◇ 原発政策は新味ゼロ = 「冬の電力不足を解消するため、最大9基の原発を稼働させるよう、萩生田経産相に指示した」--岸田首相は14日の記者会見で、こう言明した。これまで「原発は安全性を重視しながら、最大限に活用する」の一点張りだった首相も、参院選が終わってようやく前に一歩を踏み出したか。そんな思いでテレビ中継を見ていたが、これは完全な誤解。調べてみると、この首相発言には何の意味もなかった。
原子力規制委員会に再稼働を要請した原発は、これまでに25基。そのうち10基が安全審査をパスしている。しかし定期点検や改良工事で5基が運転を停止中。いま稼働しているのは5基だけ。さらに九州電力の玄海4号機はテロ対策工事が遅れて、9月以降は運転が出来なくなる。したがって、冬までに運転が可能なのは9基という計算。岸田首相の発言は、こうした原発の現状を説明したに過ぎず、一歩前進でも何でもなかった。
それどころか「最大9基」というのは、何を意味するのだろう。本来ならば「最低9基」と言うべきだが、首相みずからが「10基以上の稼働はムリ」と白状しているようにも受け取れる。たしかに規制委員会の審査は厳しさを増し、地元住民の同意を取り付ける作業も難しくなっている。だが総理大臣としては現状を‟非常時”として認識し「10基以上の原発稼働」を、関係者のみなさんにお願いすべきではなかったか。
それが出来なかったのは、政府が原発の‟将来像”を描いていないためだろう。日本はこの先もずっと原発を持ち続けるのか。それとも将来は原発をゼロにするのか。この長期ビジョンが示されないから、国民の不安も解消されない。たとえば「2050年の原発ゼロ」を目指すが、いまは15基の原発を動かしたいとでも言えば、国民や地元住民の考え方も大きく変わったはずだ。
(続きは明日)
≪19日の日経平均 = 上げ +173.21円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
原子力規制委員会に再稼働を要請した原発は、これまでに25基。そのうち10基が安全審査をパスしている。しかし定期点検や改良工事で5基が運転を停止中。いま稼働しているのは5基だけ。さらに九州電力の玄海4号機はテロ対策工事が遅れて、9月以降は運転が出来なくなる。したがって、冬までに運転が可能なのは9基という計算。岸田首相の発言は、こうした原発の現状を説明したに過ぎず、一歩前進でも何でもなかった。
それどころか「最大9基」というのは、何を意味するのだろう。本来ならば「最低9基」と言うべきだが、首相みずからが「10基以上の稼働はムリ」と白状しているようにも受け取れる。たしかに規制委員会の審査は厳しさを増し、地元住民の同意を取り付ける作業も難しくなっている。だが総理大臣としては現状を‟非常時”として認識し「10基以上の原発稼働」を、関係者のみなさんにお願いすべきではなかったか。
それが出来なかったのは、政府が原発の‟将来像”を描いていないためだろう。日本はこの先もずっと原発を持ち続けるのか。それとも将来は原発をゼロにするのか。この長期ビジョンが示されないから、国民の不安も解消されない。たとえば「2050年の原発ゼロ」を目指すが、いまは15基の原発を動かしたいとでも言えば、国民や地元住民の考え方も大きく変わったはずだ。
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