経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2018-05-21 07:36:12 | 株価
◇ 高揚感のない8週連騰 = 日経平均は先週172円の値上がり。これで8週間連続の上昇となった。この間の上げ幅は2300円。そう悪くない成績だろう。しかし市場には高揚感が全くない。先行きについても、強気の見方は影を潜めてしまった。これは19年3月期の企業業績が減益になるという予測が、しだいに固まってきたからである。ただ目先はアメリカの金利高で円安が進み、これを頼りに何とか上げているという恰好だ。

ニューヨーク市場は、金利高と原油高の影響に揉まれている。金利高で銀行株が、原油高でエネルギー関連株が買われた。するとダウ平均は上昇する。ところが金利高は、カネの流れを株式から債券に変えやすい。また消費を抑制する効果も大きい。原油高も消費者の財布を直撃する。この後者の考え方が強まると、株価は下落する。結局、ダウ平均は先週116ドルの値下がり。

北朝鮮などの地政学的なリスクからも目は離せないが、目下の焦点は金利と原油の動向。今週はその動きに変化が生じるかどうか。FRBによる6月の利上げは確定的だから、当面ドル高の傾向は続くだろう。したがって円が上昇に振れる可能性も大きくはない。そうしたなかで日米の株価は、先週と同じような動きを続けるのではないか。

今週は21日に、4月の貿易統計。23日に、3月の全産業活動指数。25日に、5月の東京23区消費者物価。アメリカでは23日に、4月の新築住宅販売戸数。24日に、4月の中古住宅販売戸数が発表される。

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-05-20 07:56:18 | SF
第3章  経 済 が な い 世 界 

≪33≫ 200年後の地球 = この星で暮らし始めてから、早いもので2年が経過した。といってもダーストン星の公転周期は168日だから、地球の時間で言えばまだ1年に満たない。それでも生活にはすっかり慣れ、この国の人々ともずいぶん仲良くなった。見聞きしたことについては毎日メモを付けているが、この辺で2年間のまとめを書いておこう。そう思って、ノートに書き始めると・・・。

いつの間にかマーヤが机の前に来て、ノートを覗き込んでいる。ロボットなら何でも一瞬にして記憶できるから、ノートに書き込むなんていうことはしない。人間は面倒な作業をするものだと、あきれて見ているのだろう。そう思ったが、無視して記憶をまとめることに集中した。

1)完璧な医療技術-----どんな病気でもケガでも完全に治してしまう。だから人間が死ななくなった。人口の増え過ぎを抑えるために、憲法で「全ての国民の寿命は100歳」と定めている。あと200年もすれば、日本の医療技術もこの水準に達するかもしれない。しかし寿命を100年に決めることは、絶対にムリだろう。

2)人間的ロボットの完成-----ロボットの頭脳回路に、人間のDNAを組み込むことに成功。これによりロボットが、人間的な思考や感情を持つことになった。いま人々やロボットたちの最大の関心事は、国の執行機関である賢人会が「人間とロボットの結婚」を認めるかどうか。

3)経済が消滅-----モノの生産や輸送は、すべてロボットに委ねられている。このためコストが全くかからない。人々は欲しいモノを注文すれば、何でも無料で届けられる。だから街中には小売店が見当たらない。すべてがタダだから、通貨も必要がなくなった。人々の生活態度や生活意識も、ずいぶん変わったものになっている。

4)地球の将来像-----この国の科学・技術は、地球より少なくとも200年は進んでいる。ということは200年たてば、地球にも人間的ロボットが出現するかもしれない。だが人間的ロボットが出来なくても、機械的ロボットが進化して生産・流通の仕事をこなすようになれば、経済は消滅する可能性がある。100年後には、そうなるのではないか。そのとき地球人の生活意識は、いまのダーストン人のように変化するのだろうか。

マーヤはまだ食い入るように、ぼくのノートを見つめている。目と目が合うと、言い訳をするように「日本の文字と文章を学習しているんです。いつか役に立つと思いますから」と、つぶやいた。これが素晴らしい予言になるとは、神ならぬ身の知る由もなし。

                           (続きは来週日曜日)
          

北朝鮮は なぜ豹変したのか : 一つの推論

2018-05-19 07:44:08 | 北朝鮮
◇ 核実験場はすでに崩壊した? = 核実験を繰り返し、予告なしにICBM(大陸間弾道弾)を発射する。こんな横暴を重ねてきた北朝鮮が、一転して紳士的になった。米朝首脳会談に応じ、核兵器やミサイルも放棄するという。来週23-25日には、北東部の豊渓里にある核実験場を爆破するとも発表した。いぜん独裁者として君臨する金正恩労働党委員長が、豹変した理由は何なのか。一つの仮説を立ててみた。

