経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2022-07-24 07:40:04 | 株価
◇ 「底入れした」とは誰も思わない = ダウ平均は先週611ドルの値上がり。木曜日には6週間ぶりに3万2000ドルを回復した。週初は6月の消費者物価が40年ぶりの高さとなったことから、FRBによる引き締めの加速が警戒された。その後は景気後退は不可避だとの見方が強まり、引き締めの減速期待が株高につながっている。しかし市場では、株価がこのまま上昇すると考える人はほとんど見受けられない。

日経平均は先週1126円の値上がり。3週連続の上昇で、この間の上げ幅は2000円に近い。特に大きな好材料はなく、むしろ企業物価の大幅な上昇や貿易収支の大赤字など、悪材料の方が目についた。市場では「もう少し上がるのでは」という期待も出ているが、それでも「株価が底入れした」という声は聞こえてこない。

問題は景気後退の深さ。それがまだ掴めないから、株価の先行きも見通せない。浅ければ「株価はすでに織り込んだ」とも考えられるが、深ければ「もう一段の調整も」ということになる。その辺の判断材料となるのが、今週27日に発表される政策金利の引き上げ幅。それに4-6月期の企業業績と7-9月期の見通し。いまニューヨーク市場では、エネルギーを除けば4-6月期の純利益は3%程度の減益という予測が広まっている。今週のマイクロソフトやアップルの決算発表に注目が集まる。

今週は26日に、6月の企業向けサービス価格。29日に、6月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数、7月の消費動向調査。アメリカでは26日に、5月のFHFA住宅価格指数、6月の新築住宅販売、7月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、6月の中古住宅販売。28日に、4-6月期のGDP速報。またEUが29日に、4-6月期のGDP速報を発表する。なお27日にはFRBが利上げを発表する。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ

 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (122)

2022-07-23 08:08:52 | なし
◇ 突出した日本の感染者増加数 = 世界の感染者は累計5億6678万人、この1週間で725万人増加した。この増加数は前週より20万8000人多い。死亡者は638万0790人で、週間1万7490人の増加だった。この増加数は前週より1090人少ない。全体として高水準の横ばい状態が続いており、大きな変化はみられない。こうしたなかで、日本の感染者が突出して急増したことが目立っている。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計102万5741人。この1週間で2121人増加した。次いでブラジルが67万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。各国とも微増しているが、大きな変化はない。

日本の感染者は累計1081万6140人。この1週間で80万1128人増加した。この週間増加数は過去最大。死亡者は3万1750人で、週間216人増加した。この増加数は8週間ぶりの大きさ。ほぼ全国に拡散した変異株BA・5の重症化率は低いが、感染者数が激増したため死亡者も増え始めた。感染者は1日で15万人を超えており、沖縄県や大阪府では医療体制がひっ迫している。

新規感染者が1週間で80万人を超えたのは、初めての経験。たとえばアメリカの増加数は、この1週間で82万5000人。人口比でみれば日本は3倍に近い。規制を完全に取り払ったイギリスも、週間で14万人の増加。人口比で見れば、日本は約2倍だ。その原因は全く不明。政府も規制に踏み切るべきかどうか、判断に迷っているようだ。手遅れにならなければいいが・・・。

        ≪22日の日経平均 = 上げ +111.66円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】     

たったの252人! 訪日観光客

2022-07-22 07:31:43 | 外国人
◇ 観光局は数字を公表せず = 観光局は20日、6月の訪日外国人客数を発表した。それによると、6月中に来日した外国人客数は12万0400人で、コロナ前の19年6月に比べると95.8%も減少している。1-6月間でみると、訪日客は50万7600人。19年6月比では96.9%の減少だった。政府は3月に観光目的以外の外国人を条件付きで受け入れ開始、また6月10日からはパッケージ・ツアー観光客の入国を解禁したが、効果はまだ表われていないようだ。

ところが、この発表にはおかしな点がある。1-6月間の訪日客を国別にみると、ベトナムからの入国が10万4800人で第1位。次いでインドネシアが3万3900人、アメリカが2万8600人などとなっている。ここからみると、ビジネス目的の来日者よりも、実習生や留学生の方がずっと多かったのではないか。それなら‟訪日客数”とくくるのは変で、単に‟訪日外国人数”とすべきだろう。

