温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

(尾瀬)赤田代温泉 温泉小屋

2010年12月28日 | 福島県
尾瀬トレッキング&至仏山登山の際に宿泊した山小屋。尾瀬には山小屋が何軒もありますが、温泉のお風呂に入れ、宿賃も比較的安く、翌朝の至仏山登山に差し支えない場所、という条件を考慮して、赤田代に建つこちらのお宿を利用させていただきました。赤田代にはこの他に東京電力系の元湯山荘もあります(料金は若干高めですが綺麗です)。


 
2つの棟が建っており、手前が本館(左画像)、奥が別館(右画像)です。宿賃は本館で前払い。私のような一人客は、別館の相部屋をあてがわれます。


敷地の入り口付近には、鉱泉を流れている洗い場がありました。

山小屋ですので、チェックインや食事などの基本的スケジュールは早めです。たとえばチェックインは原則16:30まで。夕食は17時からで消灯は21時。朝食は6:30(繁忙期は6:00)からです。

 
荷物を部屋に置いたら、まずは風呂で汗を流しましょう。入浴は15:00~19:00の時間制限です。
男女別の内湯が各1つずつ。浴室にはちゃんとカランが設けられていますが、排水による環境破壊を防ぐため石鹸やシャンプー類は使用不可です。
源泉は23℃なので温泉というより鉱泉の沸かし湯です。時間制限があるのはお湯を沸かしておく必要があるからでしょうね。
お湯はほぼ無色透明ですが、ほんのり赤みがかっています。洗い場も薄っすら赤く染まっていました。赤田代という地名の「赤」は、金気を帯びて赤くなった湧出水や泥の色のことらしいので、まさにその赤なんですね。
台形の浴槽には源泉投入の蛇口があって、これを捻るとお湯が勢い良く出てきます。やや加熱しすぎており、湯加減は熱め。循環こそしていませんが、放流式のように常時お湯をオーバーフローさせておけないため、こまめに源泉の蛇口を開けてお湯を入れないと、お客さんが入ってゆくにつれて、次第にお湯が鈍ってしまうのが仕方ないところです。
石膏泉らしいキシキシとした浴感。蛇口のお湯を掬って口に含んでみると、なにやら不思議な不味さを感じます。強くないのですが口腔が収斂し、炭酸っぽくもあり金気もあり、石膏らしさも感じられます。私個人の経験では他にあまり例をみない表現するのが難しい知覚でした。

夕食は別館1階の食堂でいただきます。相部屋の場合は部屋ごとで各テーブルに分かれて着席。久しぶりの団体行動で、修学旅行を思い起こさせてくれました。夕食の献立は、鱒の切り身、蝦や山菜の天ぷらなど。それぞれプラスチックのお皿に盛られています。アルミのお櫃に入ったご飯はおかわりしほうだい。おかずがシンプルなので、ついご飯とお漬物でお腹を満たそうとし、何杯もおかわりしちゃいました。ビールは自動販売機で自分で購入。山で飲むビールは格別ですね。五臓六腑に沁みわたります。ごく普通のキリン一番絞りなのですが、下界で飲むのとは全然違うような気がします。食べおわったら各自でお片づけ。極力自分でやるというのが、山小屋らしくて私は好きです。

風呂に入り、飯も食ったら、後は寝るだけ。食事終わりが早かったので、寝るまでどうやって時間を潰そうか困っていたのですが(文庫本も2~3冊ほど持参しちゃいました)、同室の方々と四方山話に華を咲かせていたら、あっという間に消灯時間になっちゃいました。山の美味しい空気と静寂な環境は、どうやら普段おとなしい引っ込み思案な人間を雄弁にさせてくれるようです。



今回は館内で撮った画像が少ないので、宿へ到着するまでに通った尾瀬沼や大江湿原の景色を最後に何枚か載せておきます。訪れたのは今年(2010年)7月22日。福島県桧枝岐村の沼山峠から入山し、大江湿原や尾瀬沼の北岸を通り、赤田代へと向かいました。ニッコウキスゲやワタスゲが綺麗でしたよ。でもニッコウキスゲは食害が深刻で、花はまばらでした。
 
