温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

帯広市街 オベリベリ温泉 水光園

2012年02月18日 | 北海道
 
帯広人から評判が高い温泉日帰り入浴施設「水光園」へ行ってきました。国道38号線(十勝国道)沿いのわかりやすい立地に大きな看板が立っているので、深刻な悩み事を抱えてうわの空になっていなければ見逃すことはないでしょう。比較的本数の多い東10条バス停からも近いので、公共交通機関でも便利です。



駐車場内には「匠そば」というお蕎麦屋さんも併設されています。



駐車場から伸びるアプローチを進んで小川を渡ります。せせらぎと緑に囲まれた市街地っぽくない公園のような雰囲気です。施設名にオベリベリという名前が冠されていますが、このオベリベリとは帯広の名前の由来なんだそうでして、アイヌ語で川の流れが幾筋も裂けている(分岐している)場所という意味の「オペレペレケプ」が和人鈍りの「オベリベリ」へ転じ、更にオビヒロになったんだそうです(個人的な見解としては相当無理があるような気がするのですが…)。この小川はすぐ北を流れる十勝川の枝分かれなんでしょうね。上で掲載した看板に「帯広発祥の地」と書かれていたのは、この水路と関係があるのかもしれません。



本棟の前に到着です。こちらにも広い駐車場が用意されているので、車で来る場合にはここまで乗り入れちゃった方がいいですね。2006年12月にリニューアルオープンして以来、施設の充実さやお湯の良さが評判となって人気を集め、その勢いはいまだに衰えていません。この日も駐車場にはたくさんの車がとまっており、更に次から次へと来客が見られました。



内部撮影は禁止されているので、内部やお風呂の様子は下手な文章のみでご勘弁を。

平屋の建物内部は明るく綺麗。暖色系の内装でまとめられており、全体からぬくもりが感じられます。下足場は畳敷きなのは、利用者に優しい配慮ですね。券売機で料金を支払い、受付のおじさんに券を手渡します。今時の温泉銭湯らしく、内部はお座敷の休憩室があったり、ドリンクやソフトクリームが注文できるカウンターが設けられていたりします。脱衣所も広々としており、棚とロッカーが併設されていて、その数も多く、混雑しても脱衣棚が不足することはないでしょう。ドライヤーのあるパウダールームの区画がしっかり仕分けられているのもうれしいところ。

脱衣所と浴室の間に設けられた緩衝エリア(踏み込み)には洗面台が設置され、浴室に入ってすぐのところには源泉が注がれている掛け湯の甕が置かれています。その左右のサウナルームにはひっきりなしにお客さんが出入りしており、右側は低温、左側は高温の設定となっています。

浴室内はコンクリ打ちっぱなしの現代的な造りで、高い天井は中央に向かって拝んでいるような三角の形状です。浴室の左半分は洗い場スペースで占められ、36基のカランが何列にも及んで並んでいます。いずれも単水栓とシャワーがセットになったオートストップ式の水栓で、ボタンを押すと源泉のお湯が出てきますが、水・湯の切り替えや温度調整はできません。洗い場にはお風呂道具置き場がたっぷり確保されているので、他人のお風呂道具で洗い場が占領されるようなことも少なくて済みます。

お風呂は大きく分類すると内湯と露天に分かれ、内湯はタイル貼りの浴槽で大きなガラス窓に面しており、奥から副浴槽(電気風呂)・主浴槽・副浴槽(ジェット風呂)・水風呂の順に並んでいます。水風呂以外はいずれも温泉水が投入されていますが、館内表示によれば主浴槽は源泉掛け流し、副浴槽のジェット風呂や電気風呂は「資源保護の為、濾過掛け流しです」とのことです。資源保護と濾過掛け流しという表現がどのように連関するのか、いまひとつわかりませんが、各浴槽の湯口からはドバドバと大量にお湯が注がれており、洗い場へはオーバーフローせず、各槽の隅っこにある排水口から排湯されていました。加温加水は行われていないものの、塩素系薬剤での消毒は実施されているそうです。

