温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

海潮温泉 かじか荘

2011年02月26日 | 島根県
※2012年1月末を以て閉館しました。


斐伊川の支流である赤川に沿って数軒の旅館が肩を寄せ合うように軒を並べる海潮温泉。1300年近い歴史を有する名湯なんだそうですが、立派な旅館「海潮荘」「山水館」など数軒以外の宿は悉く廃業して無残な姿を晒しており、私が訪った時には鄙びを通り越して気が重たくなるような寂寥感が漂っていました。


その小さな温泉街の影にひっそり佇む公営の共同浴場が「かじか荘」です。旅館が並ぶ細いから更に奥へ入った解りにくい場所に位置しています。一応湯屋の前に駐車場があるのですが、軽や5ナンバーじゃないと通れなさそうな狭くて曲がりにくい路地を入っていく必要があります。つい道沿いで車を停めやすい旅館「海潮荘」の駐車場に入りたくなりますが、私有地ですのでNGです。

 
この施設は基本的に無人です。玄関正面に料金箱が置かれているので、自分で料金を入れ、そこに置かれている台帳へ自分でスタンプを捺します。この台帳で入場者数をカウントしているようです。

 
無人ですが建物内にはお風呂道具が売られている自販機が設置されているので、手ぶらで来ても何とかなりそうです。でも欲しい物が売れ切れているかもしれませんが…。その隣にはちょっとした休憩室も確保されていました。


脱衣所は至ってシンプル。いかにも公営の無味乾燥とした室内。

 
浴室には縦長で5~6人サイズの浴槽がひとつ。洗い場のカラン(蛇口)は1組しかないので、体を洗う際には浴槽から直接桶で汲んじゃったほうがいいでしょう。
浴槽へは専用の蛇口から源泉が投入されています。蛇口周りは硫酸塩の析出が付着して白いトゲトゲが発生していました。お湯の投入量はかなり豊富で、浴槽の縁から惜しげもなくオーバーフローしています。
無色澄明、微芒硝味+匂いに、弱い出汁のような味と匂いが混ざり合って感じられます。弱いツルスベ感と硫酸塩泉的な引っかかりが混在した浴感です。お湯が新鮮だからか肌には泡付きが見られました。
熱くも無くぬるくも無い丁度良い湯加減で、且つやさしく包み込んでくれるような柔らかなお湯なので、出るのが躊躇われるほど後を引いてしまう魔力を有しています。湯上りはさっぱり爽快。

施設はごく普通のこじんまりした共同浴場ですが、お湯の柔らかさや優しさは秀逸で、そんなお湯の良さが客を招くのか、訪問当日は朝一番の営業時間前に行ったのですが、既に3人もの常連さんが玄関の前で待機しており、今か今かと扉が開くのを待っていました。


ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉
(詳細な分析表見当たらず)

島根県雲南市大東町中湯石475  地図

9:30~21:00 第2・4月曜定休
200円
ロッカー有り、その他の備品類は無し(入浴用具の自販機あり)

私の好み:★★
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増毛→登戸の片道乗車券(登戸駅発行の出札補充券)

2011年02月25日 | 旅行記
今月上旬の北海道旅行では、久しぶりに鉄道をフル活用してみました。北海道フリーパスというお得なキップもあるのですが、無性に手書きの切符が欲しくなったので、今回は長いルートを一筆書きによる片道切符で発行してもらうことにしました。

  
(画像クリックで拡大)
経路数が多いのでマルスでは発券できず、出札補充券での発券となりました。というか、それは事前に分かっていたので、駅で申し込む際には「明後日に引き取りに伺いますので宜しくお願いします」と時間に余裕を持って発券をお願いしました。

出札補充券で経路数が多い時は、メモ書きのような別紙にその経路をまとめて書いて裏面に貼りつける場合が多いのですが、この切符を作ってくれた登戸駅の駅員さんは、律儀にも補充券を計3枚綴って経路を書いてくれました。

経路数が多くなっちゃった原因は、ルート選択もさることながら、「北斗星」を利用すべく北海道から本州間を在来線経由にしたため、「青森・青い森・目時・IGR・盛岡」なんて経路を記入する必要性が発生したことも大きな要因かと思います。

この乗車券で「北斗星」に乗ったということは、前回の記事でご紹介したとおり、「北斗星」の寝台券は料補で発行してもらいましたから、出補と料補で「北斗星」に乗ったことになります。かなり重度のマニアがやることですね。これは「SL冬の湿原号」においても然りです。

途中下車した駅では、あまり経路を確認されることはなく、ほとんど信用乗車状態でした。でもちゃんと経路は守りましたよ。
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久しぶりに寝台特急「北斗星」に乗る

2011年02月25日 | 旅行記
北海道からの帰りは、久しぶりに寝台特急「北斗星」に乗ってみることにしました。


(画像クリックで拡大)
まずは切符から。川崎新町駅で発行してもらった料金補充券です。B寝台の個室を希望していたのですが、連休中のためか生憎満室だったので、今回は開放B寝台の下段です。個室と開放寝台が同じ料金ってなぜなのかしら。