 


こちらは山小屋が多く集まる見晴ですね。尾瀬ヶ原から眺めた様子です。背後には燧ケ岳が綺麗にそびえています。



カルシウム-硫酸塩冷鉱泉 23.9℃ pH5.6 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質1.332g/kg 成分総計1.915g/kg


福島県南会津郡桧枝岐村燧ヶ岳  地図

現地山小屋電話090-8921-8329
温泉小屋連絡所0241-75-2222(オフシーズン)
ホームページ

夕食:17:00~18:00、朝食:6:30(繁忙期は6:00)~7時
入浴時間: 15:00~19:00
チェックイン13:30~16:30、チェックアウト8:00

5月下旬~10月上旬営業
立ち寄り入浴不可
相部屋 一人 8,500円より(料金委細は公式ページ参照のこと)
お風呂は石けん・シャンプー使用不可(環境保護のため)
自家発電のためドライヤー使用不可

私の好み:★★
コメント (2)
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登山初心者の登山記 その1 2010年夏 尾瀬・至仏山

2010年12月28日 | 群馬県
今年から少しずつ登山をはじめました。その端緒として私が選んだは尾瀬と至仏山。
雨男の私には珍しく天気に恵まれ、素晴らしい景色の中を、気持ちよく歩くことができました。
登山を始めるきっかけとしてここを選んで正解でした。

2010年7月23日 晴れ

 (前日泊)
 6:55 赤田代・温泉小屋(1420m) 【出発】 地図
 7:20 東電小屋
 7:35 ヨッピ吊橋(分岐) 地図
 8:05 牛首分岐
 8:30 山の鼻(着)(1400m)【休憩・水補給】 地図
 8:45 同(出発)
 9:15 森林限界
 9:45 中間地点
 10:55 至仏山・山頂(着)(2228m) 【休憩・昼食】 地図
 11:30 同(出発)
 12:05 小至仏山・山頂  地図
 12:35 オヤマ沢
 13:20 鳩待峠(1591m) 【到着】 地図

 歩行距離:14.7km
 単独行
 (山の鼻~至仏山頂は植生保護のため、登りの一方通行)


 
【6:55 赤田代・温泉小屋(標高1420m)】
前日に福島県桧枝岐村の沼山峠から尾瀬へ入り、赤田代の温泉小屋で一泊しました。この上ない絶好の日和です。カッコウやホトトギスの囀りに耳にしながら、至仏山を目指すべく、まずは尾瀬ヶ原の縦断を開始。

 
赤田代分岐まで進むと、前方には、これから挑む至仏山が聳え立っていました。ちぎれ雲がちょこちょこと浮かぶ程度で、本当に気持ちのよい青空です。

 
尾瀬ヶ原の木道沿いには夏らしい花々が。

 

 
アザミにとまるシジミチョウがかわいらしい。


一面にニッコウキスゲが咲く湿原の中を進みます。といっても、シカの食害の影響で、花はかなり少なめ。


ヨッピ吊り橋近くの池塘を振り返ったら、まさに明鏡止水の水面に燧ケ岳が写りこむ「逆さ燧」状態になっていました。これは感動! でもちょっとしたそよ風が吹くだけで、すぐに池面には波が立ち、鏡は消えてしまいます。


【8:30/8:45 山の鼻(1400m)】
山小屋やビジターセンターなどが集まる山の鼻に到着。とりあえず尾瀬ヶ原の縦断は終了。ここで水を補給しつつ、軽く休憩です。これから尾瀬を散策する人たちで賑わっていました。また高々と荷物を背負ったボッカさんの姿も。

 
至仏山の山の鼻登山口。ハイキング客の多い尾瀬ヶ原サイドに比べて、登山道側は人影がかなり少なめ。
気合いを入れて、ここから828mの標高差を一気に登ります。気合いを入れて、いざ出発。

