歳を取って、コロナ下でもあり あまり出歩かなくなったために映画を観る機会
が増えました。といっても映画館に行ったのは、山崎努、樹木希林の「モリのいる
場所」が最後ですからもう3年前になります。
最近の映画はもっぱらBSのお世話になっていて、座ったまま、あるいは寝そべっ
て観たり、横着な映画鑑賞なんです。
「ラストサムライ」の前に、「黄色いリボン」を観ていますので、今回2本立て
の記事になりました。 先ずは黄色いリボンから・・。
『黄色いリボン』は、1949年公開の映画ですから、先の「駅馬車」の10年後に
なります。 やはり、ジョン・フォード監督とジョン・ウエインのコンビで、この
映画も日本でも有名でした。映画音楽も、映画の後もずっとヒットであったような
記憶で、ラジオでもよく流れていました。
(ネット画像より)
原題は She Wore a Yellow Ribbon で、遠く戦場にいる彼や家族を案じて黄色い
リボンを髪につけるという習慣から、映画では、隊長婦人、姪が黄色いリボンをつ
けていました。主題歌「黄色いリボン」は1830年代から歌い継がれてきたアメリカ
民謡で騎兵隊の愛唱歌でもあったといわれているそうです。
舞台は 1876年、アメリカ合衆国独立から丁度100年が過ぎ、開拓者は先住民族との
戦いの中で領土の拡大を目指していて、それを支援する騎兵隊が必死の活躍をして
いる・・ 荒涼たるモニュメントバレーを背景に、辺境の地の騎兵隊の砦がその中心
で、退役をまじかに控えた老大尉(ウエイン)は、最後の任務として、隊長夫人と
姪を護送する任務を命じられていたが、彼らの隊は、シャイアンなど各部族が終結
したインディアンの大軍に行く手を阻まれて難渋するのです。
(ウイキペディアより)
大尉は退役記念に隊員から銀製の時計が贈られるなど、大尉として厳しいが隊員
から慕われている人間関係が描かれ、また、彼は亡くした妻と子供の墓にも最後の
任務を報告し作戦を決行する。
しかし事態はすでに遅くこのままでは全滅の危機を悟り、贈られた時計を見ると
退役迄まだ4時間残されていることが分かり、奇襲作戦に変更し、集結するインディ
アンの馬をすべて追い払い無力化して無事勝利するのです。
しかし、インディアン軍を突破するも、行き先の駅馬車はすでに焼き払われてし
まっていた。退役が決まった大尉は、一人カリフォルニアに向けて旅立つところに、
彼を佐官待遇に処するとの辞令が届いたのでした。
インディアンとの戦いの場もありますが、どちらかといえばアクションの西部劇
というより、ホームドラマの場としての西部を追求し登場人物の細やかな心情描写
が冴えた作品でした。
『ラスト サムライ』(原題: The Last Samurai)は、2003年のアメリカの叙事詩
的時代アクション映画とありました。 主演は共同製作のトム・クルーズのほか、
渡辺謙、真田広之、小雪ら多くの日本人が出演しています。
(ネット画像より)
時代は明治維新後の日本を舞台に、維新実現に当初貢献しながらやがて新政府に
反旗を抱く、西郷隆盛のようなイメージをヒントに、武士道を偏見なしに描こうと
した野心作との評がありました。
新政府の近代化に向けて新たな洋式鉄砲と軍隊に希望をかける流れの中で、長く
深い伝統の剣を信じる者(反乱者)との戦いの対比の中でサムライという精神性が
描かれているのでした。
反乱者は、天皇に反対しているのではなく、性急に近代化を進める新政府に反対
しているのであって、この反乱は天皇に対しての忠義であると信じているのです。
トム・クルーズは、アメリカ南北戦争時代の北軍の士官で活躍していたオールグ
レン大尉役を演じ、戦争の良心の呵責に悩まされ軍を去り、酒浸りのところに日本
からお雇い外国人として、新政府軍に招へいされ、軍隊の訓練を指揮することにな
るのです。
そんな時、不平士族(反乱軍)の領袖(勝元役:渡辺謙)が鉄道を襲撃したとの
報を受けて、政府軍が出動しますが、この指揮官がトム・クルーズでまだ隊をまと
め切れず、結局負けてしまうのですが、彼は殺されずに、むしろ傷の手当てを受け、
そのまま日本の生活を余儀なくされ、次第に慣れて行くだけでなく、そこに真の人
間性を見出し、勝元を初め、家族や家来たちとも心が通うようになり、最後は、勝
元の右腕となり、新政府軍と戦うのです。
(ネット画像より)
大砲・鉄砲と弓・刀との戦いはあまりに戦力に差がありますが、それでも進軍す
るサムライ軍は壮絶な戦いを繰り広げ戦死して行くのです。勝元もその最期をトム・
クルーズに託し果ててしまうのですが、この状況をトム・クルーズは、天皇に拝謁
して勝元の遺志を伝えたのです。
それは日本が真に近代国家に生まれ変わるための、勝元からのメッセージであっ
たのです。 なかなかの力作でした。
主なロケ地は姫路市にある古刹、書寫山圓教寺で、戦闘場面や村のシーンなどは
ニュージーランドで、街中のシーンはハリウッドのスタジオで撮影されたとありま
した。
書寫山圓教寺
(ウイキペディアより)
この2つの映画は、たまたま、時代が同じころで、どちらの主役も大尉、名前が
同じ「ネイサン」といいますが、方やアメリカ西部開拓時代の騎兵隊、退役間近の
大尉、方や、除隊しながら明治維新直後の日本で武士道に魅せられた軍人が描かれ
ていたのでした。
ジョン・ウェイン 黄色いリボン (1949) ミッチ・ミラー合唱団