経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-04-01 07:59:10 | SF
第3章  経 済 が な い 世 界 

≪26≫ 貧富の格差  = ショッピー館長の熱心な講義が続く。ラフマはうっとりした表情で聞き入っているが、マーヤは大忙し。いろんな経済用語が出てくるから、大変なのだろう。

「マネー経済領域にある株式とか貴金属の価格は、どんどん上がりました。中央銀行が大量のおカネを放出したからです。コンピューターに任せておいても、莫大な利益が転がり込む時代でした。でも、この流れに乗ってお金持ちになったのは、ほんの一握りの人たち。人口の9割近い人たちは、相変わらず古典的経済領域のなかでモノ作りやサービス業に従事していました。マネー経済領域に入って儲けようとしても、投機に必要な資金を持っていなかったからです。

もちろん、古典的経済領域で働いていた人のなかにも、大成功を収めて大金持ちになった人はいました。でも、こういう人たちは大変な努力の末に成功したのです。ですから一般の人からは羨望の目で見られましたが、尊敬もされたのです。
しかしマネー経済領域での成功は、元手になる資産とコンピューターの知識さえあれば可能でした。仕事なんかしなくても、寝ているうちにコンピューターが稼ぎ出してくれる。そのおカネで、人々が汗水流して働き大きくした会社の株式を買い占めてしまう」

――貧富の差が拡大したのですね。その結果、人々の不満が鬱積して行く。
「その通りです。不満の矛先は政治に向けられました。そんな社会を創ってしまった政治が悪いというわけですね。そこで政府は低所得者に補助金を支給したりして、大衆の怒りを鎮めようとしました。しかし結局は財政が破たんして増税。貧富の差はいっそう拡大したのです」

なんだか、ぼくが宇宙に飛び出す前の日本の状況に似ているなあ。それから、どうなるのだろう。
「たくさんの政党が乱立し、みな有権者の支持を得ようと独自の政策を発表しました。減税だとか、生活費補助の引き上げだとか。なかには医療費や教育費、さらには交通費の無料化まで。けれども議会では互いに足を引っ張りあって、何も決めることができません。そこで数人の賢人による政治制度の方がいい、という世論が一気に高まったのです」

――国民投票で賢人会のメンバーが選ばれたのは、いまから350年ぐらい前のことだと聞いています。それから賢人会による政治がずっと続いているわけですが、うまく機能しているのですか。
「なにしろ決定が素早くなりました。ですから国民の多くは満足していると思います。そして、この賢人会による政治が成功した裏には、ロボットの存在が大きいことを忘れてはなりません」

                             (続きは来週日曜日)


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