そのお湯はいかにもモール系のお湯らしく紅茶色の透明で、湯中には腐植質と思しきグラスウールのような細かい繊維状の浮遊物がたくさん見られました。モール臭やほろ苦味、そしてタマゴ的な匂いと味が明瞭に感じられ、塩素系薬剤の存在はほとんど気になりませんでした(というか鈍感な私の感覚では掴めなかっただけかも)。モール泉らしいヌルヌル感を含むツルツルスベスベの肌触りがとっても気持ち良く、その中でもやっぱり掛け流しの主浴槽が最も強く浴感が体に伝わり、若干熱い湯加減ですが、何度も肌をさすりたくなるほど上質な浴感が楽しめました。また気泡もしっかり付着してくれます。ただこの主浴槽はその熱さが敬遠されるのか、浴感が良いにもかかわらずそれほど人は集まらず、むしろ隣の電気風呂やジェット風呂が人気を集めていました。

露天風呂は、屋根が架かっている四角い露天御影風呂と、屋根無しで丸い浴槽の石風呂のふたつ。周囲は塀で囲まれているものの、露天エリアのスペース自体には余裕があり、塀の向こうも木立が続いているばかりで人家などは見当たらないため、閉塞感は無く開放的です。市街地とは思えない静かな環境の中で湯あみが楽しめます。

御影風呂はその名の通り御影石で作られた四角い浴槽であり、木材の質感が伝わってくるシックな雰囲気のウッディな屋根で覆われ、その一部は寝湯ゾーン(3人分)となっています。内湯の副浴槽と同様に濾過掛け流しという湯使いで温泉水が使用されています。

一方、屋根が無く露出している石風呂は8人ぐらいは余裕で入れそうな円形の浴槽で、こちらは源泉がそのまま注がれており、お湯の浴感はやはり御影風呂よりこちらの方が断然良いです。この浴槽で素晴らしいのは、単に源泉掛け流しであるだけでなく、丸い浴槽の円周が歩行湯を兼ねたスロープになっており、左右に分かれたスロープを歩いて最奥部まで行くとやや深めの全身浴槽となっていることです。内湯同様にやや熱めの湯加減なのですが、歩行湯ですと程よく体をクールダウンさせながら湯あみができるので、落ち着きが無くじっと腰を据えられない私はこの歩行湯をたっぷり楽しみました。またこの歩行湯ゾーンは車椅子に座ったまま利用できるように設計されているらしく、バリアフリーという観点からも秀逸です。

モールのお湯は良質、使い勝手も良好で、静かな環境の露天風呂も楽しめる。こんな条件が揃っていれば混雑するのも当然でしょう。温泉ファンは泉質で、そうでない方は施設の綺麗さや充実さでそれぞれ評価できる、すばらしい温泉施設だと思います。


アルカリ性単純温泉 45.3℃ pH8.7 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質0.493g/kg 成分総計0.494g/kg
Na+:121.2mg(97.41mval%),
Cl-:37.4mg(19.09mval%), HCO3-:258.3mg(76.91mval%),
H2SiO3:61.3mg, 遊離CO2:0.9mg
 

JR帯広駅より十勝バスの東13条行or幕別行等で東10条下車(駅から約15分・190円)徒歩1分
北海道帯広市東10条南5丁目6  地図
0155-23-4700

11:00~23:00 元旦以外無休
420円
ロッカー(下足箱・脱衣所とも100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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帯広市街 パール温泉

2012年02月17日 | 北海道
※残念ながらパール温泉は2014年3月末を以て閉館しました。


帯広市街・緑ヶ丘公園近くの温泉銭湯です。2月某日にばんえい競馬を訪れてしっかりつぎ込んだ挙句にスッカラカンのオケラになった後、その不運の厄を洗い落とすべく、タクシーで乗りつけました。昼間だというのに駐車場にはたくさんの車が止まっており、人気のほどがうかがえます。



