座からお湯が注がれていたものと推測されますが、私の訪問時にはその脇に突き出ている配管から温泉が投入されていました。湯船のお湯は淡い黄色を帯びた白濁で、透明度は30〜40cmほど。底には湯の花がたくさん沈殿しており、お湯を動かすとそれらが舞い上がって瞬間的に透明度がゼロ状態になりました。


 
湯口から注がれたお湯は、湯船を満たした後、ガラス窓の下に刻まれている溝へ流下していました。湯使いは加水ありの放流式。熱い時には、まず湯口のそばに置かれている湯もみ板でかき混ぜ、それでもダメなら加水をしても構わないようです(もちろん適温になったら水は止めましょう)。



洗い場は室内の2〜3エリアに分かれて配置されており、計11基のシャワーが取り付けられています。またサウナもあり、私がお風呂に入っている時には、温泉の湯船よりサウナ利用により多くの時間を割いているお客さんの姿も見られました。


 
北欧テイストのこのホテルですが、露天風呂は日本庭園風の趣きで、お風呂はゴツゴツとした男性的な岩風呂です。敷地の四方は塀や建物で囲われていますが、庭自体が広いので圧迫感は無く、周囲の山々を借景にした実に雰囲気の良い庭園です。私は雪見風呂を存分に満喫させてもらいましたが、この庭園は四季折々に装いを変えてくれるのでしょうから、季節によって楽しめる景色も異なるのかと思います。
内湯と同じ源泉を引いているはずですが、こちらのお湯は透明度が高く、しかもイエローではなくエメラルドグリーンでした。純白の雪と翠色のお湯とのコントラストが実に美しく、モノトーンの雪景色の中に現れたその色彩美に、しばらく見とれてしまいました。


 
露天では祠のような湯口から直に触れないほど熱い温泉が注がれており、湯口の下で常に温泉の流れを受けている岩は、温泉成分の付着によりアイボリー色に濃く厚く染まっていました。投入量が多いのでフレッシュな状態のお湯を楽しむことができました。


 
外気の影響を受けて温度が下がり気味にもかかわらず、透明度を保ち、かつグリーンの状態を保っているのですから、素晴らしいですね。湯中では白や薄黄色の溶き卵みたいな湯の花が浮遊しており、それによってぼんやり白濁しているようにも見えますが、基本的にはグリーン且つ透明のお湯と表現してよいでしょう。こちらも放流式の湯使いなのですが、内湯から露天風呂へ向かうアプローチに排湯が流れているため、おかげで冬でも足元が温かく、ストレスなく湯浴みをすることができました。

こちらのお宿に引かれているお湯は7号泉の単独使用。見た目に関しては上述の通りで、お湯からは硫化水素臭がしっかりと漂い、お湯を口に含むと、タマゴ味と若干の塩味、そして口腔粘膜を刺激する苦みやエグ味が感じられました。湯中に浸かるとツルツルとキシキシという相反する浴感が拮抗して肌に伝わりますが、総じて肌に染み入るようなしっとり感と滑らかさが心地よく、いつまでも湯中で過ごしていたくなります。また内湯は丁度良い湯加減に調整されている一方、露天風呂は長湯仕様のややぬるめの湯加減でしたから、周囲の山々を眺めながら時間を忘れて寛ぐには最高の環境でした。

大切な人に紹介したくなるとても素敵なお宿でした。私は今回お風呂しか利用していませんが、是非とも次回は宿泊利用してみたいものです。


奥日光開発(株)7号源泉
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 70.6℃ pH6.5 溶存物質1.085g.kg 成分総計1.276g/kg
Na+:139.5mg, Ca++:129.5mg,
Cl-:50.0mg, HS-:15.4mg, S2O3--:0.6mg, SO4--:316.9mg, HCO3-:293.3mg,
H2SiO3:103.3mg, HBO2:15.1mg, CO2:140.9mg, H2S:50.0mg,
(平成27年9月24日)
加水あり(源泉温度が高いため)

栃木県日光市湯元2551
0288-62-2338
ホームページ

日帰り入浴15:00〜20:00
1100円(レンタルタオル付き)
貴重品類フロント預かり、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
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