温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯ノ岱駅の切符

2011年01月27日 | 北海道
今回の記事に温泉は登場しませんので悪しからず。


 
先日仕事をサボって「北東北・函館フリー乗車券」で道南の温泉を巡ったのですが、その際に立ち寄った江差線の湯ノ岱駅で久しぶりに目にする切符を入手しました。

 
この日は上ノ国駅から木古内行4175Dに乗車、湯ノ岱駅へ定刻通りに到着。駅では私一人が降りただけでした。
こんな豪雪なのに定時運行なんですから雪国の鉄道は逞しいもんです。画像には2人の男性が小さく写っていますが、一人は列車の運転士で、もう一人は駅員さん。江差~湯ノ岱はスタフ閉塞なので、通票を手渡しているところです。列車は定時の10:58に出発。駅員さんは雪降る中、直立不動で車両の姿が見えなくなるまで列車を見守っていました。

 
さてこの湯ノ岱駅は、硬券の入場券や軟券常備券・料金補充券を発行してくれる今どき珍しい駅として鉄道切符蒐集家ではかなり有名なんだそうです。これは旅の記念になるぞ…。たしかにみどりの窓口はないものの、ちゃんと出札窓口は開いていましたので、駅員氏に「特急の自由席券は買えますか?」と訊いてみたところ、けんもほろろに「ダメ」との返答。私がこの駅を降りた目的は湯ノ岱温泉「上の国町・国民温泉センター」に行くことでして、キップはついでに買えたらいいな、程度の意識でしたから、まぁダメでも仕方ないやと落胆することもなく、さっさと温泉へと歩き出そうとしたら、「木古内~函館だったらいいよ」とのこと。ちょうど木古内→函館の自由席特急券が欲しかったところなので、これ幸いと発券してもらうことにしました。ただこの時は除雪車を動かすための業務が忙しいので、手続きは温泉から帰ってきてから改めてお願いすることとなりました。

(湯ノ岱温泉「上の国町・国民温泉センター」については、また後日レポートします)



(↑画像クリックで拡大)
これがその湯ノ岱駅で発行された料金補充券による「木古内→函館の自由席特急券」です。手書きの切符って味があっていいですね。事務管コードもちゃんと記入されています。駅員さんも実に手慣れた様子でさらさらと記入していました。


(↑画像クリックで拡大)
ついでに入場券も購入。地方の中小私鉄ならば硬券が結構現役だったりしますが、JRでは今やかなり珍しいのではないかしら(北海道では意外と残っているらしいですが)。
この入場券、なんだかちょっと斜めに印刷されている気がします。日付はダッチングではなく、文房具の日付スタンプでした。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山形温泉 蔵王荘

2011年01月26日 | 山形県
※残念ながら閉館しました。


蔵王温泉から路線バスで山形駅へ戻る途中、「山形温泉口」という名前の停留所があったので、そこで降りて温泉を探してみることにしました。辺りを見回すと、停留所目の前にあるベンツのディーラー付近でバス通りの県道から東側へ逸れてゆく路地(おそらく県道の旧道)があり、その道沿いに「蔵王荘」と書かれた古い鉄筋コンクリート造の建物があるのを発見。歩いて2~3分ぐらいでしょうか。建物前には10台くらいは余裕で停められそうな駐車場があります。

 
中に入ると、玄関ホールにはブルーシートが敷かれてその上に大きな木の枝が置かれていました。一体これはなんだろう。入浴を乞うべく声を掛けても誰も出てこない。仕方ないので勝手に靴を脱いで中へ上がって奥の方へと歩いてゆくと、やっと宿のおばさんが登場し、笑顔で入浴を受け入れてくださいました。浴室は玄関から廊下を進んで突き当たりを右折し、すぐ左側にありました。


男女別の内湯が一室ずつ。脱衣所手前にちょっとした休憩スペースがあって、そこには飲み物の自販機の他に4つほど貴重品用ロッカーも設けられています。

 
脱衣所はこんな感じ。あまり広くはありませんが、ちゃんとお手入れされています。ウッディな内装ですね。


タイル貼の浴室には、窓際に浴槽が1つ据えられ、その手前両側にシャワー付き混合栓(カラン)が3基ずつ(計6基)。カランから出るお湯は源泉使用です。ガラス窓の向こうはすぐに板塀なので景色を楽しむことはできませんが、窓と塀の間は植木が配され、ちょっとした箱庭みたいな感じです。


