拙ブログではこれまで台湾各地のいろんな温泉を紹介してまいりました。もちろんその全ては私が自分で行ったところばかりなのですが、そんな私がひたすら訪問を先送りにしてきた有名温泉地があります。それは台東県緑島の朝日温泉です。なぜ今まで行こうとしなかったのか。その理由は、ひとつの温泉のためだけに島へ渡るのが面倒ですし、温泉を取り上げたグラビアなどを見てもそれほど惹かれなかったから。しかも最近は朝日温泉の象徴的存在である海底温泉が立入禁止になっているらしいので、余計に足が遠のいていました。でも、喰わず嫌いをしていては道が拓けないので、重い腰を起こして行ってみることにしました。
まずは台東駅前からタクシーで、船の発着場所である富岡漁港へと向かいます。後述するように台東駅前から路線バスでアクセスすることも可能ですが、時間的な制約があるため、今回は敢えてタクシーを利用しました。タクシーの運転手に「富岡漁港 綠島」と書いたメモを見せれば大丈夫。駅前から15分ほどで富岡漁港に到着。画像に写っている白い建物は、緑島や蘭嶼へ向かう船の待合所です。
待合所の目の前には路線バスの停留所があり、台東駅前から普悠瑪客運の「陸海空快線」に乗れば、30分ほどでこのバス停へ到達できます。台東のバスターミナル(台東轉運站)から乗る場合は、同じ「陸海空快線」のほか、鼎東客運(海線)のバスも利用可能です。各バス会社とも悠遊卡などのICカードが使えます。バスの時刻に関しては各社の公式サイトのほか、台東轉運站の公式サイトでご確認ください。
船の出航まではまだ時間があり、チケットの窓口も開いていなかったので、漁港前の食堂で昼食を摂ることにしました。
漁港の岸壁に沿って屋台の食堂が並んでおり、店頭には鮮魚がたくさん並んでいます。
数ある食堂の中から私が選んだのは、鯉のぼりなどが飾られていたこのお店。名前はわかりません。鮮魚は店頭のほか冷蔵ケースにも並べられており、私が注文をすると、板さんは冷蔵ケースから魚を取り出して、柳刃包丁で捌いてくれました。
板さんが捌いていたのはカンパチのお刺身。脂がのっていて美味でしたよ。このほかアラのスープも一緒にいただきましたが、スープは臭み消しの生姜が強すぎて、せっかくのアラの旨味が薄れていたような気がするなぁ…。
さて、腹を満たしたところで、船の待合室に戻り、窓口でチケットを購入します。緑島の観光シーズンである夏には1日5便(往復)ほど運行されるようですが、私が訪れたの3月はシーズンオフであり、閑散期には1日2便に減便されてしまいます。船に乗れなければ旅程が台無しになってしまうため、念のため私は宿泊先の民宿に連絡して船の予約をお願いしておきましたが、実際に乗船したら空席がかなりありましたので、閑散期で少人数の利用なら当日に予約なしで購入しても大丈夫だと思います。
窓口では予約してある旨を告げ、民宿名や自分の名前を書いたメモ、そしてパスポートを提示し、現金460元を払ってチケットを入手しました。
もしご自身で船のチケットを予約したい場合は「船遊網」で検索してください(ただし繁体字中文のみ)。夏の観光シーズン(繁忙期)には予約しておいた方がいいかもしれません。なお、このサイトは時刻検索のみの利用も可能です。
待合室でしばらく待機。スタッフのおじさんの掛け声をきっかけに、乗船客は停泊している漁船を横目にしながら、自分の脚で船着き場まで歩きます。
列に並んでいざ乗船。白いボディーの船の名前は「緑島之星2号」。その名前からして、いかにも台湾らしい船に見えますが・・・
この船は元々、和歌山と徳島を結んでいた南海フェリーの高速船「あるご」。2002年に高速船が廃止された後、台湾へ売却された中古船です。船内には「三井造船株式会社 玉野事業所 1992年建造」と記されたプレートが掲示されていました。瀬戸内海でつくられ、紀伊水道を何度も往復した後、南国台湾で第二の人生ならぬ船生を送っているのですね。