私は外出時には必ず入浴道具を携行していますが、もし手ぶらで立ち寄っても、こちらの浴場では入浴道具一式を有料で借りることができるんだそうです(料金は失念)。


 
広くて清潔感のある館内。下足場の裏手にはコインランドリーが設置されていました。券売機で料金を支払い、受付のおばちゃんに券を渡します。受付カウンターの並びには軽食カウンターが設けられ、ドリンクやソフトクリームなどが注文できます。カーペット敷きの休憩スペースはゆったりしており、湯上りの爺様婆様がのんびりと寛いでいました。



銭湯ですから脱衣室には棚に載せられた籠がズラリと並んでいるのですが、無料で使える中型のロッカーもたくさん用意されている点は、界隈の銭湯に比べるとちょっとした白眉ではないかと思います。地元民を相手にする商売である銭湯は、この手のロッカーが少ない場合も多いので、このロッカーは旅行者には重宝します。
天井に固定された扇風機は冬なのにグルグル回っており、その直下の腰掛では湯上りで全身から湯気を上げているお客さんが、グッタリうなだれながら涼んでいました。この様子から察するに、ここのお湯は相当火照るってことだな…。



浴室内は曇っている上、多くのお客さんで混雑していたため、この一枚以外は撮影できませんでした(遠慮しました)。浴室の構造は典型的な銭湯そのもので、手前側に広がる洗い場にはカランがズラリと並び、その奥に大きな浴槽が据えられています。また浴槽に並んでサウナと水風呂もあり、他の浴場と同様にサウナは人気を博していました。
カランは計37ヶ所あり、うち26ヶ所は源泉湯のみが出るスパウトとシャワーのセット、残る11ヶ所は水道と源泉湯が出る押しバネ式カランと固定式シャワーのセットです。浴槽は中央に10人以上は余裕で入れる主浴槽があり、それを両側から挟む形で超音波風呂や電気風呂が設置されています(いずれも2人サイズで真湯使用)。主浴槽の湯口側には3人分ずつ左右に分かれて(計6人分の)腰掛入浴区画があり、足元にはバイブラバスの装置が作動しており、下からブクブクと気泡が上がってきます。また各区画にはSUSの枕が横たわっており、熱いお湯に浸かりながら冷たいSUSの枕に頭を乗せると、ひやっとする温度差が気持ち良かったです。

薄いジャスミン茶のような色を帯びた透明のお湯が、主浴槽の一番奥にある湯口からドバドバ注がれ、途中でオーバーフローすることなく、手前の排湯口へと落とされていきます。お湯からはモール系の温泉らしいツルスベ浴感が得られ、弱いモール臭に弱いほろ苦味が感じられますが、ほぼ無味無臭と言っても差し支えないほど弱い知覚です。なおカランも上述のように源泉湯を使用していますが、さすがに循環処理を経ていないためか、浴槽よりも若干苦みが強いように感じられました。
それほど濃い温泉ではないのですが、やや熱い湯加減のためかすぐに火照ってしまい、主浴槽ではあまり長湯できません。このためお風呂の回転はかなり早めでした。なるほど、この温まり方なら、冬でも脱衣所の扇風機は必要です。




(上画像クリックで拡大)
脱衣所の表示によれば、加水加温は行われていないものの、「温泉資源の保護と衛生管理のため一部循環 循環途中雑菌滅菌の処理をするカルサイン(貝殻加工)の中を通し衛生面での努力をしています」とのことです。半循環ということですね。実際に入浴してもお湯からはあまり循環しているような感触は感じられず、なかなか良質なお湯でした。
日曜日の午後3時半頃に訪れたのですが、ザッと見ても男湯だけで20人以上も利用者がおり、老若を問わずひっきりなしに出入りもあり、多くの方から人気を集めているのがよくわかりました。使い勝手が良く綺麗な施設で、良質なお湯を楽しめる銭湯なのですから、混むのは当然なのかもしれませんね。


