つい先日、どこかのテレビで「南極の氷」が展示され、子供たちがパチパチと
いう音などに耳を傾けていた映像が流れていました。
環境省のページでこの南極の氷について、改めてその大きさなどを知ることと
なりました。
(ネット画像より)
南極は氷の大陸といわれていますが、氷の下には、約1300万㎢、日本の36倍の
大きさの大陸があり、オーストラリア大陸よりも大きい大陸なんですね。 その
大陸の上に一面、氷が載っている「氷床」と呼ばれる構造になっているのです。
地球上にある巨大氷床は、この南極大陸とグリーンランドの2つがあるそうです。
南極の氷床の厚さは、平均2,500mあり、最も厚いところでは4,000mもあるといい
ますから、富士山よりも高い厚さがあるのです。
(共に、環境省ページより)
で、この氷の量はどのくらいあるかといえば、26.92×106km3だとあります。
これがどのくらいの量かといえば、杉山慎氏(北海道大学低温科学研究所教授、
今年3月に南極での氷河観測から帰国された)によれば、ざっくりとびわ湖ならば
百万杯、日本海で20杯分に当たるとされますが、ちょっとピンとこないほど大量
なんですね。地球上の氷の90%が南極大陸に、9%がグリーンランドにあるそうです。
そして地球上の海水以外の水、つまり淡水は、地球のどこにあるかといえば、
もちろん川や湖にあるのですが、淡水の70%は、この氷河氷床にあるというのです。
ここで、また、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告が出てくるので
すが、2019年の報告では、1992~2016年に毎年百ギガトンの氷が減っており、こ
の24年間に失われた氷は、南極氷床の1万分の1で、海面(水準)上昇に換算する
と 7㎜だという。 実際には、氷河氷床の融解と海水の温暖化による熱膨張によっ
て、1900年以降、18㎝の海面上昇が観測されているそうです。
昨年公表されたIPCC第6次評価報告書では、海面(水準)の上昇が2100年までに
2m、2150年までに5mに迫る可能性も完全には否定できないとされています。
5m海面が上昇すれば、日本の国土は3%水没するが、そこに住む住民は総人口の
16%と試算されていました。 仮に、南極の氷が全部溶けたとしたら、海面は58m
上昇し、失われる日本の国土は17%となりますが、この17%には総人口の70%が
居住しているとされています。 図にあります通り、水没する地域は大都市が多い
ということなんですね。
南極の氷が完全に解けた場合
(ネット画像より)
南極の氷が全て溶けるのには6000年かかるとの試算があり、「まだ先のこと」
かもしれませんが、毎年融解が進んでいるそうで、淡水の流入によって、海水の
特性が変化し「海洋大循環」に影響するとされているのです。 つまり、海水は、
千年以上の時間をかけて地球を巡って各地に熱と物質を運んでいるのだそうです
が、この循環の原動力が水温と塩分で変化する海水密度だというのです。そして、
南極の周辺海域で海面が凍る際に塩分の高い水が沈み、この大循環を駆動するポ
ンプの役割をはたしているのですが、ここに大量の淡水が流れ込んで塩分濃度が
下がることによってこのポンプの役割がなくなる可能性がある。 大循環が停滞
すれば、大きな気候変動を起こすほか、栄養塩の輸送や温室効果ガスの海中への
吸収も滞ることとなるのです。 じわじわと、ボディブローを受けながら地球は
弱って行くというのですね。
現役の頃、私のグループにいた若い社員が南極の観測メンバーに選ばれて、南
極から帰って来た時、持ち帰った南極の氷で「オンザロック」を楽しみながら現地
の話題に盛り上がったことがありましたが、その時にはここに述べたような深刻
な話は夢にも思わなかったのでした。
ここ2~3の拙ブログは、地球温暖化による直接あるいは間接的影響による、
高温・豪雨などの気象被害のほか、干ばつ・洪水による食料被害そして氷床融解
による海洋変化が時には荒くれ襲いながら、じわじわと忍び寄り、地球を脅かし
ているのです。
地球温暖化による影響は、ロシアの永久凍土の融解を進行させているそうで、
すでに地盤沈下によるビル、道路、空港、パイプラインなどに深刻な被害が出て
いるといいます。ウクライナは、ヨーロッパの穀倉地帯と呼ばれていますが、温
暖化をも背景として、この度の侵攻が行われているのでは・・との見方もあるよ
うです。
【世界水没】南極大陸の氷河を一つ残らず溶かしてみた
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