(画像クリックで拡大)
ちなみに前回「北斗星」に乗ったのは、なんと20年前! B寝台個室(ソロ)でした。
その時のキップを発見したので、ついでにアップします。懐かしのL型マルス券です。

 
今回は旅程の都合で長万部から乗車。「北斗星」の長万部発車時刻は19:55ですが、出札・改札は19:15までなので、この駅から「北斗星」に乗る場合は無改札で駅構内に入ることになります。

 
駅ホームには誰もいない。寂しい駅…。冬の冷たい風がホームの上を吹きぬけます。


5分ほど遅れて「北斗星」が入線。結局この日この列車に乗ったのは、私ともう一人のおじさんの計2人だけでした。

 
さっそく指定された寝台に向かいましょう。久しぶりの寝台列車に聊か興奮気味。
上段には既に別のお客さんが乗っていました。

 
車内では長万部名物の駅弁「かにめし」を頬張りました。蟹のほぐし身たっぷり、ご飯の味付けもいい具合で、とっても美味い。

 
今回乗車した車両はオハネフ25 8。JR北海道の所属。


朝食は食堂車「グランシャリオ」で洋風朝食をいただきました。1600円という驚きのexpensive価格ですが、今の日本で食堂車が連結されている列車なんて殆ど無いわけですから、旅の記念として利用することにしました。でもできたての温かい食事は美味しかったですよ。オープンとほぼ同時に食堂車へ行ったので幸いにも待たずに席を確保できましたが、ちょっとでも遅れると30分ぐらい待たされるようです。朝食は予約制ではないので仕方ありません。


大宮にはほぼ定刻到着でしたが、大宮~上野は車両に付着した氷が線路に落ちてバラストを跳ね上げ他の車両のガラスを割る危険性がある、との理由で、65km/hの速度制限で走行し、上野には5分ほど遅れて到着しました。大宮にも上野にも撮り鉄のあんちゃんたちが黒山の人だかり。寝台列車は人気が高いんですね。


自分がさっきまで乗っていた寝台を、ホームからガラス越しに撮影。


こんど寝台列車に乗るのはいつになるのやら…。
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SL冬の湿原号 2011年

2011年02月24日 | 北海道
網走から釧網本線で釧路へ出る際、ついでに途中下車して時間を合わせながら、臨時列車「SL冬の湿原号」に乗車することにしました。


(画像クリックで拡大)
まずは切符から。レトロな列車には手書きの切符が似合うだろうと思い、切符蒐集家にはお馴染みの川崎新町駅で指定席券を購入(「SL冬の湿原号」は全席指定)。
国鉄時代からの生え抜きと思しき出札窓口氏は、私が書いた申込用紙の「標茶→釧路」を何ら躊躇なく「しべちゃ→くしろ」と読んでいました。今の若い駅員さんだったら、釧路はともかく標茶は読めないんじゃないかしら。さすがベテランです。
なお今回私が宛がわれた3号車17番D席は、進行方向の前向きで、しかも湿原側の窓側席というベストシートでした(冬の湿原号の客車は固定BOX席なので、進行方向の席を確保するのが難しいのであります)


 
標茶駅です。駅隣の駐車場には大型観光バスが乗り付け、団体客が次々にバスから駅へと向かっていきます。急増する中国人観光客のため、標茶駅の案内放送では、中国語によるアナウンスも行われていました。まさかローカル駅で中国語案内を聞くとは意外でした。

 
今回の乗車区間は上述のように標茶から釧路まで。釧路から来たSLはお昼頃に標茶に到着して折り返すのですが、標茶には転車台が無いため、機回しこそするものの機関車の前後は変えることができず、釧路行は後ろを向いたままで客車を牽引するのです。何だか間抜けですが、でも後姿を見せたまま本線上を疾走する姿なんて滅多に見られませんから、考えようによっては貴重な体験ができるとも言えます。


機関車の後ろには車掌車ヨ3500が連結されています。とはいえ車掌はここには乗らないので、一応「緩急車」として扱われており、実質的には展望車として一般乗客に開放されています。後ほど乗ってみることにしましょう。


車掌車以外の客車は1号車と3~5号車が14系、そして…

 
2号車は旧型客車でスハフ44系から改造されたスハシ44が連結されています。この2号車はカフェカーとなっていました。

 
カフェスペース以外には客席もちゃんと設置されています。白熱灯の照明がいい雰囲気を醸し出していますね。石炭をくべるダルマストーブもあって、ストーブ上でスルメを焼いたりできるみたいです。なおダルマストーブは14系の方にも取り付けられています。


列車は定刻通りに標茶を出発。ホイッスルを響かせながら、ゆっくりと走りだしました。
しばらくすると車掌さんが巡回しはじめ、乗客一人一人に乗車証明書を配ってくれました。

 

(両画像ともクリックで拡大)
タンチョウが飛来する駅として有名な茅沼駅に停車中です。窓の外を見ると、タンチョウがいるではありませんか。車掌さんも親切に放送で案内してくれました。

