蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

不思議な日本語(57) 

2025-01-30 | 日々雑感、散策、旅行

 2025年1月も終ります。昨年末のこの記コーナーは、身体の一部を使った言葉から
一転、「語呂合わせ」「ぎなた読み」など『言葉遊び』を取上げてみましたが、今回
から再び元に戻って、言葉の不思議、面白さなどについて、それぞれ言葉を順不同に
選んでみました。

 言葉の選択は、あくまでランダムで思いついた順に取り上げていますのでご了承くだ
さい。では、今年最初の・・

 

 ・新巻き  突然ですが、どうしてこのように言うのでしょうか?  大正時代に
北海道石狩川のサケ漁師たちが、新鮮なサケに薄塩をあてただけの長期保存を目的と
しない塩引きサケを試作し「新巻」のネーミングで売り出したところ大評判をとり、
この爆発的な人気から、「塩引き」の名前はいっせいに「新巻」として販売されるよう
になったといわれています。
 サケの塩蔵品の一種で、このことばの語源は、室町時代、塩ザケを塩俵の荒莚(あら
むしろ)で巻いたところから巻の名がつけられ、それが巻の字をあてるようになった
そうです。 塩引きサケとよばれるものに比べ、薄塩であるようです。

        新巻き
        (ウイキペディアより)

 正月に食べるに都合がいいとあります。 昔の人は、サケを「年魚」と呼んだそうです。
春に生まれて川を下った子が秋にまた川に帰ってきて産卵し死んでしまうので、一年の
命を繰りかえす魚と信じられたのですね。 古い歳が終り、新しい一年の神をお迎えする
供え物としてふさわしかったのでしょう。
 お歳暮の由来としては、「神様へのお供物を親戚同士でも贈り合っていたこと」と
「江戸時代の商人が支払いのお礼として贈っていたこと」などがあるようです。 お歳暮
に鮭が選ばれる理由は、神様へのお供物だった塩鮭が縁起物とされていたためだそう
ですが現代ではあまり見かけないのでは?

 私事ですが、昔、北海道に出張した時の帰り際に千歳空港で、生の鮭を1匹自宅に送っ
たことがありましたが、二人には多すぎると叱られたことがありました。

 

・雪辱 「辱(はじ)」を「雪(すす)」ぐということですね。「雪」には「清める」
「洗う」「すすぐ」という意味があり、「雪辱」は「不名誉や恥を洗い清める」という
意味ですね。「雪辱」の正しい使い方は「雪辱を果たす」で、「果たす」は何かを成し
遂げたという意味の動詞です。スポーツなどで負けた経験がある相手に勝つことで、
過去の敗北で被った恥や失った名誉を取り戻すという意味なんですね。

 この熟語は、漢文風に訓読すると「辱(はじ)を雪(すす)ぐ」となり、つまり、
恥を洗い流すということで、四字熟語で言えば「名誉挽回」というのと同じ意味ですね。
 「辱」というのも難しい漢字ですが、それ以上に、なぜ「雪」が「すすぐ」という意味
になるのか、という方がわかりにくいかもしれません。が、明確な謂れを見つけること
はできませんでした。ただ、この字が古くから「洗い清める」という意味で使われて
いたようで、そのイメージは、私たちが現在抱いている、「きよしこの夜」の雪の
イメージに近いのではないかとありました。ちょっとこじつけっぽい感じですが・・

 この熟語の有名な用例は、「会稽(かいけい)の辱を雪ぐ」で、中国古代の春秋時代、
越(えつ)国の王が、呉(ご)国に会稽山という所で敗れ、ひどい屈辱を味わいました
が、その後何年も苦労を重ねた上で、最後には呉国を滅ぼすに至った、という史実から
生まれた故事成語なんだそうです。

 しかし、当の中国では、この熟語を「雪耻」(「耻」は「恥」の異体字)と書くこと
が多いようです。日本語で音読みすればセッチとなるわけで、セツジョクとは違う言葉
となります。少なくとも日本語の場合、「辱」という漢字は、「屈辱」「汚辱」「侮辱」
など、単なる「はじ」ではなくて、他者から受ける「はずかしめ」(あるいは他者へ
与える「はずかしめ」)の意味で使われることが多いようです。

 

