経済なんでも研究会

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あまりに遅すぎる 警察の情報公開

2018-05-26 08:24:45 | 殺人事件
◇ もっと早く公開できないのか = 警視庁は22日、東京・世田谷区で00年12月に発生した一家4人殺害事件に関する新たな情報を公開した。推定される犯人像や遺留品のヒップバッグやマフラーなど。事件の直前にこのバッグやマフラーを使用していた人物を知っていれば、警察に通報してほしいと呼びかけている。だが、とにかく18年以上も前の出来事だ。有力な情報が寄せられる可能性は、残念ながらきわめて少ないだろう。

事件が起きてから何年も経って、警察が新たな物証を公開する。最近はこうした事例が、格段に増えているようだ。殺人事件の時効がなくなり、警察は永久に事件を追わなければならなくなった。その結果、迷宮入りには出来なくなったから、一般人に改めて情報の提供を呼びかけ何とか解決したい。警察の熱意の表れと、見えないこともない。

だが国会に呼ばれた証人や参考人ほどではないにしても、一般人だって年月が経てば記憶は薄れる。「20年前にこのマフラーを着ていた人物を思い出せ」と言われても、所詮はムリなのではないか。そう考えると、警察はただ「捜査を続けています」とアピールするために、情報公開をしているだけ。裏返せば「もう、お手上げです」と言っているようにも受け取れる。

世田谷事件のバッグにしてもマフラーにしても、警察は事件直後から物証として確保していたはず。そのころ一般に公開していれば、事件の解決に役立った可能性は大きかったろう。自分たちの手で犯人を挙げられると、過信していたせいなのか。それともほかに理由があったのか。警察庁は検討して、是正すべきではないか。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +13.78円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】   


主役に躍り出た 金利と原油 (下)

2018-05-25 06:11:15 | 世界経済
◇ アメリカの政策金利は2%に = 米労働省が発表した4月の雇用統計によると、完全失業率は3.9%にまで低下した。17年ぶりの低さで、景気の回復が極めて順調なことを物語っている。一方、4月の消費者物価は前年比で2.5%の上昇だった。こうしたことから、FRBが6月に政策金利を引き上げて年2.00%にすることは、決定的な状況となっている。政策金利が上がれば、市場の長期金利もさらに上昇する可能性が高くなる。

原油価格も、まだ上昇する余地を残している。OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどによる減産協定と世界同時好況による需要の増加が、原油の価格を押し上げてきた。IEA(国際エネルギー機関)の調査によると、先進国の保有在庫量はこの2年間で約4億バレル減少した。そこへトランプ大統領のイランに対する核合意からの撤退が加わる。原油価格は今後もじり高とという見方が強い。

日本はドル高・円安のおかげで輸出が伸び、株価も上昇している。だが安心しているわけにはいかない。仮に金利高と原油高のマイナス効果が増大して世界同時好況のワク組みが崩れたとき、日本はどのように対応できるのだろうか。財政は伸び切り、金融はこれ以上緩められない。

原油価格のこれ以上の高騰は、じわじわと日本経済を蝕む。財務省が発表した貿易統計をみると、原油価格が最低を記録した直後の16年4月、鉱物性燃料の輸入総額は7900億円だった。それがことし4月には1兆3700億円に膨張している。その増加分は、上昇した電気代やガソリン代を通じて、企業や家計が負担している。日本経済がどこまで耐えられるかは、きわめて微妙だ。

       ≪24日の日経平均 = 下げ -252.73円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


主役に躍り出た 金利と原油 (上)

2018-05-24 06:35:56 | 世界経済
◇ マイナス効果が増大してきた = 金利高と原油高が、世界経済を動かす主役になりつつある。初めはそのプラス効果が株高をもたらしたが、最近ではマイナス効果の方が強く意識され始めた。現状からみる限り、金利も原油もまだ上昇する可能性が大きい。したがってマイナス効果は、今後も増大して行くだろう。これにどう対処するのか。先進国にとっても新興国にとっても、大きな課題となるに違いない。

アメリカの長期金利は、4月下旬に3%台に載せた。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)の先物価格は、5月に入ると1バレル=70ドルに到達した。このためウォール街では銀行株とエネルギー関連株が買われ、ダウ平均が上昇。一方でドル相場も上がったことから円安が進行、東京市場の株価も上向いている。

