この11/11から、アゼルバイジャンの首都バクーで世界190超の国・地域の代表により
開催されているCOP29 は、大変重要な国際会議です。
COPとは、締約国会議(Conference Of the Parties)の略で、いろんな条約を締結して
いる国による会議を意味していますが、COP29は、気候変動枠組条約の加盟国が地球
温暖化に対する具体的政策を定期的に議論する会合で、今回開催されている会合がその
29回目となります。 第1回は、1995年ドイツのベルリンで開催されていて、すでに
30年の議論が続けられているということなんですね。
(germanwatch e.V.より)
これまでの会合で、主な締結や節目となっているのは、COP3(1997年)の京都で開催
され、先進国に対して温室効果ガス排出削減を義務付けた『京都議定書』が採択された
のをはじめとして、『パリ協定』など下表のような歴史を辿っています。
日本でも、このところの夏場の暑さは異常ともいえる猛暑となっていますが、今年の
夏の福岡県では、35℃を超えた猛暑日が62日もあり全国最多を記録したとあり、熱中症
搬送者は全国で10万人弱を記録しこれも最多だったそうです。猛暑の他、局地的豪雨や
線状降水帯発生による浸水や土砂崩れなど大きな災害が各地で発生しています。
世界でも各地で、これらの災害が頻発し、大規模な山火事や干ばつさらには大型ハリ
ケーンなど、温室効果ガスによる気候変動がその原因とされています。
主な国別の温室効果ガス排出量の推移が下図に示されていますが、中国はこのところ
の急速な発展と共に、排出量もダントツに多く増加の一途をたどっています。
(JCCCより)
(JCCCより)
これまでのCOPで義務付けられた温室効果ガス排出量削減努力により、わずかに減少
傾向が見られますが、世界の平均気温は、下図のグラフが示すように上昇の一途にあり、
『世界の平均気温上昇を2030年までに産業革命前(1900年頃迄)より1.5度以下に抑え
る』目標は、昨年ですでに、1.45度上昇となり、もう後がないのですね。
(気象庁より)
世界気象機関(WMO)の発表によると、今年1~9月の世界平均気温は、産業革命前
より1.54度高かった(昨年は1.45度)とあり過去最高を記録したのです。1.5度以下を
目標としていますから既に、超過してしまっているわけですが、『1.5度を超える年が
1年あっても、達成できなかったとは言えない。』とあり、この数値は、数十年以上の
長期にわたる超過を対象としているそうで、まだまだこの目標に向かって努力を継続
して行く必要があるのです。
世界の温室効果ガス排出量の将来推定と削減目標とのグラフがありましたので、下図に
引用しましたが、現状のままで推移するととんでもないことになり、2度目標でも相当
な削減努力が必要であり、更に現時点での1.5度目標だとなお大幅な削減努力が必要で
あることが明白となっています。
(日経BPより)
1.5度目標の達成には、温室効果ガス排出量を30年までに43%(19年比)削減しなけ
ればならない、35年までに60%削減が必要なのだそうです。 しかし、現状の各国目標
では、30年で2.6%に留まる(UNFCCC)と警告されていて、もし、このままの状態で
推移するとすれば、今世紀中に 2.1~2.8度上昇する見込みだとあります。
このような現実を見せられて、本当に実現できるのか?心配になりますが、もし実現
(達成)が難しいとなれば、どのようなことになるのでしょうか?
国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、かりに、平均気温が2度上昇
すると、産業革命前に10年に一度発生するような(大規模な)異常気象の頻度は、熱波
は 5.6倍に、大雨は 1.7倍、干ばつは 2.4倍になると推定しています。恐らくよく言われる
ように、海面上昇による地上喪失地域が増えるでしょうし、森林火災などがさらに
大規模かつ頻繁となるのでしょう。
COP29の主要テーマは、35年までの各国の削減目標の引き上げ、途上国の温暖化対策
支援として先進国が拠出する『気候資金』の額について議論が行われる見通しのよう
です。
しかし、先のアメリカ大統領選挙で共和党の勝利で、かってこのCOPを離脱していま
すし、選挙中『掘って掘って掘りまくれ!』(石油)とトランプが言っていましたから
お寒い風が吹いています。温室効果ガス排出量ダントツの中国は、どのような取組みを
するのでしょうか?
開催国アゼルバイジャンの環境・天然資源相は、あいさつで『気候変動により我々は
滅亡への途上にある』と述べています。
COP29がアゼルバイジャンで開幕、トランプ氏再選や産油国での開催に懸念
中国が本気で対策をしてくれないと…と言いたくなります( ・᷅-・᷄ )