アルカリ性単純温泉 45.1℃ pH9.2 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質0.511g/kg 成分総計0.511g/kg
Na+:158.9mg(98.01mval%),
Cl-:132.9mg(51.16mval%), HCO3-:85.2mg(19.10mval%), CO3--:60.3mg(27.42mval%),
H2SiO3:50.9mg, 遊離CO2:0mg

帯広駅より北海道拓殖バスの南商業高校or帯広の森行で緑ヶ丘6丁目(美術館入口)下車、徒歩1~2分
北海道帯広市緑ヶ丘8-1-32  地図
0155-34-1126

※残念ながらパール温泉は2014年3月末を以て閉館しました。
11:00~翌2:00
420円
ロッカー無料、ドライヤー有料(50円)、入浴用具販売あり

私の好み:★★
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帯広市街 ローマの泉

2012年02月16日 | 北海道

帯広市街に数多くある温泉銭湯のひとつです。帯広駅の北側駅前から南11丁目の通りをまっすぐ東へ進んでゆけば到着です。交差点を曲がることもないので、方向音痴でも辿りつけるでしょうけど、氷点下二桁まで冷え込んでいる極寒の帯広の夜を、わざわざ往復3~4kmも歩いて温泉まで行く人間なんて、私以外にいるんでしょうか。我ながら自分の行為が奇行に思えてなりません。



こちらには一般的な公衆浴場と貸切の家族風呂があり、ネットを拝見しますと温泉ファンのみなさんの多くは公衆浴場を利用なさっているようですが、たとえお風呂が小さくても温泉を独り占めしたい欲求に駆られた私は、家族風呂へ向かうことにしました。
公衆浴場は「ローマノ福の湯」という名称で、由来や意味はよくわかりませんが「ノ」の表記がカタカナであるのがミソ。食堂が併設されています。


 
公衆浴場や食堂の隣には家族風呂「ローマの泉」の入口。



受付で料金を支払い、個室の番号札を受け取ります。今回あてがわれたのは8号室です。


 
廊下には個室がズラリ。狭い間隔で無機質なドアが並ぶ様は、風俗店の内部みたいですね(あくまで喩え表現でして、至って健全な施設ですよ)。空いている個室のドアは開けっ放しになっていました。


 
廊下の右側はお風呂で、左側はサウナの個室が配されているようです。各室のドアには「温泉利用許可証」がひとつずつ律儀に貼られていました。



さて、こちらが今回利用した8号室です。部屋の入り口まで土足でOKです。浴室がガラス張りなんですね。ちょっとエッチ(なんてね…)。


 
室内には、古い診察室に置かれているような長椅子がひとつ、洗面台1台、扇風機1台、インターホンが備え付けられています。同じく帯広の「たぬきの里」の貸切風呂に似たような、無味乾燥としたお部屋です。壁には食堂のメニューが貼られており、けだしインターホンで注文できるのでしょうけど、窓が無くて圧迫感のあるこの空間で食事して、はたして美味しく感じられるのかしら…。



分析表も掲示されていますが、文字が潰れちゃって判読が難しい…。



家族風呂というだけあって、浴室は本当に一般家庭のお風呂みたいです。でも家庭のお風呂はこんな模様のタイルなんて貼らないかぁ…。


 
古いタイル貼りの室内には四角い浴槽がひとつ据えられています。浴槽は一人サイズで膝を折って詰めれば二人は入れそうな大きさ。湯面には泡が浮かんでいますね。これを見るだけで胸がときめいちゃいます。
浴槽にはかつて湯口や排水口だったであろうと思われる跡が残っていますが、いずれも封栓されており、使われていません。



錆びた金属配管に直結した蛇口からはノンストップで源泉が出っ放しにされており、惜しげもなくジャブジャブとオーバーフローしています。家族風呂ってこういう無駄な贅沢な湯使いで独り占めできるのがいいんです。入浴すると、豪快な音を響かせながら、あたかも洪水が発生したかのようにドバーっと浴槽のお湯が溢れ出ていきます。
浴槽にはふつう加水するための水道蛇口が設けられているものですが、この浴槽には水の蛇口の取っ手が外されており、水で薄めることができない状態になっていました。でも源泉そのままの温度が絶妙な湯加減ですので、加水する必要は全くありませんでした。