 
登山口ゲートには入山者数を記録するための赤外線式カウンターが設置されていますので、ちゃんとカウントできるようにゲートの右側を通ります。ここからひたすら登りです。

 
【9:15 森林限界】
登り始めて30分で森林限界。なるほど、目の前の視界が急に開けてきました。

 
運動不足の私はもう既にこの時点で息が上がって汗だく状態。でも登るペースは早いらしく、先行者を次々に追い越させていただきました。振り返ると、さっき歩いてきた尾瀬ヶ原、そしてその向こうに燧ケ岳が、くっきりはっきり一望でき、まるで絵画のような美しさ。この眺めだけでも疲れが一気に吹き飛びます。


【9:45 中間地点】
山の鼻と山頂の中間点。岩場をよじ登っていきます。至仏山ならではの蛇紋岩は足元が滑りやすく、また森林限界から上は直射日光を遮るものがないので、体力を消耗しやすい状況です。たまに周囲をブンブン飛び回るアブが鬱陶しいことこの上ない…。

 
鎖場も何箇所かあります。でも晴れていれば鎖を使うほどでもないかな。斜面で健気に咲くニッコウキスゲに励まされながら、先へと登りました。


途中、木製の階段が設置されている個所もありました。滑りやすい岩場を避けられる一方、一定間隔が続く階段の連続は、へたった体にはちょっと堪えるかも。

 
登りが若干ゆるくなると、高山植物がお花畑状態で咲き誇る高天ヶ原。

  
小さな花々が敷き詰められた絨毯のようにあたり一面で咲き乱れていました。

 
頂上が見えてきました。あと一息です。

 
彼方へ果てしなく伸びる尾根も実に優美。右側の画像はこれから通過する予定の小至仏山とそれに連なる稜線。

 
【10:55/11:30 至仏山・山頂(2228m)】
やっと山頂に到達できました。山頂の碑のほか、三角点もちゃんと撮影。
距離にして2.9km、828mの標高差を2時間25分で登りきることができました。標準は3時間なので、初心者にしてはまぁまぁのタイムじゃないでしょうか(自画自賛ですけど)。ここでお昼休憩です。

 
さすが日本百名山のひとつに数えられているだけあって、山頂は360度の大パノラマが広がっていました。谷川岳をはじめとする三国山脈、奈良俣湖などがよく眺められます。空の色が飛行機の窓から見る色と一緒だったり、視線と同じ高さに雲の下面が広がっていたりと、登山素人の私は、自分の足で高いところへ来られたことに感動しっぱなし。ここで頬張るおにぎりが本当に美味い。どんなシェフでも板前でも、あの美味しさは作り出せないだろうな。


もちろん尾瀬ヶ原や燧ケ岳の眺望も素晴らしい。下の方で眺めた時より、山も湿原も小さく見えますね。

 
さあ、下山しましょう。山頂からは小至仏を経由して鳩待峠へ下ります。しばらくは尾根の上を歩く爽快なルートです。

 
【12:05 小至仏山(2162m)】
今回のルート最後の登りを登りきると小至仏山頂。ここも360度のパノラマが楽しめます。振り返ると、先ほどまでいた至仏山頂だけが雲の真下の陰になっていました。

 
【12:35 オヤマ沢田代】
高山の湿地帯、オヤマ沢田代。清々しい景色ですね。点在する池塘がかわいらしいです。

 
登山道にはベンチが設置されており、彼方に望む尾瀬ヶ原や燧ケ岳を眺めながら休憩することも可能。また水場(沢)もあり、
ちゃっかりビールを冷やしている御仁も。山で飲むビールはうまいだろうな。俺も飲みてぇ!


再び樹林帯に入り、木陰の中をひたすら下りてゆくと・・・

おおっ! 建物が見えるぞ!


