蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

トランプ流交渉術

2025-01-24 | 日々雑感、散策、旅行

     野球のイチロー氏が、アメリカ野球殿堂入りしました。日本選手では初めての殿堂入りで、394人の
    記者の投票で、1票足りずの99.746%の投票率だったそうです。これまで、100%満票で殿堂入りした
            のは、ヤンキースのクローザ(投手)1人だけでしたから、イチローの野手での殿堂入り100%は惜し
    かったのですね。おめでとうございます。

 

 

 第47代アメリカ大統領に就任したトランプ大統領は、直後からカナダ、メキシコに対して
関税最大25%上乗せ、中国に対して10%‥をはじめ、様々な政策を矢継ぎ早に大統領令に
署名し大きな波紋を投げかけています。 4年前にバイデン大統領が復活した、地球温暖化
対策の国際会議『パリ協定』からの離脱を表明するばかりか、自国の化石燃料を「掘りまく
れ!」と宣言しました。また、世界保健機構(WHO)からも離脱しました。

        (読売新聞オンラインより)

 このような暴言・暴挙を吐きながら、国際協調に逆らい、『アメリカの黄金期が始まる』
と言い放っています。およそ常識的な言動、ふるまいとは思えないトランプ大統領、粗野で
型破りな政治経験もない不動産王が熱狂的な支持を受け、2期目の大統領に返り咲き、世界を
混乱させています。

 映画『プレンティス:ドナルド・トランプの創り方』が、この1/17からTOHOシネマズで
公開上映されています。お坊ちゃまのトランプがある時、悪名高き辣腕弁護士と出会った
ことから今日のトランプが生まれた‥と解説されています。

         映画ポスター
         (同映画より)

         

 東洋経済に、少し古い記事ですが、トランプ大統領の1期目、つまりヒラリー・クリントン
との選挙で勝利したころの記事『トランプの最強交渉テクニックに気を付けろ』
(岡本純子氏、
2017.1.20)に、トランプ流交渉術が分析されていましたので、そのいくつかを抜粋させて
いただきました。トランプの映像や行動から、その記憶力の高さ、強靭な精神力に圧倒され
ますが、さらに独特の交渉術がそこにちりばめられているのです。

          (時事通信より)

 記事は、(8年前ですが)こんな書き出しで始まっています。『これは夢か現(うつつ)か
幻か。1月20日、あのドナルド・トランプが、ついに米大統領に就任した。すべてにおいて
規格外で破天荒な大統領に、これから世界中が振り回されることになるのは間違いないだろ
う。』 『これまでの大統領や政治家と比べるから、違和感や困惑を覚えずにはいられない
が、不動産業界の天才的ディーラーとすれば、彼の言動の多くの説明がつく。』

                 

 トランプの自書『トランプ自伝』に、「私はカネのために取引をするわけではない。カネ
ならもう十分持っている。一生かかっても使いきれないほどだ。私は取引そのものに魅力を
感じる。キャンパスの上に美しい絵を描いたり、すばらしい詩を作ったりする人がいるが、
私にとって取引が芸術だ。私は取引するのが好きだ。それも大きければ大きいほどいい。
私はこれにスリルと喜びを感じる」 「手ごわい連中を向こうに回し、彼らを打ち負かす
ことに、私はたまらない魅力を感じる」

 

 ネガティブな報道を恐れる経営者も多いが、彼はどんな悪い話でも取り上げられないより
は断然いい、と信じている とあります。「メディアはセンセーショナルな話を欲しがって
いる。ほかの人や企業と違うこと、とんでもないこと、大胆なこと、物議を醸すこと。これ
らを提供すればメディアは書いてくれる」「何も言われないより悪く言われたほうがまだ
まし」‥と考えているようだと。

          18歳ころのトランプ(ミリタリーアカデミー在学中)
           (ウイキペディアより)

「メキシコとの国境に巨大な壁を作る」「不法移民は排斥する」「在日米軍を撤退させる」
などなど、荒唐無稽な発言をするが、それらを忠実にすべて実行しようという考えは実は
ないかもしれない。「まずは、とにかく要求してみることだ。頼まなければ何も手には入ら
ないのだから」、そして、「Think Big(でかく考えろ)」・・と。トランプの「巨大打ち
上げ花火」に狼狽し、鵜呑みにしてはならないのですね。

   また、「大きく考える人を見ると興奮する。だからある程度の誇張は望ましい。私はこれ
を真実の誇張と呼ぶ。これは罪のないホラであり、極めて効果的な宣伝方法である」とも
言っているのです。そして、「オルタナティブ、つまり代替の選択肢をより多く用意して
おけば、お互いを競わせてよりよい条件を持ってこさせることにもなるし、交渉に優位に
立てる」
ことから、たとえ真実でなくても、代替案を平気で作り出すというのですね。

 最後は徹底的に戦う姿勢なんですね。「トランプは徹頭徹尾、ファイターだ。つねに強気
で、時に脅し、謝らないし、執念深いし、敵対する相手は容赦なく攻撃する。」「『ライ
オンの調教師のように、ムチを鳴らし、威厳を見せて歩けばライオンは言いなりになる。
弱さやおびえを見せれば、ライオンはたちまち襲い掛かる』というように、弱さを見せる
ことがとにかく嫌なのだ。」

 

 そして、数々のブラック交渉テクニックも駆使している。たとえば、物事を極端に単純化
して見せて相手を攪乱したり、交渉相手の内部で、仲たがいさせて、その混乱に乗じたり、
第三者を交渉に連れ込んできて、プレッシャーを与えたり・・これらの手法が、ポンポンと
矢継ぎ早に繰り出されるのですね。

                 

 さらに岡本氏の別の記事(東洋経済、2016年)で、トランプの毒舌キャラクターについて、
筆者お気に入りだった人気テレビ番組『アトランティス』(弟子)の一部が紹介されていま
した。番組はトランプが主役で、トランプの下でビジネスを学びたい、という若者たちが、
様々なビジネスの課題に挑み、その能力をアピールし、「弟子(インターン)」の座を獲得
するというものだそうですが、毎回誰かが落とされて行く場面で、『You are fired!(お前は
首だ)』などのセリフを語気荒く浴びせかけ、容赦なくこき下ろす。痛快さ、コンセプトの
斬新さが珍しく、その面白さはあくまでもテレビの中のフィクションであり、芸能人や起業
家としてならハチャメチャに面白いが、一国の長となる政治家としての力量や資質があるか
と言えば、決してそうだとは思わなかったそうです。とにかく、むちゃくちゃな「暴言王」
で、その発言は虚言、妄言、失言の玉手箱。

 正常範囲をはみ出し続けることで、同調圧力から解放される「治外法権」状態。まさに、
「出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない」という感じだ・・と。彼の人心扇動術の
凄さ、恐ろしさ、そのコミュにケーション力はすごいとあります。そして、短くわかり易い
小学4年生くらいの言葉を使い、誰にでも浸透しているのでしょう。
『Make America great again』はまさしくそうですね。

                     

 まぁ、何というか次元の違う人のようですね。今やこの人を中心に世界は、戦々恐々と
した面持ちで、再び混乱の渦が巻き始めたのでしょうか? アメリカ内部でも、かなりの
反発があるようですから、この先どのような展開になるか‥・ 埼玉のジジイはコタツの
中で静観することとしましょう。 歴史に残る偉大な国となるように・・。

 

 

 

Khachaturian: Sabre Dance / Rattle · Berliner Philharmoniker

 

 

 

 

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