コップが置かれたカエルさんの湯口からは、加温加水循環消毒一切ない源泉のままのお湯が投入され、浴槽の縁から静かにオーバーフローしています。湯船に入るとお湯が一気にザバーっと溢れだし、豪快な気分が味わえます。

見た目は山吹色で笹濁り(ほぼ透明だが底がボンヤリ霞む)。味は薄塩味+鉄っぽい明瞭な金気+芒硝味+弱タマゴ味、匂いは弱い金気臭+土気臭+タマゴ臭でして、タマゴ的な味と匂いに関しては、一般的なタマゴ湯にありがちな知覚と異なり、モール的というか沃素っぽいというか海水っぽいというか、ちょっと不思議で表現しにくい味でした。芒硝泉ですが、重曹が多いためか硫酸塩泉的なキシキシ感はあまり感じず、むしろハッキリとしたツルツルスベスベ感が楽しめる、実に気持ちの良い浴感です。何度も肌をさすりたくなりました。尚、泡付きはありません。硫酸塩泉は無色透明でわかりやすい知覚的特徴に欠けることが多いのですが、ここのお湯はその例を覆すかなり特徴的な知覚が感じられました。とっても良いお湯です。

さてお湯から上がって玄関へ戻ると、先程はガランとしていた玄関に4~5人ほど爺さん婆さんが集まり、掌で紅色や白色の餅を丸めながら、それをブルーシート上の枝に刺していました。なるほど、餅花しだれを作ってるんですね。いかにもお正月らしい光景です。


ナトリウム-硫酸塩温泉 50.0℃ pH7.8 蒸発残留物3045mg/kg 溶存物質3222mg/kg

山形交通バス・蔵王温泉行または上山(高松葉山)行で山形温泉口バス停下車、徒歩2~3分
(蔵王温泉行は山形駅前から、上山行は駅から徒歩3~4分の山交ビル角から乗車)
山交バスホームページ

山形県山形市蔵王成沢173  地図
023-688-3333

10:00~21:00
300円
貴重品ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
.
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天然温泉八百坊

2011年01月25日 | 山形県


「はっぴゃくぼう」と読みます。国道13号バイパスを挟んで臥龍温泉の反対側、ネッツトヨタの裏手にある、八角堂の湯屋が目立つ入浴施設。雪が降りしきる当日、付近の道路の側溝のあちこちからは盛んに湯気が上がっていましたが、おそらくはここの排湯が流れていたんでしょう。玄関は八角堂の裏手です。

 

(↑画像はいずれもクリックで拡大)
玄関脇や館内には、天照だの湯殿山だの、「とっても神がかっていますよ」的な温泉の説明が掲示されていますが、無神論者の私としては面倒なので読むのはパス。

 
館内はとっても綺麗で、受付の方も物腰柔らかく、とっても親切。八角堂の中心にはいけばなが据えられた休憩室が設けられ、その両側に男女の浴室が分かれて配されています。脱衣所は明るく清潔、間接照明が用いられるなど、落ち着いた雰囲気です。


雪の日に訪れたためか、浴室は湯気が篭って視界不良、ミストサウナ状態でしたので、見にくい画像になってしまったことはご容赦の程を。シャワー付きのカランは計12ヶ所で、うち7ヶ所は、側壁を壊して外側に増設したと思しき数段低い場所に分かれて配置されています。カランから出るお湯は源泉使用。


浴槽は岩風呂で、大きな岩によって男女の浴室が隔てられており、八角堂の曲がり方に沿うような感じでいびつな形に造られています。

 
岩からはお湯が滝のようにドバドバ落とされ、それが大浴槽を満たし、浴槽の縁からはまるで洪水のように大量にオーバーフローしています。後から入ってきた子供達はその溢れ出しをプールに見立てていたほどです。
余談ですが、「お!浴槽底に敷き詰められたタイルもオクタゴンか」と思ってよく目を凝らしたら、そのタイルはヘキサゴンでした。ま、どうでもいいんですけど。