 
【13:20 鳩待峠(1591m)】
尾瀬の群馬県側の玄関口である鳩待峠に到着です。
登山初心者で単独行ながら、好天に恵まれたこともあって、標準タイムより大幅に早く、しかも何らのトラブルも無く、完遂することができました。登山ってめちゃくちゃ楽しいじゃないか。どうして今まで気づかなかったのか、自分を悔んでなりません。
運動不足の不摂生な体でも何とかなるもんですね。


・参考図書
関東日帰りの山ベスト100 1泊で行く名山10選も収録 (ブルーガイドぶらり山散歩)
決定版 日本いで湯百名山登山ガイド〈上巻〉
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赤湯温泉 山口館 その2 露天風呂

2010年12月27日 | 新潟県
 
前回は赤湯温泉までの道のりを書き込みましたが、今回はお風呂の様子についてです。
私は日帰りでの利用ですので、あくまで日帰り入浴した場合のことを記します。


(↑画像クリックで拡大)
赤湯温泉の一軒宿「山口館」のお風呂は野湯を含めると計4ヵ所あります。
駐車場から登山道を歩いて現地までたどり着くと、
 (駐車場方面)→赤湯2号橋→青湯→玉子湯・薬師湯→山口館(建物)→野湯→(苗場山頂上方面)
という順に位置しているので、まずは露天風呂群の横を一旦通過して建物まで行き、そこで料金を払ってからお風呂へ戻る、という手順になります。お風呂では大きな荷物や登山靴がNGと決められていますから(↑画像参照)、それらも建物の方へデポしておくことになります。


こちらが山口館の玄関付近。水場あり。

 
(↑画像は両方ともクリックで拡大)
立ち寄りで入浴する客は所定の料金箱にお金を入れ、指定のサンダルに履き替えてお風呂へ。


まずは、一番手前の青湯から。
こちらは日中は女性専用なので、誰もいないことを確かめた上で、見学のみにしました。

 
赤湯2号橋からよく見える場所なので、橋方向には目隠しが立てられています。
掘削自噴のお湯は、青白いというか鼠色っぽく、貝の潮汁のような濁り方です。弱い金気に加えて、はっきりとした芒硝と石膏の味及び匂い。後述する他の露天風呂と比べ、こちらは女性用であるためか綺麗に整えられ、誰でも入りやすい状態でした。

 
次は薬師湯。登山道の路肩下に設けられており、半透明のアクリル波板で作られた屋根&壁で囲われ、当地唯一の内湯になっています。石を組んで作られた歪んだ台形の小さな浴槽で、2~3人サイズ、縁は木材。底も石でゴツゴツしていました。
青湯と異なり、こちらは自然湧出。緑色を帯びた黄土色に濁り、この時の湯温は40.3℃と丁度良い湯加減。湯面には薄い油膜のようなものが浮いていました。薄い塩気、弱めながらもはっきり感じられる金気、そして芒硝らしさが感じられます。ツルスベとキシキシが混在するような浴感でした(後述の玉子湯よりはツルツル感がやや勝るか)。
お湯は山側の浴槽の縁(底)から湧出しているらしく、そこだけがピンポイントで熱く感じられ、うっかりそこへお尻を近づけて「あちっ」と飛び上がることを何度か繰り返してしまいました。湧出量が少ないのでしょう、オーバーフローしていますが、その様はとても静かで、湯面も全く波立っていません。

 
赤湯温泉で一番大きいお風呂がこの玉子湯。川沿いで屋根などは一切無い、すばらしく開放的なロケーションです。

 
浴槽はコンクリ造でやや浅く、3分割されています。手前がぬるく、この時は39.6℃(↑の左画像)。奥は熱くて45.0℃もありました(↑の右画像)。真ん中はその中間ぐらいの温度です(測り忘れました)。


自然湧出のお湯で、奥の浴槽が熱いということは、湧出箇所は奥の浴槽にあるわけで、その縁を見ていると、次々にプクプクと泡があがってきます。また、ぬるい手前側の浴槽でも、山側の縁(底)だけは熱いので、そこからも湧出しているのでしょう。どの位置に入っても湧きたてのお湯を楽しめるなんて最高ですね。

