安倍首相は昨日、持病再発を理由に正式に総理大臣を辞任するとの記者発表を
しました。激変する世界情勢の中で、日本という国の存在感が薄くなる中、各国
ともそれなりに付き合い、内国では、天皇陛下退位、オリンピック招致、TPP等々
の事案、雇用確保、株価回復、さらには続く大規模災害対応、新型コロナ対策など
長期政権を無事推進されたご苦労をお察しする一方、森友、加計を始め、検事総長問題、
桜を見る会などの致命的ともいえる問題を乗り越えた剛腕には凄まじいものがありました。
後継者には1年余の期間しか残されていませんが、大いに期待したいと思います。
あの、イングリッド・バーグマンです。 バーグマンといえば、あの映画
「カサブランカ」を思い出しますが、最近のBS映画で2本「ガス燈」と「追想」
を続けて観ましたので、取り上げてみました。
イングリッド・バーグマンは、1915年生まれで、1982年の丁度今日、8月29日に
67歳で亡くなっているのですね。 彼女は、ヨーロッパ、アメリカで活躍したス
ウエーデン出身の女優で、17歳でオーディションを受けたといいますが、その後、
アカデミー賞を3回(主演女優賞2回、助演女優賞1回)、エミー賞を2回、トニー
賞の演劇主演女優賞のほか数々の賞に輝く大女優なんですね。
イングリッド・バーグマン(44歳ころ)
(ウイキペディアより)
カサブランカ(1942年)は、過去にBSやDVDですでに見ていて、今回は、
ガス燈と追想の2本です。
「ガス燈」(1944年)は、まだガス燈が灯りであった19世紀中ごろの霧深いロ
ンドンが舞台のサスペンス映画です。 物語は、ロンドンに住む有名歌手が殺害
され、迷宮入りとなっていた家に隠された宝石を巧妙に狙う事件なんですね。
殺害された歌手は、ポーラ(バーグマン)の叔母で、ポーラと結婚した夫(シ
ャルル・ボワイエ)は、どうしても叔母の実家(ポーラが相続している)に住み
たいといい、二人はそこに住むことになります。
夫は事あるごとに「ポーラは忘れっぽい。記憶が曖昧…」などと妻の記憶力が
おかしい、精神的に異常…と彼女を追いつめていく。 この追いつめられていく
女性をバーグマンが好演。しかし、これが手口で、夫は一人隠れて物置にしてい
る屋根裏の宝石を探し、とうとう見つけるのですが、不審な行動をする夫を警察
関係者によってこの夫婦間に秘められた謎が明らかになっていく・・というのです。
(ネット画像より)
映画でのイングリッド・バーグマンの結婚当初の初々しい楽しい仕草、そして
追い詰められてゆく自分でもどうすることもできない精神的不安定さなど好演技
でした。アカデミー賞主演女優賞受賞。
「追想」(1956年)は、2度目のアカデミー賞主演女優賞に輝く映画で、ロシア
革命後の物語です。 ロシア皇帝ニコライ2世は4人の娘たちに1000万ポンドの遺
産を残していましたが、それに目を付けた元将軍(ユル・ブリンナー)が、娘は
すでに殺害されたと推測され10年も過ぎたころ、街で見つけた記憶喪失の女性を
その末娘、アナスタシアに仕立て上げ遺産を狙うのです。
その女性に、皇女らしく立ち居振る舞いや、当時の状況などを訓練してとうと
う、皇太后への面会までこぎつけます。しかし、関係者は遺産目当ての偽者との
認識が強い中、何気ない咳き込む姿に皇太后はそれが皇女であることに気づき一
件落着するのです。
(ネット画像より)
ここでも、バーグマンの記憶喪失した娘の自らの目的でない中での特訓を受け
る姿や、それを次第にこなして華麗になってゆく過程などが巧みに描かれている
のでした。
(この時代は、日本は明治初期で、ニコライ2世は来日して大津事件が起きた
り、また日露戦争のロシア皇帝でもあるのですね。)
ある映画評論家はバーグマンのことを「およそ人が想像しえる理想的な女性と
いうだけでなく、彼女は演技というものを根本から理解していた。詩的な優雅さ
と徹底的な現実主義とを両立させた女優である」と語っているとありました。
バーグマン主演の映画は、このほか、「誰がために鐘は鳴る」(1943年)、
「オリエント急行殺人事件」(1974年)などたくさんあります。
そんな映画を、楽しく見られる平和の中にいたのでした。
Dooley Wilson 映画「カサブランカ」As Time Goes By