蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

ネット休暇   (bon)

2013-08-25 | 日々雑感、散策、旅行

 このブログの読者には、ネット中毒?のような人はいないと思われますが、
今や、かなりの人はネットにハマっていると想像でき、その延長線で考えると
“ネット依存症” もあながち否定できないかもしれません。

 今日の記事は、例によって知人のH氏からの情報で、ちょっと長めではありますが、ところどころに、
自らのネット中毒を反省し、それから逃れる “努力?” のような心の動きがにじみ出ていて面白いです。

 何も、ネット(デジタル)にこだわるわけではなく、何事についても言える事ですが、
ときどき自らを客観的に眺める時間・意識は必要なことですね。

 では、記事をどうぞ・・    


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COURRiER Japon 2013年09月号 p44-47

   「全米で最も“オンラインな男”が『ネット休暇』を取ってわかったこと」

        Text by バラトゥンデ・サーストンfrom ファスト・カンパニー(USA)

 【要旨】無駄な時間やモノ、固定観念など「必要のないもの」を捨てることの有効性に関する考察を集めた
特集「人生の9割は、『捨てる』ことで決まる」のPart3「『負の感情』を捨てる」のなかの記事。
この10年ほどのあいだに人々のインターネットの使い方は大きく変化し、いまや、ツイッターやフェイスブックなどの
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で情
報の受発信をすることは、あらゆる世代で珍しい
ことではなくなっている。

 しかし、日本において「 SNS疲れ」という言葉で指摘されるように、 SNSへの過度の依存による
精神的な負荷もしばしば指摘される。
それに対処するものとして米国で広がってきているのが「デジタル・デトックス」。

 インターネットに常につながっている状況から一時的に退避し、ネットへの依存を見直そうという動きだ。
本記事では、作家、コンサルタント、パフォーマーなど多彩な顔を持ち、デジタルライフの解説者としても知られる
筆者が、25日間のデジタル・デトックスを実践した体験をリポート。
そこから何を感じ、どのような教訓を受けたかについて詳しく述べている。

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 僕は友人から世界で最も“オンラインな男”だと言われている。2012年は超多忙な生活を送っていた。
昨年の生活を数字で表したデータの一部を紹介しよう。
海外への渡航回数6回、訪問した都市34、地元ブルックリンにいなかった日数 179日、フェイスブックへの投稿数
1518回(1日平均4回)、ショートメッセージのスレッド数3702(1日平均10)、ツイート数1万1541 
(1日平均32)、 
Gメールのスレッド数5万9409(1日平均 163)……。僕は限界に達していた。

  そこで、夏には長年の友人であるジュリア・リントン・ボルティを「主席補佐官」として雇った。
そして5ヵ月を経た頃、ジュリアはこう切り出した。

僕が「ネット中毒」に陥っていることなどが原因で不機嫌になっている、というのだ。
そこで、ジュリアと相談しながら休暇を取る方法を模索し始めた。

 数週間、どこかの離島に逃れることも考えたが、欲していたのは“物理的な脱出”ではないことに気づいた。
ただ、デジタルの世界で存在を主張する義務から解放されたかったのだ。そこで、僕はデジタル上での
人とのつながりと距離をおくことにした。

 

 僕とジュリアは、僕の“デジタル・デトックス”期間を25日間に決めた。
次にしなければならなかったのは、具体的に何をやめるか決めることだった。

 2つのことを心がけた。
まず、仕事関係の用事はすべて棚上げすること。次に、この25日間はメールを含むすべての SNSを避けることだ。
メールに煩わされない休暇にするため、ジュリアが数日おきに受信ボックスをチェックしてくれることになった。
これで急を要する用事を見逃さずにすむ。

  次に、僕の“雲隠れ”について直々に知らされるべき VIPのリストを作った。
代理人、弁護士、会社の共同創設者、家主、親しい友人、姉といった人々だ。
それぞれにメールや電話、もしくは会って話をした。その後、メールとよく利用している SNSの両方で、
近々姿を消す予定であることを告知した。

 次なるステップは、iPhoneと SNSのサービスを停止することだ。
ところが、この段階に来て事態は複雑になった。これらのすべてから解放されようとすることにより、
自分がどれほど身動きの取れない状況に陥っていたかを知ることになったのだ。