赤みを帯びた黄土色に濁ったお湯は、浴槽に付着した苔のためか若干緑色がかっているようにも見えます。濁り方は弱い方だと思いますが、浴槽が温泉成分の色で染まっているので、近くから観察しても濃く濁っているようにも見えます。薄いがはっきりとした塩気、弱い金気、石膏っぽさ、その後から遅れてほろ苦味も感じられます。ツルツルとキシキシが混在したような浴感でした。
玉子湯という名前から、てっきり硫黄的な泉質を想像していましたが、そのような知覚はあまり感じられず、どちらかといえば、北海道・然別峡の野湯群や青森県の田代元湯に近いお湯のように思われました。この手のお湯は、こまめに手入れしないとすぐに藻が増殖し、臭くなって入浴できなくなっちゃうんですよね。宿の方が苦労してお手入れされているものと想像します。感謝感謝。

 
山口館で管理されているお風呂は上記の3つですが、旅館の建物を通り過ぎてちょっと川の上流側(山頂側)へ歩くと、もうひとつ野湯状態になっているところがあります。河原にできた湯溜まりみたいなものです。湯面からは湯気がたちのぼり、底からプクプク泡が上がっています。野湯ですからこちらは無料。


湯温はかなりぬるめ。夏の暑い時期に汗を流すべく入浴するとちょうどいいかもしれません。お湯の質は玉子湯に近いものを感じました。




・青の湯
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉 50.4℃ pH6.7 15.5L/min(掘削自噴) 溶存物質1914mg/kg 成分総計1982mg/kg

・薬師の湯
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉 49.0℃ pH6.3 18.9L/min(自然湧出) 溶存物質2693mg/kg 成分総計2918mg/kg

・玉子の湯
ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 56.6℃ pH6.4 14.9L/min(自然湧出) 溶存物質3657mg/kg 成分総計3942mg/kg

新潟県南魚沼郡湯沢町三国  地図
赤湯温泉連絡所025-772-4125

8:00~14:00 営業期間:4月29日~11月3日 (冬季休業)
入浴のみ:500円

片道徒歩2時間を要するので、トレッキングの装備が必要。熊除け鈴もあった方がいいでしょう。
温泉付近は携帯の電波が届きません。

私の好み:★★★










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赤湯温泉 山口館 その1・現地までの道程

2010年12月26日 | 新潟県
登山道を片道2時間かけて歩かないと到達できない、苗場山の山腹に湧く秘湯・赤湯温泉。
場所はこちらの地図をご参照あれ。
大して険しい道じゃないので、登山家にはお散歩程度のお手軽な行程なんでしょうが、私のような都会の脆弱人間にとっては、ちょっとしたトレッキング気分と程よい疲労感を味わえる、お手頃な道のりだと思います。

今回は現地までの道程を細かく書いてみます。

【事前の準備】
・トレッキングの装備や、往復に必要な水・軽食などを用意(温泉以外、登山道には水場なし)。熊除けの鈴があれば良し。
・日帰り入浴は14:00までです。入浴や往復(約4時間)にかかる時間も考えると、少なくとも11:00までには駐車場を出発すべきだと思います。



(↑画像クリックで拡大)
まずは車で苗場方面へ。苗場プリンス付近の国道17号沿いに、苗場山の登山ルート(駐車場まで)を記した看板が立っているので(地図)、ここで国道から反れて坂道を下っていきます。ここから2キロは舗装道です。舗装が終わる地点には行き止まりの看板が立っており、そこから更に砂利道を5キロ進みます。多少路面に穴が開いていますが、普通の乗用車でも行けます。

 
(右画像はクリックで拡大)
途中、清津川にかかる橋を渡るのですが(地図)、橋の親柱には進行方向を示す矢印とともに、「赤」の下に温泉マークが書かれていました。これで赤湯と読むわけですね。