ところがアメリカの金利は先週16日、一時3.10%まで上昇。6年10か月ぶりの高さになった。原油価格も72ドルに近づき、3年半ぶりの水準に上昇した。金利がここまで上がると、資金が株式市場から債券市場に移りやすくなる。住宅ローンや自動車ローンも上昇して、消費を阻害する。特に自動車はガソリン価格の高騰もあって、販売に陰りがみえてきた。

ドル高・円安も進んだから、東京市場の株価は上昇基調を維持している。しかしアメリカの金利高で、新興国からは資金が引き揚げられ始めた。このため新興国は政策金利を引き上げたり、為替市場に介入するなど防戦に必死となっている。この結果、新興国の景気が下降すれば、日本の輸出も伸び悩む。新興国の経済が破たんすれば、世界経済全体が不調に陥る危険もないではない。

                               (続きは明日)

       ≪23日の日経平均 = 下げ -270.60円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ


アメリカ向け鉄鋼輸出が 2ケタ増

2018-05-23 07:54:57 | 貿易
◇ 関税引き上げにもかかわらず = 財務省は21日、4月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は6兆8200億円で前年比7.8%の増加。輸入は6兆2000億円で5.9%の増加だった。この結果、貿易収支は6260億円の黒字で、黒字の幅は前年より31%も増えている。それだけ外需の力が強く、景気を押し上げる援軍になったことは間違いない。

発表の内容をよく読むと、いくつか注意すべき点にぶつかる。第1はアメリカ向けの鉄鋼輸出額。4月の輸出額は181億6400万円で、前年より13.7%も増加した。周知のようにトランプ大統領は安保上の理由と称して、輸入する鉄鋼に25%もの関税をかけ、3月下旬から発効している。専門家は「日本製品はアメリカでは造れないから、輸出額は減らない」と予想していたが、4月だけの数字をみる限り、その通りになっている。

第2はそのアメリカとの貿易収支。日本側の6150億円の黒字となっている。前年比では4.7%の増加だった。17年度の統計は、日本側の黒字7兆円となっている。アメリカはいま、LAFTA(米州自由貿易協定)や中国との貿易交渉で大忙し。日本にまで手が回らない。しかし、そのうち二国間交渉を持ち出してくるだろう。トランプ大統領が、日本の対米黒字額にどんな評価を下すのか。

第3はエネルギーの輸入額。原油の国際価格が高騰しており、日本の輸入額も大幅に増えている。4月は鉱物性燃料の輸入額が1兆3700億円に達した。2年前の4月は7900億円にとどまっている。原油やLNG(液化天然ガス)が上がれば、電気料金やガソリン代も上がる。それだけ日本の企業や家計の購買力が、海外に流出しているわけだ。政府が何も対策を講じようとしないのは、怠慢ではないのか。

       ≪22日の日経平均 = 下げ -42.03円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


米中貿易戦争は “保留”

2018-05-22 05:45:30 | 貿易
◇ 米朝首脳会談を前に一時休戦? = 米中両国政府はワシントンでの貿易協議を終え19日、共同声明を発表した。声明では「アメリカの対中貿易赤字を減らすため、中国がアメリカのモノとサービスの輸入を大幅に増やすことで合意した」「引き続き高いレベルで貿易問題の打開策を探る」と明記している。ただ中国側がどれだけアメリカからの輸入を増やすか、についての具体的な金額や品目には触れていない。

アメリカの対中貿易赤字は、17年に3752億ドル(約41兆円)にのぼっている。貿易協議でアメリカ側は、この赤字を2000億ドル減らすよう要求したと伝えられた。さすがに中国側も、この要求は受け入れなかったと思われる。面白いのはアメリカ側のこの要求に対して、中国側が「米中間の貿易は計画経済的であってはならない」とコメントしたこと。時代の流れを感じさせる一幕だった。

懸案事項は、モノの貿易だけに限らない。特許権や著作権の保護や外資規制、さらにはIT企業に対する不当な補助金など。アメリカ側の要求項目は数多い。短時間では議論が煮詰まらず、継続審議に持ち込まざるをえなかったのだろう。アメリカ側も中国に対する報復関税の実施を延期するなど、譲歩の姿勢を打ち出した。

ムニューシン米財務長官は「貿易戦争は保留だ」と語っている。これで一時停戦は確実となり、株式市場にも安心感が広がった。米朝首脳会談を間近かに控えて、米中両国が緊張関係にあるのは得策でないという判断も働いたのだろう。ただし保留は保留。再び両国が貿易問題を巡って緊張することは避けられそうにない。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +72.01円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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