 
 メールには「不在通知」機能があるが、ほとんどの SNSにはそれがない。僕に連絡を取ろうとした人は、
なぜ反応がないのかを知る術がないのだ。
そこで僕は、アカウントを「解除」または「停止」しなくて済む有効な策を編み出した。
プロフィール写真を替えたのだ。黒い長方形の背景に、シンプルなメッセージを綴った。
「13年1月7日までオフライン。返信は期待するべ
からず」

 ところが、それだけでは SNSから逃れられなかった。僕はこれまで自分が受け入れてきた“騒音”のレベルに
愕然とした。フェイスブックやツイッターをはじめ、あらゆるアプリやサービスで、僕はプッシュ通知を黙らせる
手続きを延々と取らなければならなかった。

 

 ネット休暇の初日、僕はソーホー地区に出かけた。あるカフェが毎年開いているイベントに参加するためだ。
イベントの後は3人の友人と一緒に、とある中華レストランを探して歩き回った。結局、僕らはその店ではなく、
餃子3個で1ドルというお買い得な店にたどり着いた。

 その後は、マッサージ屋に向かった。マッサージ師が数十年、僕がいま泊まっている地区に住んでいたことがわかった。
このマッサージ師に“検索エンジン”になってもらい、近所のレストランや文化について尋ねた。

  SNSなしの最初の1週間は、楽しく、そして“ソーシャル”だった。友人とミュージカルを観に行き、帰りにディナーをとった。
僕の注文の内容を知っていたのは、ウェイターと友人と僕だけだった。
パットン・オズワルトの小説を読み、感想は自宅のディナーに招待した7人にだけ話した。
それから、新しい眼鏡を買い、実際に一緒に時間を過ごした人たちにだけ自分の新しい
顔を見せた。

 遠くの出来事について常に新しい情報を受け取っていなかったせいか、僕は自分の身近な世界に集中していた。
ある晩遅く、僕はレストランで隣の席に座っていたダンサーと知り合い、数時間にわたって会話を楽しんだ。
また別の朝には、ダイナーを20年前に開いたカナダ人兄弟の一人から、変わりゆくこの地域の話を聞いた。

  最初の1週間が終わる頃には、静かな日々の生活にほぼ違和感がなくなっていた。
新しい情報を知らないことに対して感じていたストレスもかなり減り、ネット上で自分の存在を“証明”していなくても、
自分は存在していると思えるようになった。

  そんな有意義な日々を経て、休暇はあっという間に終わってしまった。
デジタル世界に復帰して、あることに気づいた。すべてを元に戻す必要はないのだ。
アプリのプッシュ通知を再設定する必要なんてどこにもない。
ツイッターでメンションされるたびに通知を受け取らなければならない理由もない。
僕は“接続”された生活に戻ったが、以前ほど“接続”してはいない。

  オフライン休暇がくれた何よりの贈り物は、何もしないでいることや頭を空っぽにすることの大切さを
改めて教えてくれたことだ。そこで、四半期に一度、僕はアポをまったく入れない“空白の1週間”を設けることにした。
それ以外にも、ほぼ毎週、数時間単位でネットの世界を無視するようにしている。
通りを歩きながらモバイル機器を操作することはめったになくなった。

 

 僕はいまなお、IT時代の申し子だ。使っている機器やサービスも、世界とつながっている感覚も好きだ。
でも、その「代償」にも敏感になっている。
デジタルで人生をより良いものにし、世界とつながり、常にシェアすることを選んだ結果、人間は人生を
実際に“生きない”リスクを負うようになった。ネット休暇によって、僕はそれを認識することができた。
みんなが、常に“つながっている”状態を追い求める生きかたから休みが取れるようになるといい。
そうすれば、他のもっと深い“つながり”を見つけ、深めることができるだろう。

 

コメント: アルコールや薬物のように身体や精神、生活に重大な悪影響を及ぼすものは別にして、
何かに一度“ハマってみる”ことは決して悪いことではない。
どっぷり浸からなければわからないこと、体験できないことがあるからだ。
一方で、その“ハマった”ものから、少し距離を置いてみると、また別の景色が見えてくるはず。
 本記事のような「ネット休暇」を取るにあたっては、「情報や人間関係から取り残される」「損をする」といった
不安を抱く人もいるだろう。 しかし、ネットから一時離れることで見える「別の景色」がある以上、
「損をする」どころか「得をする」のである。 「捨てる」ことは何かが自分から離れることであるため、
マイナスに捉えられることが多い。
だが、それを「新しい体験」としてポジティブに考えることで、視野が広がり思考が深まっていくのではないだろうか。

 

Copyright:株式会社情報工場

 

 

  

 

 

 

 

 

コメント (1)
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