橋を渡って川の左岸を走行。いい景色です。もうすぐ駐車場。

 
駐車場手前に分岐があり、右は登山道、左は駐車場(小日駐車場)です。登山道側はチェーンが張られていて一般車通行禁止なので、左側へ進んで突き当たりの駐車場(右画像)で車をとめます。分岐点からは100~200mほどでしょうか。

 
(右画像はクリックで拡大)
上述の分岐点(地図)が実質的な登山道スタートなので、ここには登山届を投入するポストが設置されています。温泉までの往復だけでも皆さんちゃんと記入して届け出ているようです。
また、その傍らにはタクシー会社の電話番号が書かれた看板も(右画像)ありました。下山後に車を使わず街へ出る人には便利ですね。

 
分岐点からしばらくは車が通れる道なので、歩くのは楽チン。展望はあまり期待できませんが、鬱蒼とした茂みに覆われているわけでもないので、開放感を十分に感じながら歩けます。この辺りはかつての建設省によって堰堤工事が行われた場所のようです(右画像に堰堤名が篆刻された碑が写っています)。

 
駐車場から20分。ちょっとした広場です。車(関係者の車)が入れるのはここまで。車両が入れないよう、石の車止めが自然な感じで置かれています(右画像)。

 
駐車場から25分。階段を下りて棒沢という小川にかかる棒沢橋を渡ります(地図)。ここは苗場山の4合目に当たるそうです。
橋桁はグレーチングになっていますが、これは雪が積もらないようにするための措置でしょう。この界隈は日本屈指の積雪ですから、積もったら雪の重さで橋が曲がっちゃいますもんね。最近架け替えられたらしく、新しくて頑丈な橋です。

 
橋をわたると、しばらくは登りが続きます。目指す赤湯温泉は清津川の上流にあるので、川沿いを進めれば楽なはずですが、渓谷がよほど険しいのでしょう、登山道は川を高巻く形のルートとなっています。
まずは木製の立派な階段。


やがて登山道らしい段々となり…

 
ついには木の根っこが階段代わりになる有様。間隔が不均等だから歩きにくいったらありゃしない。木の根っこゾーンが終わったら、今度は岩を急登です。この辺りが一番きついかな。


随所に、駐車場や赤湯までの距離が書かれたプレートが貼られています。「まだそれだけしか歩いてないのかよ」なんて愚痴をこぼしながら先へ登っていくわけです。でもこうした案内ってありがたいですね。

 
駐車場から50分。鷹ノ巣峠です。峠といってもピーク感は無く、見晴らしも全くききません。ただ山林の中の一ポイントに過ぎない感じです。でも急な勾配はここまで。

 
駐車場から1時間5分。見返りの松です。鷹ノ巣峠からここまでは、起伏あるもののほぼ下り基調です。

 
(右画像はクリックで拡大)
ここにも距離や所要時間の目安が掲示されていました。登山道ではこの地点だけドコモの電波が届きます(私のauでも辛うじて繋がりました)。このため、駐車場付近にあったタクシー会社の電話番号が書かれた看板がここにも掲示されていました。ここから電話すれば、ちょうど駐車場まで下山したときにタクシーもタイミングよくお迎えに上がれるとのこと。親切というか、商魂逞しいというか。


ところで見返りの松の「松」ってどこに生えているのかしら? あたりは落葉樹ばかりで、松らしい木は↑画像の数本くらいしか見当たらないんですが、これのことでしょうか。

 
見返りの松を過ぎると、川へ向かってひたすら下りです。ジグザグ坂を一気に下ります。ロープ場もありますが、不安な方は握ればよい程度の勾配ですから、晴れていれば問題ありません(ぬかるんでいると滑りやすいかも)。


駐車場から1時間22分。坂を下りきると、赤湯1号橋をわたります。

 
駐車場から1時間25分。清津川にかかる赤湯2号橋です。この橋も雪の荷重を逃がすべく、グレーチングです。山奥に似つかわしくない立派な造りですね。どなたでも安心して渡れます。


2号橋から川上を見ると、目指す赤湯温泉の露天風呂のひとつ「青湯」が見えました。もうすぐゴールだ!