船内には「シートナンバー B・C」という表示が日本語のまま残っていました。南海フェリー時代は座席が指定されていたのかもしれませんが、現在は任意の席に座れるので、この掲示に何の意味もありません。座席にはビニール袋がたくさん用意されているのですが(もちろん船酔い対策)、それだけこの船は揺れるということなのでしょうか。
上層階は「貴賓室」なんだそうですが、私は普通のチケットを購入しているため1階席を利用しました。NTTドコモの船舶公衆電話が設置されていた跡は掲示だけが残り、スタッフの帽子や道具類などが置かれていました。
注意書きや非常時の心得なども日本語のまま残っていました(もちろん、繁体字中文による表記も掲示されています)。
富岡港を13:30に出航。乗船率は6割ほどでしょうか。お昼過ぎの便ですが、この日はこれが最終便なので、もし乗り過ごしたらアウト。島へ渡れません。
シーズンオフの緑島観光は、船の時間に大きく左右されるのですね。
高速船は大海原を勢い良く東へと進みます。この日は大きな波こそありませんでしたが、外洋のためにうねりが大きく、上下にかなり揺れました。私は船酔いに比較的強いので問題ありませんでしたが、人によっては酔ってしまうかもしれません。実際にビニール袋を使っているお客さんが数名いらっしゃいました。私としては船の揺れより、冷房の強さに参ってしまい、思わず荷物から上着を取り出して羽織り、腕を組んで寒さを怺えるのに必死でした。体の保温がなんとか確保できると、今度は眠気に襲われ、気づけば夢の中・・・。
ぐっすり寝ていたら、いつのまにか窓の外に突堤が見えました。富岡を出発してから約50分で緑島に到着です。台東では晴れていた空が、緑島へ着くころには曇天に変わり、しかも小雨がぱらつきはじめました。雨男としての自分の運の悪さを恨むばかりです。
船着き場では下船客と出迎える人が交錯してゴチャゴチャしていたのですが、そんな人波の間を縫いながら進んでゆくと、この日にお世話になる民宿のおばちゃんが迎えに来てくれていました。送迎車に乗って宿へと向かいます。
次回記事へ続く
まずは台東駅前からタクシーで、船の発着場所である富岡漁港へと向かいます。後述するように台東駅前から路線バスでアクセスすることも可能ですが、時間的な制約があるため、今回は敢えてタクシーを利用しました。タクシーの運転手に「富岡漁港 綠島」と書いたメモを見せれば大丈夫。駅前から15分ほどで富岡漁港に到着。画像に写っている白い建物は、緑島や蘭嶼へ向かう船の待合所です。
待合所の目の前には路線バスの停留所があり、台東駅前から普悠瑪客運の「陸海空快線」に乗れば、30分ほどでこのバス停へ到達できます。台東のバスターミナル(台東轉運站)から乗る場合は、同じ「陸海空快線」のほか、鼎東客運(海線)のバスも利用可能です。各バス会社とも悠遊卡などのICカードが使えます。バスの時刻に関しては各社の公式サイトのほか、台東轉運站の公式サイトでご確認ください。
船の出航まではまだ時間があり、チケットの窓口も開いていなかったので、漁港前の食堂で昼食を摂ることにしました。
漁港の岸壁に沿って屋台の食堂が並んでおり、店頭には鮮魚がたくさん並んでいます。
数ある食堂の中から私が選んだのは、鯉のぼりなどが飾られていたこのお店。名前はわかりません。鮮魚は店頭のほか冷蔵ケースにも並べられており、私が注文をすると、板さんは冷蔵ケースから魚を取り出して、柳刃包丁で捌いてくれました。
板さんが捌いていたのはカンパチのお刺身。脂がのっていて美味でしたよ。このほかアラのスープも一緒にいただきましたが、スープは臭み消しの生姜が強すぎて、せっかくのアラの旨味が薄れていたような気がするなぁ…。