ここでは2つの源泉が用いられており、両方とも加温加水循環消毒なし。ひとつは食塩・芒硝泉で、上述の滝によってメイン浴槽に張られる湧出量豊かなお湯。滝(湯口)では熱めですが、湯船はちょうどよい湯加減。ごく薄い黄色透明で、割とはっきりとしたタマゴ+金気+芒硝の味と匂いが感じられます。投入量が多く、しっかり溢れてゆくので、湯船のお湯は新鮮そのもの。泡つきはないものの、ヌルヌルに近いツルツルスベスベでとっても気持ちよい浴感です。お湯の中で何度も肌をさすりたくなっちゃいます。そのかわりツルスベ感が強いので、洗い場が滑りやすく、実際に転びそうになりました(笑)。


もうひとつの源泉は温度が約23℃のもので、脱衣所出入口付近で水風呂として利用されています。小さな槽ですが、こちらもしっかりオーバーフロー。泉質は単純泉で、ごく僅かに薄い黄色を帯びた透明、無臭でほんのり甘みがあります。ちなみに大浴槽の方にもこの冷鉱泉が出る蛇口が設けられています。

綺麗な館内で使い勝手が良く、お湯も豊富で良質。界隈には他にも温泉浴場があって、それらの方が料金が安いため、こちらはあまり混雑せず、ゆっくり湯浴みできるかと思います。生活感が強い銭湯が苦手な方や、女性や家族連れには向いている施設ではないでしょうか。


福神Ⅰ
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 49.1℃ pH8.5 蒸発残留物2317mg/kg 溶存物質2504mg/kg

福神源泉
単純温泉 27.3℃ pH7.9 溶存物質316.3mg/kg 成分総計318.8mg/kg

山形交通バス・蔵王温泉行または上山(高松葉山)行で青田バス停下車、徒歩12分
(蔵王温泉行は山形駅前から、上山行は駅から徒歩3~4分の山交ビル角から乗車。山交ビル角~青田は15~20分、270円)
山交バスホームページ

山形県山形市東青田5-1-1  地図
023-624-9800
ホームページ

6:30~23:00
500円
貴重品ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

臥龍温泉保養センター

2011年01月25日 | 山形県

山形市内の国道13号バイパス傍に建つ、一見すると老朽化した小さな鉄筋コンクリートのマンションみたいな宿泊兼入浴施設。NHKの「ふだん着の温泉」で取り上げられていたので、以前から興味津々。先日行ってきました。

 
バイパスにも裏側の路地にも看板が出ているので、近くまでくれば迷うことはないでしょう。


古いといって侮るなかれ、夕方に訪れてみると、あたかも吸い込まれていくかのように、次から次へとお客さんが入っていくではありませんか。
玄関ロビーは昭和から時が止まったかのような雰囲気。券売機で料金を払い、受付に券を渡して中へ。浴室には檜風呂と岩風呂の2種類があり、どうやら男女入れ替え制らしく、この日の男湯は檜風呂でした。


脱衣所はごく普通の造りで、きちんと清掃されているのがわかります。

 
浴室には浴槽ひとつとシャワー付混合栓が8基。カランは浴槽前の他、脱衣所のドア付近の狭いところにも、いかにも後から追加しましたという状態で数基設置されていました。なおカランから出るお湯は源泉です。
浴槽は長方形でおおよそ10人サイズ。檜風呂といっても、縁と湯口が檜なだけで、浴槽自体は石板貼りでした。脱衣室といいお風呂といい、意外と言っては失礼ですが、古臭い外観からもたらされる予想を裏切る、あまり古さを感じさせない造りです。
いざ入ろうとすると、かなり熱い。熱湯慣れしていない若者だったら入れないかもしれません。常連さんでもさすがに長湯する人はいないようで、みなさんすぐにお湯から上がって、トドになっていました。浴槽の縁と側壁の間のスペースがちょうど人一人嵌れるため、ここに身を納めて体を横にするわけです。


湯口からアツアツのお湯が投入され、浴槽の縁からはお湯がふんだんにオーバーフロー。鮮度良好です。お湯はごく薄い黄色透明で、ほとんど無色と表現しても差し支えないほど。薄い塩味+昆布だし味+芒硝味+金気味で、芒硝臭+金気臭がいずれも微かに匂います。金気は他にあまり例が無いような独特の感じなのですが、津軽の温泉のどこかで同じような感触を得た気がします(でもそれがどこだか思い出せない…)。お湯の中では肌に気泡が沢山付着。硫酸塩泉ですが、よくあるキシキシ感は弱く、むしろスベスベ感の方が優勢。湯上りでも肌のスベスべが持続し、温まりも強く、この時は軽く吹雪いてましたが、ちっとも湯冷めしませんでした。