北朝鮮はこれまで豊渓里の実験場で、6回の核実験を実施した。6回目は昨年9月3日。爆発の規模はそれ以前のものより格段に大きく、しかも最初の爆発の8分後に2度目の地殻変動があったことが確認されている。このとき山が陥没して実験場は完全に崩壊、地下の設備はすべて埋まってしまったのではないだろうか。もしそうなら、北朝鮮が実験場を再開することは難しい。

要するに核弾頭を積んだICBMで、アメリカを脅かすことが不可能になった。だから平和外交に転じて体制を保証してもらい、経済援助を受けるしかない。それなら崩壊した実験場の入り口を爆破して塞ぎ、平和路線のアピールに利用する方が賢明だ。海外のマスコミを立ち会わせても、深い地下坑道の状態までは見ることが出来ない。

トランプ大統領は、この実験場の爆破について「有難う。親切な行為だ」と論評した。実験場がすでに崩壊していることを承知のうえでの反応ならば、なかなか老獪な対応と言えるだろう。だが仮にその可能性を認識せずに感謝したのならば、トランプ大統領は首脳会談の前から金正恩委員長の戦術に乗ってしまったことになる。危ういかな。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +91.99円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  



M&Aは いま花盛り

2018-05-18 07:17:18 | 買収
◇ 企業のグローバル化が進む = 国内最大手の武田薬品工業が先週、アイルランドの製薬会社シャイアーに対するM&A(合併・買収)を発表して話題となった。シャイア―社の全株式を460億ポンド(約6兆8000億円)で買い取り、子会社化する構想。両社の取締役会は了承しており、株主総会の賛同が得られれば成立する。日本企業による海外企業の買収案件としては、過去最大の規模となる。

企業はふつう年々売り上げを伸ばし、利益を貯めて規模を拡大して行く。ところがM&Aで優良な企業を傘下に収めれば、一挙に規模を拡大させることが出来る。もちろん、すべてのM&Aが結果的に成功するとは限らない。したがって経営的には、常にある程度のリスクが伴う案件だと言える。にもかかわらず、最近は世界中でM&Aが大流行だ。

イギリスの調査会社ディールロジックによると、ことし1-3月には世界中で総額1兆1167億ドルのM&A案件が報告された。この金額は、前年比で47%も多い。これは金利が上昇する前に買収資金を借りてしまおうという思惑が働いたため、と同社では解説している。武田の場合も銀行から3兆3000億円を借り入れる予定だから、そうかもしれない。

日本企業による海外企業のM&Aは、これまでにもソフトバンク、日本たばこ産業、サントリー、松下電器などの例がある。今後も海外企業に対するM&Aが進めば、それらの企業で海外部門の比率が高まることは当然だ。その結果、国内での稼ぎより海外での儲けの方が大きくなる。このため利益を海外で使い、国内の設備投資や人件費を増やさない傾向は強まって行くだろう。

       ≪17日の日経平均 = 上げ +121.14円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


2年ぶりに  マイナス成長 : 1-3月期

2018-05-17 07:53:18 | 景気
◇ 回復のカギは個人消費 = 内閣府は16日、1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は年率換算でマイナス0.6%。一昨年と昨年の2年にわたって続いたプラス成長が、途切れた形となっている。生活実感に近い名目成長率はマイナス1.5%で、実質値よりもマイナス幅が大きい。この結果、17年度の成長率は実質でプラス1.5%、名目でプラス1.6%になった。

1-3月期の実質成長率を構成要素でみると、いずれも年率換算で個人消費がマイナス0.1%。企業の設備投資がマイナス0.3%、住宅投資がマイナス8.2%と、そろって下向いた。これに対して輸出が2.6%増加して、内需の落ち込みを埋めている。個人消費の減退は寒波の影響で野菜など生鮮食品が高騰、さらに原油高の影響も加わって暖房費が増加。これで家計の節約意識が強まったためとみられている。

問題は4-6月期以降、プラス成長に戻れるかどうか。まず輸出の環境は、あまりよくない。米中貿易戦争や新興国からの資金流出、また世界的なスマホ需要の減退など、外需に頼れる状態ではなさそうだ。となるとプラス成長へのカギは内需、特に個人消費の復活しだいということになる。

たしかに悪天候の影響は消滅した。ある程度の賃上げも進んでいる。だが原材料費の高騰や人手不足の影響で、食品をはじめ生活用品の値上げが続く。原油価格の高止まりで、ガソリン代や光熱費も上昇基調。家計の圧迫要因はなくならない。民間調査会社は総じてプラス成長への回帰を予測している。しかし1-3月期の落ち込みが本当に一時的なものなのかどうか、そう楽観的にはなれない気がする。

       ≪16日の日経平均 = 下げ -100.79円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


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