経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

二番底へ突き進む 米欧の景気 (下)

2020-11-05 07:37:23 | 景気
◇ 第1波の繰り返しではない! = 新型コロナの第2波がやってきた。再び経済活動が規制され、景気は下降に向かう。しかし感染者の増加が落ち着けば、また規制は解除されるだろう。つまりコロナ第2波は、第1波の繰り返しだ。--多くの人が、こう考えている。だが、この考えは間違いだ。コロナ第2波は、決して第1波の単なる繰り返しではない。もっと恐ろしい毒性を持っていることを、理解しなければならない。

GDP成長率は7-9月期に急回復したが、企業の多くはまだ立ち直っていない。たとえば日航・ANAやJRのような大企業から中小企業まで、経営難に苦しんでいる企業は数多い。そこへ外出や営業の規制が加わるのだから、風圧は第1波の何倍にもなるだろう。休業や倒産が、急激に増加することは避けられない。

雇用も第1波の打撃から、まだ立ち直っていない。7-9月期の景気上昇で状態は好転したが、コロナ前の水準は取り戻せない。そんなところへ第2波が押し寄せると、多くの人が「この調子だと、第3波・第4波が来るかもしれない」と考える。そんな不安定な将来展望のなかでは、経営者は従業員を増やそうとは思わない。雇用の改善は遅々として進まなくなる。

経済活動を規制すれば、休業補償や失業対策が必要になる。だが財政の赤字は膨れ上がるばかり。国債発行を増やせば、金利が上昇してしまう。政府の対策も、手詰まりになっていくだろう。このようにコロナ第2波は、第1波よりも毒性が強い。第3波、第4波となれば、状況は急激に悪化する。その意味で、日本はなんとしても第2波の拡大を防がなければならない。世界に逆行して規制緩和を急ぐ政府に、そうした意識は見受けられない。

       ≪4日の日経平均 = 上げ +399.75円≫

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

二番底へ突き進む 米欧の景気 (上)

2020-11-04 07:24:38 | 景気
◇ 日本も同じ道を辿るのか = 日米欧の景気は、そろって7-9月期に急回復した。アメリカのGDP成長率は年率33.1%の拡大。新型コロナの影響で31.4%も縮小した4-6月期から、大きく反発した。EUの成長率も7-9月期は61.6%の驚異的な拡大。4-6月期のマイナス39.5%からV字型の回復をみせている。日本の発表は16日になるが、民間の予測で7-9月期の成長率は18%程度のプラス成長になる見通しだ。

だが、どの国もGDPの水準はコロナ以前の高さには戻っていない。アメリカは昨年10-12月期に比べると、まだ2.9%低い。EUも前年比では4.3%低い水準だ。日本も同様で、18%成長したとしてもコロナ前に比べると6%ほど足りない。これは、たとえば100のGDPが3割減ると70になる。それが4割増えたとしても、98にしかならない。つまり日米欧のGDPは急回復はしたものの、まだコロナ前の水準は取り戻していないわけだ。

もちろん10-12月期も急回復が続けば、コロナによる経済の陥没は埋め戻される。ところが現実は、再びコロナ・ウイルスの感染が拡大し始めてしまった。アメリカもヨーロッパ諸国もコロナ第2波に見舞われ、最近の感染者増加数は第1波のときよりも3倍の大きさになっている。各国政府は10月末から、再び経済活動を規制する政策を取り始めた。フランスは全土、イギリスはイングランドで外出規制、店舗の営業制限に踏み切っている。

経済活動を規制すれば、景気は悪化する。10-12月期のGDPが収縮するのは目に見えており、いまアメリカもEUも景気は二番底に向かって下降し始めたと考えていい。こんどのマイナス成長はいつまで続くか、どこまで落ち込むかが関心のマトになてきている。そうしたなかで、日本はまだ規制を緩和中。しかしコロナ感染者は明かに増加してきた。日本も米欧と同じ道を辿るのだろうか。その可能性は、決して小さくはない。

                             (続きは明日)

     ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

大阪都構想の挫折 2つの敗因

2020-11-03 08:32:00 | なし
◇ 二重行政の弊害を実感できず = 大阪都構想は1日の住民投票で、5年前と全く同様に僅差で否決された。前回は敗北の責任をとって、橋下府知事が政界を引退。今回も松井市長が引退を表明した。多くの人が既視感にとらわれたに違いない。反対の最大の理由は、大阪人の大阪市に対する愛着だった。だが周到な準備をしてきたにもかかわらず、その愛着を説得できなかったのはなぜか。その大きな理由は2つある。

その1つは、ともに維新の会の松井市長と吉村府知事がタッグを組んだこと。一心同体の関係だから、大阪府と大阪市の間に波風が立つことは全くなかった。だから二重行政の欠陥を是正するための都構想だと説明しても、選挙民には実感が湧かなかったに違いない。皮肉にも都構想を推進した両氏の良好な関係が、市民の理解を阻害する結果となった。

もう1つは、都構想というネーミング。東京23区のような行政組織にしたいという発想から、橋下前知事が名付けたようだ。しかし大阪人は、東京の後塵を拝することを極端に嫌がる。なにお今さら「東京の真似をする必要があるのか」といった批判が強かった。仮に“大阪特別区構想”だったら、僅差で勝っていたかもしれない。

維新の会は「再び都構想を提案することはない」と明言している。したがって、大阪市が消滅する可能性はなくなった。しかし将来、府知事と市長が異なった政党から選出される可能性は否定できない。そのときは、議論が再燃するのだろうか。とにかく大阪人の多くが、今回の結果に安心しただろう。だが失ったものも大きい。闘志あふれる2人の大阪人政治家を失ったことである。

       ≪2日の日経平均 = 上げ +318.35円≫ 

今週のポイント

2020-11-02 08:31:37 | 株価
◇ 下げ渋った東京市場の実力 = ニューヨーク市場の株価は、目前に迫った大統領選挙とコロナの再拡大で大きく売られた。トランプ再選か、バイデン登場か。全米の関心は、かつてなく盛り上がっている。だが市場の関心は、選挙後の混乱に移り始めた。郵便投票を巡る開票の遅れで、新大統領がなかなか決まらないのではないか。街中でトランプ派とバイデン派が衝突し、治安が乱れるのではないか。そんな心配が、株価を押し下げた。

ヨーロッパとアメリカで、コロナ第2波が猛威を振るっている。先週初めはヨーロッパ市場の株安がアメリカに伝染、ニューヨーク市場の株価も大幅安となった。だがアメリカ国内でも感染者が急増、ニューヨーク州など多くの州で経済活動の再規制が実施された。これで景気は再び下降するという見方が強まり、株式は売り込まれた。

ダウ平均は先週1834ドルの値下がり。終り値は2万6500ドルまで落ち込んだ。一方、日経平均は先週539円の値下がりにとどまっている。これは①日本のコロナ禍が比較的軽いこと②政治的に安定していること③株価に出遅れ感が強いこと――のためだと考えられる。なかには経済正常化を見越した日本株の実力だと言う人もいるが、そこまで言い切れるかどうか。

今週は2日に、10月の新車販売。6日に、9月の家計調査と毎月勤労統計。アメリカでは2日に、10月のISM製造業景況指数。4日に、9月の貿易統計と10月のISM非製造業景況指数。6日に、10月の雇用統計。また中国が7日に、10月の貿易統計を発表する。なお3日に、アメリカの大統領選挙。

       ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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