◇ インフレと景気後退の併存? = アメリカのサプライ・マネジメント協会は1日、11月のISM(製造業景況指数)が49.0になったと発表した。前月より1.2ポイントの低下で、景気の下降を意味する50割れは2年半ぶりのこと。また1週間前に発表されたPMI(購買担当者景況指数)も、5か月連続で50を下回っている。これらの指数は信頼性が比較的高く、エコノミストの間では「景気後退の到来は近い」という見方が急速に広まった。
アメリカ労働省が2日に発表した11月の雇用統計。非農業雇用者数は26万3000人の増加で、民間の事前予想を上回った。特に注目されたのは、平均時給が前年比で5.1%も増加したこと。いぜんとして人手不足が厳しいことを示している。ウィズ・コロナの進展で求人数は増えたが、高齢者や学生が職を探さず求職数が増えない。企業はやむなく賃金を上げて、人探しをする。だが賃金の上昇は物価を押し上げ、インフレを長期化させる原因となる。
景況指数の低下は、景気後退の到来を示唆している。一方、雇用統計はインフレの長期化を予想させる。両者が合わさればスタグフレーション、つまりインフレと不況の同時進行ということになる。スタグフレーションは1970年代に出現した用語。インフレを退治しようとすれば、景気はさらに悪化する。景気を刺激すれば、物価はさらに上がる。政策当局としては、まことにやっかいな‟経済の難病”だ。
市場にとっても、この問題は難解だ。FRBが今月の政策決定会合で、利上げ幅を0.5%に縮小することはほぼ確実。景気後退色が強まれば、来年の早い時期には「引き締めの終了」も期待できる。だがインフレ色が弱まらなければ、FRBは小幅でも利上げを長く続ける公算が強い。そうなれば最終的な政策金利の水準は、5%を超えるかもしれない。どちらを予想するかによって、株価の見通しも大きく変わってくる。投資家にとっては、最大の問題になってきた。
≪5日の日経平均 = 上げ +42.50円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
アメリカ労働省が2日に発表した11月の雇用統計。非農業雇用者数は26万3000人の増加で、民間の事前予想を上回った。特に注目されたのは、平均時給が前年比で5.1%も増加したこと。いぜんとして人手不足が厳しいことを示している。ウィズ・コロナの進展で求人数は増えたが、高齢者や学生が職を探さず求職数が増えない。企業はやむなく賃金を上げて、人探しをする。だが賃金の上昇は物価を押し上げ、インフレを長期化させる原因となる。
景況指数の低下は、景気後退の到来を示唆している。一方、雇用統計はインフレの長期化を予想させる。両者が合わさればスタグフレーション、つまりインフレと不況の同時進行ということになる。スタグフレーションは1970年代に出現した用語。インフレを退治しようとすれば、景気はさらに悪化する。景気を刺激すれば、物価はさらに上がる。政策当局としては、まことにやっかいな‟経済の難病”だ。
市場にとっても、この問題は難解だ。FRBが今月の政策決定会合で、利上げ幅を0.5%に縮小することはほぼ確実。景気後退色が強まれば、来年の早い時期には「引き締めの終了」も期待できる。だがインフレ色が弱まらなければ、FRBは小幅でも利上げを長く続ける公算が強い。そうなれば最終的な政策金利の水準は、5%を超えるかもしれない。どちらを予想するかによって、株価の見通しも大きく変わってくる。投資家にとっては、最大の問題になってきた。
≪5日の日経平均 = 上げ +42.50円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