駐車場から1時間30分。赤湯温泉・山口館に到着。苗場山の5合目なんだそうです。今回は温泉が目的なので、ここがゴールです。
標準タイムは2時間ですから、私はその75%の時間で到達できたことになります。天気に恵まれ、道のコンディションが良かったので、標準より早く歩けたのでしょう。
なお帰路は1時間25分でした。

トレッキング初心者だけど、高尾山レベルじゃ物足りないな、という御仁はもってこいのレベルの登山道だと思います。
もちろん冬季は行けませんのであしからず。

次回はお湯の様子を書き綴ってみます。


















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漣温泉 のぞみの湯

2010年12月24日 | 群馬県
 
旧新治村役場から近い地元民向けの小さな共同浴場。地元出身のボーリング会社社長がこの温泉を寄贈したんだそうです。なんとも太っ腹だこと。一時期は外来客を断っていたこともあったようですが、現在はみなかみ町公式サイトの「町営住宅、その他施設」にて当浴場の存在が公開されているので、完全に謝絶という訳ではないようです(都合よく解釈しすぎか)。

国道17号沿いの某所に立地しているのですが、あくまで地元民向け施設であるため案内看板等は一切なく、建物自体も国道に背を向けているので、立地位置のわりには解りにくいかと思います。国道から施設への取り付け道路や、屋根にちょこんと載っている湯気抜きが見つける上での目印になるでしょう。6~7台分の駐車スペースあり。また湯小屋隣に簡易トイレも設置されています。


木造の小さな湯屋は防水の石膏ボードを貼って壁にしただけの実に簡素な造り。農機具を収納する納屋みたいな外観です。無人施設なので脱衣所に置かれている料金箱に自分でお金を投入します。


脱衣所はこんな感じ。簡素です。


(↑画像クリックで拡大)
壁には「建物の老朽化しているので台風並みの強風時には使用を控えるように」と書かれた注意書きが貼ってありました。

 
浴槽は木板を組んで作られた3人サイズ程の物で、塩ビのパイプから源泉が投入されています。ボイラによって加熱されていますが、加水や消毒などの処理はされていません。カランは無いので、かけ湯は湯船から直接汲むことになります。
無色透明で明瞭なタマゴ味とタマゴ臭が感じられます(高アルカリ性泉にありがちな僅かに収斂するような感じもあり)。ヌルヌルに近いツルツルスベスベ感がとても気持ちよく、湯口では44℃位ですが湯船では40℃前後まで下がっているので、若干ぬるめのお湯にじっくり浸かりながらヌルツルスベを堪能することができました。また泡つきが強く、全身が気泡でびっしり覆われ、お湯の中でも細かな泡が沢山浮遊していました。芒硝型のアルカリ性単純泉ですが、芒硝泉的な引っかかりやピリピリ感ではなく、ヌルスベの強い浴感が得られるのは、高アルカリとナトリウムによる鹸化作用の影響なんでしょうか(ちなみに重曹は僅少)。とにかく素晴らしいお湯です。いつまでも入っていたかった…。

一人で湯浴みしていると、地元の方が入ってこられ、部会者の私を寧ろ歓迎して下さいました。一緒に湯船に浸かりながら「湯宿や猿ヶ京と違い、ぬるくて気持ちよいお湯なので、どんどん皆に紹介してほしい」と誇らしげに仰っていたのが印象的でした。
共同浴場は不埒な輩によって荒らされて「部外者お断り」という運命を辿り易いものですが、そうならないよう、マナーを守って、地元のお風呂をお借りするという意識で入らせていただくことが大切ですね。いつまでも存在し続けてほしいお風呂です。


アルカリ性単純温泉 34.8℃ pH9.3 30L/min(掘削自噴) 溶存物質0.72g/kg 成分総計0.72g/kg

群馬県利根郡みなかみ町某所
15:00~21:30
100円
備品類無し

私の好み:★★★
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