・手ぐすね  てぐすねをひくとは何を引いているのでしょうか?  語源は、弓手
(ゆんで)に薬練を塗る意からとあります。 「薬練」は、松脂(まつやに)を油で煮て
練り上げたもので、昔、武士が戦いに臨むときに、弓の弦などに塗って固めて強くした
り、弓の握りが滑らないように弓手に塗ったりするのに用いたものです。粘着力が強く、
弓の弦に塗って補強したり、滑り止めに用いていました。
「手薬煉(てぐすね)を引く」とは、戦いの前に手で薬煉を塗って弓をいつでも使える
ように準備しておくことを表していて、そこから転じて十分に用意して敵を待ち受ける
意味になったそうです。

          (ununより)

 ・銀行  お金を扱うのなら「金行」がふさわしい気もしますが、なぜ「銀行」と
呼ぶのでしょうか?  
  「銀行」という言葉が生まれたのは明治初期だとあります。近代国家としての金融機関
が必要となり、英語の「bank」をどう訳すべきか、福澤諭吉をはじめとする学者らが
協議を重ねたそうです。候補には、金舗、金司、両替屋、金行、銀行などが挙がった
そうですが、結局、銀行に決まったのですね。「行」は中国語で、商店や市場を意味
するそうです。
 「銀行」が選ばれたのは、当時は銀が最も多く流通していて、隣国の中国が銀本位制
を採用していたことと、「金行」よりも発音しやすいのも理由の一つだったようです。
 な~んだ!

 また、「Bank」の語源は、12世紀頃、当時世界の貿易、文化の中心地であった北イタ
リアに生まれた両替商(銀行の原型といわれている)が、両替のために使用した「BANCO」
(長机、腰掛)とする説があるようです。

         BANCO例
         (御祓川大学より)
          

 bankは「銀行」という意味のほかに、「土手」という意味があることも知りました。
「土手」の意味の bank には、他にも様々な意味があり、主なものは「岸」「盛り土、
土や雪などのかたまり、斜面、雲などの層」などです。
 また、競輪の走行する斜面をバンクと呼び、全国43か所の競輪場に造られた競輪の
レースが行われる競走路のことですね。

 

 ・楽屋  「楽屋」という言葉は、雅楽である「舞楽」の演奏家である楽人が舞台の
後ろで演奏していた「楽之屋(がくのや)」に由来しているとあります。楽之屋では、
楽人が演奏するだけでなく、舞人が衣装を着たり、出番を待つ場所としても使われて
いたようです。
 その後、能や歌舞伎などの演劇においても、楽屋は演技者の準備や休息のための場所
として定着して行き、歌舞伎では、内容が複雑化・大掛かり化に伴い、楽屋は仕事内容
や地位によって部屋が仕切られるようになり、現在のような控室になってきたとあり
ます。
 海外では「Dressing Room」や「Loge」として知られていますが、役割は似通って
います。

 劇場の外部から楽屋に繋がった出入り口を「楽屋口」といいます。 出演者はこの
部屋で更衣・化粧・食事等をして自分の出番を待つ。
 室内の設備で最も重要なのは化粧のための鏡台であり、鏡の周囲を照明(電球)が
取り囲んでいることが多い。その他全身を映せる鏡や、出番を確認するために舞台の
状況を映すテレビモニターなども用意されているようです。

 余談ですが、「こけら落とし」とは、新しい劇場やホールなどの施設が完成した際に
行われる、最初の正式な公開公演やイベントのことを指しています。 建物のこけら
(小さな木片)を落として清めるという伝統的な儀式に由来しているそうです。 古くは
劇場の屋根を杮葺き(こけらぶき)にしていたそうで,屋根や足場に残る杮(こけら
=木片)を払い落としてはじめて完成に至ったことを意味するところから、杮落しが
初開場を意味するようになったようだとあります。
 ついでですが、こけらという漢字『杮』は、果物のカキの字に似ていますが、実は
違う漢字で、つくりのところが、市ではなく、縦の棒が繋がっていて上に突き抜けて
いるのです。拡大
してみますと下のようになっています。

              

 今回の5つの言葉はどれもあまり面白くなかったですね・・。お疲れさまでした。

 

 

On the Sunny Side of the Street - The Waller Creek Vipers at Monk's Jazz

 

 

 

 

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