さて、腹を満たしたところで、船の待合室に戻り、窓口でチケットを購入します。緑島の観光シーズンである夏には1日5便(往復)ほど運行されるようですが、私が訪れたの3月はシーズンオフであり、閑散期には1日2便に減便されてしまいます。船に乗れなければ旅程が台無しになってしまうため、念のため私は宿泊先の民宿に連絡して船の予約をお願いしておきましたが、実際に乗船したら空席がかなりありましたので、閑散期で少人数の利用なら当日に予約なしで購入しても大丈夫だと思います。
窓口では予約してある旨を告げ、民宿名や自分の名前を書いたメモ、そしてパスポートを提示し、現金460元を払ってチケットを入手しました。
もしご自身で船のチケットを予約したい場合は「船遊網」で検索してください(ただし繁体字中文のみ)。夏の観光シーズン(繁忙期)には予約しておいた方がいいかもしれません。なお、このサイトは時刻検索のみの利用も可能です。
待合室でしばらく待機。スタッフのおじさんの掛け声をきっかけに、乗船客は停泊している漁船を横目にしながら、自分の脚で船着き場まで歩きます。
列に並んでいざ乗船。白いボディーの船の名前は「緑島之星2号」。その名前からして、いかにも台湾らしい船に見えますが・・・
この船は元々、和歌山と徳島を結んでいた南海フェリーの高速船「あるご」。2002年に高速船が廃止された後、台湾へ売却された中古船です。船内には「三井造船株式会社 玉野事業所 1992年建造」と記されたプレートが掲示されていました。瀬戸内海でつくられ、紀伊水道を何度も往復した後、南国台湾で第二の人生ならぬ船生を送っているのですね。
船内には「シートナンバー B・C」という表示が日本語のまま残っていました。南海フェリー時代は座席が指定されていたのかもしれませんが、現在は任意の席に座れるので、この掲示に何の意味もありません。座席にはビニール袋がたくさん用意されているのですが(もちろん船酔い対策)、それだけこの船は揺れるということなのでしょうか。
上層階は「貴賓室」なんだそうですが、私は普通のチケットを購入しているため1階席を利用しました。NTTドコモの船舶公衆電話が設置されていた跡は掲示だけが残り、スタッフの帽子や道具類などが置かれていました。
注意書きや非常時の心得なども日本語のまま残っていました(もちろん、繁体字中文による表記も掲示されています)。
富岡港を13:30に出航。乗船率は6割ほどでしょうか。お昼過ぎの便ですが、この日はこれが最終便なので、もし乗り過ごしたらアウト。島へ渡れません。
シーズンオフの緑島観光は、船の時間に大きく左右されるのですね。
高速船は大海原を勢い良く東へと進みます。この日は大きな波こそありませんでしたが、外洋のためにうねりが大きく、上下にかなり揺れました。私は船酔いに比較的強いので問題ありませんでしたが、人によっては酔ってしまうかもしれません。実際にビニール袋を使っているお客さんが数名いらっしゃいました。私としては船の揺れより、冷房の強さに参ってしまい、思わず荷物から上着を取り出して羽織り、腕を組んで寒さを怺えるのに必死でした。体の保温がなんとか確保できると、今度は眠気に襲われ、気づけば夢の中・・・。
ぐっすり寝ていたら、いつのまにか窓の外に突堤が見えました。富岡を出発してから約50分で緑島に到着です。台東では晴れていた空が、緑島へ着くころには曇天に変わり、しかも小雨がぱらつきはじめました。雨男としての自分の運の悪さを恨むばかりです。
船着き場では下船客と出迎える人が交錯してゴチャゴチャしていたのですが、そんな人波の間を縫いながら進んでゆくと、この日にお世話になる民宿のおばちゃんが迎えに来てくれていました。送迎車に乗って宿へと向かいます。
次回記事へ続く