経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

頓挫した 入国規制の緩和計画 (上)

2020-11-11 07:40:13 | なし
◇ 世界的なコロナ拡大で様子見 = 秋に入ってから、政府はコロナで余儀なくされた出入国に対する規制の緩和を着々と進めてきた。まず10月1日には、3か月を超えて日本に滞在する外国人の入国を条件づきで許可。また11月1日には、1週間以内の海外出張から帰国した日本人に対しても、条件づきで2週間の待機措置を免除した。いずれの場合も、その条件は陰性証明書と入国後の行動計画書を提出すること。さらに公共交通機関を利用しないこと、などとなっている。

次に緩和する予定だったのは、外国人ビジネス客の受け入れだった。これも72時間以内の滞在なら、同じ条件で許可することにしていた。ところが、この計画は保留された。アメリカやヨーロッパ諸国で、コロナ・ウイルスの再拡大が始まったからである。じっさい、アメリカでは1日の感染者数が12万人を突破、ヨーロッパでも各国が外出や店舗の営業制限に乗り出している。

これとは別に、政府は渡航制限をしていた国・地域の縮小も進めていた。一時は世界159か国に対して渡航を制限していたが、コロナが鎮静している国を選んで制限を解除している。たとえば韓国やシンガポール、中国、ベトナム、オーストラリアなどへの出国が出来るようになった。しかし、この方針も世界的なコロナ再拡大で中断されている。

政府が出入国に対する規制の解除を急いだのは、2つの理由から。1つは言うまでもなく、経済活動の正常化。もう1つは、来年のオリンピック開催に備えるためだ。成田・羽田・関西国際に加えて新千歳・中部・福岡空港で、計1日2万件のPCR検査を可能とする準備も進行している。だが肝心の規制を解除する試みは、第一歩を踏み出したとたんに頓挫してしまった。今後の見通しも、決して甘くはない。

                              (続きは明日)

       ≪10日の日経平均 = 上げ +65.75円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

節操をなくした NYの投資家

2020-11-10 07:43:26 | 株価
◇ トランプでもバイデンでも買い材料に = ダウ平均株価は先週1800ドルの上昇、ニューヨーク市場は活況に沸いた。材料は大統領選挙の投開票だけ。ところがバイデン氏が優勢でもトランプ氏が追い上げても、投資家は買い続けた。選挙の結果はどうでもよく、どんなニュースも都合のいい方に解釈した。ある意味では、投資家たちが節操をなくした1週間だった。

夏ごろまで、ウオール街では「バイデンなら売り」が常識だった。法人税や所得税、株式譲渡益課税の引き上げを公約しているのだから、当然の反応だったと言える。しかし秋になると「バイデンは買い」に変わった。民主党がインフラ投資や製造業支援に2兆7000億ドルを投入すると公約したからである。市場には、どちらが勝ってもいいという空気が醸成されて行った。

そして先週。まず3日の投票日には「バイデン優勢」の読みで、ダウは555ドル上げた。4日は「トランプがフロリダ州を獲りそう」という観測が流れて、368ドルの上昇。その一方で民主党が大統領と上下両院を制する“ブルー・ウェーブ”期待も株価を押し上げた。ところが5日になると「上院は共和党になりそう」という予想が強まる。しかし市場は「その方が増税に抑制力が働く」と新解釈。ダウは543ドル上昇した。

トランプでもバイデンでもいい。ブルー・ウェーブでも“ねじれ議会”でもいい。要するに何でも買い材料にしてしまったわけだ。その根本的な原因は、歴史的なカネ余りにある。投資を正当化するために、解釈の一貫性や整合性は捨て去った。この状態はもはやバブルとみていい。危ないと考えて売る投資家が多いか、まだ行けると買う投資家が多いか。

       ≪9日の日経平均 = 上げ +514.61円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2020-11-09 08:27:40 | 株価
◇ 29年ぶりの高値に沸いた東京市場 = 東京市場の株価は、予想をはるかに超えて上昇した。日経平均は先週、文化の日をはさんで4日間の連騰。週間では1348円の値上がりで、終り値は2万4325円に。1991年11月以来29年ぶりの高値水準を回復した。国内景気の回復期待に加えて、ニューヨーク株価の高騰が株価を引っ張り上げている。円高も進行したが、投資家の買いは途切れなかった。