もっと不可解なのは、観光局が「観光を目的とした訪日客」の数字を公表しなくなったこと。発表文書のどこを探しても、その数字は見当たらない。しかし読売新聞の記事には、「6月の観光客は252人にとどまった」と書いてある。おそらくは担当記者が独自に取材した数字なのだろう。観光局はあまりにも少数だったので、発表しなかったのだろうか。

いま旅行・宿泊・小売り関係者の間では、外国人観光客の再来を心待ちしている人も少なくない。そういう関係者はインバウンド景気をどのくらい期待できるのか。そのために、どの程度まで準備をしたらいいのか。大いに迷っている。観光局はそういう人たちに、正しいデータを提供することが仕事のはず。悪いことは隠したがる役人根性は、止めてもらいたい。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +122.74円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

‟将来”が見えないよ! 岸田さん (下)

2022-07-21 08:18:54 | エネルギー
◇ ‟その場しのぎ”の政策ばかり = 岸田首相は同じ記者会見で「火力発電についても、追加的に10基を確保する」と述べた。電力会社は老朽化で効率が落ちた火力発電所を、廃棄する予定で運転を停止している。これを修理させて動かそうというものだ。たしかに、これで消費電力の5%以上は賄える計算になる。

だが老朽化した火力発電所は、大量のCO₂を発生させる。すると政府は「脱炭素政策を中断あるいは放棄するのだろうか」という疑問が湧く。しかし岸田首相は、この点についてひと言も説明していない。つまり差し迫った電力不足という危機に対して、応急措置は施した。しかし、その後はどうするのか。将来展望が全くない。

たとえばガソリンの高騰に対しては、補助金を出して店頭価格の値上がりをある程度は抑制した。これも応急措置である。だが電力やガソリンの不足・価格の高騰は、この夏冬だけの問題なのだろうか。もし来年もこうした状況が続いたら、政府は応急措置を繰り返すのだろうか。その辺が全く不明だから、家計も企業も心配で支出を増やすことが出来ない。

3年・5年・10年後のエネルギー不足は、大丈夫なのか。政府は将来の目標を鮮明にして、そのための対策を積み上げるべきではないのか。同じことは食料についても言える。小麦については同様の補助金を支出した。だが長期的に自給率を引き上げるための政策は見えてこない。岸田政策の最大の欠点は、将来が見えないこと。だから国民の不安は解消されない。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +718.58円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

‟将来”が見えないよ! 岸田さん (上)

2022-07-20 07:20:55 | エネルギー
◇ 原発政策は新味ゼロ = 「冬の電力不足を解消するため、最大9基の原発を稼働させるよう、萩生田経産相に指示した」--岸田首相は14日の記者会見で、こう言明した。これまで「原発は安全性を重視しながら、最大限に活用する」の一点張りだった首相も、参院選が終わってようやく前に一歩を踏み出したか。そんな思いでテレビ中継を見ていたが、これは完全な誤解。調べてみると、この首相発言には何の意味もなかった。

原子力規制委員会に再稼働を要請した原発は、これまでに25基。そのうち10基が安全審査をパスしている。しかし定期点検や改良工事で5基が運転を停止中。いま稼働しているのは5基だけ。さらに九州電力の玄海4号機はテロ対策工事が遅れて、9月以降は運転が出来なくなる。したがって、冬までに運転が可能なのは9基という計算。岸田首相の発言は、こうした原発の現状を説明したに過ぎず、一歩前進でも何でもなかった。

それどころか「最大9基」というのは、何を意味するのだろう。本来ならば「最低9基」と言うべきだが、首相みずからが「10基以上の稼働はムリ」と白状しているようにも受け取れる。たしかに規制委員会の審査は厳しさを増し、地元住民の同意を取り付ける作業も難しくなっている。だが総理大臣としては現状を‟非常時”として認識し「10基以上の原発稼働」を、関係者のみなさんにお願いすべきではなかったか。

それが出来なかったのは、政府が原発の‟将来像”を描いていないためだろう。日本はこの先もずっと原発を持ち続けるのか。それとも将来は原発をゼロにするのか。この長期ビジョンが示されないから、国民の不安も解消されない。たとえば「2050年の原発ゼロ」を目指すが、いまは15基の原発を動かしたいとでも言えば、国民や地元住民の考え方も大きく変わったはずだ。

                        (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 上げ +173.21円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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