カランはシャワー付き混合栓がひとつ。カランから出てくるお湯は源泉です。公衆浴場も家族風呂もはたまたカランまで、徹底的に源泉を使い捨てているんですから、湧出量は相当豊富なんでしょう。うらやましいです。
お湯は紅茶色透明、モールの薫りに混じって微かな金気臭や弱鉱物油臭と茹で卵臭が漂い、口に含むとほろ苦みと微金気味そして卵黄味が舌に伝わってきました。


 
湯加減は40℃くらいで、いつまでも長湯したくなる微睡みのお湯。しかもモールの温泉らしいツルツルスベスベの爽快な浴感ですから、入浴中はまさに天国、夢見心地です。湯上りもさっぱり爽快。
特筆すべきはお湯に入った途端にたちまち全身を覆う大量の気泡です。入りしなは細かな泡が肌をつつみ、長湯してゆくうちに気泡が大きくなって、気付けばいつの間にやら全身が大きな泡で覆われていました。
所定の1時間なんてあっという間に過ぎてしまい、もうすぐ時間なので出なきゃいけないとわかっているのですが、浴感の良さと程よい湯加減に、体が言うことを聞いてくれず、なかなかお湯から出ることはできませんでした。あぁ、こんなお湯に毎日入りたい…。


アルカリ性単純温泉 46.2℃ pH8.6 溶存物質0.497mg/kg 成分総計0.497mg/kg 
Na:127.4mg(94.38mval%),
Cl:48.7mg(23.10mval%), HCO3:234.2mg(64.76mval%),
H2SiO3:53.0mg, 遊離CO2:ND,
(昭和55年8月7日)

JR帯広駅より徒歩20分(1.6km)、または十勝バスの東8条線(光南福祉センター行)で柏小学校下車・徒歩1~2分
北海道帯広市東9条南12丁目4-2  地図
0155-25-5202

11:00~24:00 第2水曜定休
600円(17時以降の一人利用時は50円加算)、10分延長毎に100円追加
ドライヤーは廊下にあり、他の備品類なし(販売あり)

私の好み:★★★

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帯広市街 朋の湯温泉

2012年02月15日 | 北海道
 
帯広市街は私が大好きなモール温泉の宝庫。市街の銭湯の多くでモール系の温泉に入浴できるので、私が帯広で滞在するときには、寝る間も惜しんで温泉をハシゴしてしまいます。今回訪問したのは駅から歩ける距離にある「朋の湯温泉」です。住宅街の中に紛れるような目立たぬ地味な佇まいですが、北海道らしい見通しの良い街並みですから、比較的容易に発見できました。玄関ホールの番台でおじさんに料金を直接支払い、男湯の暖簾を潜ります。



下駄箱は脱衣室へ入ったところに設置されていました。いかにも昭和の銭湯らしい木板の錠前ですが、よく見ると一般的にみられる松竹錠とは金具の意匠が若干異なる鶴亀錠でした。北海道の銭湯ではしばしばこの鶴亀錠に遭遇します。


 
脱衣所の棚はSUS製、浴室との間はガラス張りです。足元またはビニル床の上に茣蓙が敷かれています。古いのですがよくお手入れされており、昭和の匂いこそプンプン香っているものの、鄙びた雰囲気はあまり感じられません。室内には古いマッサージチェアが置かれていましたが、果たして実際に使えるのでしょうか。


 
男湯の場合、浴室の右側に浴槽が3つとその奥にサウナが並び、左側には洗い場の区画が奥へ長く広がっています。浴槽は温泉の温浴槽が2つ、そしてサウナ前に水風呂が一つです。

浴槽は手前側(脱衣室側)が8人サイズの主浴槽、その隣が3人サイズの泡風呂で、主浴槽はやや深めに造られており、泡風呂の方は普通の深さですが湯加減が若干ぬるめでした。両方に湯口があり、それぞれから加温された源泉が注がれ、浴槽の縁からしっかりオーバーフローしています。帯広の温泉らしく、お湯は典型的なモール系で、見た目は紅茶のような褐色透明、ほろ苦さと微金気味、弱モール臭と沖積平野の化石海水性の温泉でよくあるような匂いが感じられますが、それにも増して利用者の味覚や臭覚に訴えてくるのがタマゴ的知覚であり、ほんのりとしていながら明瞭に感じられるタマゴのような匂いと味が、いかにも温泉らしい個性を発揮していました。

主浴槽の湯中では細かな気泡の付着があり、見た目から想像する期待を裏切らないツルツルスベスベで滑らか且つ優しい爽快な浴感が存分に堪能できました。加温がちょっと強くて若干熱い湯加減であっても、お湯自体がとっても優しいので体への負担は少なく、しっとりと肌に馴染むお湯にハートをがっちり握られて、なかなか湯舟から出られませんでした。


 
湯船の上の壁面にはこんな説明が掲示されていました。左(上)はモール泉ですよという説明で、右(下)は季節による湯温設定に関する案内です。外が寒い冬は加温の程度を少々強めているようですが、泉質から推測するに、この加温により冬季はツルスベ浴感が一層増しているのかもしれませんね。



洗い場には昔ながらの銭湯らしい押しバネ式のカランが計28ヶ所あり、うち18か所はシャワー付きです。水とお湯の組み合わせでして、お湯は源泉が出てくるのですが、このカランの吐出水圧が半端なく強く、栓がぶっ壊れたんじゃないのかと不安になる程の勢いでお湯が出てきました。


 
浴室入口の隅に整然と積まれた黄色い桶は、ケロリンではなく朋の湯のオリジナル。



湯上りに番台前の休憩スペースで汗を拭っていると、テーブルの上の箱に分析表のコピーが積まれているのを発見。自由に持ち帰ってよいみたいなので一部いただいてきました。分析表を配布しているんですから、お湯には自信があるんですね。その自信に十分納得できちゃう素晴らしいお湯でした。こんな温泉が俺んちの近所にあればいいのになぁ。



アルカリ性単純温泉 41.8℃ pH8.9 740L/min(自噴) 溶存物質0.459g/kg 成分総計0.459g/kg 
Na:123.5mg(96.06mval%),
Cl:60.3mg(30.25mval%), HCO3:195.2mg(56.94mval%),
H2SiO3:43.7mg, 遊離CO2:ND
(昭和56年12月22日)

JR帯広駅より徒歩16~7分(1.4km)
または十勝バスの41番(音更線)か49番(上士幌線)で西10条13丁目下車、徒歩5分弱
北海道帯広市西11条南15丁目4-2  地図
0155-24-1238

13:00~23:00 月曜定休
420円
ロッカー有料(中型50円、貴重品用10円)、ドライヤー20円、石鹸などは番台で販売

私の好み:★★★
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然別湖畔温泉 ホテル風水

2012年02月14日 | 北海道

前回前々回の記事で取り上げた「然別湖コタン」の訪問に当たっては「ホテル風水」に1泊しました。然別湖畔で宿泊するならこの「ホテル風水」か「ホテル福原」の2軒しかありませんので、好みの応じてどちらかを選択することになります。



ロビーにはイグルー(前回記事を参照)をイメージしたハリボテが飾ってありました。



今回通された部屋は湖に面したバス・トイレ付の和室です。一人旅向けの小さなお部屋ですが、窓からは湖が一望でき、コタンも俯瞰できました。階層的にはロビーと同じ3階なので、階段やEVでの移動が無く、楽チンでした。客室にテレビがありますが、難視聴地域のため関東広域圏向けのNHKしか映りません。でもせっかく山奥まで来たんですから、この際テレビのことは忘れましょう。


 
お食事は夕食・朝食とも湖を展望する3階の食堂でいただきます。


 
夕食。いまや十勝の名物となったホエー豚のしゃぶしゃぶ、ニジマスの刺身(淡水魚でも生で食える時代になったんですね)、オショロコマの塩焼き、アカウオの中華あんかけなどなど。基本的には地元や十勝の食材を中心にしたメニューでした。


 
朝食はバイキング。普段野菜不足の私は、ここぞとばかりにサラダを大量摂取。



浴室は2階へ下り、更に階段を下りたところです。湖岸の地形に沿って作られているのでしょうね。



浴室入口付近の壁にはSLのナンバープレートのようなものが飾られ、その下に賽銭箱のような小箱が置かれているのですが、何かと思ってよく見たら、日帰り入浴客のための入浴券入れでした。箱の中をのぞいてみると、結構な数の券が入っていましたが、1000円という強気な設定なのに皆さんよく利用するのですね。もっとも、冬にここまで来たら、他にすることがないのかもしれませんが。



脱衣所はさすがにホテルだけあって、メンテナンスが行き届いており、綺麗で清潔で使い勝手良好です。また床が畳敷きなので、足の裏も常に爽快です。



脱衣所に掲示されている泉質名の表示には「含硫黄-ナトリウム-塩化物泉」と記されていました。あれ? 同じ源泉を使っている然別湖コタンの氷上露天風呂で掲示されていた分析表には「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉」と書かれていたぞ? きっと、このプレートを作成してから今日までの間に泉質が変わってしまい、硫黄分が減った代わりに重炭酸イオンが増えたのかもしれません。温泉の泉質なんて安定しているものではありませんから、これも致し方ありませんね。


 
内湯は「展望大浴場」と名付けられているだけあり、特に主浴槽は湖面を一望する気持ち良いお風呂です。もっともガラス窓の下部は目隠しのフィルムが貼ってあるので、湯船に浸かっちゃうと山しか眺められなくなってしまいますが、どうしても景色を楽しみたければ露天がありますから、こちらはじっくり湯あみするために利用するのが吉でしょうね。主浴槽とは別に源泉使用のジェットバスもありました。



主浴槽の湯口は壁際と浴槽真ん中に立つ柱の2ヶ所にあり、かなり熱めの源泉が注がれています。金気の強いお湯は赤錆の味や匂いが明瞭で、赤みを帯びた黄土色に強く濁っており、朱色の細かい湯の華が無数に湯中で舞っています。氷上露天風呂と同じ源泉を使っているはずですが、こちらでは硫黄っぽさがあまり感じられませんでした。加水などの状況はよくわかりませんが、放流式の湯使いには違いないかと思います。お湯は浴槽縁からしっかり溢れ出ており、オーバーフローが流れる床は赤茶色に染まっていました。



洗い場にはシャワー付き混合栓が12基。浴槽と隔離されているので、泡やシャワーの飛沫が湯船に飛んでくるようなことが無いのが嬉しいところ。


 
露天風呂は眺望ばっちりで、視界を遮るものはありません。氷上に浮かぶ然別湖コタンのイグルー群を俯瞰しながら、のんびり湯あみさせてもらいました。冬と夏では同じ露天風呂でも、眺められる景色は全く趣が異なるのでしょうね。お湯は浴槽隅にある岩の湯口から落とされており、内湯に負けず劣らず結構熱めの湯加減でして、濃くて熱いお湯なので、たとえ外気温が寒くても、汗が止まらなくなる程しっかり温まりました。


然別湖畔温泉ホテル1号井
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 53.6℃ pH6.0 溶存物質2.170g/kg 成分総計2.585g/kg
Na:524.6mg(80.61mval%),
Cl:702.9mg(70.10mval%), HCO3:512.8mg(29.69mval%),
H2SiO3:208.1mg, 遊離CO2:413.6mg,
(参考:HSイオン:0.1mg, 遊離H2S:1.4mg)

北海道河東郡鹿追町然別湖畔  地図
0156-67-2211
ホームページ

日帰り入浴12:00~17:00
1000円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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