ニューヨーク市場の株価も、予想外の高騰をみせた。大統領選挙は不安定な材料なので、投資家は取り引きを控えるだろうというのが事前の予想だった。ところがフタを開けてみると、買い一色。トランプ優勢でも買い、バイデン急追でも買い。ダウ平均は先週1822ドルの大幅高で終わった。終り値は2万8323ドルに。史上最高値まで、あと1200ドルに迫っている。

市場は活況に沸いたが、さすがにバブルの様相が濃くなっている。今週は常識的にみれば、高値警戒で反落するだろう。だがカネ余り相場だから、上げ基調に乗り遅れまいと考える投資家も多い。このまま突っ走る可能性もなくはない。その場合は、バブルがさらに膨れることになる。東京市場の場合は、円相場の動向も改めて心配になってくるだろう。

今週は9日に、9月の景気動向指数。10日に、10月の景気ウオッチャー調査。12日に、10月の企業物価と9月の機械受注、第3次産業活動指数。アメリカでは12日に、10月の消費者物価。13日に、10月の生産者物価。また中国が10日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (35)

2020-11-07 08:00:01 | なし
◇ トランプ大集会で感染者3割増? = 世界の感染者数は4800万人、死亡者数は122万人を超えた。アメリカ・ヨーロッパ・インド・南米諸国が最悪の状態に陥っている。アメリカの感染者は累計949万人、死亡者は23万4315人に達した。1日の感染者増加数が初めて10万人を超え、全米42州で増加傾向が続いている。スタンフォード大学の試算では、トランプ大統領の大規模な選挙集会で、感染者は約3割増加した。

ヨーロッパを襲った第2波は、春の第1波をはるかに上回る勢いだ。最近の1週間では感染者が170万人も増加、前週比で24%も増えている。イギリス・フランス・イタリア・スペインでは、外出制限や飲食店の営業停止など対策に大わらわ。ドイツでも死亡者数が1万人を超え、一部の都市を閉鎖している。したがって、景気の下降は免れない。

インドの感染者は836万人、死亡者は12万4315人。ブラジルは感染者559万人、死亡者16万1106人だった。このほか死亡者数でみると、メキシコが9万人台、アルゼンチン・ペルー・コロンビアが3万人台。南米諸国でも、コロナはじわじわと広がっている。またアジアでは、インドネシアの感染者が42万人、フィリピンが38万人に増えている。

日本では、感染者数が10万人を突破した。5日には1000人を超す感染者が記録されたが、これは8月21日以来のこと。6日時点では感染者が10万5780人、死亡者が1821人となった。1週間の死亡者数は47人→48人→50人→60人と着実に増えており、リスクは確実に増大しつつある。要注意だろう。

       ≪6日の日経平均 = 上げ +219.95円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】   

ほくそ笑む 習近平主席 : アメリカ大混乱

2020-11-06 08:42:57 | 中国
◇ “漁夫の利”を狙う中国 = アメリカが大統領選挙で、未曽有の大混乱に陥っている。トランプ現大統領が勝ってもバイデン民主党候補が勝っても、アメリカの政治・社会は分裂の度を深めるだろう。人種や階層あるいは地域間に生じた亀裂は、短時間では修復できない。その結果、アメリカの国力は落ち、世界からの信頼感も低下する可能性がある。その間に中国は着々と国力を増強し、やがてはアメリカに追いつき追い越す。――習近平国家主席が、こう考えても不思議ではない。

中国は先週開いた共産党中央委員会全体会議で「2035年の1人当たりGDPを2倍にする目標」を決定したばかり。平均4.7%の成長を続ければ、15年後にはイギリス・ドイツ並みの先進国になる。あとは短期間でアメリカにも追いつくはずだ。アメリカがコロナや分断でもたもたしてくれれば、追いつくのも早くなる。

こうした状況を、アフリカ大陸などの新興国家はどうみるだろうか。コロナの封じ込め一つをとっても、アメリカは失敗。中国は成功した。政治的な安定性は、中国の方が抜群に高い。国造りに懸命な新興国は、混乱する民主主義国と、しばしば非難はされるが安定した社会主義国のどちらを手本として選ぶだろうか。

中国の古いことわざに“漁夫の利”という言葉がある。シギとハマグリが喧嘩に夢中となっていたため、漁師がたやすく両方を獲ってしまったという故事である。つまり争いごとに夢中になっていると、第三者が思わぬ利益を得るという話だ。習近平主席の頭のなかには、最近この言葉が去来しているに違いない。

       ≪5日の日経平均 = 上げ +410.05円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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