 
カフェカーでコーヒーとかぼちゃアイスを購入。アテンダントさんおすすめのかぼちゃアイスは甘さ控えめで且つかぼちゃの風味が存分に活きており、とっても美味でした。
車窓には湿原が広がってきました。いい天気なので、とっても爽快な景色。

 
SLの次位に連結されている車掌車に行ってみました。車内では地元のガイドさんによるネイチャー講座の真っ最中でした。板ばね懸架の二軸車は、さすがにワイルドな乗り心地で、騒音もすさまじく、ガイドさんは狭い車内ながらスピーカーを使ってお話していました。走行している車掌車に乗る機会なんて滅多に無いので、揺れと音を存分に堪能。せっかくなのでデッキに出てみましょう。

 
おお!すげぇ!SLが目の前だ!
SL列車は各地で運転されていますが、走行中のSLを間近で体感できる列車はあまりないのではないかと思います。ドラフト音やブラスト音がすぐそばで響いており、煙突から煙が吐き出される様子もすぐ目の前で見ることができました。たまにホイッスルが鳴ると、耳が劈かれそうに。

 
めちゃくちゃ寒いのに、力強く走るSLの迫力に圧倒され、ついデッキに長居してしまいました。

 
定刻15:10に釧路到着。大人げなくSLに興奮していたらあっという間に着いちゃいました。


国内唯一の炭鉱がある街だけあり、ホームには石炭が飾られています。

 
 
釧路到着後しばらくは撮影会みたいな状態でした。もちろん私もカメラを向けさせてもらいました。SLっていいもんですね。

JR北海道釧路支社・SL冬の湿原号(2011年)の公式サイト

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標茶温泉 富士温泉

2011年02月24日 | 北海道

標茶駅から歩いて行ける距離にある温泉のひとつ。北海道でモールの温泉と言えば十勝川温泉が有名ですが、十勝川の氾濫原と同様に植物起源の泥炭や亜炭層が堆積している釧路湿原周辺の一部地域でもモール泉が湧いており、標茶町域はその典型でしょう。


この富士温泉は宿泊もできますが、基本的には温泉銭湯としての営業がメインのようです。玄関を入って奥右手の受付で物腰柔らかなおばちゃんに直接料金を支払います。牛乳が入った冷蔵庫が置かれているちょっとした休憩スペースもあります。


浴室は玄関の左側。脱衣所はシンプルな造りです。扇風機が置かれているので、湯上がりに火照った体をクールダウンされるには便利。


浴室には押しバネ式でお湯しか出ないものが13基、うちシャワー付が10基で、出てくるお湯は源泉です。後述しますが、お湯は色の濃いモール泉なので、桶のお湯も紅茶色です。


男湯と女湯の仕切りには壁絵が描かれています。長閑な農村をイメージした抽象的な絵のようです。その下に浴槽がふたつ並んでいました。

 
丸型の槽は6人サイズで41~2℃に設定されており、方形の槽は2人サイズで43~4℃設定です。源泉温度が高いために加水されていますが、加温・消毒・循環はされていない掛け流しです。いずれの浴槽も浴槽縁の切り欠けから排湯されており、丸型槽の切り欠けにはレンガが置かれて、お湯が流れすぎないよう調整されていました。人が湯船に入るとしっかりオーバーフローします。

典型的なモール泉で、ツルツルスベスベのとっても気持ち良い浴感。紅茶色の透明ですが、色が濃いため浴槽の底が見えません。浴室へ入った途端に香るモール臭が芳しく、湯口では薄いタマゴ臭も混ざっていました。モール泉らしい独特な味と微かなタマゴ味にほろ苦さが混在した味が感じられます。湯面は泡で覆われており、丸型の槽ではこれが顕著で、お湯に入ると肌に細かい気泡が付着します。
加水されているのに結構熱いのですが、気持ち良い浴感のために後を引き、いつまでも出るのが惜しまれる程の滑らかなお湯でした。


画像では見難いのですが、右側の張り紙(「タオルを浴槽に入れないで」という注意書き)には日本語の他、英語・ハングル・中国語繁体字・中国語簡体字と計5つの文字で表記されていました。こんな長閑な地方の温泉銭湯なのに、国際色豊かですね。近年急増する中国系の観光客に対応しているんでしょう。

湯量は豊富でカランも源泉使用、濃いモール泉でしっかり高温、気泡もたくさんでお肌スベスベ、とっても素晴らしいお湯でした。列車の乗り継ぎの際に時間があれば是非入ってみてください。おすすめです。


アルカリ性単純温泉 46.8℃ pH8.9 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質0.767g/kg 成分総計0.767g/kg

JR釧網本線・標茶駅より徒歩7~8分(約600m)
北海道川上郡標茶町富士5-26  地図
0154-85-3003

6:30~8:00、12:00~21:30、毎月10日定休
350円
ロッカー・ドライヤー・シャンプー類などの備品類は無し(各種販売)

私の好み:★★★
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