常連さんに愛されるこの温泉。決して大きくないため、土曜の夕方に訪れた時には男湯だけで10~15人が常に出入りしながら混雑の中を湯浴みしている状態。明らかに他所者の私は皆さんからジロジロ見られちゃいました。混雑を避けるならば、お昼頃がいいかもしれませんね。


ナトリウム-硫酸塩泉 53.4℃ pH8.2 動力揚湯(量不明) 溶存物質3439mg/kg 成分総計3442mg/kg

山形交通バス・蔵王温泉行または上山(高松葉山)行で青田バス停下車、徒歩10分
(蔵王温泉行は山形駅前から、上山行は駅から徒歩3~4分の山交ビル角から乗車。山交ビル角~青田は15~20分、270円)
山交バスホームページ

山形県山形市青田5-15-6  地図
023-631-5473

6:00~21:30
350円
100円リターン式ロッカー・ドライヤー・リンスインシャンプー&ボディーソープあり

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西山温泉 下の湯

2011年01月22日 | 福島県
 
滝の湯の直前で左に入る小道を進んだ突き当りの吊橋を渡ったすぐの川岸に建つ、看板などは出ていないお宿です。一見するとごく普通の民家ですが、母屋の隣(吊橋側)にいかにも湯屋然とした小屋が目立っているので、温泉通いに慣れた方なら、ここにお風呂があることをすぐに見破ることができるでしょう。

訪問時は晩秋で、ちょうどご夫婦揃って雪囲いの作業中で、日帰り入浴を乞うと奥さんが笑顔で受け入れてくださいました。玄関入るといきなり炬燵が置かれた居間になっていて、本当にここが宿なのか疑わしくなりましたが、三和土の右側の上がり框にはスリッパが並べられていたので、これでようやく、ここはお客を迎える所なんだと確認することができました。

 
廊下を歩いて湯屋へ。浴室は男女の区別が無い1室のみで、実質的に貸切風呂です。


脱衣所には木板に記された昭和26年の分析表が掲げられていました。

 
室内には木製の浴槽が据えられ、カランなどの設備はありません。浴槽は均等に2分割され、それぞれ1~2人サイズ。そのうち片方に塩ビのパイプから源泉が注がれており、一旦そこで張られたお湯が隣の槽へと流れていきます。注がれるお湯は激熱、それが直接投入される槽はとても入れる温度じゃなかったので、湯温画下がっているもう片方の槽で入浴しました。熱い槽には真っ白な溶きタマゴの様な湯の華がたくさん沈殿しており、隣の槽にも若干湯の華が流れ込んでいました。


コップで湯口からお湯を汲むだけで、その中に湯の華が入ってくるので、浴槽の底に沈殿している量は推して知るべし、かなりの量なのであります。


無色透明、まろやかだが明瞭な塩味と薄い出汁味に弱いタマゴ味が混ざり合い、意外と口当たりが良いので、タマゴスープのように美味しく飲めちゃいます。湯口に鼻を近づけると、噴気孔で鼻を突くような硫化水素集が弱く感じられました。とてもツルツルスベスベ気持ち良く、引っかかりも無く、湯上りもお肌がスベスベ。静かで古い浴室の雰囲気と相俟って、お湯の良さが非常に際立ちます。

お湯から上がって帰ろうとしたら、次のお客さん(ご夫婦)が居間で炬燵に入って宿のお婆ちゃんと談笑しながら、私が出るのを待っていました。そのお婆ちゃんは座椅子に腰掛けながらも、ただでさえ「く」の字に曲がった老躯を更に下げ、一介の入浴者たる若輩の私に対し、ご丁寧にお辞儀して下さいました。そのご好意に心から感謝するとともに、現代人が習得を疎かにしてきた礼節について、猛省しなきゃいけないと改めて痛感した次第です。

いかにも東北の昔ながらの温泉宿風情を色濃く残すこちらのお宿。末永く続いていただきたいものです。



含硫黄・ナトリウム-塩化物泉 75.1℃ pH6.8 3.35L/min(自然湧出) 溶存物質4.493g/kg 成分総計4.610g/kg

福島県河沼郡柳津町大字五畳敷字下の湯44  地図
0241-43-2021
(数年前まで路線バスがありましたが、つい最近廃止されて、公共交通機関は無いようです)

入浴可能時間不明
400円
シャンプー・石鹸あり、他の備品無し

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする