温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

チパナス温泉 共同浴場

2017年03月23日 | インドネシア
 
引き続きチパナス温泉を巡ります。温泉街の真ん中にあるミニバスの折り返し地点から、幅1mもないほど細い路地を奥へ奥へと進んで、路地裏探検をぶらぶらしていると・・・


 
上画像のような場所に遭遇しました。薄暗い軒下にはベンチが置かれ、老若男女が集って談笑しています。そして、路地に面した建物には"PRIA"(男)と"WANITA"(女)に分かれた出入口があり、中からザバーッという水の音が響き、その出入口からはさっぱりとした面持ちの人たちが出てくるではありませんか。周囲にいる人に「マンディ?」と尋ねてみると、皆さん一斉に首を縦に振り、微笑みを浮かべながら「中へどうぞ」というジェスチャーをしてくれたので・・・


 
"PRIA"(男)の方へ入ってみますと、ドアや仕切りも何もなく、クランク状に折れ曲がったアプローチの先に、いきなり上画像のようなマンディ場(沐浴場)が設けられていました。どうやらここは地域住民のための共同浴場のようです。タイル張りの室内に湯船はなく、壁から突き出た数本のパイプより、加水によって適温に調整された温泉のお湯がドバドバと吐出されていました。私は入室した時には、手桶でお湯を汲んだり、あるいはパイプの下に首を突っ込んだりと、皆さん思い思いのスタイルでお湯を浴びていたのですが、驚いたのは、着衣のままでマンディする人もいれば、日本人の入浴スタイルみたいに一糸まとわぬ姿で沐浴する人もいたこと。マレーシアやトルコなど、私がいままで入ってきたイスラム圏の温泉施設では、皆さん必ず水着や腰巻などで下半身を隠していましたので、まさか世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアでそのような姿を目にするとは予想だにしませんでした。ひとくちにイスラム教の文化と言っても、そのスタイルは実に多種多様なのですね。


 
壁から吐出されるお湯のほか、床から立ち上がっている太い塩ビパイプからも温泉が大量に出ているのですが、その吐出温度は48.8℃という結構な高温。つまりこの配管からは加水されていない生源泉のお湯が出ているのです。にもかかわらず、この熱いお湯を、皆さんは平気な顔をして頭からジャバジャバ浴びているのです。しばしば「海外の温泉はぬるい」とか「海外の人は熱いお風呂が苦手」「熱い風呂に入れるのは日本人だけ」といったようなご意見を耳にしますが、決してそんなことはありません。以前拙ブログでマレーシアのクアラルンプール近郊にある青空公衆浴場「スラヤン温泉」を取り上げたことがありますが、そこでも皆さん47〜8℃という篦棒に熱い温泉をザバザバと勢いよく浴びていました。温泉に慣れ親しんでいる日本人でも、これだけ高温のお湯を苦悶の表情を浮かべることなく浴びられる人は、果たしてどれだけいるでしょうか。熱い温泉に対する耐性は、あくまで習慣や慣れによるものであり、国や人種を問わないのです。かく言う私も屁理屈を捏ねてばかりでは日本の温泉ファンとしての名が廃るので、この熱々なお湯を手桶に汲んで浴びてみました。はじめのうちは確かに熱くてピリピリするのですが、何杯か浴びているうちに体が慣れ、やがて気持ち良さすら感じられるようになったのが実に不思議。なるほど、こうやって心身を清めるわけか。ちなみにお湯は無色透明でほぼ無臭ですが、ほんのりと石膏感や芒硝感が伝わってきます。私はチパナスで3軒の温泉施設に入りましたが(宿泊先を含める)、ここのお湯が最も熱く、且つ最もフレッシュでした。



私が熱いお湯を浴びていると、7〜8歳と思しき子供たちがやってきて、おもむろに服を脱いで楽しそうに沐浴をしはじめたのですが、そんな小さな子供達ですら、48℃以上の熱々なお湯を当たり前な表情で浴びているのです。チパナスの子供達、おそるべし。上画像の男の子は、そんな熱湯ヘッチャラ少年の一人で、インドネシア語がまったく通じない私と身振り手振りで懸命にコミュニケーションを図ろうとしてくれた、とっても優しい子です。



この共同浴場の出入口付近では揚げ物屋台が出ており、おばあちゃんがカリカリと良い音と香ばしい香りを立てながら、食材を揚げていました。そして湯上りの人々は、この揚げ物を口にしながら、おしゃべりに華を咲かせていました。日本もインドネシアも、共同浴場は地元の人々にとって、集いの場であり憩いの場でもあるんですね。


私の好み:★★★
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チパナス温泉 スンベル・アラム

2017年03月21日 | インドネシア
西ジャワ州ガルッの近郊に位置するチパナス温泉は、バンドゥンから約2〜3時間でアクセスでき、かつ『地球の歩き方 インドネシア』でも紹介されている有名な温泉地。ネットで検索すると多くの日本人旅行者が訪れているようなので、どんな温泉なのか体験すべく、私も行ってみることにしました。

●温泉街
 
私は車でアクセスしましたが、バンドゥンから公共交通機関を利用する場合は、まずガルッまでバスで向かい、そこからチパナス行きのミニバスに乗り換えるのが一般的のようです。左or上画像で車のフロントガラスに写っている薄茶色のミニワゴン車が、そのミニバスです。車窓には徐々に宿泊施設が増えてくるので、温泉街の中心部へ近づいていることを実感できます。


 
宿泊施設には安宿からリゾートホテルまでいろんなクラスがあり、予算に応じて宿を選ぶことができるようです。上画像の「ティルタガンガホテル(Tirtagangga Hotel)」は(当地では)ハイクラスに属するホテルのひとつ。高いのは値段だけでなく、お風呂の温度も温泉街のホテルの中では最も高いんだとか。


 
Cipanas Baru通り、Raya Cipanas通り、そしてこの2本が交わるY字路から北西に伸びる道に沿ってホテルが立ち並んでおり、特に3番目に挙げた北西に伸びる通り沿いには温泉宿や商店が集中しています。右or下画像は北西に伸びる道のどん詰まりで、未舗装の広場になっており、駐車場として使われていました。そして周囲には宿や商店、温泉プールなどが立ち並んでいました。


 
どん詰まりから更に細い路地を入り、温泉街から離れて住宅地へと進んで行くと、住宅に挟まれた小屋から湯気が上がっているのが確認できました。そして小屋から全身ズブ濡れのおばちゃんが出てきました。ということは、その小屋は地元民向けの共同浴場なのかもしれません。


●「スンベル・アラム」
 
温泉街をひと回りしたところで、実際に温泉に入ってみましょう。まずは『地球の歩き方』でも紹介されている温泉リゾートホテル「スンベル・アラム(Sumber Alam)」を訪うことにしました。本当はここで宿泊したかったのですが、訪問日はあいにく満室だったため、今回は立ち寄り入浴のみの利用です。入浴のみの利用も可能なので、その旨をフロントに伝えると、ボーイのお兄さんがここから先を案内してくれました。



敷地の中央には蓮花の浮かぶ池が静かに水を湛えており、その周りにはいくつものロッジが建ち並んでいます。落ち着いたライティングが良い雰囲気。そんな池の中を伸びる桟橋を進んでいきます。


 
桟橋に沿って建つテントの中は、小洒落た休憩室になっていました。とってもムーディー。



池を越えた先でドアを並べている建物が個室風呂棟。ここには専用の小さな窓口がありので、そこのスタッフに改めて入浴したい旨を伝え、料金を支払います。


 
今回通された浴室です。さすがリゾートホテルのお風呂だけあって、綺麗で内装もしっかりしています。広さとしては4畳半ほどでしょうか。個室風呂としては十分なスペースです。またタオルや石鹸も用意されているので、手ぶらでの利用も大丈夫。


 
笹舟のような形状をしたタイル張りの湯船には、無色透明の綺麗なお湯が注がれており、縁からしっかりオーバーフローしていました。純然たる放流式の湯使いかと思われます。湯船も1人ならば悠々と、2人でもしっかり入れそうなサイズです。


 
湯船の温度は40.2℃、pH6.53でした。ほぼ無臭ですが、ほんのりと石膏の甘味が感じられ、僅かながら芒硝感も得られました。



貸切風呂ですから、日本と同じように水着不要の開放的なスタイルで入浴できるのが嬉しいですね。上述のように40℃というぬるめの湯加減ですから、ゆっくり長湯したくなるのですが、不思議にも体にガツンと重くのしかかるような感覚があり、しっかりと温まって、思いのほか長湯することができませんでした。一見すると無色透明でクセが無いお湯のように思えますが、ところがどっこい、相当のパワーを持つ実力派のお湯なんですね。お湯のフィーリングから推測するに、単純泉ではなく、無色透明の硫酸塩泉(あるいは硫酸塩泉に近い単純泉)ではないでしょうか。
なお、こちらのお風呂では使用の度にお風呂の清掃とお湯の張り替えが行われますから、入浴時のお湯はとっても綺麗。おかげさまでこの時も大変気持ち良く湯浴みすることができました。


 
湯屋の前はちょっとした食事が摂れる空間になっていたので、湯上がりにここで夕食をいただきました。この時に注文したのはミーゴレン(Rp21,000)、そして鶏・キノコ・野菜のスープ(Rp23,000)です。リゾートホテルにしては決して高くなく、それでいて味も良かったですよ。宿泊せずとも寛ぎのひと時を過ごせる素敵な温泉リゾートでした。




個室風呂入利用料Rp35,000(平日)
石鹸・貸しタオル付き

私の好み:★★+0.5

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チアトル温泉 グラシア・スパ

2017年03月19日 | インドネシア

前回記事で取り上げたチアトル温泉「サリ・アテル」を出発する際、貸切車のドライバーが私の気持ちを斟酌し、同温泉でもう一軒行ってみないかと提案してくれたので、ありがたくその提案に乗っかって別の温泉施設へ立ち寄ることにしました。施設の名前は「グラシア・スパ(Gracia Spa)」。


 
路地に入ってなだらかな山の斜面を下ってゆきます。あたりにはジャワティーの美しい茶畑が広がっていました。



坂道を下りきってゲートをくぐると、目的地のリゾート施設に到着です。もちろん宿泊もできますが、今回は入浴のみ。上画像は本棟です。


 
駐車場に面して温泉専用のゲートがあり、ここで入場料を支払います。


 
ゲートを通過すると、すぐ目の前にアメーバ型の露天プールがお湯を湛えていました。個室風呂の有無は確認しませんでしたが、多くのお客さんで賑わっていた「サリ・アテル」とは対照的に、こちらは私の他にお客さんが誰もおらず、湯口からお湯が滴る音、そして緑の茂みの中から小鳥の囀りが聞こえてくるばかり。まるでガーデンのように綺麗に整備された構内は静寂に包まれていました。落ち着いた時間を過ごすには最高の環境です。


 
湯口には温泉成分の結晶がこびりついており、お湯の吐出温度は38.3℃でした。お湯は無色透明ですが、僅かに緑色を帯びているようにも見えます。


 
温泉プールは臍下ほどの深さがあり、水中ウォーキングするにはもってこい。槽内にステップがあるので、そこに腰掛けてると良い塩梅で湯浴みできます。湯船の温度は37.5℃で、pH値は2.38。泉質としては前回記事で取り上げた「サリ・アテル」と同じく酸性の明礬泉かと思われ、お湯は酸っぱいのですが、ぬるめなので、湯当たりを気にせず長湯できるかと思います。


 
 
奥には楕円形の露天プールもあり、こちらの湯温は38.4℃。個人的にはこの楕円形プールの方が好きかも。加水など湯使いに関しては不明ですが、れっきとした温泉であることには違いありません。


 
一角には四角い浴槽も設けられていましたが、アメーバ型や楕円形のプールと比べると、ステップが多くて浅いので、子供やご老人向けのプールなのかもしれません。

有名な「サリ・アテル」と比べると入場料金が倍以上ですが、それゆえお客さんは少なく、それでいて綺麗。プールには本物の温泉が張られていますから、ゆっくり寛げる温泉リゾートとして穴場的な存在と言えるでしょう。おかげさまでのんびりとしたひと時を過ごすことができました。ここへ連れていってくれたドライバーさん、ありがとう! 今回は立ち寄り利用のみでしたが、次回訪問する機会があれば宿泊してみたいところです。




温泉プール入場利用料Rp70,000
ホームページ

私の好み:★★+0.5

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タンクバンプラフ山とチアトル温泉「サリ・アテル」

2017年03月17日 | インドネシア
バンドゥンの北部にも火山活動が活発なところがあり、バンドゥン屈指の観光名所にもなっているので、物見遊山気分で行ってみることにしました。なおバンドゥン周辺の移動に関しては、現地の業者に依頼した貸切車で移動しております。


●タンクバン・プラフ
 
バンドゥンの街中から車で約1時間ほど山を登ったところにある観光名所「タンクバン・プラフ(Gunung Tangkuban Parahu)」は、標高2076mの活火山。駐車場で車を降りると、すぐ目の前に壮大かつ荒涼とした景色が広がっていました。灰色だけが支配するモノトーンの火口は、近年では2013年に噴火しているんだとか。火口底にはグレーの泥水が溜まり、所々から白い噴気も上がっていました。


 
火口の縁に沿って土産物屋の屋台が並んでおり、売り子の中には日本語で話しかけてくる人もいて、国際色豊かな観光地である観光地であることが窺えます。


 
他にもいくつかの火口があるらしいので、土産物屋ゾーンを抜けて火口を更に奥へ進んでみると、「カワ・ウパス」と称する別の火口へのゲートを発見。しかし門扉には鍵がかかっていたので、諦めて引き返そうとすると、近くの小屋からレンジャーらしき人が現れて門を開け、おいでおいでを私を手招きます。脳裏に淡い期待と嫌な予感を同時に抱きつつ、いつの間にやら私はレンジャーに引率されて藪の中へ奥へ奥へと進んでいました。


 
観光客で賑わっていたタンクバン・プラフと対照的に、こちらは人っ子独りおらず、しかも火口の色も、こちらはやや明るくて白っぽい印象を受けます。また斜面のところどころで熱い噴気が出ており、硫黄の結晶も見られます。レンジャーの後を追って火口の底まで行ってみると、礫によって描かれた地上絵ならぬ地上文字がたくさん見られました。前に訪れていた観光客がお遊びで石を並べたのでしょう。そんな地上文字を傍目にしながら更に奥へ進むと、火口の最も低いところに水が溜まっており、ちょっとした池が形成されていました。火山活動がいまだに行われている火口なのだから、もしかしたら温泉かもしれないと期待しつつその池の水に手を入れたのですが、単なる冷たい泥水に過ぎず、ここで野湯を楽しむという淡い期待は儚くも潰えました。

タンクバン・プラフでは外国人入場料がRp300,000(約2,500円)というとんでもない高額な設定となっており、それだけでもウンザリするのに、この火口の案内人であるレンジャーは最終的にRp250,000を請求されました。もちろん、ゲートの鍵が開けられた時点で請求されることを覚悟していましたし、あわよくば野湯に入れたらいいな、という下心がありましたので、目的が達成できれば多少高くても文句も無いのですけど、なんの成果も得られないのに次々にお金を持っていかれるばかりで、何のためにここへ来たのか虚しくなってきました。

実はタンクバン・プラフの火口へ上がってくる途中に、「カワ・ドマス」という地熱地帯があり、そこでは野湯が楽しめるという情報を事前に仕入れていましたが、貸切車のドライバー曰く「カワ・ドマス」でもRp250,000をレンジャーに支払う必要があり、しかも小さいのでおすすめしないよ、とアドバイスしてくれたので、すでに高額な料金を徴収されて意気消沈していた私はここでの野湯は断念し、次なる目的地へ急ぐことにしました。


●チアトル温泉「サリ・アテル」

タンクバン・プラフの火口を見学した後は、麓のチアトル温泉で湯浴みを楽しむというのが、バンドゥン北部観光の定番ルートになっているようです。私もその定石に従い、チアトル温泉「サリ・アテル(Sari Ater)」へ向かいました。


 
受付で料金と引き換えにICカードをもらい、そのカードを改札機にタッチして入場します。なお入場料にはカードのデポジット(Rp15,000)が含まれており、退場時にカードを返却するとデポジットも手元へ戻ってきます。



広大な園内は温泉テーマパークみたい。構内図には各種プールやウォータースライダー、各種アクティビティ、飲食店、ロッジ、キャンプ場など、あらゆる設備がマップいっぱいに描かれていました。


 
エントランスゲートを入ってすぐのところに上画像のような窓口とゲートがあり、ここから先のプールは別料金となっているようです。この別料金ゾーン内には個室風呂があり、この窓口で利用の受付を行っているため、個室風呂を使いたい旨を伝えたのですが、あいにくこの時、個室風呂が利用できるのは午後1時以降とのこと。私が訪れたのは午前11時頃で、2時間待たねばならず、この日は先を急いでいたため、残念ながら個室風呂の利用は断念しました。さっきから断念してばかり…。


 
敷地の中央部には上画像のような池があるのですが、なんとこの池の水全部が酸性の温泉。
画像をご覧になればわかりますが、池に入ったり、あるいは岸に座って足を浸している人がいますね。この池に入るのなら追加料金不要。


 
温泉の池は石ゴロですが、とても広く、膝丈ほどの深さがあるので、ある人は全身浴、別の人は足湯といったように、好みのスタイルで湯浴みを楽しんでいました。池の石や岩にはグリーンの苔が生えていたのですが、おそらく日本のイデユコゴメみたいないわゆる温泉藻なのでしょうね。


 
池のお湯は40.2℃という入りやすい温度。pH2.03という数値からも分かるように、間違いなく酸性泉であり、口に入った飛沫からは口腔を収斂する酸っぱい明礬味が感じられました。お湯は無色透明ですが、ほんのりと緑色を帯びているようにも見えます。



池畔で水着に着替え、実際に池で入浴してみました。なかなか良い湯です。明礬泉系の酸性泉ですが、加水されているためか、フィーリングは比較的マイルド。でも酸性泉らしいツルスベ浴感がはっきりと肌に伝わり、しかもぬるめの湯加減なので、いつまでも長湯していたくなります。


 
池は上下数段に分かれており、その間には人工の滝が設けられています。滝は打たせ湯になっているので、私も酸性泉の湯滝に打たれてみました。これもまた気持ち良い! 個室風呂も良いけど、こうした開放的な湯浴みも楽しいですね。火口などで味わったここまでの無念も、滝飛沫と共に一気に吹き飛びました。



(上画像をクリックで拡大)
園内には分析書が掲示されていました。上半分に各イオンの数値を陰陽別に、下半分には源泉に関する説明を文章で記されていました。どうやら3つの源泉をミックスしているようです。3つの源泉の湧出温度・pH・湧出量はそれぞれ・・・
 42.3℃・pH2.45・140L/min
 33.6℃・pH2.72・50L/min
 28.3℃・pH2.75・20L/min
とのこと。最高温でも42℃ちょっとですし、3源泉合わせても湧出量は毎秒210Lですから(池にできるほどの量ではありません)、池に注がれる大量のお湯は、天然温泉以外の何らか(水や沸かし湯など)が加えられたものなのかもしれません。一方、分析書の上半分に書かれた各イオンのデータは、おそらく3源泉混合後のものと思われ、酸っぱい明礬味がはっきりとしているお湯ですから、案の定、アルミニウムイオンや塩素イオン・硫酸イオンが数値的に多く表れていました。以下にデータの一部を抄出させていただきます。
Na+:28.0mg(10.572mval%), Ca++:51.7mg(22.322mval%), Mg++:20.7mg(14.725mval%), NH4+:6.68mg, Al+++:40mg(38.500mval%), Fe++:17.5mg(5.416mval%),
Cl-:290.8mg(52.392mval%), SO4--:336.5mg(44.772mval%),




入場料Rp28,000(デポジットRp15,000) 自動車入構料25,000 個室風呂Rp60,000

私の好み:★★
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バンドゥン南部 パトハ山麓 ワリニ温泉

2017年03月15日 | インドネシア
 
前回記事の「レンガニス地獄」ではパトハ山の大地の恵みをワイルドな形で享受しましたが、今度はそれとは対照的に明らかな人工的施設で、同じくパトハ山の地熱の恵みを楽しんでみることにしました。パトハ山麓を南北に貫く通りに沿って、数軒の温泉入浴施設が点在しているのですが、今回訪れたのは「ワリニ温泉(Air Panas Walini)」です。


 
園内にはファミリー向けの巨大なレジャープールが広がっており、あちこちから子供の歓声が上がっていました。でも私のようないい歳したオッサンが、子供たちと水遊びをして一緒にはしゃぎたい訳ではありません。


 
チビッコ達がキャーキャー騒ぐプールの一角に上画像のようなカウンターがあり、ここで個室風呂の利用申し込みを受け付けています。私の目的は当然この個室風呂。窓口で利用したい旨を伝え、料金を支払ってゲートの中に入りますと、ここから先はスタッフが案内してくれました。



ゲート内のプールサイドを歩いて個室風呂へ。


 
プールの向かい側に立つオレンジ色の建物が個室風呂棟。ドアが並ぶ壁には、健康のため入浴は20分までという旨の注意書きが掲示されていましたが、あくまで目安であって、20分を守る必要はないようです。


 
今回スタッフに通された個室は8号室。ドアを開けると、室内は半地下のようにちょっと低くなっており、ステップを数段下ったタイル張りの浴室に、壁と同じ白いタイル張りの浴槽が一つ据えられていました。殺風景な室内に白いタイル、そして人間一人を納めるのにちょうど良いサイズの浴槽…。例えは悪いのですが、遺体安置所とその中に置かれた棺みたいですね。室内はそこそこ広いのですが、シャワーや棚など各種設備は無く、棚の代わりに出っ張りがあり、その上に手桶が一つ備え付けられているだけ。至って簡素です。


 
タイル張りの浴槽は浅い造りであるため、寝そべらないと肩までお湯に浸かることができません。言い方を変えれば、完全に横になればスッポリと体が収まります。そのサイズといい、両端の緩やかな曲線といい、まさに棺そのもの。ここに入るとフランケンシュタインの気持ちが理解できそうな気がします。棚代わりの出っ張りには穴があいており、そこから浴槽へ温泉を供給していました。


 
湯口における温度は42.0℃。無加水でこの状態なのか、あるいは加水など調整によってこの温度になっているのかは不明です。一方、pH値は6.78ですので、中性と弱酸性の間といったところでしょうか。お湯は無色透明でほぼ無臭ですが、口に含むと少々の石膏味が感じられました。同じパトハ山域の温泉でも、火口湖カワプティではpH1を下回る非常に強い酸性を呈し、「レンガニス地獄」でも酸性の硫黄泉でしたが、こちらのお湯はそれら全く異なる石膏泉か石膏泉系の単純泉と思しき泉質である点が実に興味深く、温泉の多様性や奥深さを改めて実感しました。


 
狭い室内で自撮りがうまくできなかったため、入浴しながら自分のつま先を撮ってみました。個室なので水着を着用する必要がなく、屋内ながら或る意味で開放的な湯浴みができます。湯船では41℃前後で落ち着いており、お風呂は殺風景ですが、湯加減としては最高。しかもお湯は縁の上から絶えずオーバーフローしており、つまり純然たる掛け流しです。私が湯船に入ると、湯船のお湯が勢いよく溢れ出し、室内が洪水状態になってしまいました。スルスベ浴感のお湯からは優しいフィーリングが得られ、長湯したくなる湯加減なのにしっかりと温まります。もっとも、四方を見回しても白い壁しか目に入ってきませんので、長居できる風情ではありませんが、なかなかの良いお湯であることは確かです。わざわざ足を運ぶほどのお湯ではありませんが、もし近くへ観光の際に時間があれば、こちらへ立ち寄ってひとっ風呂浴びてみるのも良いかもしれません。




入場料Rp20,000, 自動車入場Rp5,000, 個室風呂Rp20,000

私の好み:★+0.5


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